2015年09月18日

健康セミナーって大丈夫?

うちの患者さんから「先日、食養生のセミナーに行ってきたのですが、これって私に合ってますか?」と質問がありました。

最近は、妊活の生活養生法とか、アトピーのための生活養生法とか、いろいろな健康セミナーがそこらかしこで開かれているみたいですね。

「元気になるためにはミトコンドリアを活性化させないといけない」とか「活性酸素を除去する食事を心がけましょう」とか。

このミトコンドリアとか活性酸素って何かっていうと、ミトコンドリアは各細胞の中にあるエネルギーをつくる器官です。各細胞に存在します。

そして、活性酸素は呼吸をした酸素の中に化学反応的に不安定な酸素があり、それが体内で老化やら不調を引き起こすと言われています。

そのセミナーではミトコンドリアを活性化させるのはコエンザイムQ10という物質を摂るようにすれば元気になる!みたいな理論でした。よくあるやつ。

間違ってはいないのですが、おかしい部分もあります。
そもそも細胞はコエンザイムQ10だけで活性化させていません。
他にもいろいろな酵素などが関わっています。
このあたりはネットで「クエン酸回路」などで検索してください。
複雑な化学式が出てきますので興味のある方はどうぞ。

細胞の活性にはコエンザイムQ10以外の酵素もたくさん関わっているし、分量だって人それぞれ、状況それぞれで違うわけです。

活性酸素に関してはSODと呼ばれる悪さをする活性酸素をなくしてくれる酵素があって、それを摂って身体に悪さをする活性酸素をなくしましょう的な感じです。

どちらも共通しているのは、身体にいい成分をとって身体を元気にしましょう。というもの。

これはサプリメントの理論です。
こういった理論の話の問題は、身体にいい成分はそれらだけじゃないということ。
そんな細かい成分を引き合いに出すと身体の中には他にも無数に身体に良い成分はあるわけです。

なのでコエンザイムQ10とかSODと言われても他の成分や他の成分とのバランス量なんかはどうなの?って話です。

もちろん、こういった成分の話だけでなく、他にも生活に役立つことも話されているのですが、ここにも問題があります。

講師の方が西洋医学の身体の生理学や病態生理学に対してあまりにも素人なのです。
体系的に、これらを理解せずに「細胞の働きだけ」とか、かなりの偏った知識なので、話していることがデタラメだったり、いいことだったりと良いも悪いも混ざっています。

こうなるとただの混乱したむちゃくちゃな話です。
こういったセミナー全般に言える特徴ですね。

セミナー自体が良いか?悪いか?ではなく、西洋医学も東洋医学もどちらも理論が無茶苦茶なので、僕なんかがそのセミナーの話を聞くとデタラメと良いことを選り分けるだけで時間がかかります。

だから、うちでは「その時に気になったことをメールか電話ください。僕がわからなかったら、僕の師匠の元外科医の先生にも確認とりますので」とお伝えしています。

こういった健康セミナーでは要は「食事や生活養生をがんばって病気も治しちゃいましょう!」ってことになっています。

しかし、養生だけで病気を治すことも可能は可能なのですが、東洋医学理論から考えると、かなり厳しいです。

養生自体は悪くないです。漢方で治療する場合も、うちでもその人の体質に合わせた生活養生をアドバイスします。養生を心がければ治りが早いからです。

しかし、養生だけで治すとなると話が違ってきます。
(うちが漢方薬をやってるからってことじゃないです。東洋医学の理論上です)

食養生などは言わゆる民間療法です。
民間療法はサプリメントのような感じで「便秘だったらオオバコがいいよ」とか「喉が痛かったら大根と蜂蜜がいいよ」みたいな。
その人ごとの体質は見ません。

これが次のレベルになると薬膳になります。
薬膳になると本来はその日の体質をみて、それに合わせて通常の食材だけでなく漢方薬で使用する生薬なども一部、使用して料理を作ります。

最近、薬膳というと「身体に良いもの入ってたら薬膳!」的なノリがありますが、本来の薬膳は季節や体質を考慮して考え料理を作ります。
だから、今、一般に知られているのは偽物のなんちゃって薬膳!ですね。

そして漢方薬は完全に薬です。
証(体質を構成する要素)から体質を分析し体質に合わせて漢方薬を選びます。
(病院などは体質判断せずにマニュアル処方してますけど)
漢方薬は本来、見立てた体質と漢方薬が一致しなければ副作用になります。
つまり、すべての漢方薬で副作用の可能性があります。

完全に治療の範囲です。
効果も高くなりますがリスクもあります。

食養生は漢方薬からみれば2段階下の身体を良くしてく方法です。
治療ではありません。
養生のみで病気を治すことはできますが、漢方薬の何倍も時間がかかるし、生活の中で妥協してはいけません。

食べ物、睡眠、運動、これらを統括した生活リズム。それらを徹底的に整え1日でも休まないように年単位で取り組む必要があります。
生活リズムのことを考えれば場合によったら友達付き合いなども断ったり仕事も考えないと自分のペースで養生できません。

つまり、現代の普通の生活リズムでは大半の人にとっては不可能に近いのです。
「だから漢方薬を飲みましょう!」
ってことでなく、もし養生だけで治そうとしているけど、イマイチ効果がわからないのであれば、毎日がんばるのがストレスになるくらいストイックに徹底しないとダメだということです。

養生がダメだということではありません。
漢方の治療でも養生は併用ですから。

養生、治療は分けて考えないといけないし、大半の健康セミナーは悪い事は言ってないけど、医学理論の軸がなくブレブレなのでお気をつけあれ。ということですね。


posted by 華陀 at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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