2015年08月26日

漢方薬は全身の調整治療

東京での漢方相談会を終えました。
今年から3ヶ月に1度ずつ定期的に行っているのですが、開催の度に相談の方が増えていっております。

お越しいただいた方々、本当にありがとうございました。
遠方からも来ていただいている方もいらっしゃって恐縮の限りです。

次回は11月の予定です。
まだ日時は未定ですが、今回、お時間が合わなくて、すでに何名かご予約をいただいています。
今回はすみませんでした。

と挨拶的なものはここまでとして今回、ご相談をさせていただいていて、気になったことがあったので、その事について書いておきたいと思います。

すでに漢方で有名な某大学病院の治療を受けておられる方が数名いらっしゃったのですが、どうもそこの漢方の治療の感じがアレな感じなのです。

長年、ある症状で悩んでいて、いろいろと漢方薬を試してきていた方ですが、ある時に、その長年の症状が良くなってきました。
ところが、それと同時に今度は皮膚のトラブルが出てきたのです。

これ、漢方治療では珍しくありません。
漢方治療は西洋医学の治療と違って症状を部分的に無理やり遮断したり、抑制したりするものではありません。

漢方では身体の中のいろいろな働きは、連携で行われているのですが、その連携のバランスが崩れると、その不調が症状になって現れると考えます。

したがって、漢方では、出てきたいろいろな症状を止めてしまうのではなく、その症状などから、何の連携が崩れたのかを分析します。
これを漢方では「証をたてる」といいます。

そして、それを調整する漢方薬を合わせていきます。

西洋医学では、ただ単に今の症状を部分ごとに無くしてしまおうとしますが、身体を根本的に治そうと思ったら、その症状が何のアンバランスを示しているかを見極めていかないといけないのですね。

ということで、漢方薬は、ただ症状を無くすことが目的ではありません。
バランス調整を行うので、その調整の過程で他の部分が悪くなったように感じるのは、めずらしくありません。

漢方は、そういった治療なので、漢方医の仕事は新たに現れた症状にどんどん対処することではなく、新たな症状が出てきたら、どんな調整の結果、その症状が出てきたのかを考えなければいけません。
場合によっては、一から考え直して漢方薬を変更する必要があります。

ところが、ある症状が治って、それと入れ替わりに皮膚のトラブルが出てきた状態に対して、この有名大学病院の答えは「皮膚科ではどう言ってますか?」

アウト!!
僕はこの先生と直接、お会いしたことはないですが、会うまでもないです。
「皮膚科ではどう言っているか?」
このセリフだけで、漢方の事をなーーーーーーんにも理解していないことが一発でわかるセリフです。

漢方の治療は全身のバランスを調整することです。
なので、内科とか皮膚科なんて分けて考えること自体が異常です。

皮膚のトラブルが出てきたら、漢方薬を処方した、その先生が「一方の症状が治った途端になぜ、皮膚のトラブルが出てきたのか?」その答えを見つけなければ、漢方治療できません。

西洋医学的に言えば、漢方の治療は総合診療科なのです。
全科をひっくるめて治療をコーディネートするのが漢方の常識です。

だから、こういったセリフで「あー漢方治療の考えは理解していないんだな」とわかっちゃうわけです。

僕は嫁さんのニキビとアトピー、母親のリウマチ、僕ら夫婦の不妊症などの漢方治療の実体験していますので、専門的にはニキビやアトピー、リウマチ、不妊治療となりますが、だからといって皮膚科、整形外科、不妊症しかわからないというわけではありません。

漢方修行では後縦靭帯骨化症やてんかんの治療をやっていましたので、そちらも専門と言えば専門。

お店では、急性のヘルペスや冬などは風邪の治療。
ものもらいや副鼻腔炎、喘息発作などん急性の治療。
ハゲの治療もしたことがあります。

これは僕の漢方治療の専門性が広いのではありません。

漢方はもともと、内科とか皮膚科とかに分けて治療するほうが「おかしい」のです。
だから「皮膚科はどう言ってたか?」なんて、事は漢方の世界ではありえないのです。ありえない。

漢方は全身をみて、アンバランスを見つけ、そのアンバランスを調整します。
だから、全身の不調(全科)が漢方の治療領域なのです。

病名は西洋医学が決めたものなので、本来の漢方治療では、西洋医学の病名すら必要ありません。
逆に西洋医学で難病とか原因不明の病気と言われても漢方では東洋医学的な体質を素直に分析すればいいのです。
(ただ、病名漢方といって病名と漢方薬を結びつけたマニュアルで漢方薬を処方している場合は、病名が必要です。)
漢方治療では皮膚科に状態を聞いてきてもらう必要が一切ないのです。
その場で、その先生が見たらいいだけ。


素直に東洋医学的な体質だけを見れば、おのずとなぜ、そんな状態になったのかが見えてくるのですね。

そこが西洋医学とは全く違う治療なのです。
だから漢方専門だと言ってる病院は皮膚科の漢方とか、耳鼻咽喉科の漢方とかやめたほうがいいですよ。
それだけで「本来の漢方治療をわかっていません!!」って宣伝しているようなものだから。

その大学病院、漢方界的には有名だったので、中の事実を聞いて正直、ちょっと残念でした。


posted by 華陀 at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月20日

病気が治るための養生を伝える必要性

「養生」とは普段の生活の中で病気を治すために「こうした方が良いとか」「ああした方が良いとか」
生活で気をつけたり、身体にとって良いことに取り組むことですね。

西洋医学では生活養生は治療とは別で、できればやったほうが良い的なオプションっぽい位置付けのような感じがありますが、漢方では完全に治療の一部です。
漢方薬での治療と養生は同等だと思っていただいていも差し支えありません。
病態によっては絶対に取り組まないといけないこともあります。

西洋医学の治療のほとんどは、本来、身体の中のシステムにはない外的かつ人工的な作用で痛みを止めたり、かゆみを止めたりします。
その場や一定の時間だけ、外的な力で症状を無理やり止めたり無くしたりするので、姑息療法と言われています。

西洋医学は、こういった性質なので、根本的に治療したり、根本的な原因を考える術がありません。
実は西洋医学が病気の根本的な原因のように説明しているのは、体内のメカニズムを細かく詳しく見た結果を説明しているのであって、病気になった根本的な原因がわかっているわけではありません。

例えば、アトピーは腸内免疫の免疫が関係しているとかいった話は腸内免疫の状態がアトピーの原因ではなく、アレルギー反応に関連する生理学的な説明を詳しく説明したにすぎません。
その人自身のアトピーになった原因ではありません。
現在の体の中のことを単に説明しただけ。

人によって若干、異なってきますが本質的なアトピーの原因は食事の時間や食事の質だったり寝不足だったりするわけです。

慢性病の原因は、皆さんの生活の中にあるのですね。

以前にアトピーの方の治療をしている際に夜勤がある方だったので「睡眠不足や睡眠リズムの乱れは湿疹が治らない決定的な原因にはなります」とお話しました。

もちろん、だから治らないという意味ではなく、漢方薬はステロイドのように湿疹を無理やり一定時間無くすものではないので「夜勤による睡眠リズムや睡眠不足の乱れをなるべく調整するようにしていかないと漢方薬の効果だけで治るわけではありませんよ」と言う意味でお話したのですが、どうも漢方薬を飲み続けていれば、生活は変えなくても、そのうち治ると思っておられたようです。

漢方薬は新薬と違って、長期間、副作用なく飲み続けることができる便利な薬みたいな位置づけに思われがちなんですが残念ながら漢方薬の役割は、乱れた体質を元の健康な状態に近づけるよう調整することです。

だから、かゆみを止めたり、漢方薬を飲んでるだけで治っていきません。
バックアップ的に体内のシステムの調整は行ってくれますが、悪い要因は取り除かない限り、良くて一進一退になります。

例えば、漢方薬で血を補い、血の巡りを促進することによって傷口の修復を促進させることはできますが、その漢方薬を飲みながら、その傷口を毎日、わざと叩いて再度、傷つけていたらどうなるでしょう。

漢方薬で体内から傷の修復を促進しながら、外部から自分で傷を叩いて傷をひどくするわけです。
これだったら、現状維持でも十分に良くなっていることになります。

傷口は見てわかるものなので「そんなの自分で傷口を叩いたら、治るわけないじゃん!」って誰もが思うでしょう。

でもアトピーの方の食事時間の乱れや甘いも、コンビニ弁当などの便利で簡単な添加物食品の摂りすぎ、不妊症の方のタバコやお酒(男性に多い)は傷口を叩くほどのわかりやすさがなく、なおかつ、便利であると余計に自分にとって良いことと都合よく思い込みたいので、実は悪いこと。を普通に毎日やってしまっているのです。

これでは養生になりません。
漢方治療は体質にあった漢方薬と体質にあった養生、2つで1つなので、普段の生活を病気の頃と変わらない状態ですごしていたら、半分良くなって、半分悪くなる。
つまり現状維持なら、めちゃくちゃ治っていると考えないといけないかもしれないのです。

養生においてのもう一つ、大きな問題があります。
病院では「1日1万歩、歩くのが健康に良い」とか「毎日、緑黄色野菜を満遍なく30品目摂りましょう!」とか一般平均の健康論を養生的にアドバイスしていますが、養生も体質別で考えないといけません。

誰もが同じ養生なんてありえません。
普通で考えれば何歳のどんな人だったら、どんな養生がいいのか?皆んなバラバラになって当然です。

でも病院で個人ごとに養生のアドバイスなんてできません。
なぜなら、元々、診察の際にその人の体質を見ないで画一的な平均化された病気の病名で人を見るからです。
この見方は菌などを特定できる感染症では通用しますが、その他の病気には一切通用しないと思います。

その他の病気は、すべて個人差、体質差がかならずあるからです。
なので、菌系の感染症以外で病院から「普段はこうした方がいいよ」というのは一般論すぎるので、信用しないほうがいいと思います。

子供の養生、大人の養生、普段からスポーツしている人の養生、虚弱な女性の養生、病気ごとにも違うし、体質だって全然違うわけですよ。

それが「”人間”だったらみんな同じ養生でいいですよ」は、あまりに粗く乱暴ですね。
そんなわけないです。
一人、一人の養生考えるの邪魔くさいから「人間」くくりで、こんなものを食べたらいいとか、こんな運動をしたらいいとか、テンプレの養生を誰にでも同じことを言ってるのですよ。

病気を根本的に治そうと思ったら、結局、西洋医学であろうと東洋医学であろうと、一人一人と向き合って、その方だけの体質を理解し、その方だけの薬や養生が必要だと思います。


posted by 華陀 at 18:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月12日

家庭菜園からもわかる漢方治療の極意

最近、家庭菜園にハマっています。
最初はイチゴだけだったのですが、スイカ、オクラ、トマト、枝豆、トウモロコシと増えていきました。

やりはじめると人間の身体も野菜や果物も一緒なんだなと、いろいろと勉強になります。

土の問題、水の問題、害虫、肥料。
単純なようで周りの天候などの環境にも左右され、野菜たちもいろいろな問題を抱えます。

人間の身体で例えれば、土と肥料は僕らがいつも食べている食べ物。水はそのまま野菜も人間も必要なものですね。
植物は排泄がないですが、人間はこれにもっともやっかいな排泄が加わります。

実は最初のイチゴは失敗しちゃってシドニアの騎士に出てくるガウナのようなボコボコの気持ち悪いものができるようになりました。
(後のものは、最近忘れていたようなおいしい味の野菜が収穫できています)

原因は土。土に肥料をやりすぎ、そこに雑草やら虫やらが住み着いて、気が付いたら歪な気持ち悪い形のイチゴができるようになりました。

半分は食べるため、もう半分は漢方の勉強のために栽培しているので、今のところ、食べずにどうなっていくのかを見守っています。
でも、もうどうしようもない感じです。

これ、人間だったら、添加物が多い栄養素の偏ったものをバカバカと食べた感じですよね。

ボコボコの歪な形のイチゴなんか見てたら、人間の体内のガンってこんな感じでボコボコ増えていくのかなーと。

漢方はもともと、自然との調和をとって健康な身体に調整する薬です。
逆に西洋医学の新薬は身体を調整するのではなく、身体の状態を無理やり変えるのです。
無理やり変えているのを治していると表現しているのですね。

新薬は頭痛があったら、痛み物質を薬の力で遮断して痛みを感じなくしたり、炎症があったら、薬の力で炎症を無理やり、しずめてかゆみをなかったことにしたりと、薬が外側から無理やり不快な症状をなかったことにします。

さっきのイチゴで言えば、歪なガウナなのようなイチゴを切りとってしまうのですね。
で、その気持ち悪い形のイチゴを取ると全体的に見た目はスッキリします。治った感じ。
変な実がなくなったその時のイチゴの状態を見ると茎や葉は見た目はおかしな感じがどこにもないので「あーこれで次は綺麗なイチゴが出来てくるんじゃないか」と思えるようもになります。

そして、数日後はキッチリと気持ち悪い形のイチゴがまた出てくるわけですよ。
それをまた取ると、スッキリはしますが、またダメなイチゴが出て・・・

西洋医学の治療は、後は、これの繰り返しです。
みなさん、実感してますよね。
表面上は一瞬、スッキリはしますが、数日後には結局、何にも変わっていないことを思い知らされます。

漢方の治療の考え方も、よりおいしい野菜や果物を育てていくのと定義や理論は同じなんです。
これ、相談でよくある説明するためのこじつけ理論ではなく、本当に、漢方の治療の考え方は、本質的には自然の調和を取り入れているのです。
大宇宙は小宇宙であり小宇宙は大宇宙。それと陰陽という東洋医学の法則です。

僕の家庭菜園はある種、逆に漢方相談の知恵を家庭菜園に生かしている感じです。
患者さんを治す時のように逐一様子をみて、日が当たり過ぎていたら日照時間が長くない位置にしたり、土の乾き具合で灌水の状態を決めたり。

人間の身体も単純にみれば、水と空気と食べ物を取り入れて、自身を成長させ、植物のトゲや香りで害虫を寄せ付けないような免疫をつくり外的などから守り、人間はこの後、いらなくなったものを排泄をするのです。
プラス人間は自律神経の活動のリズムとホルモンの分泌が加わります。

漢方的に見ると意外と単純なんですね。

治療をするというのは、これのどこの部分でバランスが崩れ、どの部分のバランスを整えれば、元の総合的な生命活動バランスへ戻っていくかを分析するのです。

だから、病院がやっている漢方のような症状をあてはめて、患者さんが悩んでいる症状を漢方薬で直接、取り除こうとするような処方の方法は、東洋医学の本当の理念からしたら、的外れなわけです。

そんなやり方は、歪な形のイチゴを切り取るのに新薬を使うか漢方薬を使うかの違いしかなく、対処的にダメなイチゴを取り除くなら、新薬のほうが切れのいいハサミのようなものだから、そちらでいいわけです。

症状や病名などをあてはめて、合ってそうな漢方薬を必死で探すのではなく、漢方薬を使って漢方治療をするのであれば、根本的な方向性をどこにもっていくのか?その治療戦略と方針が「漢方」なのですね。

次に出来てくるイチゴを歪な形のイチゴにしないように今、何をしなければいけないのか?
漢方の治療はハサミでちょん切って、ダメなイチゴをなかったことにすることではありません。

漢方薬を選ぶ際には体質を見ます。
その人の体質を知るにはその人の病気や症状がその人の体質を分析するヒントにはなります。

しかし、病名や症状はあくまでヒントの1つです。
病名や症状をそのままあてはめていって、「はい、この漢方薬がいいですよ」ってバカみたいな方法が漢方ではありません。

その人がもっている病気や症状はイチゴなら変な色の葉があるとか、土に雑草が生えているとかです。

でも治療するのに必要なのは、それだけではありません。
体質を丸ごと見ていこうと思ったら、どんな環境にいるのか?どんな環境にいたのか?なども重要です。
イチゴなら日照時間や土の質、水の問題とか周囲の害虫などの生育環境などです。

だから、漢方治療では病気や症状だけでなく、今、どんな環境で生活していて、どんな環境だった時から病気や症状がはじまったのか?どんな食べ物を食べていて、睡眠などはどんな状況で、精神的な状態はどんななのか?を知って初めて病気の問題の本質やその人の体質が見えてきます。

そして、体質が見えて初めて、なにがしかの漢方薬を選ぶことができます。

こうやって見れば、その患者さんの病名や2、3の症状をチョコチョコ聞いただけで漢方薬を処方している先生は、もはや漢方がもっている本質的な東洋医学理論をバカにしてるといっても過言ではないのではないかと思います。


posted by 華陀 at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月07日

漢方を信じる?信じない?の話し

うちのお店で時々、ひょこっと聞かれるのですが「漢方ってなんか信じられないんですけど」みたいな話し。

なぜか100%男性です。
女性は感覚的に漢方をなんか良さそうと捉えることができるのかな?

昔は、あれやこれやと、そういう方に理解してもらえるよう、ご説明していましたが、調子乗ったことを申し上げると今は次々に患者さんが訪れてくれていて、なんだったら、ちょっと新規の患者さんに押され気味なので「信じられないんだったら、飲まなければいいんじゃないですか」の一言で済ませています。

誤解されるといけないので、僕は漢方のことを説明しないわけじゃないですよ。
現在の体質、これからの治療方針。
体質に合った生活養生。

質問があれば、時間がかかっても理解していただけるまで、ご説明しますが、漢方を信じる、信じない感覚で考える人には説明してません。

そもそも、漢方は「信じる?」とか「信じない?」次元の医学ではありません。
多分、この感覚を持ってる人は、要するに「科学的でないから西洋医学と違って怪しい」ということだと思うのですが、漢方は別に西洋医学的なエビデンスに照らし合わせて正しい医学かどうかなんてする言われもないし関係もありません。

この誤解って多分、病院も悪いと思います。
病院の漢方は、東洋医学の漢方薬をわざわざ、西洋医学的に無理やり変換して使おうとしています。
おそらく、漢方を東洋医学的に理解できないのと、東洋医学的に正当に体質診断をしていたら、一人一人じっくりと相談しないといけなくなります。
そうなると今のベルトコンベアーみたいな患者の流し方はできないですからね。
仕方ないかもしれません。

また、漢方をやってる先生の中にはOリングとか、気功とか、ヒドイ漢方医になるとカラーで漢方薬診断とか、少なくとも東洋医学理論と全く関係ないものと無理やり結びつけて妖しげな相談をしている人がいるのも事実です。
(Oリング、気功、カラーで漢方診断がダメだと否定しているのではありません。そんなものは東洋医学の理論には元々、全くナイということです)

一般には病院のような西洋医学もどきのニセ漢方やこういった類のものが横行していますので、患者さんは病院がやっているんだから。漢方相談専門店がやっているんだから。とそっちが間違いないって勘違いしてしまうのだと思います。

でもね。そもそも西洋医学と東洋医学は「医学」という共通の言葉が付いていますが、全くの別物なんですよ。

大昔のものだから科学的でなく眉唾臭いって思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、信じる?信じない?の類のものだったら、多分、こんなにパブリックに使われていません。

それこそ、朝の占いと同じレベルだと思います。
漢方薬も一応、医薬品ですから。

だから、漢方は信じる?信じない?ではなく、治療理論が根本から違うのですよ。

僕は、東洋医学こそが真の治療だと考えていますが、かといって西洋医学がダメだとは思いません。
西洋医学の生理学、解剖学、病態生理学、薬理学も大好きです。
西洋医学の薬は治療には、ほとんど役立ちませんが、その他の知識は体質の分析に役立ちます。

西洋医学は、1つの原因を科学的に証明してそれに証明された1つの効果のあるものを治療薬として使ったりします。

なぜ悪くなったのか?それをどんな成分のものなら治すことができるのか?
それを徹底的に科学的に証明しています。でも1つだけね。

見方を変えれば1つの原因まで絞って1つの効果のあるものを使うので、誰でもわかりやすいのです。
多分、それを理論的だと感じるのでしょう。
でも、漢方が科学的でなく妖しいとか言ってる人に限って、科学や論理学は疎かったりするのですが・・・

漢方は人間の活動の営みを後方から支援するものです。
1つの原因を追求するものではないので、ある種、ざっくりと、どのバランスが崩れてどのバランスが崩れていないか、平行線でいろいろな原因を捉えていくのです。
原因が1つじゃないから、複雑すぎて科学的証明は難しいです。

体の問題に限らず、何かのトラブルというのは、1つの原因で起こりません。
細かくみていけば複数の些細な原因が積み重なって今の結果になっています。

言わばカオス理論、バタフライ効果みたいな感じですね。

摩訶不思議なことではなく、蝶が羽ばたいたことがきっかけでトルネードが発生する可能性がある。ほんの些細な事が、徐々にとんでもない大きな現象(病気)の引き金に繋がるという考えです。

大昔の中国人は考えたのです。(真意はわかりませんが)
「些細な複数の原因で今の結果(病気)に至ったものを単純な1つの原因に絞り込んで、それをどうにかしたってどうしようもない。
(実際、現在の西洋医学は対処療法という姑息療法でその場をしのぐ誤魔化し治療しかできていません)
だったら、今の複数のバランスが崩れた状態全部を受け入れて分析し、そのバランスを整えていけば、元の健康に戻るんじゃないのか」

だから「何が原因なんですか?科学的に説明してください」と言われても、多数の複数の原因が折重なり、またあらたな原因も生み出しているので、そんなものを1つ1つ分析できません。

漢方も理論的な医学なので、やろうと思えば何年もかけて複数の原因を1つ1つ出せるかもしれませんが「120の原因が見つかりました。今から1つ1つ説明するので聞いてください。そして、すべてを一切忘れずに記憶して最後に統合して理解してみてください」と言われたって誰も理解できないと思います。

それを何千年の経験論の中で「こんな感じの体質だったら、こんな漢方薬を使えば良くなることが多いよ」と教えてくれているのが漢方です。

漢方は細かく見れば実は理論的でややこしいのです。
だから、僕は西洋医学的なエビデンスがないから信じない的な人には「信じられないんだったら、飲まなければいいんじゃないですか」の一言で済ませています。めんどくさいから。

ちなみに西洋医学の根幹になっている科学的なエビデンス。
説明されると「ほうほう」となりますが、科学もほとんどは経験的な結果を重視しているのご存知でした。

実はちゃんと理論的に説明できないものばかりなんですよ。
人間誰もが毎日経験している「重力」すら未だに解明されていないのです。

ちなみにヤカンでピーって音がなるものあるじゃないですか、あれもつい最近、なぜピーって音が鳴るのか科学的にわかったらしいです。なんと100年間位わからなかったらしいです。でもみんな便利に使ってますけどね。

漢方も科学も不思議ですね。
posted by 華陀 at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月04日

漢方薬は症状や病名を当てはめるだけでは治らない

漢方って謎すぎて一般の人に対して、いろいろな誤解を生んでいるような気がします。
その一般の人の中に「医者」も入っているので、なお誤解に拍車をかけているように思います。

「医者が漢方をわかっていないのに治療で使っている。そんな訳ないじゃん!」

って思われるかもしれませんが、わかっていないというか、今の病院で処方されている方法は東洋医学と関係ない感じの西洋医学の医者用のオリジナルの漢方処方といったものです。
2千年もの昔からの知恵があるのにそれを無視して勝手なオリジナルの方法。もったいない。

その中で最も誤解されているのは、病名や症状に合わせて漢方薬を選べばいいじゃないかという誤解。

一般の人も医者もこれをよく誤解しています。

不妊症に当帰芍薬散とか花粉症に小青竜湯みたいなアレ。
西洋医学の問診とは別に東洋医学的な問診をとらずに漢方薬を処方しているものは、勝手なオリジナルな方法とみて間違いないです。

この間もおそらく症状に当てはめて漢方薬を選べばいいとお考えの方だと思うのですが、頭痛とめまいと下痢ではどんな漢方薬が合いますか?という質問がありました。

自分が気になっている症状にあてはめて、漢方薬を選べば治っていくという誤解。
ネットの情報も月経不順と冷えがあれば当帰芍薬散など「この症状ならこの漢方薬を使えば治るんだ」と誤解させるような嘘の情報が常識化しています。

また、病院もこれと同じ方法で処方しているので、余計にこういうのが漢方なんだと誤解されています。

うちでは、症状のあるなしのチェックだけで211項目あります。
それ以外に症状があるかないかだけでなく、どんな症状なのか?どんな状況でその症状が悪くなったり良くなったりするのか?病院での治療暦、自分が気になっている症状以外の何か病気があるか?職業(体の1日の動きを知る為)などなど、いろいろなことをお聞きしています。

なぜ、自分が悩んでいる症状や病名だけじゃだめなのでしょうか。

西洋医学のお薬は鎮痛剤とか止瀉薬とか、薬の効果が決まっています。
また、西洋医学のお薬は体質を治すものではなく基本的には、1つの症状を1つのお薬の効果で、その場だけ治します。
だから、その時の症状に合わせて薬を選びます。

漢方薬は効果が決まっていません。
例えば、葛根湯は風邪薬として有名ですが、そのほかにも蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使います。

ここでまた1つの誤解が生まれます。

「1つの漢方薬にはいろいろな作用がある」

間違ってはいないのですが、皆さんがイメージする「いろいろな作用」があるわけではありません。

葛根湯自体がどんな体質の人に対しても風邪薬や蕁麻疹の薬になるわけではありません。

葛根湯を東洋医学的な作用で表すと3つの証で成り立っています。
(証とは体質を構成する要素です。その要素が合わさって今のあなたの体質をつくっています)

葛根湯の効果や作用は、
表の寒証、表の実証、脾胃の熱証です。

これが葛根湯の効果。
よく、漢方薬の効果を教えてくださいという質問がありますが、これが皆さんになじみ深い葛根湯の効果です。

全く意味不明ですね。
そうなんです。漢方と西洋医学は全く違う医学なので、葛根湯に鎮痛効果とか咳止め効果なんて、わかりやすいものを期待してもダメです。

それは西洋医学的に勝手にくっつけた効果。

葛根湯の働きは上の3つなのです。

そして、漢方では「効果=体質=証=漢方薬」なのです。
ややこしくなってきましたね。
この辺あたりから一般の方も医者もチンプンカンプンになるようですね。

葛根湯は風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使うとお話ししましたが、これはどんな人の風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢でもOKというわけじゃないのです。
どんな体質の人の風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使えれば、葛根湯はいろいろな効果があると言えますが、
体質が表の寒証、表の実証、脾胃の熱証という限定的な体質(証)でなければ、いくら症状が風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢でも葛根湯はびっくりするほど全く効きません。

体質(表の寒証、表の実証、脾胃の熱証)が異なる場合は、また別に異なる体質に合う漢方薬の中で風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢に使えるものがあるのです。

つまり、漢方薬は風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢という同じ症状に対して、体質別(証別)にいくつもの種類の漢方薬があるのです。ややこしいですね。

わかりにくいか、わかりやすいかわかりませんが、漢方には同病異治、異病同治という言葉があります。
同じ病気は異なる漢方薬で治るし、異なる病気は同じ漢方薬で治るというもの。
要は病名や症状でなく体質(証)で漢方薬は合わせるのですよ。という意味です。

だから、症状だけであてはめようとしたって、証(体質)が違えば、その漢方薬は全く効きません。

なんだったら、風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢という病気の経過した時間が変わっていくだけで漢方薬が変わっていきます。
症状や病名が同じでも経過時間で選ぶ漢方薬が変わるのです。

だからネットやメーカーからもらったマニュアルの症状や病名だけで漢方薬を選ぼうと思ったら、飲んだほうがいいかもしれない漢方薬は無数にでてきます。
(詳しく調べればいくらでもあてはまっていく。自分の都合で調べるのをやめれば、その症状と漢方薬が合っているように感じるだけ)

証を分析できないなら、片っ端からためしていくしかありません。
それこそ、占いなどのラッキーのレベル。

これと同じ占いレベルの治療を病院でやってるから、漢方は誤解されるのです。
漢方薬があやふやな怪しい薬ではなく処方する医者などの人間の側があやふやで怪しいのです。

全ては、病名や症状ではなく、あなたの体質(証)がなんなのか?にかかっていますよ。
自分で漢方薬を選ぶにせよ、誰かに選んでもらうにせよ、体質(証)を証明することが漢方治療の第一歩です。


posted by 華陀 at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする