2015年07月29日

一度飲んだ漢方薬を再び飲んで治ることもある

うちの相談で来られた方から、たまにこんな相談があります。

「私は過去に消風散、清上防風湯、荊芥連翹湯を飲んだことがあるので、それ以外の漢方薬で効くものはないですか?」

過去に3つの漢方薬を飲んでも良くならなかったから、他のものをためしたいとのこと。
その気持ちわかります。

確かに過去に飲んで効かなかったものを再び処方してもらってもしょうがないですよね。

しかし、うちでは、すでに飲まれた3つの漢方薬も僕が体質的に必要だと考えれば、再度、処方することもあります。

「同じ漢方薬だったら効かないだろうからいらないや」

まーそう言わずに、この後も読んでみてください。

漢方薬が新薬と同じような役割や効果なら、過去に飲んだものを再び飲んでも同じです。
効かないものは効かない。

しかし、漢方薬と新薬は同じ「薬」という名前はついていますが、治療の目標や働きは別物です。

大半の新薬は対症療法といって、ある成分がある特定の組織に効くようにつくられています。

例えばアトピーなら皮膚炎の原因になっている炎症をしずめます。
アトピーの人にステロイドを使えば、その人の体質は関係なく炎症を鎮めてくれるので、誰でも、かゆみは治まります。(効かない人もいるので効くのはあくまで理論上)

新薬の対症療法では、飲む人の体質も関係ありませんし効き方も同じです。
一応、「人間」であれば、いつでも、誰でも効くようにつくられているので、新薬で効かなければ、どんな工夫をしても効かないと思います。

確かに新薬の薬理から考えれば過去に効かなかった薬は再び、飲んだって効かないのです。

新薬と漢方薬を同じように考えれば、1度、効かなかった漢方薬は再び飲んでも効かないと思うのが道理。

でも、それが違うのですね。
なぜなら、漢方薬は効かせ方や治し方が全く違うから。

新薬は飲んで20分位経って消化吸収されれば効果を発揮します。
もしくはステロイドなど塗れば、何十分かで効いてきます。
また、効くターゲットは決まっています。

ステロイドなら、かゆみを止める。
鎮痛剤なら頭痛などの痛みを止める。

ところが、漢方薬は消化吸収されたからといって、すぐに効果を発揮するのかわからないし、また効果のターゲットも決まっていません。

例えば、アトピーの人はかゆみを止めたいですね。しかし漢方薬はかゆみ止めではないので、新薬のように飲んで20分位でかゆみが止まるかというと止まらないです。

病院の漢方は西洋医学の理屈で漢方薬を処方しますので、新薬と同じノリで漢方薬で、かゆみを止めようとしたり、頭痛を止めようと処方していますが、漢方薬の治療は体質を整えて湿疹が出ない方向の体質にもっていくのが本来の目的です。

だから、体質と漢方薬がピタッと合っていたからといって、最初に、すぐにかゆみが止まってくるとは限りません。

仮にそのアトピーの人の東洋医学的な原因が表の水毒といって体の表面の水の巡りが悪い状態であれば、1ヶ月位飲んだ後に湿疹があまり変わらないで、頭痛や耳鳴りの頻度が少なくなってきたり、少なかったオシッコの回数が増えたりなどの変化が治ってきていると判断する場合もあります。

また、漢方薬は、どれくらいの期間で効いてくるのかも決まっていません。
新薬は消化吸収されれば、効果を発揮するようにつくられていますが、漢方薬は個人差です。

1ヶ月分の漢方薬の処方は何も1ヶ月後に効果が現れるというものではありません。
便宜上、1ヶ月で区切ってるだけ。
先ほどのようにアトピーだからといって、1ヶ月後にかゆみがとれるとは限らないのです。

その人の体質によってどんな症状から変化するのかわからないのです。
少なくとも西洋医学の薬のように「アトピーならかゆみが止まる」という単純なものではないのですね。

僕はそんな、いろいろな体の変化を捉えて体質が、最終的にかゆみがなくなる方向へ進んでいるのかをみて、漢方薬を調整していきます。

なので、過去に飲んだ漢方薬で効かなかったと言われても、多分、「自分が気になっている湿疹に効かなかった」ということなので、本当にその処方が東洋医学的にダメだったのかどうかが僕にはわかりません。
病院で処方してもらっていたり、漢方専門の薬局であっても、東洋医学的な体質判断なしに処方されていたら、処方した先生自体が単純にかゆみが止まるかどうかしか見てない可能性がありますので。

漢方薬を飲んでも「かゆみが止まらなかった」
漢方は新薬と違って、そんな単純なものではないのですね。

それに加え、品質の問題もあります。
病院のお薬は化学合成品なので、同じ名前の薬で成分や効果が変わることはありませんが、漢方薬は自然のものです。
料理のように使う生薬や加工で効果が変わる可能性もあるのです。

カウンターで食べたら1人8000円位かかる寿司と回転寿司の寿司が同じ品質だと思う人はいないでしょう。

漢方の世界もこれに似たようなものです。
葛根湯とか小青竜湯とか漢方薬名は同じでも安価で売ってるものなんて、おそらく安い生薬を使ってると思いますので回転寿司で極上のトロを食べたいと言ってもそれは無理な話です。
安いものは単純にまずいのです。
そして漢方では「美味しさ→効果」ですね。

実際にうちでは以前にも飲まれてことがある漢方薬や以前に飲まれた漢方薬と新たな漢方薬を組み合わせたもので良くなったりしている人はたくさんいらっしゃいますので、以前の病院などで、どんな体質と診断されて、どれくらいの期間で、どんな変化(悪い変化も含めて)があったのか?が明確にわからなければ、一度効かなかったからといって、その漢方薬はもう無効とは考えません。

病院なんかで漢方としての問診もとらず東洋医学的な体質判断もせず、漢方薬を飲んだ後の細かな状態の変化も確認しないような飲み方は、例え長く飲んできたとしても最初から飲んでいないに等しいと思います。


posted by 華陀 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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