2017年09月20日

ツムラが国民を欺いた「漢方」の大嘘Vol.1について

普段、雑誌、テレビなんか見ないのですが、患者さんから「先生、ツムラのあの保険適応の漢方薬の話って何なのですか?」なんて何人からも聞かれたので早速、雑誌を買いました。

週刊新潮 2017年09月14日号 40P〜
週刊新潮 2017年09月21日号 44P〜

正直、週刊新潮の「ツムラが国民を欺いた!!「漢方」の大嘘」という見出しを見た時、本来なら「そうだ!そうだ!それが真実だ!」と喜ぶところですが、なんか複雑でした。

なぜなら、僕は漢方を始めた当初から「医者は漢方のことは、ほぼ何も知らず、マニュアルでやっているだけ」と、このブログでも散々言い続けてきたからです。

僕が言い続けてきたと言っても「医者が西洋医学の病名や症状でマニュアル的に漢方薬を処方する」というのは、実は昔から真面目に漢方をやっている先生界隈では当たり前に知っていることでした。

医者に限らず、漢方薬局でも病名や症状だけを当てはめてマニュアル的に処方している先生の漢方を「病名漢方」「症状漢方」と呼び、こういう方法しかとれない先生の漢方のことを「なんちゃって漢方」と呼ぶのは僕ら的には半ば常識でした。

それどころか、昭和初期の昔の漢方の専門書籍の文中にも「病名漢方の誤治による弊害で・・・」なんて文も出てきたりで、昔からマニュアルでしかできない、どうしようもない先生というのはいるのだなと知っていました。

ちなみに「誤治とは誤った体質判断で間違った漢方薬を選ぶこと」ですが、西洋医学の病名や2、3の症状をあてはめて漢方薬を処方している医者や、なんちゃって漢方薬局は東洋医学的な体質判断すらしていないので、誤治にもならない、ある意味、無敵(気の毒な意味で)だと思います。

新潮の記事の内容を要約すると、一般の人は病院で漢方薬を処方してもらったら、誰でも「医者は、ちゃんと考えて処方してくれているだろう」と考えるかもしれないが、実は漢方のことなんて1mmも知らないでツムラから渡されたマニュアルをみるだけで処方していますよ。というもの。
(これって大げさな表現でなく本当に素人と医者に何の違いもありません)

それはレアケースではなく、そんな異常な状態にしたのはツムラであると。
ツムラは一時、倒産寸前までなりましたが、保険適応の漢方薬である医療用医薬品のシェアを獲得し、売り上げは回復します。

ツムラ復活の鍵になったのが、マニュアルだけで漢方薬が処方できるという方法です。
漢方の医学理論や漢方薬の薬学理論の知識を持たない医者でも簡単にマニュアルをみるだけで漢方薬を処方できるようにしたのです。

こんな方法は「歪んだ漢方」そのもので、ツムラ曰くはこの漢方を「日本独自に発展した漢方」と主張していて、北里大学にもツムラの宣伝が行き届いているのか、同じことをパンフレットに書いてあります。

本来、一人一人の体質に合わせる漢方薬を既製品化し、診断や処方の方法もマニュアル化し、それを日本独自と主張するとは嗤うしかない状態である。

というような内容で、この記事はゴシップでもなんでもなく、漢方という難しい分野をよく調べてあって問題の核心に切り込まれていると思います。

この記事のよいところは、ちゃんとツムラにもこの問題点について、細かく指摘した取材依頼書を送ったのですが、当のツムラからは<弊社は「自然と健康を科学する」という経営理念のもと、高品質な・・・」とパンフレットに書いてある宣伝文句の回答が送り返されただけらしいのです。

つまり、ツムラは逃げた → 書かれている問題点にしっかりした反論はできません。ということですよね。

この後は漢方薬の副作用のことが書いてあるのですが、これはVol.2にも書いてあるので、まとめてツッコンでみたいと思います。

さてさて、実は業界では昔から言われてきたことですが、実はこの問題って僕は漢方薬やツムラに限らない問題ではないかと思い、次の問題提起をしたいと思います。

そもそも、普通で考えれば、西洋医学と漢方は場所も時代も全く違うところで活躍している医学なのです。
なので、西洋医学の病名で漢方薬を処方する道理なんてありません。

では、なぜ、そんな意味不明な方法が医者にウケたのか?

実は僕もド素人で漢方を勉強したての頃は、体質診断なんて訳がわからないし、できないので、最初は西洋医学の病名では、どんな漢方薬を使うのかと勉強し始めました。

だって、その方が楽ですやん!
風邪→葛根湯とか、アトピー→消風散とか、不妊症→当帰芍薬散とか。

でも、さすがにそこまでお花畑脳じゃないので、一通り「病名=漢方薬」を覚えた時に「いや、そもそも漢方と西洋医学って関係ないじゃん!」って嫌でも気づきます。

漢方家でなくとも「漢方は人それぞれの体質に合わせるもの」みたいなことは最初からモヤ〜と知ってるので実は病名で漢方薬を選んでいる時も「いや、西洋医学の病名は、その人の体質じゃないし」って思っていました。

そして、漢方の治療概念や考え方、診断方法の勉強を進めていくと、どんどん、西洋医学から離れていっちゃって、勉強すればするほど、西洋医学とは似ても似つかないものになっていきます。

しかし、漢方治療の第一歩である体質診断は、マニュアルがあってできるようなものではなく、漢方理論を全部、駆使して診断していかないといけないようなものなので、病名漢方の次は、症状漢方に逃げました。

症状が、一人一人違う体質を表しているから症状に当てはめたら体質で漢方薬を選んだことになるよね。と勝手に思い込んで。
しかし、これも結局、病名でマニュアル的に選ぶことと根元の方法が変わらないのです。
そこに漢方独特の根本的な治療していく治療方針が欠落していたのです。

そこからは漢方修行中、実践で治療経験を積み重ね、自分や家族、今のお店で患者さんの治療経験を積み重ねながら、体質である「証」を分析し根本的に治療していく治療方針をつくることができるようになりました。

何が言いたいかというと、ツムラから西洋医学の病名で漢方薬を処方できるマニュアルを教えてもらっても、普通の感覚だったら「いや、西洋医学の病名と漢方薬、関係ないしょっ!」ってなるわけです。

ちょっと漢方の本に手をのばせば、西洋医学から見たら、意味不明、訳がわからないことで埋め尽くされていることに、当時のお花畑脳の僕でも気づいたのです。
医療のド素人の人が読んでも、西洋医学とは全く違うって最初の5ページで気づきますよ。

実際に真面目に漢方をやっている先生はそうやって病名・症状マニュアル漢方から離れて、その訳のわからない理論の勉強に突入していき、病名漢方をやっているのは「漢方家として恥ずかしいこと」とう認識に変わっていきます。

なのに、副作用があろうが、西洋医学の病名で漢方薬の処方することを続けられるのは、医者の元の性質もあるんじゃないかと思うのです。

来る日も来る日もアトピーにステロイド。工夫したってランクが変わるくらい。
花粉症や鼻炎、蕁麻疹にアレロック。
不妊症にクロミッド、HCG注射、ルトラール、ソフィアA。
無月経や月経困難症にバカみたいにピル。
ちょっと困った自体に陥ったら「手術しかないです」

普段の西洋医学の治療もマニュアルなんですよ。見事に。
僕が漢方家だから言ってるのではなく、僕も僕の家族もマニュアル以外の治療をしてもらったことがありません。

僕は医学知識があり、西洋医学の治療のガイドラインを知っているので、どこの病院に行ってもバリバリのマニュアルでやっているのがモロバレ。

そして、ガイドラインの流れのようにいかなくなったら、初回の自信満々、上から目線の説明が急に萎んで、ひたすら効くかどうかも分からない薬を出し続けて、漫然と薬の種類を増やしていくか、「手術しかないですね」の一言。

ちなみに僕は、1度、死にかけて、1度指の関節が曲がらなくなったことがありますが、どちらも病院の見解は「死にかけている原因がわかりません」「指は治りません」ということは自信たっぷりに宣言していただけました。

40年以上、生きていますが、今のところは医者に助けてもらった記憶が一度もありません。(救急、外科手術、歯科、産科には助けてもらっています)

病院の薬に関しては医者に処方されるまでもなく、事前に何を使えばいいのか、どんな作用機序なのか、わかっていますので、薬でよくなったことはありますが、病院(市役所)で処方箋という事務手続きをしてもらったようなものですね。

「マニュアルで治療」は言わば、医者の十八番。
ツムラは復活のために、見事にそこにマーケティング的に漬け込んだのでしょう。
いいかげんなマニュアル漢方処方になる下地は実は医者自身が昔から持っていたと思います。

ツムラも昔は部会によっては、地道に体質診断して治療方針を打ち立てて、漢方薬を選んでいくという勉強会をやっているところもありました。

でも、うちの相談もそうですが、実際に真剣に相談となると問診だけで書いてもらうのに20分かかることもあります。
そこから更に症状の1つ1つの状態を詳しく聞いていきます。
要は一人一人の体質に本気で合わせてたら、めっちゃ時間がかかります。

なので、漢方薬局業界でもそうですが、本当に漢方薬のみの治療だと滅多にちゃんとやっていけるほど売り上げは上がりません。
現に漢方薬局も専門とか言いながら、乳酸菌とか、深海ザメエキスとか、かき肉エキスなどのサプリを漢方とか漢方薬の補助とかいって、無理やりくっつけて売り上げを膨らませないとやっていけないところも多いのです。

医は仁術。聞こえはいいですが、実際はイバラの道。
ましてや上場会社のツムラの最も優先すべき目的な「売り上げ」です。
どれだけキレイ事を並べようが上場会社は立派な目標よりも、とにかく株主のために「売り上げ」を何がなんでもあげないといけないのです。

そういった背景もあるのか、昔の地道な勉強会もなくなっていきました。

残念ながら、人を治すことと商売は矛盾するのです。
だから倒産を回避するためとか売り上げ倍増を目的とすると治療はうまくいきません。
手前味噌にはなりますが、漢方は昔から宮廷系のお金を気にしないでよい位置づけか、町の個人の漢方でないと成り立たないのだと思います。

もちろん、うちでも存続のための売り上げは必要ですが、それ以前に患者さんから「漢方マニアの変態」と言われるほど、漢方が好きじゃないとダメじゃないかと思います。


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2017年09月15日

漢方薬が合っているかどうかの間違った確認方法

ちょっと長いですが、本当に漢方薬で根本治療をしたいとお考えの方には読んでいただきたいです。

うちのWebサイトの方で無料漢方相談をやっているのですが、たまに誤解した相談をしてくる人がいます。

何かって言うと、他の病院や漢方薬局で現在、飲んでいる漢方薬が合っているかどうかを僕に聞いてくる人。

これって多分、漢方治療に対して根本から誤解があるのだろうと思います。

漢方薬は「体質に合わせて選ぶもの」というところは、皆さん、なんとなく知っていると思うのですが、ここに誤解がありそうです。

その「体質」ですが、生まれつきの体質があって「その生まれつきの体質を漢方薬で治せば、いろいろな病気が治るではないか」と考えているっぽいのです。

これは半分は間違いです。
漢方では体質のこと「証」といいます。病的な状態の証があり、その証は複数のいくつかの「証」で一人の体質をつくっています。

例えば、子宮筋腫があって、頭痛、耳鳴り、月経不順、足冷え、頭はのぼせ気味という人は、本人は足冷えが気になるので、自分は冷え性と思っていますが、これを漢方の体質で分析すると「瘀血の証」「気の上衝の証」「上熱下寒の証」と3つの証と診断したりします。

体質には大まかに3つあります。
1つは皆さんが考えている生まれつきの体質。
2つ目は現在の病気に関わる体質。
3つ目は急性病で現れる体質。

生まれつきの体質というのは身内から遺伝的にもらう体質。
腎臓が弱かったり、リウマチのけがあったり。
これは、現在の病気と直接関係あるかはわかりません。
関係がある時もあるし、生まれつきの体質とはほとんど関係ないこともあります。

現在の体質というのは、アトピーの人だったら、現在のアトピーが現れてしまっている体質です。
生まれつき、アレルギー反応の強い家系かもしれないですが、現在のアトピーはアレルギー反応の強い素因は関係してるかもしれないですが、その素因から食事や睡眠時間の乱れ、ストレスなどなどが合わさって、自分自身の臓器の働きが変わってきた結果、アトピーが出ているのです。

生まれつきの体質も関係しているかもしれないですが存在しているんだけど、あるかないかわからない体質なんかに漢方薬を合わせていたら、何年、飲み続けないといけないかわかりません。

基本的に通常、漢方薬で治療するのは、この現在の病的体質です。

3つ目は急性病で現れた体質。
急に冷えて下痢になった。とか、風邪をひいた。などです。
本当の漢方治療には病名や症状に合わせてマニュアル的に選ぶ方法なんてありませんので、こういった急性病でも「体質」や「証」が現れますので、それを分析します。

でも、これは急性なので、一時的な体質です。

つまり、体質には、体の一番深い部分に生まれつきの体質があって、次に現在の病気の体質があり、風邪なんかをひいたら一時的な体質が出現したり消えたりするのです。

で、治療の基本は現在の体質。
この現在の体質は一定ではありません。
コロコロ変わっていきます。生まれつきの体質の傾向はありますが、季節の影響なんかでも変わり一定していない。

だから、なんか自分に唯一無二の漢方薬をみつけることができれば、根本的に治るということはないのです。

どうも、そんな感じで誤解している人がいます。
唯一無二の自分の体質にあった漢方薬があるわけではないので、僕に今飲んでいる漢方薬が合っているかどうか聞いても意味がないのですね。

そもそも、皆さんが質問してくるのは、どうも自分に処方してくれた医者や漢方の先生は病名、症状をマニュアル的にあてはめて処方していて、漢方の医学理論をわかっていないことをわかっているからのようです。
だから、詳しそうな漢方ブログを書いている僕に質問してくるのですね。

しかし、これも無駄です。
なぜか、別に意地悪で教えてあげないと言っているわけではありません。
これは漢方治療の性質に関わる問題なのです。

「これさえ飲んでいれば全部の病気が治る」なんて自分の体質にあった唯一無二の漢方薬というのはないわけです。

生まれつきの体質は考慮しますが、考慮しつつ、現在のアトピーの体質、証を分析、診断しなければいけません。

しかし、ここで問題となるのは、漢方薬は西洋医学の薬と違って「○○成分がなんとかアレルギー物質の反応をお抑えます」というような、あらかじめ効果が決まっているわけではありません。

単純に言えば、体が冷えている人には温める薬を体に余分な熱がある人には冷やす薬を合わせるのですが、実際は、もっと複雑で、しかも余分な熱とか、そういった判断は「暑がりだから」とかそんな理由で決定するわけではありません。

僕が問診をとって頭痛と耳鳴りを余分な熱がこもっているからと捉えることもあるし、おなじ頭痛と耳鳴りを体上部の水の巡りが悪いからと捉えることもあります。

これに答えはありません。
処方する先生が、その体質をどう考えるか?
では、それが効くかどうか、どう答え合わせをすればいいのか?

それは、良くなっていくかどうかです。結果論でしか答え合わせできません。
さっきの診断は漢方の教科書に書いてあるのではありません。そんなエセマニュアルみたいな漢方の本もたくさんありますが、本格的な本には、体質をどう考えていくか、その分析の基本的な考え方などがのっていて、参考になる程度の、効果が書いてあるだけ。

漢方はその効果を鵜呑みにして、使うものではないのです。
あくまで先生自身が体質を分析し、漢方薬を飲んだら、どう変わるかを推測し、漢方薬を飲んだ後に患者さんと一緒に答え合わせするのです。

さっきの頭痛と耳鳴りのある患者さんに対して僕が余分な熱がこもっているから、余分な熱を冷ませば、症状は良くなると考え、飲んでもらった後の経過をお聞きした時に良くなっていない。

なんてことがあった場合は、これは余分な熱が起こっていることではなく、水の巡りが悪いから起こっている症状かもと再検討するわけです。

そうして、今度は特にみぞおちから上の部分の水の巡りを良くする処方に切り替えたら、耳鳴りはなくなり頭痛は少しマシになった。
そして、全身の状態を調べたら、おしっこの回数が増えていた。となれば、頭痛は、少し残ってはいますが余分な水が出ているようなので「今度は漢方薬を変更しないで様子をみる」と診断します。

こういう「分析した体質があっているか?」「選んだ漢方薬が合っているか?」を一定期間でチェックしながら治療をすすめるわけです。

そして、そのチェックのために初回の体質を分析し、治療方針を立てるために200項目以上の問診にチェックしてもらっています。うちの問診票。

本来の漢方治療とはこういった体質全体をみながら調整をくわえていくものなので、医者が、体質も見ずに適当にマニュアルで選んだ漢方薬や瘀血、水毒、気滞、五行論の説明だけで漢方薬を処方した、どこかの漢方薬局の漢方薬が合っているかどうか?と聞かれても、最初の問診も体質分析も治療方針もないので、なんとも答えようがありません。

今、飲んでいる漢方薬で変化がなかったり、2、3の症状は良くなったけど、肝心の気になっている湿疹が全然、治ってない場合は、処方した先生に聞くしかありません。

もし、自分で購入したのであれば、自分で体質分析、治療方針を決めて、自分で検証するしかありません。

仮に僕が「それ合ってますよ。6ヶ月くらい飲んでたらいかがですか?」なんていうのは簡単です。
また逆に「なぜ、合っていないか」の根拠を理論立てて説明することもできます。でも、先ほどのうちの治療方法からいったら、ただの無責任発言ですよね。

どっちにしたって、なんとなく専門っぽい人に保証されたって実際に治るかどうかは別問題なのですから。
しかし、治っていなくても、治っても僕がその後をみることはないので「なんだ、あの先生、嘘ついたじゃん!」で終了です。

そんなわけで漢方治療で重要なのは自分に唯一無二、合っている漢方薬を探すことではなく、一緒に根本的に治るように一歩一歩、治療を前にすすめることのできる先生という存在とセットにしないといけません。

業界人としての個人的な見解ですが、保険適応の漢方薬をやっているところで、証を分析して治療方針を立てて治療をしているところは、ほぼ知りません。

医者でも本格的に漢方治療をやっているところは、相談にじっくり時間をかけて、保険適応外で月3万円くらいだったりします。

「漢方薬も出しとこうか」みたいな病院から漢方薬を処方してもらっていて、合っているかどうかを知りたい場合、ラッキーを待つか、やめて違うところを探すかしかありません。
うちにその漢方薬が合っているかどうか相談しても、あまり意味がないです。


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2017年09月07日

漢方はアトピーのかゆみだけをなんとかできるのか?

アトピーの方の治療をしていると良く言われることがあります。
「じっくりと根本的に治したいのもちろんですが、とりあえず、かゆみが止まる漢方薬はないですか?」

この気持ちはわかります。痛いほどに。
僕も以前に目頭が湿疹でグチャグチャになった時に、夜なんか何度ステロイドを塗ろうとしたことか(ごめんなさいウソです。表現上、言ってみました)

ステロイドを塗っても1mmも根本的な解決策にならない上に、使えば使うほど根本治療から遠ざかるのは科学的、理論的に悲しーほど分かっているので、塗る気はハナからありませんでしたが、せめて寝る時は塗ってったいとはチラッとは思いました。

自分の湿疹(アトピー?)の具体的な治療方法

となると漢方薬は自然のものなので、根本治療に加えてステロイドのような人工化合物でない害のない自然派ステロイドのようなもので、かゆみが止まれば「めっちゃいいじゃん!」と思いますよね。

残念ながら、どんな人のかゆみも止めてしまう漢方薬はありません。存在しません。
そもそも漢方薬をアトピーのかゆみを止めることだけで処方している人がいたら、それは漢方を医学的には実は何もわかってないんじゃないの?と疑ってしまいます。

でもそうなると「アトピーのかゆみが止められないのだったら漢方薬を飲む意味ないじゃん!」ってなりますよね。

そんなことはありません。
漢方とステロイドでは「症状」に対する考え方、その症状の治し方が全く違うだけで漢方薬の最終的な目的は、かゆみをなくすことなのです。

ステロイドは炎症やアレルギー反応を強烈な薬の作用で止めます。
どんな人にでも効くということは、その人の本来持っている体内の働きやリズムなんて無視して、強制的に効かせることができるということです。

効かせるといえば聞こえがいいですが、要は詳しい薬理からいくと無理やり炎症を起こらなくしてしまうのです。

そして炎症は体にとって必要な免疫反応です。
炎症は体外から入ってきた異物などに対抗するために熱感や痛みやかゆみなどの症状を発して、そこに免疫が集まるようにし、体にとって有害な異物が体内に侵入して悪さをしないように守ろうとしている、けなげな反応なのです。

確かに「かゆみという症状」は不快極まりないですが、かゆみや痛みがなければ菌や異物は体内に入り放題。かゆみや痛みがないと不快な症状はなくなりますが、原因不明でバタバタ死んでいくと思います。

かゆみや痛みがあるから、かゆいところがどうなっているのかを探り、怪我して切れたり折れたりしたところを庇うのです。
骨が折れた時に痛みがなく、折れたまま使い放題、使っていたら、そのうち再起不能になるのです。

かゆみや痛みなどの「症状」というのは、僕たちを不快な気分にさせるためではなく、むしろ、健康な状態を維持するための警告灯や警告音なのです。

車でもバッテリーが少なくなったり、エンジンオイルが少なくなっていたりして放っておくと、しまいに車は動かせなくなります。車が動けなくなった状態は人間では危篤状態です。

もし、警告灯も警告音も何も反応が出ない車であれば高速道路で高速で走っている最中に故障することもあります。この時はもう終わりですね。

この警告灯や警告音が人間でいうとかゆみや痛み、頭痛などの症状です。
体内のなんらかの不調を症状という警告灯で示しているのです。

アトピーのかゆみが示しているのは、大きな原因としては「アレルギー反応、免疫反応が壊れちゃった」ということ。
かゆみのメカニズムである炎症は原因ではありません。

何かの原因で皮膚がかゆくなるのは、誰にだってあることです。
逆に体を守るバリアー反応なのですから、かゆみが一切、起きない人は、それこそヤバい病気です。

皮膚がかゆくなることが問題なのではなく「その反応が強すぎること」が問題なのです。
ステロイドがやっているのは、この反応を丸ごと強烈に叩きのめすこと。
炎症反応は、生きていくために必要な反応ですので、ステロイドの強烈な作用で、まるごと叩きのめしても、それは「体を守るために必要な免疫の反応性を壊している」だけ。

本来の目的は「免疫のコントロールを正常にすること」です。
例えば車でオーバーヒートの警告灯が点灯していると不安になるからといって、警告灯をぶっ壊す。
ドアが開いたままで、うるさいけれどピーピーうるさい警告音を鳴らないようにぶっ壊す。

これがステロイドがやっていること。

警告灯も警告音もぶっ壊して一見、平穏な感じなったからといって、それって問題が解決しています?
警告灯も警告音もないので運転は静かにできますが、どっかで突然、エンジン止まるわ、ドアは運転中に開いてしまうわで、下手したら死にますね。何も知らずに死ねるかもしれないですが。

症状をなくしても実は問題は何も解決していないのです。
西洋医学の治療が、対症療法、その場しのぎ、姑息療法と言われるのはこういった理由ですね。

漢方は、かゆみや痛みなどの「症状」に対する考え方自体が西洋医学と全く正反対。
症状は即座に消すべきものではなく、それこそ、警告灯、警告音とみます。

人間の体は車のように単純ではないですから、かゆみという警告灯が点灯していたら「ここが悪い」なんて簡単にはわかりません。

全身を詳しく問診をとっていけば、「かゆみ」だけでなく「暑い時でも寒気がする」「唇がすぐに乾燥する」「喉が常に軽く痛い」「胃がもたれる」「常に軟便」などなど、何の問題がない健康な状態と比べて調査すると、いろいろ問題が出てきます。

西洋医学では、細かな不調ではなく、大きな症状などを3つ位だけ探して該当すれば病気としますが、病気の時に出てくるような大きな症状が出ている時は、すでにアウトなのです。

漢方では、これら大小様々な全身の症状を組み合わせて考えて、証という病的体質のパーツを分析し導き出すのです。(証をちゃんと分析できる方に限りますが)

そうしたら、だんだんとかゆみにつながっている病的体質のパーツがわかってきます。
ちなみにこの病的体質のパーツは複数に及びます。

病的体質のパーツは複数になるので、漢方薬で治す時も複数に対して複雑に効きます。
間違っても「かゆみや湿疹を治すのが十味敗毒湯」なんて低レベルな医学ではありません。

それは、漢方ではなく漢方薬を選んでいる人が低レベルなのです。

漢方では「症状」に対してこんな考えなので、ステロイドなどの薬で、その人自身の体内の働きとは別で症状がなくなっちゃったら、困るわけです。
なぜなら、根本治療のための「症状という手がかり」を失うからです。

そして漢方の考え方では、体内の悪い部分の調整を漢方薬で行なっていけば「症状」は自然、消えていくと考えます。
だって、エンジンオイルの交換をすれば、警告灯をぶっ壊さなくても警告灯は消えるでしょ。

この体内の状態、病的体質パーツである証はアトピーの人だったら誰でも一緒ということはありえません。
漢方は病名では分析しないので(本格的にやってる人は)、西洋医学と考えが反対で人それぞれのたくさんの病的体質の中の1つにアトピーという湿疹があると考えます。

なのでどのアトピーの方にでも効く漢方薬なんてありえないのです。
誰にでもアトピーだったら十味敗毒湯とか、誰にでも消風散とか、誰にでも柴胡桂枝湯・・・まだまだありますが、誰にでもアトピーだったら同じ漢方薬を処方するなんてありえません。

それは、処方する人間のレベルが低すぎるゆえの思い込み。

実は僕も昔は、体質に合わせて選んだ基本の漢方薬とは別でなんとかかゆみをとろうと「かゆみ」をとる生薬みたいなのをすすめていた黒歴史があります。(その時の患者さんはごめんなさい)

しかし、見事にかゆみはとれませんでした。20人に1人、かゆみが若干治るといった感じだったので、要するにその人は、たまたま、その生薬が体質に合っていただけ。正に黒歴史!

それよりも、少しでも現在のアトピーを含めた病的体質に合う漢方薬を選べるように調整と再検証を繰り返したほうが、結局、かゆみがとれるのが早かったです。

結論としては、残念ながら漢方の医学理論から考えると体質を無視した漢方薬の処方では、かゆみはとれない。とれたとしたら運まかせ。
ゆえに全身の体質を分析せずに処方した漢方薬で、かゆみがとれるなんて言ってたらそれは・・・残念なんちゃって漢方ですね。


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2017年09月01日

「先生のような漢方ブログはなぜないのか?」について

東京漢方相談会でいろいろと質問があり、僕も意外に思った質問があったので紹介してみようと思います。

タイトルにあるように「先生のような漢方ブログはなぜないのか?」という質問。

これ、自分でこんなこと言っちゃったら「俺様のブログすげーだろ!」って言っているように聞こえますが、あくまで患者さんからの質問で僕自身も「漢方に関するブログなんて、うちに限らず腐る程あるじゃん!」と不思議に思いました。
一応、お断りしておくと調子をぶっこいて、こんな記事を書いているのではありません。

質問の方は東京在住の方で、最初は僕のブログを読んでブログを読んだ後にネット相談してもらい、その後、わざわざ東京から大阪の堺の店まで来ていただいた。といった流れで、最初はうちのブログがきっかけなのです。

で、僕自身は他の人の漢方のブログなんて興味もないし、わざわざ他人のブログを調べることもないので「漢方」に関するブログなんていくらでもあるという漠然としたイメージしかありませんでした。

でも時々、漢方でわからないことがあるとネットで調べたりするのですが、そんな時にネットサーフィンの時にチラチラと他の漢方に関するブログを読むことはありました。

ネットで漢方のことを調べるとブログに限らず、大体のWebサイトが漢方の本の丸パクリみたいな記事や情報、あとは行きすぎちゃって気功系みたいなのと漢方が一緒くたになっている怪しげなものなどが、よく見られます。

時には「あっこのブログの記事、あの本の○ページの文、丸ぱくりじゃん!」なんてことに気づくこともあります。

よくあるのが「夏は五行論では長夏とよび、脾の臓が影響を受けやすく冷たい飲み物を飲みすぎたり・・・夏バテには補中益気湯や清暑益気湯が良く効きます」みたいな記事。

確かに改めて、こう質問されると「先生自身の漢方に対する考え」「先生自身の根本治療に対する考え」を書いているブログは、ほとんど読んだことがないので患者さんが、「他に先生のような漢方ブログはないのですか?」と聞かれるのもしょうがないのかもしれないと思いました。

逆にごくたまにバーっと本だらけの店内の写真をあえて見せて「漢方ってこうだぜ!どや!どや!」って、むしろ宗教的な怖さを感じる位に書き綴っている漢方ブログは見かけますが、あれはあれで怖いです。
(人のこと言えないかもしれないですが)

患者さんがおっしゃってたのは「先生自身の漢方や治療に対する意見や考えを書いているブログがない」という意味だったのですね。

なぜ、漢方では教科書丸パクリっぽいブログばっかりなのでしょう。
もちろん、その真意は僕にはわかりませんが漢方薬の効果のことを書いてあるものやその効果を詳しく書いているブログはいくらでも見つかるのですが、根本治療に対する考えや漢方に対する思いを書いている人は、あまりいません。

そこで勝手になぜ、漢方ブログがないのか?を考えてみました。

漢方には厳密には3つの派閥があります。
「古方」「日本漢方」「中医学」というものです。

3つの派閥があるとはいえ、病院の先生やサプリ売りの漢方薬局さんなんかは、自分が何の流派の漢方をやっているのか、ヘタすると漢方に3つの派閥があることすら知らないかもしれません。

この3つの派閥って何の派閥かというとそれぞれ、治療の考え方や体質診断の方法、漢方薬の選び方、漢方薬の効果に対する考え方が、それぞれ違います。

ただ「日本漢方」は「古方」を基にし「古方」の形をあまり崩さないように発展してきた派閥なので、日本漢方と古方は似ています。

しかし、中医学は別物です。中医学は古方、日本漢方とは似通っている部分もありますが、治療の考え方、体質診断の方法、漢方薬の選び方、漢方薬の効果の考え方、どれもが違います。

そして日本では、ほとんどの人が意識もないかもしれないですが「漢方薬を処方している方は中医学というか、なんちゃって中医学派」だと思います。

なぜ、日本の漢方のほとんどが中医学派になっているかというと、中医学は別名「学校漢方」とも言われていて、学びやすい感じなのです。

中医学がなぜ「学校漢方」と言われるかは、その歴史を紐解いていくとわかるのですが、それは今度の機会にでも説明したいと思います。

古方や日本漢方となると一貫して順に学んでいける統一された書籍や方法がなく、僕の経験では、漢方の本を3,4冊、いっぺんに広げながら、それぞれの本の内容をつなぎ合わせていかないと1mmも理解できない感じなのです。

ある本で説明している用語を違う本で訳して理解したり、何冊か読んでいると、しょっちゅう、矛盾点が出てくるので、それを自分の治療経験に照らし合わせて解釈の理由を考えたりと日本によくいるお利口さんのように本のことを暗記しても、それは治療には役立たないという難作業なのです。

その点、中医学が学びやすいのは西洋医学的に融合させようとしているので、漢方を無理やり西洋医学的な解釈にしている感じがあり、それが医者や薬局の先生にかえって、とっつきやすいのではないかと考えています。
また中医学が発足された時の狙いもそこです。

日本漢方は自由な部分があり自分で証分析(体質分析)や治療戦略、治療方針を立てて漢方薬を使います。
反対に中医学はどちらかというと西洋医学の病名や症状にマニュアル的に合わせて漢方薬を選ぶ感じの傾向があります。
この「マニュアル」的なものも医療関連の人は大好きですよね。

ほとんどん人の漢方は中医学というよりも日本独特のなんちゃって中医学だと思います。
ごくごく一部の本格的に中医学に取り組んでいている「中医学派です」と言い切れる先生は、また別かもしれないです。

そのなんちゃって中医学は治療理論の建て方というか考え方というのが、西洋医学的です。

日本漢方が考える「治療とは体全体のバランス調整である」というよりは、西洋医学の病気のように体のどこかに悪い部分があり、その部分を改善するための効果のある漢方薬を選ぶといった感じです。

だから、アトピーに効く漢方薬とか、頭痛に効く漢方薬というような病名、症状で選ぶマニュアル漢方に陥りがちに思います。
そもそも、中医学というよりは流派のポリシーも持たずに「なんちゃって」でやっていることが問題かもしれないですが・・・

なので、ブログに漢方のことを書くとなると「マニュアルを参照して・・・」という傾向になるのかもしれません。それで漢方の本の丸パクリみたいなブログが増えていくのかな?

僕もかつて、とっつきやすい中医学から勉強しはじめて、国際中医師という中国政府が認めた「漢方の先生ですよ」という資格みたいなものをを取りましたが、僕は中医学では具体的にどうやって東洋医学的な診断をして漢方薬を選ぶのかが遂にわかりませんでしたので、中医学は昔にやめました。

ただし中医学は学校漢方と言われているくらいなので、一般の漢方の知識のない方には説明はしやすいです。

僕は中医学で具体的にどうやって治したらよいかはわからないですが、説明には使わせてもらっています。

日本漢方は、もちろん治療理念や診断、漢方薬を選ぶ際の最低限の基準の理論はありますが、経験によって自分で判断し、自分の考えで治療方針をたてて漢方薬を選ぶという傾向があります。

患者さんを治療するたびに新たな漢方薬の使い方や治療の考え方が思いつくのでマニュアル漢方から離れてやっていると、自然に「こうやって考えたら根本治療にならないだろうか?」みたいなことをしょっちゅう考える癖がつきます。

そのことをブログに書いていくと「僕の根本治療や漢方に対する考え」みたいなのが記事になってしまうので「漢方の本、丸パクリ系」のものを書く暇がなくなってきます

しかし、僕も黒歴史がありブログの書き始めの方は漢方の治療経験も少ないので、今、読み返してみると漢方薬や生薬、食べ物のこと、五行論など、漢方の本の丸パクリに近いですね・・・おハズカシイ。


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posted by 華陀 at 18:45| Comment(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする