2016年07月13日

冷やすと温める漢方薬のいろいろな使い分け

今時は、かなりレベルの低い漢方の考え方だと思いますが、それでも、未だに「温めれば病気は治る」「女性は冷えているので温めないといけない」などが漢方の考えであるかのように主張しているものがあります。

でも、今の時期なんかは、皆さん、いかがですか?
冬は寒くて仕方がなかった人も今は、それほど、冷えで悩んでないんじゃないでしょうか?

漢方治療では冷えと温めるは、実は複雑な使い分けがあります。

確かに特に女性は、冷えを感じることが多いですが漢方では「冷え」というのは、医者などが「冷えますか?」と聞いた時に「冷えます」と答えたら、イコール「体が冷えている」というような、そんな単純な考え方はしません。

東洋医学は、やや摩訶不思議なところがあるかのような説明をする人がいますが、あれは、おそらく東洋医学を理論的に理解できない人が、ごく少ない、わかった部分だけで漢方を説明しようとするので、その人のよくわからない部分が怪しげな感じになってしまっているのだと思います。

確かに漢方は科学的ではないですが、かといって、理屈のない、いい加減なものではなく、非常に理論的な医学です。

ちょっと例えが違うかもしれませんが、西洋医学が物質的な科学だとすれば、漢方は天気や感情などの自然科学みたいな感じです。

それは、さておき「冷えているから温めればよい」のような本当にいい加減なざっくりしすぎている考えの先生がいますが、漢方では冷えにも何種類かの体質があると考えます。

一般的によくある考え方である「冷えていたら温めればよい」という体質は、陰証の虚寒証とよばれる体質で、華奢で体力がなく、手足が冷え、体感的にも寒がりで、内も冷えやすいので、冷たいものなどを飲むと、すぐに下痢をしたりします。

こういった方は、冬の方がより冷えますが、夏も冷えやすく、エアコンなどで、すぐに冷えます。
冬などは眠る時に体が冷たくで寝つけないこともあります。

こういった方は、一般的なイメージ通りに体全体を温める力が強い漢方薬を使用します。
体全体を温めるといっても、なんとなくボワーンと体全体を温めますよ〜みたいな詐欺っぽいモヤモヤしたものではなく、体全体が冷えていても、熱とよばれる強さの働きと体力と気を補って、3つの働きで強く温めたり、血や気の通り道を押し開き、その巡りを活性化することによって、体のすみずみまで血と気を行きわたらせて温めたりと、強く温める場合も、その人の体質によって、微妙に治療の方法が分かれてきます。

実は、このような一般的に「冷えている」と思われているタイプは少なく、女性で多い冷えは、上熱下寒とよばれる部分的冷えや血虚系の冷えです。

上熱下寒とは体の上半身は暑かったりするけど、膝からしたなどは、すごく冷えるといった感じの体質です。

こういった方は、手は冷えません。
なので、漢方治療で問診をとる時に「冷えますか?」とざっくり聞くのではなく「手は冷えますか?」「足は冷えますか?」と別々に聞くことは重要です。

こういった証の方は、上半身の気と熱は降ろして、下半身に熱を促すようなイメージの治療になり、そういった役割の漢方薬を使用します。

血虚系の冷えというのは体で使用する血と体で消費する血のバランスが取れずに血が不足している方が血の不足から冷えを起こしている状態を指します。

漢方では、血は肉体的な活動だけでなく、思考など、体のあらゆる活動で使用すると考えられています。

ですから、西洋医学にあるような、成人の人なら「これくらいの血液量が入りますよ」というような液体の容積と平均値を比べるだけのものではありません。
西洋医学の検査で見ているのは、平均値と比べて、あるか、ないかだけですね。

漢方の場合は、悩んだり、激しく疲れたりすると血を消耗し、なくなった分を製造できなければ、不足するので、その状態を血虚とよびます。

熱を巡らせる血が不足している状態なので、冷えになってくるのですね。
この場合は、一般的にあるような温めることが治療のメインではありませんね、
血を増やすことがメインになります。
血を増やし、それから温めることによって、血の活動を活発にして、冷えを取り除きます。

その他にも、「気」の乱れ、現代の医学でいえば、ストレスなどで自律神経の調整がうまくいかなくて、一定の条件で手足だけが異常に冷えるなどの冷えがあり、この場合は、気の調整をすることによって冷えを取り除きます。
温めるわけではありませんね。

あと、体に余分な水がたまっていて、それが濡れた衣服のように体を冷やすという体質など、いろいろな体質があるので、漢方ではそれらのバランスをとるようにして温めます。

漢方で「温める」というのは、暖房にように、ただ単に「温める」というわけではないのです。

その人の体質に合わせて結果的に温まるようにもっていくということですね。

漢方は「陰陽」の法則が大原則になっています。
なので、どんな体質の人にでも良い薬というものはありません。
温める力を強い熱の漢方薬は、熱証とよばれる熱の調整がうまくいなかにタイプには毒になります。
なぜなら、そんな人を温めると熱が体の中にこもって悪さをするからです。
ちなみに僕はこの熱がこもりやすいタイプです。

体質に合わせる漢方薬というのは、こういうことですね。
誰でも温めれば、治るというものではないし、温め方にもいろいろとあるということですね。

特にこの時期は要注意です。
冬に冷えで悩んでいた人だって、今は暑くてしょうがいないのです。
でも、詳しく聞いていくと「足先は冷える」「お腹は冷える」「手はほてる」「首から上は暑くて汗ダラダラ」のように冷えと熱が混在しています。

そんな時は、足先が冷えているからといって、ただ単に温める漢方薬を使うべきじゃないですね。

温めるとか冷やすとか、そんな単純なものではなく、どう冷えと熱のコントロールをするか。
それが漢方治療です。


posted by 華陀 at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする