2016年06月22日

漢方薬を3年飲み続ければ根本的に治るというデタラメ

病院の漢方薬を飲まれている人が、時々、医者から説明されていることで「それ、ちょっと違うんじゃないの?」と思うことがあります。

病院でツムラなどの漢方薬をある程度の期間、飲まれている人がよく説明されるようで、漢方薬を飲んでいるけど、症状が一進一退な状態の時に「体質から変えようと思ったら3年位は飲み続けないと体質は変わらない」と言われたそうです。
ひどい人になると10年はかかると言われていました。

確かに体質を変えようと思ったら一朝一夕で変わることはありません。
時間のかかるものです。
だから、一見、まともなことを言ってるように聞こえますが、僕からすると全くのデタラメです。

デタラメは2つあります。

病院の薬は、効果時間が決まっていて、効果時間が切れれば、慢性病の場合は、大体、元通りに症状は再発します。
これはお薬自体の成分が体の働きを強制的に変えているので、その成分が体内にとどまっている間は、体の働きが変わり、症状を感じなくなったりします。
でも、その成分もやがては代謝されていくので、薬効成分が体内からなくなると、効果もなくなるからです。それゆえに、その場しのぎの対症療法とよばれているのですね。

対して、漢方薬は、人工合成物ではなく食べ物と同じように自然の生薬でつくられた薬で、その効果は体の働きを強制的に変えることではなく、それとなくバックアップ的に体の複数のいろいろな働きをバランスもとりながら調整していくことです。

それゆえに漢方薬の効果が切れても病院の薬のような自然界にない人工的で強制的な働きでないので、自分で体内のバランスのくずれた機能を調整していってくれます。
確かにこういった漢方薬の治療の方向性からすると、長く飲めば、飲むほど、体内の働きを調整してくれるので、体質から根本的に変わっていくことができます。

でも、これには落とし穴があります。

漢方は、不快な症状を遮断して感じなくしたり、オシッコを無理やり出るようにするものでもありません。
「治療」というよりは「調整」
西洋医学は健康な状態と病気の状態のどっちか?みたいな極論な考え方ですが、漢方では厳密には病気か?健康か?どちらかにわける考え方はありません。

便宜上、漢方でも治療と説明しますが、漢方は調整をするものです。
病名がつかなくても、日々のだるさや昨日は頭痛があったけど、今日は頭痛がない。でも体がだるい。など、体は良い部分があったり、悪い部分があったりで、バランスがとれていて健康な時もあれば、バランスがとれずに悪い時もあるわけです。

漢方では、ここからが病気で、ここからは健康という明確な線はありません。
漢方は「病気」を「体質」で考えます。

そして、体質には2種類の考え方があります。
1つは血縁から受け継いだ、うまれつきの体質。
多分、医者も含めてほとんどの人が認識している「体質」です。
母親が筋腫だと娘さんも筋腫になりやすかったり、父親が胃痛、胃もたれで胃が弱いと息子さんも弱かったり。
血縁の中の病気って、潜在的に持っている感じは誰しもが思い当たるところではないでしょうか。

「漢方薬を長いこと飲んでいれば治る」と言っているのは、この部分のことを言ってるのだと思います。
確かに体質がこれしかなければ、最初の体質分析がちゃんとされていて、処方した漢方薬が当たっていれば長く飲みつづければ治ります。しかし体質にはもう一つやっかいなのがあります。

そのやっかいな体質が後天的な体質です。
これは季節や環境でどんどん変わります。
雪の降ってる時期の手足の冷え、梅雨の時期の湿疹、夏の汗、秋の胃の不調。
体質的に言えば別人になります。

漢方は体質を見る際にうまれつきの体質と現在の体質を合わせて考えます。
生まれつきの体質だけにスポットを当てても治すことはできません。

現実の治療の際は現在の体質の方がウェイトが高いです。
今の季節の今の環境の体質ですね。
環境は例えば、北海道から沖縄に引っ越したり、昼に働いていた人が夜勤になったり、管理職になって、悩みが倍増したりなどなどです。

現実は、日々、外からの影響で体質も変わるので、これを調整していかなければいけません。
ほとんど体質が動かない人でも、さすがに真夏と真冬は変わったりします。
当たり前ですね。正反対なんですから。

となると、そもそも「3年間、同じ漢方薬を飲み続ける」なんてことはありえないのです。
毎回、体質判断して、結果的にそうなることはあっても、最初から決めつけて「飲み続けたら・・・」なんてことはありえません、
それは逆に「季節の変動やあなたの今の環境なんて、全く考慮にいれて漢方薬を考えません」と高らかに宣言しているのと同じ。
それは最早「漢方薬を使用している」だけで「漢方治療」ではないですね。
誰が医者の役割をやってもいいんじゃないですか。

もう一つのデタラメは病気の捉え方の問題。
漢方薬は陰陽の法則で体の不調をみます。
西洋医学だと「病気=悪い」みたいな概念でみますが、漢方では冒頭でも話しましたが、病気か健康かではみません。

漢方は冷えもなく、さりとて余分な熱もこもっていない真ん中のみが健康だとみます。
なので、例えば、始めにものすごく体が冷えている人が温める漢方薬を飲んで何ヶ月かで治ってきたら、冷えがなくなるわけです。
西洋医学の発想では、治療に成功した漢方薬なので飲み続ければ・・・と思うかもしれませんが、東洋医学では、ただ単に冷えた人を温めたら治っただけです。

そして、冷えがなくなった人が、そこから更に同じ体を温める漢方薬を飲み続けたらどうなるでしょうか?
そう、体に余分な熱がこもって、冷えから熱の体質に変わってしまうのです。
これを誤治、壊病といいます。
だから、3年間飲み続けて体質を変えるなんてありえないのです。

えっ、「それだけ治療に時間がかかるかもしれないじゃないか」って、それはありませんよ。
10年間、漢方治療している経験や過去の数々の書物から、全く同じ漢方薬でそれだけの時間がかかるとは思いえないし、もっと早くに治せる漢方薬が別に存在するはずです。
何せ、バリエーションを含めれば漢方薬は500種類以上あるんですから。

多分、東洋医学的な体質を一切みないで漢方薬を使おうとするから、そんなデタラメくさい発想になるんじゃないかと勝手に思う次第です。


posted by 華陀 at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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