2017年06月01日

漢方薬を飲んで悪くなることは良くないこと?

西洋医学と東洋医学は、どちらも「医学」という名前がついていますが、全くの別物です。

西洋医学の今のような治療が確立したのは2百年位前で、言うまでもなく発達したのはフランスなどのヨーロッパやアメリカです。何せ「西洋」医学ですから。

東洋医学が治療として確立したのは2千年位前、西洋医学と一桁、違います。場所は言うまでもなく中国。
東洋医学、西洋医学は、なんとなく、ひとまとめ的になっていますが、西洋医学は東洋医学の1800年後に今のような治療体系ができているのです。

つまり、西洋医学と東洋医学は何の関係もありません。

ところが、現在は、西洋医学の病名で漢方薬を処方するという、僕からみたら暴挙に見えるような方法がとられています。
漢方薬は、そもそも方証相対という「漢方薬=体質」⇄「体質=漢方薬」という考えが2千年前から、すでにあり、その時から漢方薬を選ぶために必要な体質の診断方法もあったわけですから、2000年前から存在する漢方薬を当時の体質診断方法は無視して1800年後の西洋医学の診断でマニュアル処方するというのは最早、コントの域です。
※漢方の体質判断や治療方針を立てるのは非常に難解なため、初心者の頃に西洋医学の生理学や病理学、病名を参考にしながら漢方薬の処方を勉強するのは有効だとは思います。ただし、あくまで初級、初心者の頃の話です。

これくらい、西洋医学と東洋医学は別物です。
違っている点は、診断や処方する薬が違うということに留まらず、そもそも「人間の体を治す方法」自体が違います。

西洋医学の薬は有効成分とよばれる人工的な化学成分を体内に入れて、その有効成分で、強制的に体内の働きを変えてしまいます。
有効成分が痛みの発痛物質を抑えて痛みを止めたり、胃酸を出す物質を抑えて胃酸を止めたり、血圧を強制的に拡げて血圧を下げたり。

いずれにしろ、薬の有効成分が強制的に働いて、体内の働きを変えて、症状を抑制したり、体内の働きを遮断したりして症状をなくします。

そして、これらの薬の副作用は、たくさんの人に飲んでもらった実験の結果によって「吐き気が発生する」「動悸が発生する」などと統計的にはザックリとわかっていますが、西洋医学は体質をみてから薬を処方するわけではないので「どんな体質の人に、どんな副作用が起こるのか?」は厳密にはわかっていません。
よほど特殊な薬でない限り副作用が起こる人は、どんな人なのか?どんな場合には起こるのか?がメカニズム的にわからないのです。

一方、漢方薬は、一人一人の体質を分析し、その体質にあった漢方薬を合わせて治療します。
西洋医学のように漢方薬に有効成分があって、その成分が直接「頭痛を止める」といったものではありません。

そもそも漢方では「症状」自体の考え方が健康を保っている体内要素のバランスが崩れることによって、発生したもの。と考えるので、症状自体を直接止めにいくことが治療だとは考えていません。

なぜなら「症状」は所詮、体内要素のバランスが崩れた状態を知らせる警告サインなので、症状だけを直接止めることに意味がないからです。

車のエンジンオイルの警告灯(症状)が点いている状態で、その警告灯(症状)だけを切ってしまうことに意味がありません。警告灯(症状)を切ってしまっても、エンジンが焼けてしまうという結果は避けられないからです。
病院がやっている対症療法とは、こういったものです。
人間の場合は、警告灯(症状)が点くこと自体に不快感が伴うので、ケースによっては、その警告灯(症状)を一時的に消すことは、良いことでもありますが、結局、問題の先送りに変わりありません。

そんなわけで、漢方薬は、症状を直接、消すために使うのではなく「症状」を体内の健康を保っているバランスを見るための情報として利用しています。
病名や症状を2,3あてはめて漢方薬を処方することは漢方ではないのはこういった理由です。

漢方は、症状を体内分析の情報として利用し、そこから体質を読み取り、体質と漢方薬が合って入れば、漢方薬で体内に「変化」を与えて最終的には不快だった症状はなくなります。
漢方薬とは体内に「変化」を与えるもので、症状を「消す」ものではありません。

なので漢方においては、症状は単純に即座に消すべき悪いものとは考えません。
漢方では「選んだ漢方薬で良くなっている」と判断するのは診断した体質と漢方薬が合っていたと判断できた時で、あくまで漢方薬を飲まれた後の体の変化からわかります。

例えば、漢方では二便の水の巡りといってオシッコと便の2つを組み合わせて診ていくことを重要視しますが、体質や漢方薬の種類によっては、治療しはじめるとオシッコが少なくなったり、便秘や逆に下痢になったりします。

これらは二便の水の巡りのバランスが悪くなっている状態を漢方薬によって水の巡りを変えようとした結果、起こったりします。
漢方では体質と漢方薬が合っていなければ副作用になりますので、これらの現象の原因として、単純に体質と合っていないので副作用として現れていたり、もう一つ、重要なのは、二便の水の巡りをなんとか整えようとして、巡りを動かした結果、便秘になったり下痢になったりしている場合があります。

どちらなのかは、体質や選んだ漢方薬によって異なりますので、その都度、患者さんと話し合って、状況を聞きながら判断するしかありません。

漢方薬を使っての治療とは、常に「良くなる効果」と「悪くなる副作用」が共存している感じなのです。
これは例え、世界一の漢方治療の腕を持っている先生だったとしても漢方治療自体の性質、法則なのです。
西洋医学のように「統計的に副作用が出る人もいるかも!?」みたいなものではないです。

僕は、漢方薬のこういった性質も十分に理解しておりますので、当店では、副作用のあった時点で相談していただいて「副作用=悪いこと」とは考えないので、今後をどうしていくかを話し合いながら治療を進めていきます。

漢方薬を飲んで状態が悪くなることは、かならずしも悪いこととは言えないということですね。


posted by 華陀 at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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