2015年09月29日

季節に合わせて飲む漢方薬を考え直す重要性

秋ですね。本来ならすごしやすいはずの秋です。
でも今年は夏から続いて最悪ですね。

台風につぐ台風。
加えて、なんとなく風邪が流行っていたり、花粉症っぽいものがあるようなないようなで、鼻ズルズルだったり、喘息みたいな肺炎になった人が多かったりと。
東洋医学的にはこういった季節は湿熱という身体にとって体調を崩しやすい環境をつくりだします。

漢方薬が西洋医学と決定的に違うところは、漢方薬は体内の自然な働きに逆らわないようにしながら調整します。
本来の健康なバランスから乱れてしまった働きを元の正常なところに戻れるように促すのです。

西洋医学はその人の体内の自然な働きとは関係なく薬の強制的な力で体内の働きを変えます。
本来の流れを遮断したり、本来の働きを助けるというよりは、本来の働きを邪魔して痛みなどが伝われないようにして治療します。

なので、東洋医学と西洋医学は全く治療の方向性が違うのですね。
現状の漢方薬を扱っているほとんどの漢方の病院や漢方薬局は、この漢方の治療原則がわかっていないのか、わかっているうえでそうしないのか、その辺はわかりませんが、漢方薬をその人の体質合わせて処方しようとしません。
漢方薬も西洋医学の薬のように強引に痛み止めやホルモン活性、かゆみ止めなどの効果を目標して処方したりしていますが、これは本来の漢方治療ではありません。

本来の漢方治療は、その人の体質を本来の正しい働きに調整するのですが、この正しい働きというのは、いろいろな要因で悪くなります。

西洋医学ならウィルスとか病原菌が体内に入って悪さをするのが病気の原因になりますが、漢方では自分を取り巻く自然環境や生活リズムと自分の体質の調整能力がずれたりすると病気になると考えます。

漢方薬を選ぶ際に西洋医学の病名が関係がないのは、そういう治療原則からですね。

身体は夏は汗を多量にかきますが、あれは体内の熱の発散を行って体温を下げて外の環境と調整しています。
逆に冬は汗や熱がなどが漏れ出ないようにして身体を温めています。

こういった風に身体のあらゆる機能は外の環境や生活リズムに合わせて身体を最もよい状態になるよう調整を行っているのですが、外の環境が強すぎると体内の調整がうまくいかずに病気の状態になったりするのですね。

漢方の治療で良くなっていくキーポイントは現在の環境とも関わっているのです。

そして、話は戻りますが、今年はすごく変な気候です。
ものすごい猛暑かと思ったら、台風がきて梅雨みたいに雨続き。

こうなると外の環境のバランスが悪すぎて、身体の調節がうまくいかなくなります。

調節がうまくいかなくなった部分を探すのが漢方の体質判断です。
初回に相談を受けにこられた方は問題ないのですが、こういう乱れに乱れた季節の時に困るのは、すでに何ヶ月か漢方薬を飲んでいて、順調に治ってきた人。

こういった方々が今年は季節の乱れが大きいので、今まで治っていた漢方薬が急に効かなくなったり、悪い場合は、変な症状が出てきたり不調になったりしているのです。

前までよかった漢方薬で悪くなる感じ。

これは、季節の変動が激しすぎて、身体の調整と漢方薬が調整する効果の3者がズレることによって起こります。

通常の季節の移り変わりくらいなら全然、問題ないのですが、今年は最悪です。

夏から同じ種類の漢方薬を飲んでいて、順調に症状が治ってきていたのに、急に症状がぶり返したりと、このまま同じ漢方薬を飲んでいてもうまくいかない感じの方がたくさんいらっしゃいました。

こんなに漢方薬の調整に苦労した季節は初めてですね。

病院のように病名や症状だけで漢方薬を処方していたら、そもそも、こういった漢方の治療原則を知らないので、何か症状がひどくなったとしても、新たな病気になったみたいな捉え方をして、また新しい薬を処方したり「漢方薬は効くまでに時間がかかるから」といって同じ対応でほったらかされたりしますが、漢方治療は外界と体内環境を調和させていくのが本来の治療なので、こんな時は季節の乱れに応じて元の漢方薬の治療の方向性を考慮しつつ漢方薬の種類を微調整して対応していかないといけません。

なのでうちでは、順調に治っていた人からジャンジャン、電話がありました。
まだ、台風が来ていて、季節は落ち着かない感じなので、まだまだ油断できそうにありません。

外の環境(気候)が落ち着いてくれると漢方薬の調整もしやすくはなるのですが・・・。

サーフィンをやってるので趣味的には台風は嬉しいのですが、皆さんの身体の治療を考えると今年の台風はちょっと勘弁してほしいなと思います。


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2015年09月24日

患者さんに治療法?を選ばせる漢方薬局

この間、皮膚疾患でうちに来られた方から聞いた話です。

漢方薬局らしいのですが、早く治りたかったら5万円コースがあり、通常なら3万円コースらしいです。

前日に似たような話を漢方薬局を訪問している生薬メーカーの営業さんからも聞きました。

その先生は営業さんに向かって「お客さんには2つの商品を提示して選ばせたらいいんやで。それを勉強会で教えてもらったんや」と得意気に話していたようです。
勉強会で何やってんの・・・漢方の勉強じゃないんだ・・・

僕も昔は漢方相談などをしている薬局さんを営業先として訪問させていただいていたので、この種の話はよく聞きました。

ただ、十年以上も前の話なので、未だにそんな売り方をしているのかと逆に感心しました。薬業界、漢方業界は悪い意味で時間が止まっていますね。

そもそも、高いコースが治りが早いというのが「すごい!」です。

うちでは、当然、高かったら早く治してあげるとか、安かったら普通にしか治さない。という概念自体がありません。

病院の薬は強制的な効果が決まっていますので、決まった時間だけなら、ほぼ確実に効かせることができます。
だから、病院の薬であれば高いコースは早く治る。という提案もできるかもしれません。
ただし、ステロイドなどの新薬を使う場合は、ほぼ確実に効かせられるかもしれませんが、根本的には治らないし「一時的に治る→再発する」の繰り返しです。

じゃあ、漢方となると「こっちの処方だったら早く治るけど高い。
こっちの処方だったら安いので治るのに時間がかかる」なんてありえません。
しかも、この5万円コースの治療って漢方薬でなくて乳酸菌を使うらしいです。
サプリメントなんて漢方よりもはるかに医学レベルが低いのに、お金を高く払ってくれたら早く治すと言えることが単純にすごいなと思いました。

長年、漢方薬での治療に携わっていますが、病気を治すというのは、非常に難しいです。

人それぞれ、いろいろな環境やストレスがあって、症状や病名が他人と似ているように見えても、みんなそれぞれ、違う症状や病気です。

それを見極めて、患者さんとも何度も話し合って治療を進めていきます。

なので、うちで提案するものは、毎回、僕の全力です。
「高いお金を払ってくれたら早く治してあげる」なんて余裕が1mmもありません。

僕が提案するのは、あなたの今の体質にとっての一番のベストだと考えられるもの。
「ちょっと手を抜いた安いバージョン」と「早く治せる高いバージョン」なんて提案できる余裕がない。僕にとったら身体の治療ってそんなに甘くないです。

ましてや、それを患者さんに選ばせるなんて「自分は何のために漢方を勉強してきたんだー!」って感じになります。

なんかそういうのって治療じゃなくて完全な商売なような気がします。
商売だったら、高いものと安いものを同時に提示して選ばせるというのは昔からの常套手段ですから。

昔、うちに相談に来られたある方が
「いくらでも払うから、良いもの全部ください」と言ってこられたことがありますが「残念ながら漢方は医学理論的に、できるだけ、その人にとってベストの1つの処方に絞りこむのが良いので、種類を増やすことはできません」とお断りしたことがあります。
商売的にはもったいないですね。

でも漢方の治療はその人、その人の体質に合わせるものだから、みやみやたらと種類を増やして値段を高くすることは「治せない」ことに直結しているのです。これは漢方医学の原則でもあります。

もちろん、お店を維持していくのに商売的な側面も重要ですが、それよりも「治せない」というのは僕にとって最も恐ろしいことです。

それに漢方薬は何百種類とあるので、その何百種類の中から1つに絞り込んで治せた時の達成感は最高です。
このあたりは漢方マニアとしての快感かもしれません。

僕も早く治したり、普通に治したりと、あやつれるくらいになりたいです。
でも、これからも「全力で1日でも早く治せるかどうか」を地道に努力していくしかなさそうです。


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2015年09月18日

健康セミナーって大丈夫?

うちの患者さんから「先日、食養生のセミナーに行ってきたのですが、これって私に合ってますか?」と質問がありました。

最近は、妊活の生活養生法とか、アトピーのための生活養生法とか、いろいろな健康セミナーがそこらかしこで開かれているみたいですね。

「元気になるためにはミトコンドリアを活性化させないといけない」とか「活性酸素を除去する食事を心がけましょう」とか。

このミトコンドリアとか活性酸素って何かっていうと、ミトコンドリアは各細胞の中にあるエネルギーをつくる器官です。各細胞に存在します。

そして、活性酸素は呼吸をした酸素の中に化学反応的に不安定な酸素があり、それが体内で老化やら不調を引き起こすと言われています。

そのセミナーではミトコンドリアを活性化させるのはコエンザイムQ10という物質を摂るようにすれば元気になる!みたいな理論でした。よくあるやつ。

間違ってはいないのですが、おかしい部分もあります。
そもそも細胞はコエンザイムQ10だけで活性化させていません。
他にもいろいろな酵素などが関わっています。
このあたりはネットで「クエン酸回路」などで検索してください。
複雑な化学式が出てきますので興味のある方はどうぞ。

細胞の活性にはコエンザイムQ10以外の酵素もたくさん関わっているし、分量だって人それぞれ、状況それぞれで違うわけです。

活性酸素に関してはSODと呼ばれる悪さをする活性酸素をなくしてくれる酵素があって、それを摂って身体に悪さをする活性酸素をなくしましょう的な感じです。

どちらも共通しているのは、身体にいい成分をとって身体を元気にしましょう。というもの。

これはサプリメントの理論です。
こういった理論の話の問題は、身体にいい成分はそれらだけじゃないということ。
そんな細かい成分を引き合いに出すと身体の中には他にも無数に身体に良い成分はあるわけです。

なのでコエンザイムQ10とかSODと言われても他の成分や他の成分とのバランス量なんかはどうなの?って話です。

もちろん、こういった成分の話だけでなく、他にも生活に役立つことも話されているのですが、ここにも問題があります。

講師の方が西洋医学の身体の生理学や病態生理学に対してあまりにも素人なのです。
体系的に、これらを理解せずに「細胞の働きだけ」とか、かなりの偏った知識なので、話していることがデタラメだったり、いいことだったりと良いも悪いも混ざっています。

こうなるとただの混乱したむちゃくちゃな話です。
こういったセミナー全般に言える特徴ですね。

セミナー自体が良いか?悪いか?ではなく、西洋医学も東洋医学もどちらも理論が無茶苦茶なので、僕なんかがそのセミナーの話を聞くとデタラメと良いことを選り分けるだけで時間がかかります。

だから、うちでは「その時に気になったことをメールか電話ください。僕がわからなかったら、僕の師匠の元外科医の先生にも確認とりますので」とお伝えしています。

こういった健康セミナーでは要は「食事や生活養生をがんばって病気も治しちゃいましょう!」ってことになっています。

しかし、養生だけで病気を治すことも可能は可能なのですが、東洋医学理論から考えると、かなり厳しいです。

養生自体は悪くないです。漢方で治療する場合も、うちでもその人の体質に合わせた生活養生をアドバイスします。養生を心がければ治りが早いからです。

しかし、養生だけで治すとなると話が違ってきます。
(うちが漢方薬をやってるからってことじゃないです。東洋医学の理論上です)

食養生などは言わゆる民間療法です。
民間療法はサプリメントのような感じで「便秘だったらオオバコがいいよ」とか「喉が痛かったら大根と蜂蜜がいいよ」みたいな。
その人ごとの体質は見ません。

これが次のレベルになると薬膳になります。
薬膳になると本来はその日の体質をみて、それに合わせて通常の食材だけでなく漢方薬で使用する生薬なども一部、使用して料理を作ります。

最近、薬膳というと「身体に良いもの入ってたら薬膳!」的なノリがありますが、本来の薬膳は季節や体質を考慮して考え料理を作ります。
だから、今、一般に知られているのは偽物のなんちゃって薬膳!ですね。

そして漢方薬は完全に薬です。
証(体質を構成する要素)から体質を分析し体質に合わせて漢方薬を選びます。
(病院などは体質判断せずにマニュアル処方してますけど)
漢方薬は本来、見立てた体質と漢方薬が一致しなければ副作用になります。
つまり、すべての漢方薬で副作用の可能性があります。

完全に治療の範囲です。
効果も高くなりますがリスクもあります。

食養生は漢方薬からみれば2段階下の身体を良くしてく方法です。
治療ではありません。
養生のみで病気を治すことはできますが、漢方薬の何倍も時間がかかるし、生活の中で妥協してはいけません。

食べ物、睡眠、運動、これらを統括した生活リズム。それらを徹底的に整え1日でも休まないように年単位で取り組む必要があります。
生活リズムのことを考えれば場合によったら友達付き合いなども断ったり仕事も考えないと自分のペースで養生できません。

つまり、現代の普通の生活リズムでは大半の人にとっては不可能に近いのです。
「だから漢方薬を飲みましょう!」
ってことでなく、もし養生だけで治そうとしているけど、イマイチ効果がわからないのであれば、毎日がんばるのがストレスになるくらいストイックに徹底しないとダメだということです。

養生がダメだということではありません。
漢方の治療でも養生は併用ですから。

養生、治療は分けて考えないといけないし、大半の健康セミナーは悪い事は言ってないけど、医学理論の軸がなくブレブレなのでお気をつけあれ。ということですね。


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2015年09月15日

病院では異常がない。でも自分は不調を感じる。

病院では異常がない。でも自分は不調を感じる。

よく「病院で何も異常がないって言われたのですが、私は◯◯の症状で悩んでいるのです」という話があります。

こういう状態でしつこく症状があるから治してほしいと医者にせまると心療内科行きになったりします。

そういう方がうちに来ると漢方は病名や検査の異常値がなくても、自覚症状や体質などを調整する治療なので、どんな人でも「治療」はできます。
また、漢方的に見ると結構、大変な体質だったりします。

「あなたは異常がないから病気じゃない」
あれって昔からなんか違うんじゃないかと思っていて、そしえ考えてわかったのです。

医者の言い方がおかしいから、物事がややこしくなっているのです。

正しくは「私にはわかりません。ごめんなさい」じゃないかと思います。


患者さん:「私は夜中、毎日眠れなくて頭痛と吐き気が続きます」

医者:「検査もいろいろしたけど、何も検査上は異常ないですね・・・僕にはなぜその症状があるのか僕の治療のレベルではわかりません。ごめんなさい」

ね。しっくりくるでしょ。

ここを

医者: 「何も異常がないからストレスや精神的な問題かもしれません」

なんでもストレスかよーーーって感じです。途端に違和感と不信感。
症状の原因をなんでもストレスするのってサプリメントを売りまくっている詐欺メーカーの常套句みたいで嫌ですよね。

そもそも、医者側が医療者として「病名のマニュアル的条件にひっかからなかったら、その症状は全部本当に気のせいなのか?」と疑問を持たないのだろうかと思います。

先日、事故で僕は左手の指を怪我して第2関節が曲がらなくなっちゃいました。
その時もわざと紹介なしで5つの病院に行ったのですが、どこもレントゲンをとって「骨は折れてません。特に異常ありません」と行って痛み止めの処方。

一番大きな手指専門の病院では「その指はもう治りません」と言っておいて、根本治療に何の役にも立たない痛み止めを処方して「次は来月の◯月◯日」に来てください。
だって。

一瞬、意味がわかりませんでした。
医者本人が「一生治らない」→「根本治療にはならないけど」と痛み止めを処方→「次は来月に来てください」

そこは「折角、来ていただきましたが僕の治療のレベルでは絶対に治せません。ごめんなさい。どこか他のところに行っていただけますか」じゃないですか。

これだったら「そうか、あなたには手に余るんだ。でもしょうがないよね。治療の腕はそれぞれだよね」って納得いきます。

僕は医者には治せっこないのはわかっていたので、次の予約は行かずに友達の鍼の先生とタッグを組んで自分たちで完治させましたが、医療的に素人の人だったら、医者に「来月来い」って言われたら普通、行きますよね。

治せもしないのにダラダラ通わせて何がしたいのでしょう。
病院の利益?
それだったら「医学的にはこれを治すのは難しいとかどうとか」プライド高いこと言ってないで、サッサと「僕の治療のレベルでは治せません」ってハッキリと言ってくださいよ。わかりにくいから。

西洋医学の検査は、かなり悪くならないと病気かどうかがわかりません。
そして、検査ではっきりとわかったとしても、西洋医学には、ほぼ対処療法の薬しかないので、結局、根本的に治すことはできないのですね。

ちなみに僕は一度、原因不明の熱で死にかけたことがあります。
その時は、検査数値のほとんどが明確に異常値でしたが、結局、原因不明でした。

その時の先生は、はっきりと「原因不明で治療の方法もわかりません。すみません」って言ってくれましたので、当日は緊急入院でしたが、次の日に勝手に退院しました。
「わからない。治せない。」ってハッキリ言われましたので、気持ち良く退院し漢方薬に頼って治しました。

漢方の治療はもともと、病名と関係ありません。
漢方の医学理論をまるっきりわかっていない病院や漢方薬局は病名に漢方薬をあてはめて処方する。いわゆる病名漢方というマニュアル方法をとりますが、本来は全身の症状や状態を調べていって証(体質を構成する要素)を立て体質を診断します。
その体質に対して漢方薬を選びますので、何も気になる症状がない状態でない限り、なんらかの治療方針は考えることができます。

病名は証を診断する際に若干、参考にする程度です。

漢方治療においては、ほとんどアテにならない病名だけで漢方薬を処方している病院とかってスゴイなと思います。

そんなわけで、病院はみなさんが思っているほど、身体の不調を見つけ出せるわけではないし根本的には治せません。
今、みなさんが感じている「この病院、本当に大丈夫なのか?」という思いは、医学的に知識がなかったとしてもあっていることが多いと思います。

医者に「何も異常がない。特に問題ない」と言われても症状があるのであれば、それは「僕の医療レベルではわからない。ごめんなさい」という誤変換の場合もあるので、お気をつけください。


posted by 華陀 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月08日

漢方薬は体質を変えることができるのか?

少し昔によく漢方と西洋医学が比べられて「漢方は体質が変わるけど、西洋医学の治療は体質を変えることができないので根本的には治らない」なんてことが言われていました。

これに対して当時の医者は「漢方薬で体質が変わるはずがない」とか言っていたり、今度はその反論に対しての反論で漢方側では「元々ひどいアトピーの人が治った後に遺伝子検査してみたら体質が変わっていた」とか、まゆつば臭い情報なども出てきたり。

漢方薬は体質を変えることができるのか?
みたいな話がよくありました。

今は病院側も当時と違って、西洋医学の治療薬は対症療法で、その場しのぎのもの。ということが一般の人にバレてきています。
そんな状況下で医者自身が「漢方治療をしたい」と思っていなくても社会的な流れで漢方薬を使わざる得ないような流れになってきているので「漢方薬で体質が変わるかどうか?」的な論議がなくなりましたが、それでもうちに相談に来る医者や看護師さんからは、今も「漢方薬って体質から変えることができるのですか?」という質問がチラホラあります。

僕も昔は「漢方薬は体質を変えることができるからすごいもの」と考えていましたが、いろいろな相談を経験するうちに、その考えも変わってきました。
そもそも、その考えは根本的に漢方を誤解してるんじゃないか。と思うようになりました。

「体質が変わる」というものをどういう見方をするかにもよると思うのですが、少なくとも遺伝レベルで変わるとか、元々の体質から、ぜんぜん違う体質に変わることはないというのが今のところの僕の考えです。

そもそも、病気の状態は元の体質が変わった状態ではありません。
例えば、アトピー。これは突然、体質が変わったから湿疹が出るようになったわけではありません。
アレルギー反応を過剰にするような要因がたくさんあって、それが積み重なって湿疹が繰り返し出るようになります。
本来の正常なアレルギー反応であれば、湿疹が出ても次の日には自然になくなっているのです。

このときに西洋医学ではアトピーの原因がいまいちよくわらないので、とりあえず、ステロイドの力で強制的に皮膚の炎症をしずめて湿疹を引っ込めます。
そうしてステロイドの効果がある間だけ強制的に無理やり湿疹が出ないようにするので対症療法と呼ばれるのですね。

漢方は、湿疹が出ているのが、自律神経系の気の問題なのか?余分な熱が頭を中心とした上半身に滞っているのか?血が滞っているのか?などなど、その人独自の原因を考えていきます。(アトピーだったら→消風散。なんて方法では処方しません。それは偽物漢方かも)
この気がどうとか、熱がどうとかの状態のことを漢方では「証」とよぶのですが、その人の元々の体質のことだけでなく現在の体質(状態)も指しています。

皆さんがイメージしているような生まれつきの体質は、どういった証に陥りやすいのかのクセがわかるだけです。
例えば、元の体質で肝臓系が弱い状態なら「余分な熱がこもりやすい傾向がある」などです。

アトピーになっているのは、元々の体質が大きく変わっているのではなく本来の自然の生活リズムにはない食事の質や睡眠などの生活環境の影響が引き金となり、それが元の体質に影響し、一時的に病的状態になっているだけです。

インフルエンザになったら高熱が出るのと一緒で、インフルエンザになったからといって、高熱体質に変わるわけではありません。

ややこしくなってきたので、まとめると、生まれつきの体質があって、それになんらかの悪い影響が影響し、一時的に現在のアトピー体質になっているといった感じです。

だから漢方薬の役割は体質を変えるのではなく、もとの皮膚のトラブルがなかった普通の体質に戻すように調整するのです。
例えばアトピーの方で、余分な熱がある証だと判断すれば、その余分な熱を発散させたり、上半身から下に巡らせてあげれば、湿疹が出なくなります。
そうすると、元のツルツルの皮膚だった体質に戻るだけですね。

漢方の病気の治療は大体こんな感じで、正しい調整を行って、何も問題なかった頃の状態に戻すだけです。

確かに誰しもが生まれつきの体質を持っていますので、その体質の弱点をフォローするように漢方薬を飲んで、その弱点をフォローすることはできます。

しかし、生まれつきの体質が完全に変わるかというとそれは難しいような気がします。
なぜなら、それは個性でもあるからです。

漢方の世界では全ては陰陽の法則で動いていると考えますので、絶対的に強いとか絶対的に弱い体質というのはありません。

冷える人は温めると楽になりますが、熱が多い人は冷やすと楽になります。
どっちがいいとかではなく「そういう体質」そういう個性なんですね。
顔や体格などと一緒です。

なので、何か決まった漢方薬をずぅーーと飲んでいたら、どんな病気にも負けない万能体質になるのではないのですね。
それは陰陽の法則からいってありえません。
だから「ずぅーーと同じ種類の漢方薬を飲み続けていれば治る」というのも漢方の世界ではありえないのです。

見方を変えれば、元の体質のせいでずぅーーとアトピーということもありません。
元の体質×今の生活環境=アトピー なのです。

寒い冬、暑い夏、そのときの環境と生まれつきの体質が相まって、なにがしかの病気になるので、その時の体質(証)を判断し、いち早く漢方薬で対応すれば、大事には至らないのです。

漢方薬をその時の体質(証)に合わせ細かく微調整して、しばらく飲み続ければ、何も飲んでいなかった時よりは体は強くなります。
ある程度、強くなれば、自分の体質に合わせて生活養生をしていれば、漢方薬をやめても病気にならない体はつくれます。
ただし、ずっと何の病気に対しても強い体質になるわけではありません。

漢方薬は不思議な力で体質を変えるものではなく、厳密にその時の体質(証)を診断し体内を調整し元の良い状態に戻してくれる非常に理論的な医学なのです。


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2015年09月02日

漢方の問診の重要性

漢方では四診という4つの診断方法を使って体質を判断し、あなたの体質にあった漢方薬を選びます。

4つの診断方法とは望診、聞診、切診、問診です。

望診とは見て診断すること。
患者さんの体格や顔色、舌の状態などを見て体質を判断します。
舌の診断は漢方ならではの舌診と呼ばれるものですが、よほどひどい舌の状態でない限りは慢性病の体質は現れません。僕がやってる日本漢方では、急性症状が優先して現れると言われています。
例えば、不妊症で体質調整していこうとする人が今日は便秘だったりすると便秘の感じが舌に出ますので、慢性の体質と急性の体質をごっちゃに考えないで見ていく必要があります。

たまに舌だけで◯◯体質と判断する先生がいますが、あれは僕はエセ占いレベルだと思います。
舌は急性の状態が出やすいので、パターンで体質を決めつけるのは非常に危険です。

聞診は、患者さんの声の大きさや臭いで体質を判断するものです。
体力などの減少とともに声は小さくなったりします。
また、肝臓病だったりすると独特の口臭があったりします。

切診は腹診とか脈診など触って体質を判断するものです。
お腹を触って状態を確かめたり、脈診は脈を見て判断します。
切診もパターン化させて「あなたは◯◯体質です」と診断するところがあります。
切診の難儀なところは、冷静に考えたら、その方の健康だった本当の基準がわからないところです。

教科書ではお腹が柔らかければ虚している(弱っている)とかなんとか体質的なことを表していることが書かれているのですが、その人独自の本当の基準がわからないから、本当のところどうなのかよくわからないのです。

僕は、最近は仕事が忙しいので腹筋をしたり、できなかったりをしていますが、やはり腹筋した日とその次の日は、お腹は締まっているのですが、1週間位サボっているとブヨブヨになります。

これが、慢性的な不調と関係あるというと全く関係ありません。
ただ単に腹筋したら締まるし、しなかったら柔らかいだけ。

人それぞれ基準がわからないから切診を元に漢方薬を選ぼうとすると難しいのですね。
腹筋をしたかどうかを聞けば、お腹の締り具合を判断できそうに見えますが、患者さんが腹筋をした度合いもよくわかりません。

脈診も先ほどの舌診と同じように急性症状が優先的に現れやすいです。
したがって慢性的なアトピーの人が風邪をひけば風邪の時に出る脈の方が優先されます。
風邪かどうかを聞けばいいかもしれませんが、その方すら判断できないような急性の何か(例えば腸炎の初期とか)にかかっている可能性もあるので、これも慢性の治療を考えていく場合は、ごっちゃになる場合があります。

治療に使用する各漢方薬には舌診、腹診、脈診がどんな条件だったら、その漢方薬を使うかのことが書かれています。
しかし、どれも非常に少ない条件程度で、圧倒的に多いのは問診から得られる現在の症状や過去の病気などのことです。
問診をとらないで舌診、腹診、脈診だけで漢方薬を決める人もいますが、僕は危険だと思います。

あなたに合った漢方薬を選ぶ上でもっとも考えないといけない条件は問診から得る割合が高いと思うので舌診、腹診、脈診だけで漢方薬を選ぶのは、なんかその先生のひとりよがりの思い込み診断のようが気がします。

ということで、うちでは問診を重視するのですが、実は漢方においての体質を判断する問診は「こんなものを使わなくちゃいけない」と決まっていません。

各漢方の先生方が各々で自分にとって使いやすい問診票をつくります。
僕も自分自信が患者さんの体質を知る為に必要な問診をつくりました。

うちでは、下記のURLにあるようなものを使用しています。
http://kanpoui.net/contact/index.html

自分のところの問診票を作る際に最も多いパターンが漢方薬の製造メーカーさんから貰ったものをそのまま使うか、少し変形させて使うパターンです。

自分でつくっていないから「ここの設問ってどう答えたらいいですか?」と聞いても、歯切れの悪い答えしか返ってきません。
なぜなら自分で作ったものじゃないからです。

病院の場合はもっとひどく、病院の漢方は東洋医学的な体質をみないで漢方薬を処方していることが多いので、通常の病院で書く問診票(今まで薬を飲んでアレルギーを起こしたことがありますか?みたいなの)とは別に漢方薬を選ぶための問診がありません。

漢方専門の問診票が必要なことを知らない患者さんもいるかもしれないです。もしかしたら漢方薬を処方している当の医者も漢方専門の問診が必要なことを知らないで漢方薬を処方しているのかもしれません。こわー

設問数も多いものから少ないものまであります。

「えっそれだけしか聞かないの?」とかがあったり、
うちみたいに「そんなに聞くの?」っていうものもあります。

どちらも正解、不正解がありません。
その漢方の先生が何が聞きたいか?です。

ただ、設問数が少ないのはダメじゃないかと思います。
なぜなら、漢方は西洋医学の病名を決定するものではなく体質を考えるための問診だからです。

体質は本当に人それぞれなので、問診の設問が少ないということは、あまりいろいろな人の体質に振り分けて考えられないということにつながるからです。
設問数が少なくなると、ある程度、ABCのパターンになっちゃうので、処方する漢方薬もABCマニュアルになっちゃいますね。
それは体質に合わせた漢方薬ではないですね。

設問数が多くて、やたら意味不明なものを聞いているものもあります。
例えば「気滞、陽上亢症状がありますか?」などの漢方の専門用語で聞いてくる問診。
「そんなの自分で判断できたらここに来てねーよ!」みたいな。
他にも「お腹がゴロゴロ、チャプチャプ鳴りますか?」とか。これも現実には「そんな状態になったことねー」って感じですよね。

あと、「下痢はありますか?」とか「泥状便はありますか?」など現実で考えたら「表現変えてるだけですよね?」みたいな、やたら設問が被っていたり。

うちも設問は多いですが、そういった状態にはならないように配慮しています。
うちの問診票の項目もかなり多いですが、これでもこの問診票からは、汎用的な症状しかつかめません。

うちでは今の問診票を元にさらに個人の方、独自の症状や感覚を確認していきます。
本当は、もっと設問を少なくして、書きやすいようにしたいのですが、今の問診票が7年間いろいろと改良してきた僕の中のベストなんですね。

なにせ漢方薬は何百種類もありますので、体質だって何百種類もあります。
それを問診で振り分けるのですから、自ずと知っておきたい項目が増えてしまいます。
なので、うちに相談される方は申し訳ないですが、がんばって入力してくださいね。

ということで、長々とうちの問診票はなぜ長いのかの言い訳とさせていただきます。


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