2015年01月20日

更年期障害に加味逍遥散?

病院はあくまでも「簡単マニュアル!」で漢方薬を扱いたいみたいですね。

不妊症なら23番の当帰芍薬散か106番の温経湯。
そして、更年期障害なら、24番の加味逍遥散!!

さっきの当帰芍薬散や温経湯と同じように、どこの病院も同じ処方。
マニュアルで楽して処方したいという気持ちはわからんでもないです。
しかし語弊があるかもしれないですが、漢方薬のおもしろいところは、東洋医学的体質に対して、漢方薬を合わせていくことだと思うのですが。

もうちょっと詳しく言えば「体質に合わせる」とは自分で「証」を立てて、それに基づいて体質を割り出し、その体質に合った漢方薬だと自分が考えるものを合わせていく。

なぜ「体質に合った漢方薬」ではなく「その体質に合った漢方薬だと自分が考えるもの」という表現になるかというと、漢方はある体質を割り出したとしても更に、その体質に対して、いろいろな種類の漢方薬が考えられるからです。

病名や症状に対して合う漢方薬という法則なんかないし、東洋医学的な体質を自分で割り出したとしても「その体質だったら、絶対にこの漢方薬を使わないといけない!」という法則もありません。
ある体質にもいくつも候補となる漢方薬が考えられ、それを決めるのは処方する自分なんですね。
マニュアルでしなければ、非常に自由と創造性の高い医学です。

実は漢方って「マニュアルで選ぶ方法」と真逆の思考で治療を考えないといけないものですね。
そんな東洋医学の法則を真っ向から無視して、マニュアルで選んでいく病院は、ある意味すごいなと思います。
でも実は、ツムラのマニュアルには「患者の証を考慮して投与する」と書いてあります。
だけど、その文章以外で「証」自体の説明は何もないので、まるっきりの建前でしょうが。

加味逍遥散もそんな犠牲になった処方ですね。
更年期障害=加味逍遥散。

そんなわけないですよね。
更年期障害って「証」じゃないから!
2千年間続いている漢方が、そんな素人びっくりの方法で、できるなら世話ないです。

漢方と西洋医学は本来は何の関係もないので、漢方に更年期障害という病名はありません。
漢方はあくまで東洋医学的な体質に対して処方します。

加味逍遥散は、ちょっと専門的な説明になりますが、更年期障害の薬でもなく、エストロゲンなどのホルモンの薬でもないです。
加味逍遥散は、日本漢方的な理論からいけば、胸脇の熱証、気滞の証、瘀血の証、虚証(中間証の場合もある)、やや水毒の証などの「証」がある人に処方するお薬です。

胸脇の熱証たらなんたら、とココを詳しく説明するには、いつもの記事3記事分位いるので、ざっくりと説明すると、余分な熱がこもっていて、それらが主に上半身にいろいろな熱関連の症状を引き起こしていて、気と血の巡りが滞り、体力がなく水の巡りの悪さもメインではないけど、若干、関連している体質の人。

漢方はあくまで体質に合わせますが、参考としてどんな病態の場合に使うかというと、自律神経失調症、慢性肝炎、肝硬変、胆嚢炎、慢性胃炎、胃十二指腸潰痕、慢性勝脱炎、原因不明の微熱、尊麻疹、不眠症、術後不定愁訴、慢性頭痛、咽喉神経症、神経性胃炎、神経性下痢、過敏性大腸症候群、腸脱神経症月経異常、月経困難症、不妊症、子宮内膜炎、肝斑、腰痛症、冷え性などです。

ここでよく勘違いされますが、この病気のどれかにあてはまったら加味逍遥散ではないです。
(病名だけだったら、他にも使う漢方薬はいくらでもありますから)
この方法が漢方家の間では悪名名高い「病名漢方」という、なんちゃって漢方の処方方法ですね。

こういった病気の人でなおかつ、さっきの胸脇の熱証、気滞の証、瘀血の証、虚証(中間証の場合もある)、やや水毒の証という体質だったら加味逍遥散使うかも!?というのが漢方理論の漢方薬の選び方です。

本格的な漢方の本には加味逍遥散が西洋医学理論であるエストロゲンホルモンがどうとかこうとか、そんなことは1つも書いていません。
「加味逍遥散は女性ホルモンを整える効果が〜」なんて書いてあったら、ニ・セ・モ・ノの本ですね。
残念ながら。素人の方に漢方に興味を持ってもらう読み物としてはいいかもしれませんが、治療としては、なんの役にも立たないファンタジーです。

ちなみに病名で漢方薬は選びませんが「ある病気にはこういった漢方薬を使うことが多い」という参考はあります。
それが下記のもの。
更年期障害だったら、漢方薬500種類以上から候補を考えなくても、この中から候補として考えるのはアリです。

★更年期障害でよく使われる漢方薬群
桃核承気湯、通導散、桂枝夜苓丸、温経湯、芎帰調血飲、当帰芍薬散、四物湯、帰牌湯、黄連解毒湯、温清飲 、三物責苓湯、甘草瀉心湯、半夏瀉心湯、清心蓮子飲、柴胡加竜骨牡嘱湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾萎湯
、加味謹選散、女神散、苓桂甘裏湯、桂枝加竜骨牡嘱湯、五積散、釣藤散、半夏厚朴湯、香蘇散、甘麦大事湯、抑肝散加陳皮半夏、真武湯。

この中を候補と考え、次は東洋医学的な体質の分析であてはまる漢方薬を絞り込んでいけばよいです。
体質を参考に絞り込む作業を漢方では鑑別と言います。
この中に加味逍遥散もありますね。更年期障害で使う漢方薬群のほんの一部ですが♪

この漢方薬群ですが、更年期障害の人に対して、たくさんの候補を考えれば考え出すほど、患者さんにとっては、良いことです。なぜなら体質は、人の顔と同じようにみんなそれぞれ違うから、候補が多ければそれだけ、自分の体質に合う確率も上がります。
しかし、それは治療者側にとっては、高度の技能が要求されます。
多くなればなるほど、1つに絞り込むのが難しくなるからです。

逆に考える漢方薬候補の数が少なくなれば、患者さんにとっては良くありません。
体質と漢方薬の相性が外れる可能性が高くなるからです。
治療者側は楽になります。
アレコレ選ぶ必要がなくなるからです。そして、漢方を知らない素人同然の人でも処方しやすくなります。
更年期障害=加味逍遥散のように。


posted by 華陀 at 18:46| Comment(5) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

先日は、お返事有難うございます

ツムラのカミショウヨウサンを服用してましたが 洗脳ブログの影響もあり(笑) 漢方薬専門店に行ってきました!(ツムラのカミショウヨウサンは、自分で調べて決めたので…顔1(うれしいカオ)あせあせ(飛び散る汗))
1ヶ月服用して ちょっとした良い変化、良くない変化があり、一番不快な症状の冷えほてり,顔の発汗に変化がなく不安になり足を運びました。焦り過ぎかな…⁈
案の定、細かな問診も無く とりあえず自分からいろいろと話しを聞いてもらい、カミショウヨウサンをベースにもう少しパンチの効いた感じになるよう調合したものを処方するとのコトでした(不安)
服用して、1週間…自律神経が乱れそうになる時があります。一瞬不安になったり、胸のあたりがムカムカして気分がさえない時があります。
やはり漢方では、(気)は 重要なコトで ほてりや発汗におおいに関係があるのでしょうか?
お忙しい毎日かと思いますが、お教え願います!
Posted by at 2015年06月06日 00:28
スマホが上手く使えず、メールアドレス未入で送信されてしまいました…。 よろしくお願いします!
Posted by みーさん at 2015年06月06日 00:41
コメントありがとうございます。
すみません。ズバリ言うと、細かな問診がない時点でダメな感じですね。
うちでは140項目だったかな、それくらい細かく状態をお聞きしてます。
体質判断表:http://www.magocoro-kanpou.com/counsel/index.html
問診なしではなんとも言えませんが、気が関係あるかどうかよりも、ソコの先生がどんな「証」(→体質を構成する要素)を立てて、どんな治療目標をもっているかを確認しながら治療を受けたほうがいいですね。
漢方では体質によったら、一時的に悪い症状が出てその後良くなるという治り方もありますので。
ほてりや発汗は「気」だけでなく熱の問題や冷えすぎからの虚熱などの問題などもありますので、一概に「気」だけとは言えません。
結局、「その人の体質による」ということになります。
参考になればと思います。
Posted by かだ at 2015年06月09日 17:49
お返事、有難うございます。 返事が届いていたコトに気付かず、体質判断表を送ってしまいました顔1(うれしいカオ)あせあせ(飛び散る汗) 改めまして、よろしくお願いします。
Posted by みーさん at 2015年06月09日 20:53
漢方専門店で処方されたカミショウヨウサンを服用して、二週間経ちますが、昨日おとといから特に右肩が痛く、寝違えた状態みたいでしんどいです。お店の方に聞いたら、更年期の症状だから仕方ないと言われました。一週間前からは、寝つきが悪くなりました。 先日、体質判断表を送りしましたが、気になるので、コメントさせて頂きす。
Posted by みーさん at 2015年06月13日 18:16
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック