2015年12月22日

病気の原因は残念ながら1つではない!

このブログでも何度か触れていますが、患者さんからよく「私の病気の原因は何ですか?」と聞かれます。

この時、質問されている患者さんはどうも「病気になるのは何か1つの決定的な原因がある」と考えておられるようです。

ところが、さっきなったばかりの急性の病気や怪我じゃない限り、まず、その病気の原因が1つなんてことはありえません。残念ながら慢性病は何十も何百も細かな原因が過去から積み重なって今の病的状態があるわけです。

西洋医学は病気の原因を突き止めて、その原因を取り除くことが基本的な治療の考え方にあります。
もともと、怪我に対する外科手術的治療や菌が原因の病気の治療から発展しているので、レントゲンで怪我の状態を確かめて手術したり菌を殺してしまえば、どちらも原因が1つとはっきりとしているので、1つの原因を取り除けば、その他、いろいろな症状は全て治る可能性があります。

病気の原因が1つだけと思い込んでしまうのは、多分、西洋医学のこういった感覚を自分の慢性病などにもあてはめてしまうのだと思います。

「病気の原因が1つ」なんて怪我や菌くらいなので、逆に言えば、病気のほとんどの原因は何十も何百もあると考えたほうが可能性が高いわけです。

病院で治らないのは、何十も何百もある原因を追求しないで、1つの症状とか原因を追いかけるトンチンカンなことになってるから、治らないわけです。

結局、やってることは原因から派生した結果である、いろいろな症状に対してその時だけ対応しているだけですね。

漢方は1つの原因を追求するのかというと漢方は治療の基本として1つの原因を追求しません。
漢方では「どこの臓器が悪いのか?」などの体の中の1つの原因を探そうとはしないのです。

漢方の場合は、さいしょっから原因ではなく体質を見ますので、身体の問題、全部を聞き出していきます。
「原因は無数にたくさんある」という前提から治療にはいっていくのですね。

漢方の場合は「原因→治療方法を探す」という流れになりません。
今、現在の状態を素直に見ます。

説明のためにごく単純な例にしてしまえば、
「下半身が特に冷えている」という現状の体質を分析し、単純に「下半身を温める漢方薬」を合わせるわけです。
「冷えていたものを温めれば治る」
実に単純な分析と治療方法です。

この時に「下半身が特に冷えている」原因を探します。
探すのはたった1つの原因じゃないですよ。

西洋医学なら「末梢血管の流れが悪いから」と身体の中の1つの原因にしようとしますが、漢方の場合は、考えられるだけ原因を探します。

その時に漢方は身体の中の要素のアンバランスを原因として探します。
「どこの要素とどこの要素とどこの要素の連携が悪いのか?」
1つの原因に絞りこもうとするわけではないので、医者は多分、漢方は非常にやりにくいと思います。

医者が病名や症状だけをあてはめてマニュアルだけで漢方薬を処方しているのは、漢方のこういった全身から見たアンバランス感を探すという感覚が西洋医学と正反対だからじゃないかと思います。

気・血・水のバランス。
肝の臓、心の臓、脾の臓、肺の臓、腎の臓のバランス。
体内のバランスだけでなく、最近の天候が原因の1つなのか?
最近の食事や睡眠、ストレスなどの生活環境が影響したのか?
本当に慢性的なものなのか?
ある症状は今だけの症状なのか?

西洋医学はその人の体内だけを見ますが、漢方の場合は、身体だけでなく、その人まるごとを見て、なぜその病気になっているのかを「考える」のですね。

漢方は「体質に合わせる」と言ってる位ですから、マニュアルなんて通じないのです。
毎回、その人に対して、その人の治療方法を考える必要があります。

不妊治療の病院で不妊には当帰芍薬散がいいとか、ネットで子宮筋腫には桂枝茯苓丸がいいとか、アトピーには消風散がいいとか。

不妊症とか、子宮筋腫、アトピーというのはあなたの体質ではなく、ただのその他大勢の似た感じの状態の人をひとくくりにした病名なのです。

そんな漢方薬の使い方は要するにあてずっぽうです。
もちろん、漢方薬自体は効果がありますので、たまたま治ることもありますが、漢方薬は変化を与える薬なので、逆に身体が悪くなることもあります。

あなたは、東洋医学的にどんな体質なのか?
適当に「病名という誰でもない体質」で漢方薬を選んでもそれは漢方ではないです。
治ったのはラッキーだっただけ。
漢方の治療を最大限、使うのであれば、身体の複数の原因、生活環境の複数の原因、あなたの食事や睡眠、ストレスなどの複数の原因。

これらを全て抜き出して総合的に考えれば、漢方は最大の効果を発揮してくれますよ。


posted by 華陀 at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月08日

病院の治療は根本的治療にはならない

よく病院で「このケガは全治3ヶ月」みたいな言い回しってありますよね。
僕は今まで、あれって完全に治るまでのことだと漠然と思っていたのですが、どうもそうじゃないらしく通説的には「日常生活に戻れるまでの治療を行う期間」のことを言うらしいです。

僕は8ヶ月前にとある事故で左手の人差指を怪我しました。
過去に骨折した時に元に近い状態に治ったのが1ヶ月位だったので、最初の病院の診察を受けた後は、今回は骨折もないし、なんとなく今回は1ヶ月も経たないで治るのかな。なんて、かるーい考えでいました。

そうしたら、合計6つのそれぞれ違う病院の診察を受けた結果、結局、医師から「その指は一生、ちゃんと曲がらない」というお墨付きをもらいました。(6つのバラバラの病院をあえて紹介状なしで診察を受けたのは、職業柄、病院の診察って実際のところどうなのかを検証したかったからです)

「全治1ヶ月」どころか「一生治らない」
一応、病気の相談を何年とやってきた僕ですが「えらく低く見積もったものだ」となんか苦笑いです。
「骨が折れるより靭帯の損傷は難儀」というのは本当なんだと実感しました。

この時のそれぞれの病院の治療の時に感じたのが「全治とは」の定義に書かれている「日常生活に戻れるまでの治療を行う期間」ということ。

そう、自分が怪我するまでは、なんとなく「病院の治療=元に戻してくれる」とか「完治」と思っていたのですが、そうじゃないのです。

「日常生活に戻れるまでの治療を行う期間」まさにこの「日常生活に戻れる」がポイントで、どの病院も最初から日常生活をなんとか送れたらいいんじゃないか的なところが最終目的のような感じでした。

だから、指が元のように曲がらなくたって「食事などは問題ないですよね?」って言われました。
僕はピアノとギターを結構、本格的にやってるので「ピアノやギターはできるようになりますか?」って医者に聞いたら「それが仕事じゃないでしょ?」だって。
さすが、元に戻す気も能力もないだけある人の意見です。

「内科、皮膚科、耳鼻科などに関しては根本的に治すのが目的ではなく、ただ対症療法の薬をバラまくだけ」ということは、この業界にいた経験から重々に理解していましたが、外科のことはあまり知らなかったので「怪我は治してくれるんじゃないか」とどこか甘い考えがあったのです。
これだけ病気の相談経験があって、まだ病院の治療というものを根本的に誤解していました。

自分自身の経験から病院は元のように戻る、いわゆる根本的治癒や完治は最初から目標にないようです。
「私ができる範囲はやってあげる。それで元には戻らないけど、生活位はなんとかできるんじゃない」というのが病院の全力の治療なのだと体感しました。

東洋医学は根本治療を目指すので、完治できるかどうは別として、どうやったら元に戻るのか、完治になるのかを、その都度、人それぞれの状態や状況に合わせて患者さんと一緒に考える治療です。

病院のような、できる範囲の治療だけならやりますよ。という姿勢は衝撃でした。
しかもその病院のできる範囲が、これまた狭く、僕の実際の治療ケースだと、

@骨折していないのがわかっててもバカの一つおぼえのように毎回撮るレントゲン。
A根本治療と何の関係もなく「痛みは耐えられる程度だ」と言ってるのに処方してくる痛み止めと湿布。
B「解剖学、ほんとに分かってやってるの?」と不思議に感じてしまうような技術で指をマッサージするだけのリハビリ。

治療範囲がとにかくせまいッ!!

僕の場合は「6つの病院、全てで打つ手なし!」
西洋医学の底の浅さにむしろ関心しました。

もともと、内科、皮膚科に関しては謎の高熱で文字通り死にかけた時に医者の方から正直に「原因も治療もわかりませんが点滴とステロイド出しときます」と言われて内科と皮膚科で治してもらう必要はないんだなと感じていたし、子供が鼻と喉を悪くした時は耳鼻科で薬をチョッチョッと塗って、後は薬の名前は違えど、要は抗生剤と抗ヒスタミン剤をバラまいているだけというのを経験、ここに外科はレントゲンと撮って痛み止めと湿布を出すだけということが加わりました。

今まで西洋医学は漢方と違って使用する薬が対症療法なので、根本治療にならないと考えていましたが、そんな問題ではなく、根本治療や完治以前に今回の6つの病院の態度をみていると「できる範囲のことをなんとなくこなすだけ」というのが西洋医学の特徴なんだと考えを改めざる得なかったです。

ちなみに「一生、曲がらない」と言われた指は機能的には完全回復しています。
先日はギターのライブもやりました。今月はピアノです。

「何で治ったか?」ですか。
もちろん、東洋医学!鍼と漢方薬です。
今回のことをきっかけにとても優秀な鍼の先生と出会いました。ラッキーでした。

でも「東洋医学」だから治ったのではありません。
東洋医学は基本理念が自然治癒力を応用する医学なので、自分の治癒力を十分に発揮できるようにリハビリやらも鍼の先生といろいろと考えて「自分自身の治り方」を研究した結果です。

東洋医学は人それぞれの体質に合わせた治療です。
その人に合わせるということは、言い方を変えれば「できる範囲の治療をする」のではなく、どうやったら根本治療になるかを治療者側の僕らだけでなく治療を受ける側の患者さんも一緒に考えるということなんですね。

できたら「生活できたらいいんじゃない」という頼りない治療でなく、あなたと一緒に完治を目標にしたいですね。


posted by 華陀 at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月01日

自分の力だけで治すか?薬を使うか?

前回、こちらの漢方薬で治るのか?病院で治るのか? から西洋医学の病院の治療、漢方薬の治療、自分で養生して治してく治療の違いを理論的に説明してみました。

メールでの相談をお聞きしていると大体のこの3つの治療方法でどれが一番いいのかを悩んでおられる方が多いようです。

一般的には病院を選ばれます。
しかし、それぞれの治療に利点と欠点がありますので、漢方薬が一番得だとか損だとか、一言で説明するのは難しいです。

ではでは、実際に病気になったケースを元に病院、漢方、自分の養生の治療方法の違いを比べてみましょう。

僕自身の話なのですが以前にコンサートに行く前にお腹を壊しました。
いきなりの軟便からの下痢になりました。

この時にどの治療方法の選択肢を選ぶかです。

西洋医学の場合は選択するのは止瀉薬ですね。
この時は実際には西洋医学の薬は飲んでいませんが、止瀉薬ならすぐにでもピタッと便を止めてくれます。

とりあえず便は止まるので、安心してコンサートに集中できそうですね。
ただ、家からコンサート会場まで1時間、コンサートは2時間ほど、合計3時間なので、途中で薬の効果が切れると再び、下痢が襲ってくるかもしれません。

念のためにコンサート会場についてから、もう一度、薬を飲んだほうがいいかもしれません。

こういった急性の場合は、新薬は役立ちます。
薬が吸収されれば、すぐにでも効果が現れ、便を止めてくれるからです。
ただ、薬の効果の時間が切れれば、症状が元に戻ってくる可能性が高いので、その場合は、何回か飲んで対応する必要があるかもしれません。

それとこのケースのように急に襲ってきた病気で一時的にでも止まればいいという場合は、病院の薬は効果的ですが、これがかなり以前から悩んでいる病気の場合は、ずっと薬を飲み続ける必要があります。

なぜなら薬をやめたら症状が元に戻るからです。
何日か前やさっきなったような急性の病気の場合は、何回かで治るケースが多いですが、治らない場合は、薬を飲んで症状を抑えて、薬が切れて症状が元に戻って、薬を飲んで症状を抑えて・・・を繰り返します。

コンサートの帰りには、お腹のことなど特に気にせずにイタリアンを食べたのですが、病院の薬の場合は、一時的に表面上、症状を止めてくれているだけの可能性もあるので、病院の薬だけの場合は、消化のよい食べ物にしたほうが無難ですね。

次に漢方薬です。
この時は漢方薬で治しました。

お腹が冷えていたので、温めてお腹の力を高めて軟便を治す漢方薬です。
結果からいうと、家から出る前に1包だけ飲んで、それで、すぐに治りました。
再発もなしで、2包目も飲んでいません。

その時の証(軟便になった体質)にピタッとハマったのでしょう。
漢方薬は薬の成分で便を止めるわけではないので、うまくいけば、何包かで完全に治ります。

慢性病で言えば根本的に治る状態です。
ただ、漢方薬はその時の証(体質)と漢方薬を合わせるのが大変です。
腹痛や軟便の症状だけで考えれば飲んだほうがよさそうな漢方薬は何十種類もあります。

今の軟便の体質がどんな証なのか?
その証に合う漢方薬は何なのか?
この2つをクリアしないと証と漢方薬が合っていない場合、漢方薬は、びっくりするほど効きません。

数十種類の下痢や軟便に使う漢方薬から適当に選んだ場合はまず外すと思うので、外した場合は、コンサート中、ずっとトイレと友達になる必要があります。

帰りのイタリアンは遠慮なしに食べています。
漢方薬で治った場合は、自分の力で治しているので、普段の状態に戻ったということなので、いつも通りの食事でいけます。

そして病院の薬にも漢方薬にも頼らないで自分の力だけで治す場合。
これは可能です。しかし先の2つの治療に比べたらかなり治すのが難しくはなります。

とりあえずできることと行ったら腹巻位でしょうか。
コンサート会場までの道中もいつトイレに行きたくなるのかわかりません。
もちろん、コンサート中も油断できません。
うまく行けば徐々には治ってくるかもしれませんが、病院の薬も漢方薬も使わないで治すなら、一番いいのは、コンサートに行くこと自体を中止して、家で寝ていることです。

食事も消化のよいもので暖かいものを少量とるようにするのが良いと思います。
じっと忍耐強くしていれば治ります。

今回は、一過性の下痢で例えましたが、慢性病だと、どの治療方法でも時間がかかるので薬は病院の薬も漢方薬も飲み続けていく必要があります。
病院の薬の場合は、漢方薬と違って化学人工物なので、長期間、飲み続けているとだんだんと体がおかしくなってくることもあります。

漢方薬の場合は、素人の方が選んでいたり、処方している先生がおまぬけな先生だったら、長く飲み続けても状態は悲しいほど一向に変わりません。
自分の証と漢方薬を見直していく必要があります。

自分の力だけで治す場合は、どれくらいかかるのかわかりませんが、かなり長期戦を覚悟して、コンサートを休むように体に良いこと以外は全て中止にして、体を治す生活だけに集中したほうがいいですね。
でないと、いつかは治るかもしれませんが、いつまですればいいのか検討がつきません。

以上、西洋医学と漢方と自分で治す場合のそれぞれの違いでした。


posted by 華陀 at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする