2015年08月04日

漢方薬は症状や病名を当てはめるだけでは治らない

漢方って謎すぎて一般の人に対して、いろいろな誤解を生んでいるような気がします。
その一般の人の中に「医者」も入っているので、なお誤解に拍車をかけているように思います。

「医者が漢方をわかっていないのに治療で使っている。そんな訳ないじゃん!」

って思われるかもしれませんが、わかっていないというか、今の病院で処方されている方法は東洋医学と関係ない感じの西洋医学の医者用のオリジナルの漢方処方といったものです。
2千年もの昔からの知恵があるのにそれを無視して勝手なオリジナルの方法。もったいない。

その中で最も誤解されているのは、病名や症状に合わせて漢方薬を選べばいいじゃないかという誤解。

一般の人も医者もこれをよく誤解しています。

不妊症に当帰芍薬散とか花粉症に小青竜湯みたいなアレ。
西洋医学の問診とは別に東洋医学的な問診をとらずに漢方薬を処方しているものは、勝手なオリジナルな方法とみて間違いないです。

この間もおそらく症状に当てはめて漢方薬を選べばいいとお考えの方だと思うのですが、頭痛とめまいと下痢ではどんな漢方薬が合いますか?という質問がありました。

自分が気になっている症状にあてはめて、漢方薬を選べば治っていくという誤解。
ネットの情報も月経不順と冷えがあれば当帰芍薬散など「この症状ならこの漢方薬を使えば治るんだ」と誤解させるような嘘の情報が常識化しています。

また、病院もこれと同じ方法で処方しているので、余計にこういうのが漢方なんだと誤解されています。

うちでは、症状のあるなしのチェックだけで211項目あります。
それ以外に症状があるかないかだけでなく、どんな症状なのか?どんな状況でその症状が悪くなったり良くなったりするのか?病院での治療暦、自分が気になっている症状以外の何か病気があるか?職業(体の1日の動きを知る為)などなど、いろいろなことをお聞きしています。

なぜ、自分が悩んでいる症状や病名だけじゃだめなのでしょうか。

西洋医学のお薬は鎮痛剤とか止瀉薬とか、薬の効果が決まっています。
また、西洋医学のお薬は体質を治すものではなく基本的には、1つの症状を1つのお薬の効果で、その場だけ治します。
だから、その時の症状に合わせて薬を選びます。

漢方薬は効果が決まっていません。
例えば、葛根湯は風邪薬として有名ですが、そのほかにも蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使います。

ここでまた1つの誤解が生まれます。

「1つの漢方薬にはいろいろな作用がある」

間違ってはいないのですが、皆さんがイメージする「いろいろな作用」があるわけではありません。

葛根湯自体がどんな体質の人に対しても風邪薬や蕁麻疹の薬になるわけではありません。

葛根湯を東洋医学的な作用で表すと3つの証で成り立っています。
(証とは体質を構成する要素です。その要素が合わさって今のあなたの体質をつくっています)

葛根湯の効果や作用は、
表の寒証、表の実証、脾胃の熱証です。

これが葛根湯の効果。
よく、漢方薬の効果を教えてくださいという質問がありますが、これが皆さんになじみ深い葛根湯の効果です。

全く意味不明ですね。
そうなんです。漢方と西洋医学は全く違う医学なので、葛根湯に鎮痛効果とか咳止め効果なんて、わかりやすいものを期待してもダメです。

それは西洋医学的に勝手にくっつけた効果。

葛根湯の働きは上の3つなのです。

そして、漢方では「効果=体質=証=漢方薬」なのです。
ややこしくなってきましたね。
この辺あたりから一般の方も医者もチンプンカンプンになるようですね。

葛根湯は風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使うとお話ししましたが、これはどんな人の風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢でもOKというわけじゃないのです。
どんな体質の人の風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢にも使えれば、葛根湯はいろいろな効果があると言えますが、
体質が表の寒証、表の実証、脾胃の熱証という限定的な体質(証)でなければ、いくら症状が風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢でも葛根湯はびっくりするほど全く効きません。

体質(表の寒証、表の実証、脾胃の熱証)が異なる場合は、また別に異なる体質に合う漢方薬の中で風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢に使えるものがあるのです。

つまり、漢方薬は風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢という同じ症状に対して、体質別(証別)にいくつもの種類の漢方薬があるのです。ややこしいですね。

わかりにくいか、わかりやすいかわかりませんが、漢方には同病異治、異病同治という言葉があります。
同じ病気は異なる漢方薬で治るし、異なる病気は同じ漢方薬で治るというもの。
要は病名や症状でなく体質(証)で漢方薬は合わせるのですよ。という意味です。

だから、症状だけであてはめようとしたって、証(体質)が違えば、その漢方薬は全く効きません。

なんだったら、風邪や蕁麻疹や歯肉炎、下痢という病気の経過した時間が変わっていくだけで漢方薬が変わっていきます。
症状や病名が同じでも経過時間で選ぶ漢方薬が変わるのです。

だからネットやメーカーからもらったマニュアルの症状や病名だけで漢方薬を選ぼうと思ったら、飲んだほうがいいかもしれない漢方薬は無数にでてきます。
(詳しく調べればいくらでもあてはまっていく。自分の都合で調べるのをやめれば、その症状と漢方薬が合っているように感じるだけ)

証を分析できないなら、片っ端からためしていくしかありません。
それこそ、占いなどのラッキーのレベル。

これと同じ占いレベルの治療を病院でやってるから、漢方は誤解されるのです。
漢方薬があやふやな怪しい薬ではなく処方する医者などの人間の側があやふやで怪しいのです。

全ては、病名や症状ではなく、あなたの体質(証)がなんなのか?にかかっていますよ。
自分で漢方薬を選ぶにせよ、誰かに選んでもらうにせよ、体質(証)を証明することが漢方治療の第一歩です。


posted by 華陀 at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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