2016年10月21日

良い漢方医の条件

修行時代に言われた師匠からの金言があります。
「漢方の治療は2回目から始まる」

こういう言葉を教えてもらえるのが「学校」ではなく「修行」のいいところであり、重要な部分ですね。
よく「漢方をどこの学校で学ばれたのですか?」と聞かれますが、漢方に正式な学校はないですが、あっても、多分、漢方薬の名前とか、東洋医学用語だけ、よく知っていたり、西洋医学の病名漢方での臨床データをよく知っていたりと、実践でほとんど役に立たない知識ばっかりで脳みそが一杯になると思います。
学校って、漢方に限らず、そんな教え方しかできないですから。
実際、そういう漢方医?が多いのが、この業界の悲しいところです。

話は飛びましたが、漢方は西洋医学とは、全く違うもので「医学」という言葉が似ているだけで、まさに似て非なるものなので、修行の時に師匠から時々、もらえる言葉が、実践の治療で一番、役に立つ肝だったりします。

その師匠が言っていた「漢方の治療は2回目から始まる」

意味わからないですよね。
当時の僕もなんとなくしか意味はわかりませんでした。

でも、今は「漢方治療って、つまりはそういうことですよね!」とわかります。

漢方は、難しい医学ですが、初回に漢方薬を処方することは、実は誰にでもできます。
だって、よく考えようが、適当に考えようが、漢方を知らなくても、「この漢方薬飲めば」ということは誰にでもできますから。

現在は、西洋医学の病名に合わせて漢方薬が処方できるマニュアルが本でも、ネットでも情報があふれています。
ぶっちゃけ、ほとんどの病院や漢方薬局がこの方法をとっていますが、これって、実はどんな本でも情報でも入る現代においては、誰でもできることなんです。
だから、初回の漢方薬の処方は、字が読める人なら、誰だって処方できます。

「でも、専門家に選んでもらわないと治らないでしょ」

そうです。それは当たり前。
でも、ここが医者も患者さんも誤解しています。

まず、西洋医学が、どれだけ詳しい人に漢方薬を選んでもらっても、治る確率は高くなりません。
なぜなら、西洋医学と東洋医学は全くの別物だから。
野球という「球技」がうまいからといって、サッカーという「球技」がうまいわけではありません。
野球で培った運動神経は役立ちますが、サッカーはサッカーで、いちから学ばないとプロ級の腕は身につきません。西洋「医学」と東洋「医学」は違うものです。

そして医者は医大でほぼ、漢方を学びません。
薬学でも学ぶのは西洋医学的な生薬の成分とか漢方薬の効果のことだけで、実際の体質の診断方法や漢方の治療の哲学などは学べません。

卒業したその後も、学ぶと言っても、西洋医学のお仕事の合間に勉強会に参加するだけ。
その勉強会も残念ながら、正におぼえるだけの勉強です。
不妊症に当帰芍薬散、頭痛に五苓散などのアホでもわかるマニュアル。
漢方には文字上では詳しくなりますが、治療の腕は一切上がりません。

つまり、実は漢方の現実の世界は、一般の素人の方と医者などの間に境目がないのです。
だから、初回は、誰だって漢方薬を選べます。

もう一つ、誤解があります。
それは、良さそうな漢方医(実はちゃんとした漢方医はいないということがわかってもらえたと思いますが)に選んでもらったら、治る確率が高いと思っていること。

これも「良さそうな」という定義が何かです。
先ほどの話から西洋医学で権威があっても漢方では意味をなしません。

それにここが「漢方の治療は2回目から始まる」の意味ですが、漢方は、効果の高そうな漢方薬を選んでもらったら治りやすいわけではありません。

漢方は体質を東洋医学的に分析し、その体質合わせた漢方薬を選びますが、実はこの時点では、どれだけ治療の腕がある漢方医でも、推測なんです。

漢方薬は飲んだ後の体の変化と最初に分析した体質をすり合わせて、合っているかどうかが初めて判断できます。
つまり、初回にいくら漢方の詳しそうな先生が「絶対にこれで治りますよ」って言ったって、それは漢方の法則からしたら「嘘っぱち」なんです。
事前に合っているかどうかわからないのが漢方の治療法則、そのものですから。

漢方薬を飲み終わった後の変化と体質を比べた時に思わしくなければ、「体質と漢方薬が合っていなかったか?」「そもそもの体質の分析が間違っていたか?」を考え直す必要があるのです。

だから、「漢方の治療は2回目から始まる」なんですね。
ついでに2回目に体の変化が思わしくない時に「おかしいな、この漢方薬で良くなるはずなのに・・・」という先生も「偽物」です。

漢方治療とは、答えは患者さんが持っているのです。
答えが出なかったのは、漢方医が間違えていたということ。その間違いを受けとめ、1回目の結果を含めて、次なる治療方針を考えることなんですね。

なので、良さそうな漢方医を探そうと思ったら、名声や権威はアテにできません。
初回は一般素人の方だって本を買うか、ネットを漁れば、簡単に漢方薬を「選ぶ」ことができるから。

良さそうな漢方医は外側から見分けることはできないのです。
ただ必須条件としては、体質を分析する際は「相談→会話」が決め手になるので、親やすく本音が言えそうな雰囲気の先生でなければ、その時点で、すでに良い漢方医ではないですね。
迷いなく検討リストから削除OK!です。

後は、一度、漢方薬を飲んでみるしかありません。
1度、飲んでみて、2回目の先生の反応をつぶさに観察してみてください。
なんだったら、わざとネガティブなことを言えばいいと思います。
その上で、よっしゃ!ここからだ!という態度の人は良い漢方医ではないかと個人的には思います。
とってつけたよう説明になり出したり、漠然と方針ないまま、続けさせようとしたりしたら、それも検討リストから削除OK!です。


posted by 華陀 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月08日

東京漢方相談会のお知らせ

お店の宣伝です。
まごころ漢方は全国からの漢方相談をお受けしていますが、
特に関東の方面の方が多いため、定期的に東京で漢方相談会を行っています。

漢方相談は都内の浜松町で行いますので、
関東方面で漢方相談を受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、
ぜひご連絡ください。

ご相談当日は漢方薬はお渡しできません。相談のみです。
他で飲まれている漢方相談や漢方薬の疑問や不安。
漢方薬の事だけでなく現在の病院の治療や薬などの疑問や不安。
現在、飲まれている健康食品のことなど、
気になることは、なんでもご相談ください。
相談は無料で相談だけでもOKです。
相談は、事前の完全予約制です。

僕自身、元々、話好きなので、お気軽にお申し込みいただけたらと思います。

【日時】
・2016年 10/22(土) 11:10〜12:00 16:00~17:00
・2016年 10/23(日) 14:00〜19:00(最終受付18:00)
・2016年 10/24(月) 15:00〜16:00(最終受付15:00) 
※いずれか、ご希望の「日」をお知らせください。予約可能時間枠をメールいたします。
そちらからお選びください。
相談時間は最長で50分位です。
【場所】
浜松町(詳しい場所は連絡をいただいた方にメールにてご連絡します)

ご希望の方は、こちらからご連絡ください。

(予約)
http://www.magocoro-kanpou.com/contact/index.html

ネットでのご相談はコチラから。
(ネット漢方相談)
http://www.magocoro-kanpou.com/counsel/index.html

ぜひ、お待ちしております。
※予約は一杯になり次第締め切ります。連絡を頂いた際には、
すでに予約がとれない状況もありますがご了承ください。
posted by 華陀 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

漢方薬が合っているかどうかは処方した先生しかわからない

昔から、うちによくある2つの質問があります。

「今、病院から処方されている漢方薬は自分に合っているでしょうか?」
というものと、
「2つの漢方薬のどちらの効果の方がよく効きますか?」

この2つの質問ですが、本格的な漢方治療をやっている僕には実は答えようがありません。

なぜなら、2つとも漢方治療の法則から外れた質問をされているからです。
なぜ、本来の漢方治療の法則から外れた質問なのか?

漢方は東洋医学という医学理論で成り立っています。
これは現在の西洋医学が古かった頃の理論などではありません。

西洋医学と東洋医学は全くの別物です。
東洋医学は今から約2千年前、西洋医学は2百年前に発祥しています。

西洋医学の昔のルーツを辿っていけば、東洋医学になるのではなく、発祥した年代も場所も全く違います。

西洋医学は体を部品単位で分けて、部品ごとの悪い部分を血液検査などで調べます。
その体の部分的な働きを薬などで強制的に変化させます。
だから、西洋医学は胃腸内科とか、皮膚科といくつもの「科」にわかれています。

東洋医学は、全身の状態である「証」(病的な体質)を見て全身の調整を行い、その結果、部分的な症状も治療します。

つまり、病院はアトピーの人は、皮膚表面のことだけを見て、皮膚表面の炎症やかゆみを抑えるステロイドが治療方法で、ステロイドを使っている間だけではありますが、炎症やかゆみが治ります。その場しのぎの姑息療法と言われるのは、こうった治療方法だからです。

一方、漢方ではアトピーの人をみる場合、皮膚だけをみません。
皮膚の状態も考慮しますが、「胃腸はどうなのか?」「便はどうなのか?」「上半身に余計な熱がこもっていないのか」などなど、アトピーを治すために全身の状態を見ます。
これは、例え、頭痛だけであっても漢方の場合は、全身をみます。

なぜなら、漢方は全身を支える健康バランスのどこかが崩れたから湿疹や頭痛という信号が出てきたと考えるからです。
頭痛なら五苓散ではなく、水の巡りの問題と頭痛が結びついていると見たら五苓散かもしれないというのが漢方の診断です。

冒頭の2つの質問「今、病院から処方されている漢方薬は自分に合っているでしょうか?」
「2つの漢方薬のどちらの効果のほうがよく効きますか?」という質問をされても僕が答えようがないのは、この漢方の治療の性質にあります。

漢方において「証」(病的体質)を分析する場合、全身の症状、状態をお聞きして、現在の証を診断しますが、この証はマニュアル的に「こんな症状があったら、この証」というようなマニュアルで決まっていません。

漢方では「体質と漢方薬が合っていた」というのは、漢方薬を飲まれた後に症状が治って初めて証明されます。だから「証」なのですね。

つまり、飲む前は僕も患者さんも、果たして、その漢方薬が合っているものなのかどうかわからないわけです。
だから、病名だけで「アトピーなら消風散」なんて選び方は、漢方の医学理論から見たら、絶対にありえません。
また、「おかしいな、この漢方薬で治るはずなのに・・・」なんてセリフも漢方ではありえません。

飲まれた後に良くなってきて初めて合っていたと証明できるからです。

先ほどのアトピーなら体質別で考えていくと、よく使う候補の漢方薬だけでも50種類は考えられます。
そりゃそうですよね。アトピーって言ったって、よく見たら、みんな状態が違うわけですから。

そのどれが正解かは、飲んだ後にしかわかりません。
おまけにもっと難儀なのが、治り方の2つの問題です。

ステロイドは、塗れば、かゆみが止まります。
いまいち、かゆみが止まらなければ、効果が強いものを使っていけば止まります。
実に単純で、良くなったかどうかのオン・オフだけ。
だから、医学知識のない患者さんでも効いたか、効いていないかがわかります。

ところが、漢方薬は、かゆみが止まるか止まらないかではなく、「湿疹の出る頻度が徐々に減る場合」、「かゆみがなんとなくひいてくる場合」、「湿疹の状態はあまり変わらないけど、熱感がひいてくる場合」など、人によって様々。
かならずしも、初回の飲み終わった時から「かゆみ」自体が止まってくるかどうかはわかりません。

また、より湿疹がひどくなるということもあります。
これすらも、単純に体質と漢方薬が合っていない場合と、巡りと代謝が良くなって一時期だけ悪くなっている場合があります。
現象は、どちらも、ひどくなっているのですが、「良い」、「悪い」、どちらも可能性があるのです。


そういった複雑な変化をちゃんと判断するために漢方では体質を診断し、同時に治療方針を決めます。治療方針は「漢方薬を飲みおわった時にどうなっていたら、効いていると見るか」ということです。

こういった理由で、どこか他の先生が処方された漢方薬が合っているかどうかを調べるためには、
最初に「体質」をどう診断したか?
飲み終わった時の「治療方針」はどのようなものか?
という情報が必要になるので、自分が体質を分析せず、考えてもない処方は、「この漢方薬が良いのか?悪いのか?」と聞かれても、僕の方法で体質も判断していないし、治療方針も立てていないので「何もわかりません」としか答えようがないです。

「2つの漢方薬のどちらの効果のほうがよく効きますか?」こちらも同じ理由ですね。
漢方は全身の状態から部分的な症状を治していくので「どんな効果」なのかどうかは、極論で言えば、どうでもいいことです。
「体質をどう診断したか」、「どんな治療方針で治療するのか」、これが必要なので、比較するのであれば、2つの体質と治療方針から、どちらがよりベストかを考えるしかありません。

手前味噌ですが、僕は本来の漢方を勉強している自負がありますので、もしかしたら、マニュアルで自信なさげに処方している医者よりも、「漢方に詳しいんじゃないか」と思われて、冒頭のような質問がよくあるのかと思いますが、例え、世界一詳しい先生でも、他人が処方した漢方薬が合っているかどうかなんて、実はわかりません。

いくつかの症状が良くなった。悪くなった。というような単純な判断はできません。
ですから、自分の飲んでいる漢方薬が合っているかどうか気になり、なおかつ、そこで続けたいと考えているのであれば、処方された先生、自分で選んだのであれば自分に聞いてください。

僕に聞かれても僕は何も診断も観察もしていないので、何もわかりませんとしか言いようがありません。漢方治療とは、いわば、一番ベストな漢方薬名を知ることではなく、一番、真実に近い体質を知り、一番ベストな治療方針を知ることです。


posted by 華陀 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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