2017年03月31日

自分の風邪治療から治療の応用性を練習してみた

自分の治療シリーズです。
自分の治療は、ほんとたまにしかないので、前回、このタイトルだったのかも定かではありません。

今回は風邪。
去年は一度もひきませんでした。

開業当時はひどかったです。
何せ、病気の相談の店ですから、冬になると「今、ちょっと風邪ひいてます」みたいな方しか来ません。
相談する度にいろいろな風邪をもらうみたいな感じでした。

漢方薬は、毎日、自分の体質をチェックして、何がしか飲んでいるので、おかげさまで今では、風邪をひかなくなり、去年は一度もひかなかったのですが、今年は2回ひきました。
1回は1日の相談で9人全員、今、風邪か昨日まで風邪、2人はインフルエンザだったので、さすがに負けました。

ちょっと余談になりますが、風邪と言えば葛根湯ですが、漢方には昔から葛根湯医者といって、何かにつけ、すぐに葛根湯を処方する医者はヤブの証拠というような話があります。
この話、続きの詳しい意味もあって、葛根湯って風邪だけでなく、副鼻腔炎、中耳炎、高血圧、五十肩、破傷風、蕁麻疹、リウマチ、喘息、乳腺炎、大腸炎や僕の治療経験では、蜂窩織炎を葛根湯で治したこともあるので、葛根湯って応用範囲が非常に広いので、万能薬的な側面があります。

それで、うまく使える人は、葛根湯で自在に治せるので葛根湯をよく使っていました。
ここで「葛根湯をうまく使える」というのは、東洋医学的な病的体質である「証」を分析し、その上で証に合わせた漢方薬を選ぶことができるという意味で、上記の病名に単純に葛根湯を使えばよいという意味ではないのですが、これを小耳に挟んだ体質をみれないバカ医者が優秀な医者の真似をして何かにつけ葛根湯を処方し治療を失敗するので「葛根湯医者→ヤブ医者」の証拠というように言われるようになりました。

話の脱線がものすごく長くなりましたが、僕は経験上、風邪に葛根湯を飲むことはありません。
自分の飲んだ後の経過の分析から判断すると、葛根湯って、本当に初期の風邪かどうかも怪しいという時には抜群に効くのですが、鼻水や喉痛が、現れてきて「これ、もしかして風邪?」と思った時は手遅れだったりするなーというのが僕の実感です。

実は漢方治療において、風邪の治療などの3日以内でカタをつけないといけない治療になるほど、治療レベルは上級レベルになります。
つまり、風邪で漢方薬を処方できるということは、少なくとも慢性病は、普通に根本治療できるので、慢性病の方が風邪の治療に比べて簡単!ということになります。

なので、自分や家族が風邪をひいた時は、漢方の治療レベルを上げる絶好のチャンスです。
漢方の治療レベルを上げようと思ったら、結局、RPGのようにどれだけのモンスター(病気)を倒したかにかかっています。そして、風邪などは、メタルスライムみたいなもので、すぐに逃げられますが、倒すと経験値が高いのです。メタルスライムと違うところは、力押しでは倒せないというところですが・・・。

今回の風邪は、喉痛から始まりました。
咳、鼻水、発熱はなし。関節は若干痛みます。脱力感と頭がぼーっとします。
オシッコは茶色に近い感じで少量。

いつもは、全身の症状や、どの症状から始まり、それぞれ発現した症状が、どれくらい悪くなっていくかで、証を分析し、1日4回ほど飲む漢方薬を決定していました。

まかりまちがっても、風邪なら葛根湯とか、インフルエンザは麻黄湯みたいな、低レベルな病名漢方では漢方薬は選びません。そんなことしたら、せっかくの機会なのに勉強もクソもないので、経験値は1ポイントも上がりません。

今までは、そんな感じで、とりあえず、第一日目の漢方薬を決定していたのですが、以前の自分の目の湿疹の治療から「1日の中で何種類かの漢方薬を飲み分けることも治療戦略としては、有効かもしれない」と思い、今回は治療方針に、この方法を取り入れ、基本の3回は、体表面の水を巡らせ、気管など上焦部とよばれる肩から上の熱をさまし、同時に気を下ろし、胃腸を強化する2剤を合わせて1処方となる処方にしました。

補助は、生薬数の少ない構成の殺菌と気管の熱を取りさるものを間に2回飲むことにしました。
基本処方と補助の処方は、それぞれ2時間以上は、空ける感じです。

(漢方薬は、病名→漢方薬で合わせても効きません。今回の処方はあくまで今回の僕の体質の僕の風邪に効いたものなので、処方名は他人には役立ちませんので、あえて明かしません)

そして、最も重要なのは食べることと、睡眠。
幸い、ものすごくしんどいのに食欲は旺盛。寝る気満々。
なので、よく食べて、いつもの筋トレはお休みして、21:30には寝ました。

つぎの日、喉痛、関節の痛みはなくなり、ぼーっとした感じはなくなりました。
残ったのは、脱力感と体力がない感じ。そして、鼻水。
オシッコは茶色から黄色になり量も多くなりました。

おぉー、1日で複数の漢方薬を飲み変え作戦で、かなり治りました。
しかし、脱力感と体力がない感じは治らず、鼻水は新たに参戦状態。
ただ、鼻水に関しては起き抜け、緑に近い黄色のネバネバ鼻水で、その後は、ひたすら水鼻。
水鼻は、冷え症状が伴うと状態が悪いことを示しますが、冷え症状はないので、これは、漢方薬の影響でウィルスを外に出している良い方の水鼻と判断。

良いとはいえ、どんどん垂れてくるので、2日目は基本処方を昨日の処方構成から、体表面の水の巡りをより、巡らせられるように強いものに変更。
それに昨日の補助を同時に服用としました。

そして、脱力感を取り除くために、ここで調子をこいて、「単純発想」に走り、体を温めて、気を補うという「単純に体力に良いもの補充する」発想で選んだ漢方薬を夕方に1回飲んでしまいました。

そうしたら、見事にハズレ。
30分ほどすると、みぞおちのあたりから吐き気。そして、頭はのぼせて、ぼーっとする状態。
内熱が溜まった悪い証に変化。

次の基本処方で熱を散らして、ことなきを得ましたが、危なかったです。
漢方では簡単に「元気が出ないからエネルギーを補充したら元気になるよ」というような単純思考に陥ると、思わぬシッペ返しがあることを改めて思い知らされました。

で、気を取り直して、基本処方は同じにして、次の日は、エネルギー補充ではなく、気と血をぐるぐる巡らせてくれる漢方ドリンクを間に飲むようにしたら、ほぼ治りました。
今日は筋トレもしております。

結局、いつも風邪は、3,4日で治すので、1日の中で複数の漢方薬を入れ替えて飲む方法は、よかったのか、ただの自己満足だったのか、不明です。
自分的には、都度、症状が沈静化していたので、よかった感じはあります。

それよりも、漢方って、体質で考えないで、効果だけの単純なノリでは、かえって体が悪くなることを今後の戒めとして思い出させてくれたことはよかったです。

風邪の漢方薬として、同じ種類の漢方薬を3,4日以上処方するところは、ものすごく漢方の腕があるか、ものすごくバカか、のどちらかだと僕自身の経験では思うので、気をつけられたほうがいいと思いますよー


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2017年02月17日

漢方薬の選び方の問題

昔、僕らの中で漢方ジプシーと呼ぶ類の人たちがいました。
ひょっとして、漢方ジプシーと呼んでいるのは僕らの内輪だけだったかもしれないですが・・・

どんな人かというと、1つは数々の漢方内科や漢方薬局を転々とする人。
もう一つは、ネットなどで漢方の情報を調べて、自分で漢方薬を購入して飲む人。
自分でいろいろと試している人です。

前者は、病院の漢方科、漢方薬局でまともに漢方治療ができるところは、ほとんどないと言っていいくらいなので、運が悪ければ、ちゃんとした漢方家に出会えることはありませんのでジプシーになってもしょうがない部分もあります。

ちなみに僕は真剣に漢方が勉強したいと思い、当時、仕事上で漢方相談などをしている漢方薬局を500店ほど店の深い内情も含めて知っていたところから探しましたが、修行させてもらいたいと思ったのは九州のたった1店のみで、他にまともな漢方相談をしているところがないのは分かっていましたので、新婚で新築の家を買ったばかりにも関わらず、迷わず、大阪から九州へ修行へ行きました。

当時の経験から残念ながら一都道府県に1件もない可能性もありますよ。
漢方薬局の大半は、漢方と説明しながら、複数のサプリメントの抱き合わせを売っているところばかりでしたので。

最近、2つ目の漢方ジプシーさん(自分で調べて自分で漢方薬を試す)が増えてきたように思います。
正直、この手の漢方ジプシーさん、昔からやっかいですが、今は昔よりも困り果てております。

別に何がなんでもうちで買ってほしいという意味で言うわけではありません。自分だけの判断で漢方薬を飲みたいという人はこれ以上、読まないほうがいいと思います。そう思うならそれも良しです。

多分、この手の人って漢方自体をものすごく誤解しているんだなと思います。

この手の人って、単純に漢方薬って「自然のもので副作用がなく安全で根本的に治るもの」と「漠然」と考えているだと思います。

これは2つのポイントがずれています。
@残念ながら漢方薬は副作用があります。
病院の薬の副作用は、まれに副作用が出る的な感じですが、漢方薬の副作用は実に単純で「体質と合っていないと副作用」です。(病院の薬の副作用も薬理的に見れば、まれに出るものではなく鎮痛剤は痛みを止めて、胃を荒らすという2つの働きが存在するので、実はまれに起こるといったものではない)

ここでももう一つ誤解されていることがあります。
これは、病院や大手漢方薬メーカー、現状の漢方薬局の責任もあると思います。
病名や症状が「体質」ではありません。
サイトや漢方薬のマニュアルに適応症状と書いてあるので、医者まで素人と一緒になって、西洋医学の病名や症状をあてはめて漢方薬を選んでいますが、症状は東洋医学的な体質を診断していく上での1パーツにしかすぎません。血液型診断みたいに症状をあてはめるわけじゃありません。

病名で漢方薬を選ぶ方法に至っては、最早、論外で西洋医学の病理は体質を分析していく1つの情報として手助けにはなりますが、モロ、病名で漢方薬を選ぶ道理はありません。

なぜなら、漢方薬を選ぶ方法論は2千年前の中国ですでに確立されていて、今、病気、病名だとよんでいるものは、150年位前に西洋で発展したもので、歴史も場所も何の共通もなく、他ジャンルといってもいいくらいです。

逆にして見てみれば、2千年前の中国で確立された診断方法で体質を判断し、薬は西洋医学の現代の薬を選ぶようなものです。現代の薬を選ぶのに東洋医学の体質なんて何の関係もないです。
なので、西洋医学の病名は漢方とは何の関係もありません。
こんな歪はことはないでしょ?

漢方は体質と合っていなければ副作用になります。
ということは前提に「体質」の診断が必要です。
そして「体質」は「病名や症状」のことを指しているのではありません。

なので、体質と合わない可能性が高いわけですから、自分で漢方薬を選ぶ場合は、
@何も効果がない。 A効果があった。 B余計に悪くなった。
のどれかになるのを運にまかせるしかありません。

そうなると、詳しい専門家に聞けばいいんじゃないの?となって、うちに相談がありますが、これも自分で飲んでいくなら無意味。

そもそも、うちの相談では、購入前に具体的な漢方薬名は伝えませんが、仮にこれを事前に聞いたって、同じです。
「専門家なら治せる漢方薬を知ってる」と思ってるでしょ?
違います。確かに素人の方よりも知識や経験があるので、治る確率の高い漢方薬を知っていますが、
A漢方と体質が合っているというのは、そもそも、飲んだ後の結果からわかる。
のです。

そして、その「結果」って「あなたが気にしてる症状が消えたかどうか?」ではありません。

漢方薬って、あなたの気になる症状を抑制したり、緩和する目的ではありません。それだったら病院の対症療法と同じですよね。
漢方薬が「自然の物」って言うだけで、根本治療になると思います?
そんな甘くないですよ。

根本的に治るのは表に出てる症状を、ちまちま一時的に消したりするものではなく、体全体のバランスを整えるから根本治療になるのです。
体全体のバランスを整えるわけだから、飲んだ後の結果から検討し、当然、「体全体の状態」が根本治療の方向に向かっているか?を考え、他の漢方薬への変更も検討します。

つまり、漢方医の仕事って、治りそうな確率の高い漢方薬を選ぶのはもちろんですが、それよりも「根本的に治る方向に向かっているか」を常に確認し、他の漢方薬への変更などの調整をかけていくことです。

更にあなたの体質に合わせた、あなたの体にやさしい生活に調整していくことも大切です。
睡眠時間3時間の人が、睡眠薬を飲んで3時間、寝たからって、睡眠不足が解消すると思います?
漢方薬が根本的に治すというのは、病院の薬と違う特殊効果があるわけではなく、病気にならないように生活と体の両面を調整していくからです。

ということなので、1つ1つの症状を消して回っていたら、それは結局、病院の薬とやってることは同じなんですね。
それに僕には不思議なのですが、よく占いみたいな感覚で副作用もあるものを飲むなと感心します。
うちに明らかに漢方薬名だけ知りたいっていう人が相談してくることがありますが、あの感覚も不思議。
そもそも、うちでは購入前に漢方薬名自体をお伝えしませんが、会ったこともない人が「無料で本当のことを教えてもらえる」って自信や保証がどこから来るのかな?と思います。
無料ってことは、こっちは治療に一切、責任もつ必要ないですからね。

ほいほい、無料で教えてくれるとこがあるなら、逆にそこで相談するのやめたほうがいいですよ。
漢方の治療原則から考えておかしいし、無責任すぎます。


posted by 華陀 at 17:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月08日

瞑眩や漢方薬の副作用。

瞑眩って聞いたことがあるかと思います。
漢方の先生がよく「乱用」しているようび思います。

瞑眩とは、ある漢方薬を飲んで2日以内に不快な症状がドッと出て、その後にスーッと治っていくことを言います。

漢方薬は病名や症状に合わせてマニュアル的に選ぶものではなく、体質に合わせて選ぶものです。
体質はみなさん、違いますので、同じ病名の人でも身長、体重、全体の体の状態なんかを細かくみていくと全然、違う「病気(体質)」だったりするわけです。

なので、以前にアトピーの人に対して劇的に聞いた漢方薬も、次のアトピーの人に効くとは限りません。
なぜなら、病名は体質ではないからです。

漢方薬は体質に合わせるものですが、その体質を漢方薬が合っているというのは、一定期間、飲み終えて、いろいろと良くなっていれば、その時に初めて「その漢方薬は、その人の体質に合っていた」と判断できます。

あくまで飲んだ後の結果論なのです。
いくらアトピーの人を1000人、治しても、次の人は新たに「体質」を考え、一定期間、飲んでもらって
漢方薬と体質が合っているかどうかを答え合わせしていかなっければいけません。

そんなわけで、漢方薬は処方した時に合っているかどうかは、処方した先生も患者さんもわからないわけです。

漢方の先生も患者さんも「治る」と思って飲み始めた漢方薬。 
思いには反して漢方薬を2,3回飲み始めると湿疹がひどくなったり、下痢したり・・・
いろいろな悪い症状が出てくることがあります。

これを瞑眩とよんで「良くなる前の悪い症状」と説明する先生がいらっしゃいますが、実は瞑眩なんてものは滅多に出てきません。

僕は10年の漢方人生の中で2,3人。それも急性病の方のみ。
慢性病に至っては記憶にありません。
漢方のいろいろな名著を残された日本漢方の大家の先生の言葉では「40年の治療経験の中で数例にもみたない」と書いておられました。

そんなすごい先生でも、ほぼ、瞑眩というものは存在しないのです。

なのに、患者さんからは前の漢方の先生から「瞑眩反応」だと言われたという話を良く聞きます。
それはあまりに瞑眩という不渡り手形を乱発しすぎです。

それって、体質と漢方薬が合っていないから、ただ単に副作用なんじゃないの?
と思います。
漢方薬の副作用は「体質と漢方薬が合っていない」場合は全て副作用につながるからです。

瞑眩って説明してしまうと聞こえはいいですが、瞑眩だろうが、副作用だろうが、その時は「漢方薬を飲み始めて悪い症状が出てきた」という状態です。

この時に瞑眩だから「もうちょっと飲んだら良くなるから飲んでみて」と、言うのは簡単ですが、漢方の大家の先生の経験や僕の見解では瞑眩は「ほぼない反応」なのです。
つまり、その時は「体質と漢方薬が合っていないための副作用」と考えるか「調整途中で体が大きく動きはじめた結果の悪い反応」の2つを同時に考えます。

瞑眩の考え方と似ていますが、瞑眩は僕のイメージでは予期せぬ感じで悪い症状がドバーと出てきてスーッと劇的に良くなっていく感じ。

一方、僕が考える「調整途中で体が大きく動いた結果の悪い反応」というものは、バランスの崩れた体質が治っていこうとする時に起こりうる悪く見える症状です。

僕は漢方薬を選ぶ際に体質を分析し、漢方薬の調整がどんな風に進んでいくのかの予測を立てますが、その予測の範囲内で起こる副作用的な「悪い」症状を想定しています。

そして、漢方薬を飲み始めて「先生、なんか悪くなってきているので漢方薬を変えてもらったほうがいいでしょうか?」という相談がよくありますが、その際は、悪くなるかもしれない想定をしているとはいえ、常に「ただ単に体質を漢方薬が合っていないか?」「良くなるための調整か?」の正反対の2つに1つの決断を強いられます。
2つに1つといっても正反対の現象です。

経験上は、どちらもあるのですが、単純には決められないので、詳しくいろいろとお聞きして「良くなるための調整途中」だと判断した場合は、「耐えられない症状でなければ、もう少し続けてほしい」とお願いします。漢方薬を飲み始めて悪くなっているのに、更に僕が決めた一定期間(それほど長くない)を続けてもらうわけです。

そうすると、悪い症状が出ていたのに、何日かすると、その症状もなくなって、だんだんと良い感じになってきます。

患者さんには後から「実は続けてと言われた時は大丈夫なのか?と思いました」と言われることもあります。

再度、言いますが、これは瞑眩ではないように思います。なぜなら、僕は東洋医学理論に基づいて、理論的に分析して、続ければ治るという予測がある上で「続けてください」と決断しているから。
未来からみれば、ただの治る時の変化です。
もちろん、一定期間、続けてもらった後「漢方薬が合っていなかった」なんてこともあります。

最近、ご自身で漢方薬を選ばれる人がいますが、漢方治療にはこういったことも治療の中に含まれます。
飲んでみたけど「悪くなってきた」ことを理由にすぐに「漢方薬が合っていない」と判断しないほうがいいです。
全身の状態の変化を分析して、一定の期間で止めるべきか、また続けるべきかを検討しないと、基本的に、飲み始めて悪い症状が起こり、その薬を止めてしまうと、その薬を2度飲むことはなくなるので、下手すると一生、治せる漢方薬に出会えない可能性があります。
だって、その止めようとしている漢方薬こそが最高に合っている薬かもしれないですから。


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2016年10月21日

良い漢方医の条件

修行時代に言われた師匠からの金言があります。
「漢方の治療は2回目から始まる」

こういう言葉を教えてもらえるのが「学校」ではなく「修行」のいいところであり、重要な部分ですね。
よく「漢方をどこの学校で学ばれたのですか?」と聞かれますが、漢方に正式な学校はないですが、あっても、多分、漢方薬の名前とか、東洋医学用語だけ、よく知っていたり、西洋医学の病名漢方での臨床データをよく知っていたりと、実践でほとんど役に立たない知識ばっかりで脳みそが一杯になると思います。
学校って、漢方に限らず、そんな教え方しかできないですから。
実際、そういう漢方医?が多いのが、この業界の悲しいところです。

話は飛びましたが、漢方は西洋医学とは、全く違うもので「医学」という言葉が似ているだけで、まさに似て非なるものなので、修行の時に師匠から時々、もらえる言葉が、実践の治療で一番、役に立つ肝だったりします。

その師匠が言っていた「漢方の治療は2回目から始まる」

意味わからないですよね。
当時の僕もなんとなくしか意味はわかりませんでした。

でも、今は「漢方治療って、つまりはそういうことですよね!」とわかります。

漢方は、難しい医学ですが、初回に漢方薬を処方することは、実は誰にでもできます。
だって、よく考えようが、適当に考えようが、漢方を知らなくても、「この漢方薬飲めば」ということは誰にでもできますから。

現在は、西洋医学の病名に合わせて漢方薬が処方できるマニュアルが本でも、ネットでも情報があふれています。
ぶっちゃけ、ほとんどの病院や漢方薬局がこの方法をとっていますが、これって、実はどんな本でも情報でも入る現代においては、誰でもできることなんです。
だから、初回の漢方薬の処方は、字が読める人なら、誰だって処方できます。

「でも、専門家に選んでもらわないと治らないでしょ」

そうです。それは当たり前。
でも、ここが医者も患者さんも誤解しています。

まず、西洋医学が、どれだけ詳しい人に漢方薬を選んでもらっても、治る確率は高くなりません。
なぜなら、西洋医学と東洋医学は全くの別物だから。
野球という「球技」がうまいからといって、サッカーという「球技」がうまいわけではありません。
野球で培った運動神経は役立ちますが、サッカーはサッカーで、いちから学ばないとプロ級の腕は身につきません。西洋「医学」と東洋「医学」は違うものです。

そして医者は医大でほぼ、漢方を学びません。
薬学でも学ぶのは西洋医学的な生薬の成分とか漢方薬の効果のことだけで、実際の体質の診断方法や漢方の治療の哲学などは学べません。

卒業したその後も、学ぶと言っても、西洋医学のお仕事の合間に勉強会に参加するだけ。
その勉強会も残念ながら、正におぼえるだけの勉強です。
不妊症に当帰芍薬散、頭痛に五苓散などのアホでもわかるマニュアル。
漢方には文字上では詳しくなりますが、治療の腕は一切上がりません。

つまり、実は漢方の現実の世界は、一般の素人の方と医者などの間に境目がないのです。
だから、初回は、誰だって漢方薬を選べます。

もう一つ、誤解があります。
それは、良さそうな漢方医(実はちゃんとした漢方医はいないということがわかってもらえたと思いますが)に選んでもらったら、治る確率が高いと思っていること。

これも「良さそうな」という定義が何かです。
先ほどの話から西洋医学で権威があっても漢方では意味をなしません。

それにここが「漢方の治療は2回目から始まる」の意味ですが、漢方は、効果の高そうな漢方薬を選んでもらったら治りやすいわけではありません。

漢方は体質を東洋医学的に分析し、その体質合わせた漢方薬を選びますが、実はこの時点では、どれだけ治療の腕がある漢方医でも、推測なんです。

漢方薬は飲んだ後の体の変化と最初に分析した体質をすり合わせて、合っているかどうかが初めて判断できます。
つまり、初回にいくら漢方の詳しそうな先生が「絶対にこれで治りますよ」って言ったって、それは漢方の法則からしたら「嘘っぱち」なんです。
事前に合っているかどうかわからないのが漢方の治療法則、そのものですから。

漢方薬を飲み終わった後の変化と体質を比べた時に思わしくなければ、「体質と漢方薬が合っていなかったか?」「そもそもの体質の分析が間違っていたか?」を考え直す必要があるのです。

だから、「漢方の治療は2回目から始まる」なんですね。
ついでに2回目に体の変化が思わしくない時に「おかしいな、この漢方薬で良くなるはずなのに・・・」という先生も「偽物」です。

漢方治療とは、答えは患者さんが持っているのです。
答えが出なかったのは、漢方医が間違えていたということ。その間違いを受けとめ、1回目の結果を含めて、次なる治療方針を考えることなんですね。

なので、良さそうな漢方医を探そうと思ったら、名声や権威はアテにできません。
初回は一般素人の方だって本を買うか、ネットを漁れば、簡単に漢方薬を「選ぶ」ことができるから。

良さそうな漢方医は外側から見分けることはできないのです。
ただ必須条件としては、体質を分析する際は「相談→会話」が決め手になるので、親やすく本音が言えそうな雰囲気の先生でなければ、その時点で、すでに良い漢方医ではないですね。
迷いなく検討リストから削除OK!です。

後は、一度、漢方薬を飲んでみるしかありません。
1度、飲んでみて、2回目の先生の反応をつぶさに観察してみてください。
なんだったら、わざとネガティブなことを言えばいいと思います。
その上で、よっしゃ!ここからだ!という態度の人は良い漢方医ではないかと個人的には思います。
とってつけたよう説明になり出したり、漠然と方針ないまま、続けさせようとしたりしたら、それも検討リストから削除OK!です。


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2016年08月26日

生薬量が倍や濃度が濃いと効果が高いのか!?

最近、うちのメールによく似た質問が来るので、一般的にすごーく誤解されていることなんだろうなと思って、その事について僕なりに説明してみたいと思います。

何の誤解かというと「医療用の漢方薬は含有されている生薬量が多いから良く効く」とか「エキス量が多いから良く効くとか」といった類のもの。

実際、医療用としても販売している漢方薬メーカーの営業さんが、ドヤ顔で「うちの漢方薬のエキス量は医療用と同じで何倍も濃いものですから」なんて説明してまして、医者なんて、持ってきた資料を鵜呑みにする人が多そうなので「医者の中にも漢方薬の生薬量やエキス量が倍の方がいい!」なんて意味不明なことを信じている人がいるんだろうなーと思いました。

「エキス量が濃い」

有効成分が多そうだから、効きそうですよね。
でも、漢方薬で重要なのは、そこではないのです。

病院のお薬は、単独の症状に対して、薬の持っている作用成分の効果で、無理やり体の反応を変え症状をなくします。

例えば、痛み止めだと痛みを発する物質を薬の成分でカットしてしまうのです。
作用成分自体が痛みなどをカットしますので、当然、その成分は量が多かったり、濃度が濃いほど、よく効きます。

ただし、効くというのは、痛みを抑えるだけで、根本的に治るわけではなく、あくまで薬の力だけで効くのです。

漢方薬が濃度が濃くても意味がないのは、漢方治療の原則にあります。
そもそも、今から説明する漢方治療の原則を一般の方だけでなく医者も誤解しているから漢方そのものが誤解されているのです。

漢方薬は、漢方薬の有効成分が、症状を無理やりカットするわけではありません。
だいたいの病院は、この部分を勘違いしているから、頭痛という単独の症状だけを目標に五苓散を処方したり、ひどいのになると不妊症とう病名に当帰芍薬散や温経湯を処方します。

この方法は、漢方を習いたてのド素人の初学の頃は、そこから手をつけないと、どうしようもないので、しょうがないですが、本来の漢方治療では「西洋医学の病名や各症状に合わせて処方する」なんて方法は存在しません。

本来は「証」とよばれる病的体質を分析し、その証に対して漢方薬を合わせるのが正道です。
しかし、今の漢方業界は勉強しない人向けのマニュアル漢方治療という邪道が正道になっているというなんとも不思議なことになってしまっています。

証に合わせるというのは、簡単に説明すれば、冷えている人には、温める漢方薬を合わせるということです。
これでプラマイゼロで何も悩みのない健康な状態に戻ります。

漢方治療は痛みを止めるとか、ホルモンを活性化するといった作用で治療を考えるのではなく、患者さんが「冷えているか?」「余分な熱がこもっているか?」を判断し、冷えている人には、温める漢方薬を。余分な熱がこもっているには冷やす漢方薬を合わせていきます。

だから、冷えている人に温める漢方薬は薬になりますが、余分な熱がこもっている人を温める漢方薬で温めたらどうなるでしょう?
夏の暑い部屋で更に暖房をいれるようなものです。
もう、最悪な状態になります。

ちなみに説明上、簡単にしていますが、現実の治療では、冷えているだけ。とか、余分な熱がこもっているだけ。なんて単純な状態はありません。
上半身は熱がこもっていて、下半身は冷えていて・・・と矛盾した要素がいくつのも重なっているのが証の現実です。

漢方薬は、おなじAという漢方薬でも薬になる人もいれば、毒になる人もいます。

漢方薬の生薬量が多いとか、エキス量が濃いというのは、体質と合っていない漢方薬を処方した場合、もし効果が強ければ、よりひどくなるということです。

もう一つの問題は、漢方薬というのは、生薬量や煮出す時間(濃度)が、あらかじめ厳密に決められているので、医療用もそうでないものも、漢方薬である限りは同じ生薬量と濃度じゃないとおかしくなります。

漢方の治療原則は「中庸であること」つまり、真ん中のバランスが理想なので、
生薬量が多いとか濃度が濃いというのは、西洋医学では効果の高さにつながるかもしれませんが、漢方では「多い」という要素もバランスが崩れていると言えます。

例え効果が高くても証(体質)の分析を間違えて、余分な熱がこもっている人を冷えている人と間違えて判断し、本当は、余分な熱がこもっている人に対して更に温める漢方薬を処方し、そして生薬量が多かったり、濃度が濃いということは、更に温める。という間違いを増幅させる結果になってしまいます。

ちなみに「余分な熱がこもっている体質」の「熱」は「体が熱い」とか「熱がある」などの単純な症状だけでなく、全身の症状から総合的に判断しますので、病名や症状だけをあてはめて処方している漢方は、体質を分析していないのは、もちろんのこと、間違って処方していることすら、判断できていないと思います。

漢方薬で気にしないといけないのは、生薬量や濃度の濃さではありません。
その漢方薬に使われている生薬の「質」です。
食べ物と同じなので粗悪で、まずいものが、どれだけ、たくさんあったって、まずさが倍増するだけ。
モノの良さが重要です。

生薬の値段はピンキリで同じ生薬でも上質と下品では全然、金額が変わってきます。

そして、一般的に医療用の方が良さそうに見えますが、医療保険の漢方薬は薬価といって定価が決められています。
生薬は質が良いほど値段も高くなりますが実費の漢方薬なら定価を高くするだけで良いのですが、医療用は、それが法律で、できません。

企業は定価が決まっていて利益を出したければ、(原価)つまり生薬を安くあげるしかなくなってくるのです。
だから、僕は漢方薬の「質」は医療用ほど粗悪になるんじゃないかと上記の理由で思っています。
漢方の専門家としては一般の方と逆の考えですね。
実際に生薬の値段(仕入原価)が上がって、利益が出せなくなって撤退した漢方薬メーカーさんは何社もあります。
今、医療用で供給されている漢方薬メーカーさんも年々、薄利でキツくなっているとこぼしています。

漢方薬の効果を気にするなら「生薬量」や「エキス濃度」ではなく「質」ですね。
簡単に考えれば、要は天然の鯛などと同じで、漢方薬も安けりゃ悪いということです。
高いからいいとも限りませんが。コツは目利きと情報です。


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2016年02月10日

その人の体質に合わせた運動や漢方薬

なかなか痩せられない人にとっては身も蓋もない記事で、運動によるカロリー代謝は、やればやるほど消費するわけじゃない。というもの。

つまり、「運動すればするほど、痩せていくわけではなく、痩せるのは運動よりも食生活ですよ。食べなければいいんです」みたいなことが書いてあります。

この記事を読んで非常に人間の身体、そのものの性質のことを鋭く捉えている記事だなと思いました。

記事中では、
(記事から引用)
「運動レベルが中程度を超える人たちにおいては、運動量を増やしてもカロリー消費が増えにくくなる傾向が確認できたのです」
(引用ここまで)
とあります。

人間の身体って、やればやるほど変わっていくわけではないのです。
同じことを続けていても人間の身体は体内で自動でバランスをとっているので、だんだんと成果が出にくくなってきます。

実は漢方は、人間の身体のこんな性質を最初から理解している医学です。
漢方の治療は、体内のバランスをとることによって治します。

逆に見れば、いろいろな病気は東洋医学から考えると何か1つの原因でなっているわけではなく、いろいろな体内要素がギクシャクとバランスを崩している状態が症状となって現れているのです。

漢方の治療の目的は、そのギクシャクしたアンバランスな要素をパズルのように組み替えて、元の正しい位置や機能に戻す事です。

皮膚の炎症が湿疹の原因とか、ホルモン値が低いのが不妊症の原因とか、西洋医学で見てるような、そんな一部分の原因をなんとかしたら身体が治るほど、人間の身体は単純ではありません。

西洋医学のお薬は1つの原因に対して1つの効果を発揮することが多いので、全体のバランスを整えることができません。

だからといって、治らないから薬の種類をどんどん増やしていっても「体内のバランス」としては、ますます崩れていきます。

新薬は、元々、1つの部分を専門に治すようにつくられていますが、漢方薬は元々、複数の部分のバランスをとるように構成されています。

アトピーで皮膚の部分だけをステロイドで治療しても、ステロイドをやめれば、湿疹は復活します。

不妊治療でホルモン剤を使って妊娠する人もいれば、不正出血を起こしたり、無月経になる人もいます。
それは、体内のホルモンバランスをホルモン剤で崩しているからです。

漢方薬でも漢方をよくわかっていない先生は、この根本の東洋医学の理念をよくわかっていないので、複数の生薬と複数の役割の漢方薬を何種類も使って治そうとします。

これは、余計に体内のバランスを崩す結果となります。
なぜなら、原則、1種類の漢方薬で複数の部分を動かしてバランスを整えるように設計さrているからです。

根本的な治療というのは、総合的なバランスの問題なのです。

身体は常にそのレベルに応じた体内システムを構築します。
ずっと一定ではありません。
それが、さっきの「ある程度、運動ができる人は、それほど痩せない」のです。

そのレベルの時にはそのレベルの方法が必要です。
病気の治療も同じです。

体質は常に変化していきますので、その時のレベルに応じた漢方薬が必要になります。
フルマラソンを8時間で走りきる人は、毎日3km走ったって、代謝が高まったり筋力が上がったりはしないのです。
でも、運動がゼロの人は3kmを走り続ければ、最初の方は痩せます。
やがて記事にあるように効果がなくなります。

同じ治療をゴリ押しで長期間続けさせるのは、先生側からすると楽なのですが、治療でも運動と同じようにステージは変わっていくので、漢方の場合は、漢方薬をその時の体質のステージ合わせて変えていく必要があります。

以前、尋常性乾癬の方が医者から「これは大変な難病だから今の漢方薬を10年飲み続けなければ治りません」と言われたことがあるようですが、これは、とんでもないウソですね。

運動も治療も今の自分のステージを知って、それに適したプログラムや漢方薬が必要なのです。


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2016年01月21日

1日で複数の漢方薬を飲むことはリスクも伴う

漢方薬は1種類でも、その中に何種類もの生薬が含まれています。
例えば、葛根湯なら麻黄、葛根、桂枝、芍薬、甘草、大喪、生姜と7つの生薬で耕政されています。
アトピーのマニュアル漢方でよく使う消風散なら、石膏、乾地黄、当帰、牛蒡子、蒼朮、防風、木通、知母、胡麻、苦参、蟬退、荊芥と12種類の生薬で耕政されていて、これで1つの漢方薬です。

漢方薬としての働きだけでなく、細かくみていくとそれぞれの生薬にも、それぞれの働きがあります。
いうなれば、ちゃんこ鍋とかキムチ鍋って鍋としてみると全然違う特徴の鍋で、それを細かくみていくと白菜やらキノコやらと、いろいろな味の違うものが入っています。
鍋全体でもっている味と食材個々の味があるのですね。
漢方薬で考えれば「味=効果」といった感じでしょうか。

漢方薬は「気管支を拡げる」とか「炎症を抑える」といったような西洋医学の効果ではなく、麻黄という生薬なら身体を温めて温熱と発散を行い、身体表面の水の巡りを動かし、体力があるか、ないし病気の勢いが強い状態で胃腸の問題ないものに使うなど、その生薬の働きと使える条件等が細かく設定されています。

病院の薬と決定的に違うところは、生薬は良い効果だけがあるわけではなく平等に「変化」を与えるものだということです。
だから、どんな状態の誰が飲んでも同じように効きません。

変化を与えるというのは「良い」も「悪い」も変化を与えることなので、麻黄が合う状態でない人は、胃がやられて風邪が余計にひどくなる「毒」となり、逆に胃に問題なく高熱がではじめ、普段、虚弱でない人であれば、汗やオシッコを活性化させて風邪から早く治るようにしてくれる「薬」となります。

麻黄が「毒」か「薬」になるかは、ラッキーとか病気によってではなく、現在のその人の体質や状態と麻黄の力が合っているかどうかです。

だから、インフルエンザに麻黄湯という処方の方法は漢方ではありえません。
なぜならインフルエンザは体質ではなく西洋医学のただの病名だからです。
麻黄湯が合うか合わないかは、インフルエンザかどうかではなく、麻黄湯が治療として適している症状や状態をあなたがもっているのかどうかだけです。

話がちょっと横道にそれましたが、そんな感じで漢方薬は1つ1つの細かな働きや条件をもっている生薬が何種類も集まって1つの漢方薬を形作っています。

たまに1日で何種類もの漢方薬を処方したり合わせたりしていることがあります。

何種類かの漢方薬を合わせるのを漢方では合方といいます。
これは漢方の治療理論にある方法なのですが、とても気をつけないといけない諸刃の剣となる方法です。

なんでもかんでも漢方薬同士を合わせれば良いというものではありません。
気軽になんでもかんでも合わせちゃいけないのは、漢方薬は症状ごとに合わせたりするものではないからです。

通常は、身体全身の症状や状態を総合的に判断して、できるだけ1種類の漢方薬が選ぶのが望ましいです。

先ほど、お話したように漢方薬は1種類でも何種類もの生薬で構成されていて、それが絶妙なバランスで合わさって、人それぞれの体質に合わせることができます。

1つの症状は、体質を分析していく際の1つの情報の断片でしかないので、断片の状態で漢方薬を合わせるのは、何も考えずに適当に処方しているのと同じになります。

漢方薬は先にお話したように「誰にでも共通する一定の効果」というものはありません。
その人の体質によって効果が決まります。
冷えている人に温める漢方薬は薬ですが、余分な熱のある人にとっては同じ漢方薬が毒になります。

漢方薬は一定の効果ではないので、漢方薬を飲まれた後に体質と漢方薬の相性を見て良い効果だったかどうかを検討しないといけないのですね。

漢方では飲まれた後の状態の分析と検討が必須の医学なのですが、この時に飲んでいる漢方薬が複数だと、どの漢方薬がどのように良い方向で効いているのか?または悪さをしているのか?がわからなくなります。

だから、僕がやっている日本漢方では、合方はしますが、原則は1種類の漢方薬を選び抜きます。体質を分析し考えぬいて最良の1種類の漢方薬を選ぶのですね。ベストセレクションです。

1日で複数の漢方薬を一度に処方しているところは中医学という流派でされているところが多いのですが、中医学は中西合体といって西洋医学と漢方の融合を目指していて、思想的に西洋医学ヨリな感じがありますので、症状ごとに漢方薬を合わせていく傾向が強いように思います。
なので、症状ごとに漢方薬を処方すると1日で飲む漢方薬の種類は増えてしまうのですね。

ひどいところになると「不妊症には・・・この漢方薬のセット」とか「アトピーには・・・この漢方薬おセット」など、その人の体質どころか症状すら関係なく、相談する前から病名に対してマニュアルで漢方薬の複数の組み合わせを決めているところもあります。

合方というのは、実は漢方の中では、かなりの高度な「技」なので、初回からやたら複数の漢方薬を一度に処方するところは、症状ごとに合わせているか、実は全く漢方の医学理論を知らないでやっているか、マニュアルでしかやっていないか、いずれにしても東洋医学で最も重要な「体質」をみることはできないような印象があります。
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2015年01月20日

更年期障害に加味逍遥散?

病院はあくまでも「簡単マニュアル!」で漢方薬を扱いたいみたいですね。

不妊症なら23番の当帰芍薬散か106番の温経湯。
そして、更年期障害なら、24番の加味逍遥散!!

さっきの当帰芍薬散や温経湯と同じように、どこの病院も同じ処方。
マニュアルで楽して処方したいという気持ちはわからんでもないです。
しかし語弊があるかもしれないですが、漢方薬のおもしろいところは、東洋医学的体質に対して、漢方薬を合わせていくことだと思うのですが。

もうちょっと詳しく言えば「体質に合わせる」とは自分で「証」を立てて、それに基づいて体質を割り出し、その体質に合った漢方薬だと自分が考えるものを合わせていく。

なぜ「体質に合った漢方薬」ではなく「その体質に合った漢方薬だと自分が考えるもの」という表現になるかというと、漢方はある体質を割り出したとしても更に、その体質に対して、いろいろな種類の漢方薬が考えられるからです。

病名や症状に対して合う漢方薬という法則なんかないし、東洋医学的な体質を自分で割り出したとしても「その体質だったら、絶対にこの漢方薬を使わないといけない!」という法則もありません。
ある体質にもいくつも候補となる漢方薬が考えられ、それを決めるのは処方する自分なんですね。
マニュアルでしなければ、非常に自由と創造性の高い医学です。

実は漢方って「マニュアルで選ぶ方法」と真逆の思考で治療を考えないといけないものですね。
そんな東洋医学の法則を真っ向から無視して、マニュアルで選んでいく病院は、ある意味すごいなと思います。
でも実は、ツムラのマニュアルには「患者の証を考慮して投与する」と書いてあります。
だけど、その文章以外で「証」自体の説明は何もないので、まるっきりの建前でしょうが。

加味逍遥散もそんな犠牲になった処方ですね。
更年期障害=加味逍遥散。

そんなわけないですよね。
更年期障害って「証」じゃないから!
2千年間続いている漢方が、そんな素人びっくりの方法で、できるなら世話ないです。

漢方と西洋医学は本来は何の関係もないので、漢方に更年期障害という病名はありません。
漢方はあくまで東洋医学的な体質に対して処方します。

加味逍遥散は、ちょっと専門的な説明になりますが、更年期障害の薬でもなく、エストロゲンなどのホルモンの薬でもないです。
加味逍遥散は、日本漢方的な理論からいけば、胸脇の熱証、気滞の証、瘀血の証、虚証(中間証の場合もある)、やや水毒の証などの「証」がある人に処方するお薬です。

胸脇の熱証たらなんたら、とココを詳しく説明するには、いつもの記事3記事分位いるので、ざっくりと説明すると、余分な熱がこもっていて、それらが主に上半身にいろいろな熱関連の症状を引き起こしていて、気と血の巡りが滞り、体力がなく水の巡りの悪さもメインではないけど、若干、関連している体質の人。

漢方はあくまで体質に合わせますが、参考としてどんな病態の場合に使うかというと、自律神経失調症、慢性肝炎、肝硬変、胆嚢炎、慢性胃炎、胃十二指腸潰痕、慢性勝脱炎、原因不明の微熱、尊麻疹、不眠症、術後不定愁訴、慢性頭痛、咽喉神経症、神経性胃炎、神経性下痢、過敏性大腸症候群、腸脱神経症月経異常、月経困難症、不妊症、子宮内膜炎、肝斑、腰痛症、冷え性などです。

ここでよく勘違いされますが、この病気のどれかにあてはまったら加味逍遥散ではないです。
(病名だけだったら、他にも使う漢方薬はいくらでもありますから)
この方法が漢方家の間では悪名名高い「病名漢方」という、なんちゃって漢方の処方方法ですね。

こういった病気の人でなおかつ、さっきの胸脇の熱証、気滞の証、瘀血の証、虚証(中間証の場合もある)、やや水毒の証という体質だったら加味逍遥散使うかも!?というのが漢方理論の漢方薬の選び方です。

本格的な漢方の本には加味逍遥散が西洋医学理論であるエストロゲンホルモンがどうとかこうとか、そんなことは1つも書いていません。
「加味逍遥散は女性ホルモンを整える効果が〜」なんて書いてあったら、ニ・セ・モ・ノの本ですね。
残念ながら。素人の方に漢方に興味を持ってもらう読み物としてはいいかもしれませんが、治療としては、なんの役にも立たないファンタジーです。

ちなみに病名で漢方薬は選びませんが「ある病気にはこういった漢方薬を使うことが多い」という参考はあります。
それが下記のもの。
更年期障害だったら、漢方薬500種類以上から候補を考えなくても、この中から候補として考えるのはアリです。

★更年期障害でよく使われる漢方薬群
桃核承気湯、通導散、桂枝夜苓丸、温経湯、芎帰調血飲、当帰芍薬散、四物湯、帰牌湯、黄連解毒湯、温清飲 、三物責苓湯、甘草瀉心湯、半夏瀉心湯、清心蓮子飲、柴胡加竜骨牡嘱湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾萎湯
、加味謹選散、女神散、苓桂甘裏湯、桂枝加竜骨牡嘱湯、五積散、釣藤散、半夏厚朴湯、香蘇散、甘麦大事湯、抑肝散加陳皮半夏、真武湯。

この中を候補と考え、次は東洋医学的な体質の分析であてはまる漢方薬を絞り込んでいけばよいです。
体質を参考に絞り込む作業を漢方では鑑別と言います。
この中に加味逍遥散もありますね。更年期障害で使う漢方薬群のほんの一部ですが♪

この漢方薬群ですが、更年期障害の人に対して、たくさんの候補を考えれば考え出すほど、患者さんにとっては、良いことです。なぜなら体質は、人の顔と同じようにみんなそれぞれ違うから、候補が多ければそれだけ、自分の体質に合う確率も上がります。
しかし、それは治療者側にとっては、高度の技能が要求されます。
多くなればなるほど、1つに絞り込むのが難しくなるからです。

逆に考える漢方薬候補の数が少なくなれば、患者さんにとっては良くありません。
体質と漢方薬の相性が外れる可能性が高くなるからです。
治療者側は楽になります。
アレコレ選ぶ必要がなくなるからです。そして、漢方を知らない素人同然の人でも処方しやすくなります。
更年期障害=加味逍遥散のように。


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2015年01月16日

最強の漢方四天王!?

以前にやっていた漢方のテレビを結構、みんな(うちの患者さんという狭い範囲だけど)見ていたらしくって、あれから何人かに「先生が見てたら、きっと怒ってますよ」なんて言われました。

怒るどころか、うちに来られている方々がテレビなどの「なんちゃって漢方」を見て「笑える」と感じてもらえるのが嬉しいですね。
いつもマニアックに漢方の話をしているのが報われているように思います。
これからも「西洋医学風なんちゃって漢方」ではなく正統派で「伝統的な自然治療としての漢方」を伝えていけたらと思います。

それはさておき、医者も使ってるスーパー漢方薬という紹介があったようで、これを聞いて、しつこいですが、漢方のテレビからの刺激で記事をすすめていきたいと思います。

漢方薬の中には特に効果が期待できる漢方薬がある。という紹介だったらしいですね。
(テレビ見ないので内容は知りません)

ちょっと調べたら、葛根湯、芍薬甘草湯、五苓散、加味逍遥散。
この中で、なぜ、加味逍遥散なのか???という疑問はありますが、確かにどれも太陽病期(加味逍遥散以外)といって病気や症状の急性期に使うもので、特に効果があるというよりは、急性の症状で症状が単一でわかりやすい時に使うと「あっ効いた!」と確認しやすい処方群ですね。

漢方の中でも太陽病期や陽明病期という急性期に使うので、どちらかというと西洋医学の対症療法的な使い方をすることが多い漢方薬群です。
やっぱり、医者って対症療法が好きなんですね。
この中で加味逍遥散だけは全くこの中での共通項(東洋医学理論的に)がないので、加味逍遥散を効果が高いっていうんなら、他の漢方薬全種類を入れろよって思うのですが、多分、ウツとか、更年期とかの漢方薬として医者の間で今、加味逍遥散が流行ってるんでしょう。勉強会とかで知って、単純にそれで使い出したみたいなパターンって病院って多いので。

ちなみにここにある葛根湯ですが、漢方の世界では葛根湯医者という言葉があり、これはヤブ医者の代名詞です。大根役者みたいな感じですね。

その昔、葛根湯は肩こりのある風邪によく使うところから、肩こりに使ったり、その他諸々に使ったりと葛根湯しか使わない医者が出てきて、葛根湯しか使えない医者=ヤブ医者となりました。

実は葛根湯は実際にいろいろな体質に使えるのですが、どれも太陽病期(急性期)に使用するというのが前提条件です。
太陽病期に使う漢方薬というのは、葛根湯に限らずどれも薬性が強いです。(効果が高いのではない)
もしかしたら、テレビでは強い変化をあたえやすいから「特に効果がある」ということと勘違いしているのかもしれません。「変化」には悪い変化もありますから、体質と合っていなければ「特に効果(悪い変化)がある」とも言えます。

漢方の絶対法則は陰陽なので、体質との適合で特に「良い変化」と同じ幅だけ「悪い変化」もあるということですね。
なので、テレビを鵜呑みにして勝手に使わないほうがいいですよ。
うちの嫁さんなんて、ある症状を治す(テレビで紹介してたような使い方でない)のに五苓散を使ったら、次の日、まる1日、歩けなくなりましたから。

ちなみに店では、そんな激烈な使い方はしません。
もっと、もっと慎重に検討しますが、漢方屋の家族は患者さんの前の実験を経験しないといけない運命でもあるのです。。いつも僕の勉強のためにゴメン!

葛根湯からそれちゃいましたが、葛根湯にしても薬性が強いから変化がわかりやすいともいえるのですが、例えば葛根湯は蕁麻疹にも使います。
この時に慢性系の蕁麻疹や葛根湯に適合する体質でないのに葛根湯を使うと・・・

蕁麻疹が爆発します!!

これを世間では、めんげんとか、好転反応とか言って説明しますが、急性期でない蕁麻疹に葛根湯を使って、爆発するのはめんげんども好転反応ではもありません。

ただの誤治(体質を見誤った治療)です。
めんげんとか、好転反応なんて、滅多にありません。ほぼないと言ってもいいくらい。

漢方薬を飲み始めて、なんか強い悪い症状が出たら、まず誤治ったんだなと思っても差し支えないです。

それを、理論的に説明して、次の対処や漢方薬を考えずに「めんげん」「好転反応」とか言ってたら、「あーこいつ、漢方知らないわ」って思ってもらてもいいと思います。

僕は、急性でない慢性病で葛根湯を使ったことがあります。
それはフレグモーネっていうちょっと難儀な病気。

主に手足に炎症化膿を起こして、腫れたり、皮膚などが破壊されたりする病気なのですが、これの治療を始めた初めの2週間だけ、葛根湯を使いました。

治療のきっかけや変化をつかむために、あえて強い薬性の葛根湯を使いました。
もちろん、太陽病期の葛根湯は長く飲む性質ではないので、体を変化させるきっかけをつかんだら、すぐに次の漢方薬に変更しましたが。

こういう話を書くと、フレグモーネに葛根湯が効く。みたいな西洋医学風なんちゃって漢方の先生が大好きな病名漢方(東洋医学理的体質を見ないで病名だけで漢方薬を処方する)で処方しようとしますが、慢性のフレグモーネで体質も見ないで誤治ったら、目もあてられない惨状になると思います。

急性で使える漢方薬は変化がわかりやすいので、単純に効果として感じやすいですが、一気に悪くなる可能性も孕んでいるということです。
それが「陰陽」を絶対法則とする東洋医学(漢方)ですね。

どちらかというと漢方の得意な部分は慢性病の治療です。
慢性病の治療は、いろいろな部分のバランスをとっていくので、1つ1つの症状の変化はわかりにくくなりますが、そちらの方が安全でより根本的に治してくれる漢方らしいものです。

なので、僕は、今回の太陽病期の漢方薬よりも、慢性期に使う中間辺りの漢方薬が好きですね。

今回の太陽病期の漢方薬を自分の判断、もしくは漢方理論をわかっていなくて東洋医学的な体質を見ずに長期間続ける場合は、くれぐれもご注意あれ。

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2014年11月25日

漢方ジプシーさん

漢方ジプシーって言葉を知ってます?
僕は昔に、うちのメール相談にきた患者さんから、この言葉を教えてもらいました。
だから、こういう言葉が一般的に通用するのかどうかはわかりませんが、その時は言い得て妙だと思いました。

漢方ジプシーって、どう意味かというと、ネットとか本で漢方の事を自分で検索して、自分で漢方薬を選んで自分で漢方薬を買って飲む。そして、良くなったり、悪くなったりを繰り返して、いろいろなお店や病院で、漢方薬を飲んでいる人のことらしいです。

それが、なんでジプシーかというと良くならないから、病院や漢方薬を売ってる店を次々に渡り歩くからジプシーだそうです。
ね、なかなか言いえて妙でしょ!

その時はへぇ〜と思っていましたが、それから、うちにもよくジプシーさんが迷いこむようになりました。
この現象ってある意味、今のネット社会の弊害なんじゃないかと思いました。

この前はこのブログの記事で、現代は知識的な情報はGoogle先生がいるんだから、医学知識だけ詰め込んで患者一人一人の体質をみれない医者は時代に取り残されるんじゃないの?ってのを書いたのですが、
医者は今の時代に取り残されてるように感じる。
漢方ジプシーさんの場合は、それとは逆のGoogle先生の知識による弊害ですね。

今やGoogleでなんでも検索できます。
だから、漢方の事も検索してみようってことですよね。
漢方の事だって、何かしら答えが出てきます。
そしたら、自分でそれを見ながら、自分に合ってそうな漢方薬を選べます。
気分は漢方家!

前回の記事でGoogle先生がいるんだから、知識に相当する部分なんて、例え、よく勉強した医者でも教えてもらう必要なんかない。Google先生の方が遥かに知っています。と言いましたが、これって厳密にいうと、前提に生理学や病態生理、薬理学の基礎的な考えを把握していないと、いくら検索で答えが出てきたところで実は理解できません。断片的な知識がバラバラに集まるだけ。

僕は、師匠の外科医の先生から生理学や病態生理、医学論文の読み方や臨床試験の見方などを教えてもらったので、西洋医学の膨大な「知識」は詰め込んでいませんが、それを理解するための考え方やノウハウは持っています。
だから、ネットでチョコチョコと西洋医学の「知識」を検索すれば、すぐに答えが見つかります。

しかし、前提になる考え方すら知らない人が、効きそうな薬や自分の病名っぽいものを調べても、その情報は役に立ちません。
いわば、膨大な情報から偽物を除けて、本物の情報に辿りつく、ガイドとなる考えやノウハウが最低限必要です。
そのガイドになるのが、西洋医学で言えば、生理学や病態生理学、薬の薬理学です。
人間の体はどういう風に食べ物を消化するのか?
胃痛はどうやって起こるのか?
薬は化学的にそれをどうやって治すのか?
体の細かな部位の名前や薬の名前は調べればいいですが、この考えや流れは、なんとなくでも理解していないと、何をどう調べればいいのかわからないし、また根元の調べ方が間違っていたら、ただ単に間違った知識が増えるだけです。

漢方ジプシーさんになる問題は、正にコレです!
漢方ジプシーさんになる人は、漢方薬は自分の症状や病名にあてはめていけば、いいと考えているようです。
残念ながら、この問題って、漢方ジプシーさんが悪いわけではないかもしれません。
なぜなら、大半の病院が、漢方ジプシーさんと同じように、病名や2,3症状だけをあてはめて漢方薬を処方しているからです。

「まさか、病院がそんなテキトーな方法で処方しているはずがない!」
誰でも、そう思いますよ。でも実際に、そんなテキトーな方法で処方されているようです。
だったら「医者がそんなやり方やってんだから、漢方薬選ぶのって素人の私でもできそう!」って思ってもしょうがないかも。

ネットで調べて、自分で漢方薬を選ぶ方法には、3つの問題があります。
まず、病名は西洋医学のものであって、漢方の世界では東洋医学的な病名があり、それは西洋医学とは異なります。当たり前ですが。
だから、病名で選ぶ方法は漢方にはありません。

2つ目は漢方は2、3の症状をあてはめて選びません。
素人の人が自分に合っている漢方薬を調べる場合は、大概、自分の気になっている症状を2、3ピックアップして、それに合致しそうな漢方薬を調べます。
でも、漢方は全身の症状や状態を調べて、そこから体質を分析し、体質に合わせて処方します。

冷静に考えてみてください。
人間の症状なんて、それほどバラエティーに飛んでません。
インフルエンザもエボラ出血熱も症状だけで言ったら、死ぬ直前までは頭痛、発熱・・・みたいに同じなんですよ。

女性の悩みの症状も大体が、手足の冷え、月経時の頭痛、それに胃もたれが加わったりと、人間の症状なんて、それほどバリエーションがありません。どれも似通った症状なんです。
だから、症状だけあてはめたら、とんでもない数の漢方薬が自分に合っているかのように感じます。

「えっ私は自分の症状に合っている漢方薬を見つけましたよ」

それは、ネットや本などに書いてあるのは特徴的な症状のみだからです。
合っているのを見つけたのではなく合っているように思えただけ。
逆にいろいろな漢方薬を知らないから選べるのです。

自分の症状も漢方薬の種類も、あらかじめ限定して見ているからです。
全身の症状を自分で出して、候補になる漢方薬も、30種類ほど、なるべくたくさん出してきて選んでみてください。
体質判断なしには、絶対に選べないから。

僕は大体、1つの病気などで30種類の漢方薬を候補として考えますが、これが5種類とかだったら、なんとなく選べます。
しかし、候補になる漢方薬が少なくなるということは、自分に合った漢方薬の可能性も狭めているということです。
「でも、私は自分で選びましたよ。」
選べたように思えるのは、ただの自己満足かもしれません。

なによりも大問題は、その見ているお手本のサイトが、合っているかどうかわかりません。
僕はこの業界に長いこといますが、病院も薬局も含めて、体質を導き出して東洋医学的に治療できるところは、ほとんどありません。

実際に、僕みたいな記事の内容を書いているとこなんてそうないと思います。
ということは、お手本と思っているサイト自体が間違っている可能性があるのです。

漢方の知識を詰め込む必要はないですが、せめて、東洋医学の生理学や病態生理学、体質学、薬理学の考え方位は把握していないと、ネットをチョコチョコ見た位でできるわけないですよ。

病院も素人の漢方ジプシーさんと同じような感覚でやっているところが多いように思います。
うちの患者さんから、よく聞きます。
ぜひ、患者さんの手本となるよう1つの医学としてやっていただきたらなぁ〜と思います。


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2014年11月04日

漢方薬を飲み始めてから調子が悪いのは気のせい?

うちでは、特にうちで治療していくという状況でなくても、漢方に関する質問などにお答えさせてもらっています。(うちで治療している方が優先なので場合によっては、お答えに時間がかかることがありますが・・・)

そんな中、一番、多い質問が病院で23番の当帰芍薬散や24番の加味逍遙散などのなんらかの漢方薬を処方してもらったけれど、飲み始めてから胃が痛くなったり、むかつきが出たり、むくみが強くなったりし始めたけれど、これは気のせいでしょうか?という質問です。

要するに、この前、病院で処方してもらった漢方薬を飲み始めてから副作用らしきものが出ているといったもの。

漢方薬の副作用については、このブログで何度も書いているので内容が、かぶる部分も多いかもしれませんが、今一度、まとめて、この質問にお答えしたいと思います。

まず、前提としてご理解いただかなくてはいけないのは、漢方薬の副作用と病院の新薬、つまり皆さんが普段飲んでいる薬の副作用は、副作用の考え方が全く違います。

病院のお薬の副作用は薬として承認される際にいろいろな臨床実験を行って、何人かに一人、●●の副作用が出るといったものが発見されていて、副作用となるかもしれない症状などがあらかじめ、わかっています。

しかし、そういった症状等はわかっていますが、どんな人がどんな状況だったら副作用が起こるのかはわかっていません。
ただし、明らかに肝臓病など、他の病気を患っていたり、何か他の薬との飲み合わせなどでハッキリとわかることもありますが、その薬単体で他の病気もない場合は、その薬に副作用が存在していることはわかっているのですが、
「どんな体質だったら副作用が起こるのか?」
「どんな状況だったら副作用が起こるのか?」
それは医者にもわからないのです。副作用が存在していることがわかっているだけで、まー簡単に言えば運みたいなものですね。

同じ、病気で同じ薬を2人の人が飲んで、Aさんには副作用がなく、Bさんに副作用があっても、なぜBさんは副作用があったのかは明確に説明できないのです。

漢方薬の場合の副作用は全く意味合いが違います。
新薬の副作用は、元々、良い作用とダメな作用が存在していて、まれによくわからないけど、ダメな作用になることがある。といったものですが、漢方薬はそもそも、良い作用とダメな作用とに別れていません。

漢方薬は体質に合わせて処方します。
漢方薬の目的は病気を良い効果で治療するのではありません。

簡単な例えですが、手足が冷えている人を治すには温補といって、温める作用の漢方薬を使います。(実際には温める効果1つではなく、もっと複雑ですが)
これは冷えている人にとっては、治療薬ですね。
効果も、この体質の方にとっては、良い効果です。

ところが、手足の冷えがなくのぼせ気味で汗をかきやすいなど、僕のような熱証とよばれる熱がたまりやすい体質の人にさっきの良い効果だと思われる漢方薬を処方するとどうなるでしょう?

冷えている人を「温かさ−3」としてこの温める漢方薬を「温かさ+3」としましょう。
そうすると差し引きゼロ。東洋医学でいうところの中庸な健康状態です。

ところが、僕のように冷えがなく熱がたまりやすい状態の人を普段は「温かさ+3」としましょう。
そして、温める漢方薬「温かさ+3」合計で「温かさ+6」で倍になります。
温かさもいきすぎると熱になります。
漢方の場合は、熱がそのまま体温で上がる熱だとは捉えません。
熱の症状としては、のぼせ、不眠、手足のほてり、耳鳴り、頭痛などいろいろとあります。
これって副作用ですね。

AさんもBさんも同じ種類の漢方薬ですが、Aさんにとっては副作用のない漢方薬。
Bさんにとっては副作用しかなかった漢方薬です。

漢方薬って、新薬のように誰にでも良い効果があって、誰にも副作用がある。といったような理屈はありません。

元々、良い効果や悪い効果(副作用)があるのではなく、ただ変化を与える薬なのです。
その変化は、体質と合っていなければ結果的に副作用となります。

体質とあっていないものを選べば、何百種類とある漢方薬が、ことごとく副作用の可能性があるわけです。

病院で処方された漢方薬を飲み始めた場合に何か副作用らしき症状が出てきた場合、その漢方薬自体がどうかよりも、自分の体質と漢方薬が合っているかどうか?が問題なのです。

この時に副作用かどうかを判断しようと思ったら、次の条件がないと検討することが不可能です

@現在の東洋医学的な体質(西洋医学の問診ではない)はどんな体質なのか?

Aその体質に対して、どんな漢方薬を合わせたのか?

この2つの要素がわからないと副作用かどうかを判断できません。

そして、大半の病院では、漢方薬を処方する際に東洋医学的な体質を判断する問診をとらないで西洋医学の病名や西洋医学的な考え方の症状をあてはめてマニュアルで漢方薬を選びますので、体質がわかっていません。

体質がわかっていないから、それに合わせる漢方薬も選べません。
真の漢方薬の副作用は「漢方薬と現在の東洋医学的体質と合っているかどうか?」でわかりますので、この2つともわからない方法で処方している病院の漢方薬では、どっちなのか全く判断できないということです。

なので、うちで副作用かどうかを判断するためには、東洋医学的な体質判断する体質判断表に入力してもらっています。

体質判断表

要するに初めに東洋医学的な体質判断がなければ「何も判断できない」ということです。
病院で東洋医学的な判断なしに処方された場合は「良くなるのも」「悪くなるのも」「何も変化がない」のも全部、「運」で考えるしかないです。
治ったらラッキー!副作用が出たらアンラッキー!
(病院が取得できる漢方薬の臨床データで判断する人がいますが、東洋医学的な体質を判断せずに西洋医学的な理論でとられた臨床データなど漢方治療と関係のない別ジャンルです)

ただし病院であろうと薬局であろうと東洋医学的な体質を判断してから漢方薬を選んでいる先生だったら、僕に聞かないで、その先生に聞いたほうがいいです。
漢方薬はさっきのように決まった効果ではなく、処方した先生の弁証(治療方針)で治療しますので、例え、副作用的な症状だったとしても他の先生は口出しできません。
その先生が副作用的な症状が起こっているのはなぜなのか?漢方的にビシッ!と答えてくれます。

うちでは、体質判断表に記入して送ってもらえれば、基本、他人の弁証に口出しはできませんが、うちだったら、こう考えるというお話はさせてもらっています。


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2014年09月10日

なぜか理屈通りに効かない漢方薬達

補中益気湯、麦門冬湯、消風散、不妊症の当帰芍薬散。

これらは、僕の8年間の漢方相談の経験上、効かない処方の部類に入ります。
ところが、なぜかこれらは、病院でよく処方する漢方薬なのですね。

別に僕が病院嫌いだからといって、それに反発して病院で処方する漢方薬は効かないって言ってるわけではありません。
そもそも、ほとんどの病院は患者さんの東洋医学的な体質を見ずにマニュアルで漢方薬を処方していることが多いので、どの漢方薬を処方しようが効かないほうが多いと思います。

そういう話しではなく、長らく漢方に携わってきたけれど、なぜか、これらの処方って本に書いてあるような反応を引き起こさない感じがあるのです。

特に不思議なのは、不妊症に当帰芍薬散です。
これは漢方のどの本にも不妊症にはよく使うとあります。
ま、これも、古典などから厳密にみていくと、不妊症というよりも「妊娠した後の安胎に使うべし」的に書いてあるのですが。

でも、遠からず不妊症には使うものだと理解していました。
しかし現場でいろいろな人の体質をみていると当帰芍薬散を使う体質の人がいないのです。

さっきもお話しましたが、あえて避けているわけではありません。
うちの場合は、不妊症なら当帰芍薬散とか、温経湯など病院がやってるようなメーカーから貰ったマニュアルを見て処方せずに全身の症状をお聞きして、東洋医学的な体質を判断して、それに合った漢方薬をお選びします。

不妊症に当帰芍薬散みたいな情報は僕も持っているのですが不妊症という病態的なものでなく、純粋に、その人の体質でみていくと当帰芍薬散にあてはまる人が出て来ないのです。
ちなみに温経湯に当てはまる人もいません。
どちらも年に3人ほど適応の人がいれば多い方ですね。
それくらい当てはまる人がいません。

しかし、にきびや腰痛などでは当帰芍薬散を使ったりはします。
それらも「純粋に体質だけをみていったら、そうなった」という感じです。
僕がみている体質の中で不妊症の人になぜ当帰芍薬散の合う体質の人がいないのか謎です。

ただ、ただ、純粋に体質をみていたら、そんな人がいないと言う感じです。
大昔の処方ですから、やはり不妊症の治療ではなく安胎ヨリなんでしょうか。

当帰芍薬散は温補、補血、利水の処方です。
温補は温める役割、補血は血を補う役割、利水は水の巡りを整える役割。
温補、補血なんて不妊で悩んでいる人なら、大概ありそうですが、当帰芍薬散には「気」系を整える部分がありません。

だから、ひょっとしたら現代は「気→女性ホルモンバランス」などが強く関わっているので、当帰芍薬散の体質がいないのかもしれませんね。

補中益気湯なんて6年間の中で使ったのは2人だけ。
しかも1人は脱肛。
補中益気湯は虚証と虚熱の方に使うものです。
ざっくりとしたイメージで言えばお年寄りのばあちゃんで体力がすごく衰えていて疲れたり、夕方になったら微熱が出るようなタイプです。
いわば老人ヨリの処方です。

補中益気湯は効かないとはいいませんが、なんか効き方が穏やかなドリンク剤的な感じがします。
補中益気湯は中国の元の時代に病気に対抗するには、脾胃(消化器全般)を補うことが肝要であると考えた李こうが創薬したものです。

漢方薬の基本理念は全身のアンバランスを整えるものというバランス理論が基礎となっているので、こういった病院の薬効的な、体質を考慮しない効果を全面に出している偏った作り方が、効かない影響なのかもしれません。理論倒れ感がハンパないです。

根本的な治療感がないのですね。
「疲れはとれるけど、また戻る」みたいな。

麦門冬湯、これも理論倒れな感じです。
感単に言えば老人の咳に使います。

咳だったら→麦門冬湯と単純に出してる人はちょっとヤバイと思います。
漢方的に厳密にみたら上焦の燥証、気の上衝、虚証という証の組み合わせの体質に合います。
合うと書きましたが、僕は麦門冬湯を効かせた例は8年間で1例のみ。
その方は肺炎の方で3日後に劇的に治りましたが、それっきり麦門冬湯の適応の方は現れていません。

それっくらい使いません。
うちの相談で老人が少ないというのも関係しているのかもしれません。
通常、咳は急性が多く、急性で咳が起こった場合の大半は漢方では上焦の熱証になります。

上焦の燥証とは熱証が更に深刻になったケースです。
漢方ではより深くなったと考えるのですが、虚実などの体力的観点から熱証が燥証までいくのは元々、乾燥感を持ちやすい老人か、長期間の咳だと思うのです。
なので、証の構成バランスから見ると非常に中途半端な処方に見えます。

そして、消風散。
アトピーに消風散と言われる位のものです。

逆にアトピー以外に何か使えるの?って聞きたいくらい。
漢方薬は同病異治、異病同治といって、同じ種類の病気も違う種類の漢方薬で治るし、違う種類の病気も同じ種類の漢方薬で治るという原則があります。
要するに「漢方は体質をみるのであって、病名でみるのではないよ」ということですね。
この漢方の★原則★は病院にとっては耳が痛いですね。

という原則からすると「アトピー=消風散」というのは新薬ノリですね。
漢方的には上焦の熱証と燥証という適応体質がありますが、応用範囲がなく、使うのはアトピーのみです。そういう意味では、非常に漢方薬らしからぬ処方です。

んで「汚らしい湿疹に使う」みたいな病院の病名漢方みたいな身もフタもない感じの説明なんですが、ちょっとひどい感じのアトピーの方に漢方初心者の頃に多数、試したことはありますが、1mmもよくなった試しがないので、僕の中では半ば封印気味ですね。悪い意味で禁じ手。

そんなわけで、手前勝手な考えですが、補中益気湯、麦門冬湯、消風散、不妊症の当帰芍薬散は効きません。
じゃあ、なぜ、病院では使われるのか?
それは病院は体質を一切、みないからじゃないでしょうか。
それに誰にでも効きそうな平均値をとれば、こういったわかりやすい処方になるのかもしれません。
でも漢方薬は平均的な考えは通用しないと思います。
あくまでお一人、お一人の状態や状況に合わさないとダメです。

漢方では誰にでも効きそうなものは、誰にも効かないのです。


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2014年07月04日

消風散って、ほんっと効かないわ〜

消風散って漢方薬があります。
マニュアルでしかできない先生なんかにとってはアトピーの聖薬みたいなやつです。
アトピーには、コレしか使ってない先生もいるくらいです。
逆に言えば、教科書系のベタベタなアトピー漢方。

僕はこの処方が嫌いです。
なぜなら、ほんっっっと信用できないヤツだからです。

漢方薬を「ヤツ」という呼び方をするには理由があります。
僕なりに。

日本漢方は、方意、方格という考えがあって、それぞれの漢方薬にはそれぞれの性格があるという考え方があるのです。

一般的にいう薬の効果が日本漢方の漢方薬では方意、方格にあたります。

漢方薬の場合は、その漢方薬の大きく捉えた部分での基礎的な効果というものはあるのですが、これが新薬と違って誰に使っても同じ効果とは限らないのです。
効果自体は初めから、いくつかの複数の側面をもっているのですね。

元々、複数の方向性の効果をもっていて、合わせる体質や方針によって、その効果を選択するといった感じ。
わかりにくいか。う〜ん、説明が難しい。

とにかく、新薬だと下痢止めは下痢を止めるという1つの効果ですが、漢方薬の場合は例えば、葛根湯なら、風邪の「体質」の時は「発熱の後の解熱効果」となり、蕁麻疹に使ったら「湿疹を出させた後に湿疹をなくしていく」という効果になります。

だから体質に応じて選ばないといけないのですね。
葛根湯=風邪 だけの効果ではありません。
効果にいろんな側面があります。

漢方薬ってこんな性質なので、僕は漢方薬って僕と一緒に治療してくれる、いろいろな性格の「人」みたいなイメージがあります。

僕がアニオタだから、擬人化してるんじゃないですよ・・・
人って基本的な持って生まれたというか本質的な性格ってあるじゃないですか、でも、友達とか、恋人とか、会社の上司とかで態度や行動が変わりますよね。

この友達とか恋人、会社の上司というのが、患者さんそれぞれの体質です。

漢方薬も基礎的な性格(効果)はあるのですが、対する人(患者さんの体質)でいろいろと性格(効果)を変えちゃうのですね。

病名や症状だけで体質を考えないで漢方薬を処方するのは、恋人を「●●ちゃん」っていう個人でみないで「恋人」というジャンルに合わせている感じですね。
これでは合うわけがありません。
なんか、話しがどんどんソレていってますが、要するに僕は消風散というヤツが苦手で嫌いなんです。

こいつは本当に信用できないヤツです。
「アトピーのあの人、治してきて!」
と頼むと、ものすごいいきおいで「まかせとけー!」って飛んでってくれるのですが、これが実際は全然、なんにもしてきてくれません。

平気で「ダメでした!テヘペロ!」みたいなこと言ってるように見えます。

消風散の方意、方格が狭いということもあるかもしれません。
要するに効果の種類や応用が少ないということですね。
狭いということは、いろいろな体質の人に対応できるという感じじゃないのです。

消風散の設定が「身体が暖まると悪化する傾向の湿疹に使う」とか「長期にわたり治る傾向のない湿疹に使う」とか「分泌液が出ていて、赤くそこらじゅうにある湿疹に使う」とか、それって、アトピーが治らないって悩んでいる人、みんなじゃないかーーーっ!ってツッコミたくなるような設定。

あっ!でもそれだから、教科書的なべたべたマニュアル処方なのかもしれませんね。

アトピーの人、みんなに当てはまる処方なら全部これで解決しそうなもの。
ところが、これが効いたのって、僕は過去に2人。

それも初期だけパァーって効いて、1ヶ月位たってきたら、まだ全然、治ってないのに「もう治すの飽きた」みたいな感じの効き方なんですね。

だから、治すのに飽きやすく、効果も口ほどでもない消風散君は僕は仕事のパートーナーとしては嫌いなんです。

消風散の生薬の処方構成がご都合主義っぽくシブサのないところも僕が嫌いなところかもしれません。

ただし、本格的に漢方をやってる先生が使う処方って漢方薬との相性とかクセとかあるから、みんながみんな使いにくい処方かどうかはわかりませんが。


posted by 華陀 at 18:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月05日

漢方治療の具体的方法(表と裏)

ほとんどの病院は漢方を医学的に知らないので、病名や症状だけを合わせてマニュアルで単純に漢方薬を選んでいますが、漢方って本来、そんな単純な治療ではありません。

漢方には、いろいろな治療方法のテクニックがあるのですが、今回はその中の1部の治療方法を紹介したいと思います。

「そんな専門的な治療方法なんて知ってどうするの?私は医者じゃないよ?」
実は漢方薬を選んでもらう患者さん側でも、治療方針がどこに向かっているのかを知っておく事は重要です。

なぜなら、漢方薬は自覚症状で診断し自覚症状の変化で体質を分析するのです。
だから、漢方薬がどう治していくのか?症状を変化するのかをあらかじめ知っておけば、漢方の先生とスムーズに相談が進められるようになります。

あっでも、漢方の医学理論をわかっていない病院や薬局の場合は気にする必要はありませんよ。どうせマニュアルで処方を繰り返すだけなので、処方する先生側も患者さん側も深く考える必要はありません。

漢方治療の1つの治療方法。
漢方では表裏という考え方があります。
表というのはおもての病やおもての部分。裏はうらの病やうらの部分。

漢方の言葉の捉え方というのは絶対的な意味合いではなく、その他の組み合わせや状況などによって相対的に変わるのが特徴です(この部分を説明するのが難しいです)

表の病とは皮膚や身体上部、また六病位の太陽病などの病気の初期は表の病が多くなります。

裏の病とは内臓や身体下部、また六病位の太陰病などの病気の慢性期は裏の病が多くなります。

表とか裏というだけで、これだけいろいろな意味合いを含んでいるのですね。
ま、それはおいといて、表裏の病って区別して治療しないといけない場合があるのです。

例えば、湿疹が急激に悪化し手足や顔に出て来た状態で湿疹の根本的な原因が消化器に合った場合、これってどっちも一辺に治療することが難しいことがあるのです。

漢方は基本的には、全身の状態から体質そのものを分析し、根本的なところから治すことを目的としていますが、体質によってはこういったケースが出てきます。

この場合、根本的な原因である裏の病を治療するには、身体の深い部分に効かせるために比較的、穏やかで時間のかかる漢方薬を使います。

つまり、この治療自体が、表面の症状の邪魔になるのです。
顔や手足で急激に悪化した湿疹は、すばやく対処する必要があります。

この場合、裏で使うようなじっくりと効くような漢方薬は正反対の効果になってしまいます。

そこで、治療戦略として、2つの治療として分けて考えます。
そして、この2つの治療は時期も分けて考えるのです。

つまり、急がないといけない表の状態を先に対処して、裏の病を後回しにするのです。

この場合は、手足と顔に急激に出た湿疹を治めることだけに集中するのですね。
それを比較的短期間でやってしまうのです。

その代わり、この治療期間は裏の根本的な原因は切り捨てです。

さっき、患者さんもこういった治療法則を知っておいたほうがより良いといったのは、このことです。

根本的な原因は胃の不調や軟便だったりした場合、表の湿疹に集中させると、その裏の部分は変化がないのです。

だから、他の症状に変化がなくとも、何も治療が進んでいないと考えてはいけないです。
そこは処方してもらっている先生と症状の変化を確認しながら治療をすすめてください。

「それだったら、初めから湿疹だけに集中して続ければいいんじゃないの?」
なんて思いました?

もちろん、初めから湿疹のみに集中しなおかつ変化の早い表の漢方薬を使うこともアリだし、それを続けることによって治ることもあります。

しかし、長期間の病気の場合は、まず本当の原因は身体の深いところにあります。
だから、表も裏も両方を見ていかないといけないことも結構あるのです。

ただし、これらの治療は体質から見て治療できる先生だけに限ります。
西洋医学と同じように「これが湿疹をなくす漢方薬」とか「これが頭痛の痛みを止める漢方薬」とか単純かつ短絡的に漢方薬の効果を捉えて処方している先生もいますが、その場合は、そもそも体質自体を分析していませんので、患者さんの方でもこんなことを知っておく必要はありません。

気楽にいつかラッキーで治るかも♪的な感じでいいんじゃないでしょうか。


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2014年05月20日

漢方薬の数だけ、体質の種類があります。

漢方薬は、とてもたくさんの種類があります。
基本処方だけでも何百種類もあると思います。

新薬もたくさんの種類がありますが、新薬の場合は全く同じ薬でも販売する製薬会社によって名前が変わったり、効果は同じだけどジェネリックで名前が変わったりするので、同じ効果の薬に何種類もあるように見えるので、余計にたくさんあるように見えます。

新薬は治療原則というか効果の原則というものが、1つのターゲットに対して1つの効果のものを合わせます。

痛みがあるなら「痛み」という1つのターゲットに対して「鎮痛効果」という1つの効果のものを使います。
だから、胃もたれもあれば、それは違う薬が必要になります。

ほとんどの新薬は1つの薬で複数の効果を発揮することはありません。

しかし漢方薬は違います。
漢方薬はいろいろな症状、さっきので言えば、痛みも胃もたれも、プラス足の冷えも、憂鬱な気分も全身の気になる症状や状態、全部ひっくるめて、それを分析して1つの体質に診断し直して1つの体質に1つの漢方薬を合わせます。

ちなみに病院がやってる漢方処方は、全身の症状を聞き出す時間もないし、たくさんの症状を1つの体質に診断し直す知恵も知識もないので、しかたがないので新薬と同じノリで病名や2、3の症状だけ、あてはめて漢方薬を処方します。

ちょっと、話しが飛びましたが要は偽物でない漢方医学では、
「この漢方薬は●●の効果がある」ではなく、
「この体質を調整するものが●●の漢方薬」です。
となります。
だから「あなたの体質=漢方薬」なのですね。
漢方では体質の分析が終わった瞬間に漢方薬も決まっているといった感じです。
逆に体質判断ができなければ「あなたに合った漢方薬は永遠に決まらない」ということ。

当然、人間は顔や体格を見ればわかりますが、誰一人として同じ人はいません。
家族は似ていますが、それでも全く一緒ではありません。

外見は同じだけど、身体の中は一緒?
そんなわけありませんよね。

足が冷えやすい人、僕みたいに年中、足が温かい人。
少し食べたら胃もたれする人、ものすごく食べても胃もたれ1つしない人。

やっぱり、身体の中の状態も人それぞれ、みんな違います。

漢方薬が何百種類も必要なのは・・・
「もう言うまでもありませんね」

漢方薬は病名や症状に合わせるのではなく、病名や症状を漢方医学的に分析し診断した体質に合わせるのです。

体質はみんな違うので極端に言えば、人の数だけ必要なのですね。
だから何百種類と必要になります。

しかし、外見と少し違うところは、身体の不調になるパターンというのは、外見ほどの微妙な違いではないのですね。

それでも何百種類とありますが・・・。

今の漢方薬って何千年前に考えられたものなんです。
その何千年の歴史の中で消えていった漢方薬もたくさんあります。

たくさん、消えていったハズなのにそれでも、まだまだたくさんあるのです。
歴史の中で消えていった漢方薬はなぜ消えていったのでしょうか?

答えは簡単!
使われないから。使われない漢方薬は消えていく運命です。
そう、漢方薬の世界は厳しく、結果を残さなければ消されていくのです。

そんな歴史を踏まえて、まだ何百種類も残っています。
現代でも、それだけの体質の違いがあるのですね。

漢方はいかに体質を分析していかないといけない医学であるかということです。
現在医学もどきのマニュアルで漢方薬が処方できるほど漢方の歴史は浅くないですね。
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2014年04月03日

小青竜湯は花粉症の薬ではありません

なんか病院では花粉症だったら小青竜湯を出すらしいです。これ一択で。

小青竜湯が花粉症の薬だと勘違いしている医者がいるみたいですが、漢方薬は体質に合わせるものなので ”花粉症=小青竜湯” なんて法則ありません。

花粉症の症状はみんなある程度、共通かもしれませんがその上で元がどんな体質かを加えて考えるのですね。そうすると同じ花粉症の人でもみんな漢方薬の種類が変わってくるのです。

僕も時々、医者の頭の中みたいに単純な発想で漢方できたらラクだろうなぁ〜〜って思いますよ。
ま、それじゃあ、僕はラクだけど患者さんは治りませんけどね。

そもそも、なんで病院では小青竜湯で花粉症を出すようになっているのでしょう。

漢方薬って体質に合わせますが、体質を分析するのに自覚症状という情報を使います。
そのときに小青竜湯には小青竜湯に合う人の特徴的な症状として ”くしゃみと” と ”鼻水” があるのですね。

漢方をよくわかっていない時期はいろいろな症状やその人の生活環境、過去の病歴など、いろいろな要素をまとめて1つの ”東洋医学的体質” というものを自分で考えることができないので漢方薬ごとに設定されている特徴的な症状から漢方薬がその人と合ってるんじゃないかと考えがちなんです。

僕も漢方を勉強したての3ヶ月目頃はやってました。
勉強しだして半年もしたら、そんな幼稚な分析からは卒業しましたが。

とにかく漢方をよくわかってないけど、ちょびっとわかりはじめた!
みたいな時に ”漢方薬ごとに設定されている特徴的な症状” を使って漢方薬を処方するのです。

そしたら小青竜湯が合う体質の人の特徴的な症状は ”くしゃみと” と ”鼻水” じゃん!
で「花粉症 → 小青竜湯」みたいな単純思考によって導き出されるのですね。

病院は漢方薬をちゃんと選びだすために体質を分析してその体質を分析するためにわざわざ、東洋医学的な問診をとるなんて時間がありません。
なぜなら次から次へと患者さんがきますから。

うちで問診表を書いてもらっている時間が記入だけで早い人で15分。
その後、症状をただ「あるか?ないか?」でみるわけじゃないので、その症状1つ1つに対していろいろ質問を変えながら体質を分析するために詳しく聞いていきます。
それに早くても15分。

僕は体質分析と漢方薬を選ぶのは症状の確認をしながら並行して頭の中で処理しますので、それに時間がかかりませんが、これは漢方の医学理論が頭に入っていなければ、漢方薬探して、それを患者さんに説明するのに合計で15分くらいかかるんじゃないでしょうか。

つまり病院で本気で漢方相談したら1人に45分位かかっちゃうわけですよ。
無駄話なんて一切なしで。全部治療に関するための時間です。

病院でこれやったら、その病院は24時間営業にしても追いつきませんね。
今は5分で終わってるのにそれが45分。
9倍かかるわけですよ。

そしたらそんなことはやってられない。
病院はジャンジャン右から左に患者さんをさばいていかないくてはいつまでたっても仕事が終わらないのです。

そしたら「花粉症だったら漢方薬で丁度、特徴的な症状に ”くしゃみと” と ”鼻水” に対応する処方があるじゃん!」となって体質もロクに見ないでテキトーに漢方薬を使うのですね。

この特徴的な症状って他の漢方薬にもあります。

例えば葛根湯。
葛根湯は ”項背のこわばり" というものが葛根湯がもっている特徴的な症状として設定されているのですが、これを簡単便利にする西洋医学では単純に ”肩こり” にしちゃいます。
なんでも勝手に簡単にする西洋医学の単純思考魔法ですね。
「ステロイド塗っときゃ、そのうちアトピー治る」みたいな。

でもこれって風邪で肩こりある人は葛根湯ってことになります。
日本人の7割以上の人が肩こりを感じているといわれています。
肩こりあるかないかって聞いたら女性はもっと割合高いんじゃないでしょうか。

となると風邪をひいたら、みんな葛根湯のみということですね。
そんなわけなーーーーい。風邪の漢方薬なんてたくさん種類がありますよ。

漢方薬に設定されている特徴的な症状って「その症状があればその漢方薬だよ」って言ってるんじゃありません。残念ながらそんな単純ではありません。

小青竜湯のくしゃみと水鼻は日本漢方的にいうと「表の寒証という身体表面が冷えているのと肺の水毒という呼吸器系に水がたまりやすい状態が結びついたら ”くしゃみ” という症状として現れることがある。」というもの。

水鼻もそうですね。表の寒証と水毒という水の巡りの悪さが結びついて、がまんしてもダラダラ流れてしまう鼻水がでるのです。

さむーいところに立ってたら、鼻水ってコントロールきかずにダラダラと出てくる感じでしょ。あの状態です。

だから小青竜湯は花粉症の薬ではありません。

花粉症も元の体質によって出てくる症状や症状の強さなどが変わってきますので、やっぱり体質ごとに漢方薬を変えていかないといけないのです。


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2014年04月01日

病院の大建中湯の異常な使い方

以前からすごい気になっていたことがあります。
それは大建中湯という名前の漢方薬。

大建中湯・・・これほど病院にアホな使われ方をしている漢方薬もめずらしいですね。

医者が漢方薬を処方するときに証(体質)を”一切みれない”のは知っていましたが、それでも「大建中湯はないでしょー」って言いたくなります。

ずっと前から気になっていたのですが、つい最近、患者さんから聞くまで、そういえば病院の大建中湯の異常な使い方があったことを忘れていました。
病院の漢方薬の異常な使い方は大建中湯に限らないのですけど。

大建中湯は病院では手術後の癒着を防いだり、イレウスなんかに使っているようですが、言うまでもなく漢方薬は症状や病気に合わせるのではなく体質に合わせます。

真剣に漢方やってる先生なら、よく大建中湯を使うって聞けば「えっ・・・」と眉をひそめるでしょう。

いわゆる体質に合わせる本格的な漢方だと大建中湯なんて滅多に使いません。
僕は8年間の漢方人生の中で1人だけですね。
多分、真剣に漢方やってる先生は同意見じゃないかな。

うちの患者さんが病院で処方されたらしいのですが、どんな状態に処方したかというと腸が弱く軟便の状態に出したようです。
お約束通り、漢方的な体質を判断するための問診は一切とっていません。
医者曰く「温めるのがよ良い」とかテキトーな感じ。

いいですよね。医者は・・・実は漢方を東洋医学的には「全然、知らない」のに患者さんには知ってる風に思われてるし誰にも突っ込まれないですから。

まーでもネット時代になりましたし僕がささやかながら専門的かつ本格的な見地からドンドン突っ込んでいこうと思います。

もちろん、漢方薬は「冷えてそう→だから大建中湯で温める」みたいな子供ような発想の幼稚なレベルの医学ではありません。
大体、「軟便→温めないといけない」というだけなら山のように候補になる漢方薬があります。

なんで、その山のような処方候補の中から、よりによって大建中湯なのか?
「あっそうか!特にいろいろな候補の漢方薬から選んでないからですね」

僕がいかに大建中湯を使わないかというと、過敏性腸炎って、これも軟便の病気ですが、それでかなり冷えていて一気に20kg体重落ちた人でも使ったことがありません。

他の処方で十分、治せます。
それくらい冷えていて軟便でも他の処方もあるということですね。

ちなみに僕が過去に大建中湯を使ったのは、きっつい胆石+下痢。(もちろん体質的にも判断して)
大建中湯の適応する体質って4つの証から成り立っています。

まず、冷えですね。これは漢方では寒証といいます。
大建中湯の場合は、ただの寒証ではなく、ひっどい寒証ですね。

次に脾胃の虚証と気滞。
消化器の気が弱って滞っている状態です。
「滞っている」状態だけでなく「弱っている」もプラスされます。

だからこれも「ひっどい脾胃の虚証と気滞」になります。

次に虚証。
身体全体、筋肉が弱っている状態ですね。
これもかなり強い弱りです。
強い弱りとは変な言葉ですが・・・。

そして「気滞による精神症状」があります。
いわゆる精神的にも大きな負担になっているのですね。
ストレスもそれにあてはまります。不眠も代表的な症状ですね。

要するに「冷えてる軟便状態だから」っていう簡単な理由で処方できるものじゃないですね。

そもそも、大建中湯には山椒が含まれていますが、これは皆さん知っていますよね。
うな丼にかけるアレです。

ほんのちょっとだけしか、かけませんが、強烈ですよね。
漢方はイメージ治療ともいえるものですが、イメージしてください。

あの山椒をちょっと多めに食べたときの感じ。
青い感じの変な香り。
口の中に広がるハッカなのかなんなのかよくわからない感覚。

なんかたくさん食べるとお腹壊しそうですよね。
でも胆石とかの塊は強い気滞の場合もあるので、この変な感じが石を壊してくれるんです。

では、普通の軟便の人は・・・
余計、下痢になりそう。

そう、こんな、山椒を食べたときのイメージ通り、漢方は治療していくので、軟便だけなら、もっと優しくボワーンと温めてくれる感じがいいですよね。

それが体質を選ぶっていうことです。
もちろん、理論的にも分析しますが、誰でももってるこんなイメージ感覚も漢方では大事です。

文字にしたらどちらも「温めて治すもの」かもしれませんが、漢方薬は体質ごとに漢方薬も合わせないとダメですから、同じような文字の「温めて治す」でも現実にはいろいろな感じの人がいるのです。

漢方の場合は文字の勉強だけでガリガリやると、処方がトンデモ処方になります。
じゃあ、それほどバカでない医者はどうやって漢方薬を処方しているの?

そうですね。不思議ですね。体質見れないのに。
それを書こうと思ったら長々となりすぎたので次回にでも。

「先生、続くって書いて書いてないの多いですよ」って、この前指摘されたので、忘れないように書きますね。
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2014年03月14日

プロ向け!漢方薬の選び方

漢方薬は数百種類あります。
代表的なものだけでも200種類以上です。

それだけ細かく体質別に漢方薬は用意されているのです。

漢方では、その人が治ったときに初めて漢方医が予測した体質と漢方薬が合っていたと判断できます。
だから治ったという結果が出た後は「体質=漢方薬」という公式が成り立ちます。

これを「証が証明」されたというのですが、う〜ん難しいですよね。

漢方薬は西洋医学のようにその処方に特定の何かの効果があるというような考え方をしません。
漢方薬の説明書の効能効果をみていただくとわかるのですが、効能効果とある次に「次の諸症のあるもの」としていろいろな症状や病気が書いてあります。

例えば、ツムラの葛根湯を例に見ると・・・

”■効能又は効果
自発発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症体質(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん”

効能効果に書いてあるのはこれだけ。
おかしくないですか。なんか足りない。

それでは次に風邪の時に出す医者の大好きな新薬のPLの説明を見てみましょう。

”病院でよく使われている非ピリン系の総合カゼ薬です。解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬など4種類の有効成分が配合されています。鼻水、鼻づまり、ノドの痛み、熱などカゼ全般の症状をやわらげます。ただし、対症療法薬ですので、カゼの原因(ウイルス)そのものを治すことはできません。各成分の薬効は以下です。”

これがPLの効能効果です。
そう、ここには「鼻水、鼻づまり、ノドの痛み、熱などカゼ全般の症状をやわらげます。」と書いてあるのです。
効能というのはこういうものですね。

一方漢方薬に書いてあるのは「症状」と「病名」がズラズラと書いてあるだけ。
それをどうするともこうるとも書いてない・・・。

はい、実はここが漢方と新薬の違いです。

漢方薬は「効能又は効果」に書いてあるような人の体質に合わせますよ。ということなんですね。

それが、どんな作用で治るのかは書いてないのです。
厳密には東洋医学的な「発表作用」とか「利水作用」といったものがあるのですが、それらはあくまで「葛根湯が体質と合えばそういった作用が働きます」ということです。

どんな人でも「風邪だったら葛根湯が合いますよ」ということではないのです。
だからはっきりと書けないのだと思います。

そして、一見、細かな症状や病気が書いてあるように見えますが実際はこの症状に全部あてはまったら葛根湯が合う体質というわけではありません。

だって、それだったら風邪で結膜炎でじんましんでおまけに上半身の神経痛の体質とかに合うのだったら、そんな人滅多にいませんよね。

ほぼ「葛根湯って使えない」ということになります。

だったら「効能又は効果」に書いてある「頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるもの」の【風邪】という都合のいい1つの部分だけをとって処方するのでしょうか。

それだったら、風邪なんて、いつも大抵こんな症状だし「大体、比較的体力があるものってどれくらいの体力なんだ?」ってわからないですよね。
48.195kmを8時間以内で完走できる人が比較的体力のある人でしょうか?

どちらにしても、そうなると風邪はどんな症状だろうと無条件で葛根湯ということになります。
でもそれだと、なんで体質に合わせるとか何百種類もあるの?ってことになりますね。

どっちも選び方として不正解なんです。
漢方薬は全身の症状を調べて、そこから更に東洋医学的な体質を分析するのです。

だからツムラの漢方薬に書いてある「効能又は効果」はこの症状だけでなく、そこから全身の症状を細かに聞いて、更に過去の既往歴や親の病気、現在の生活リズムや環境を聞いて、総合的に体質を分析し、その体質に葛根湯が適しているかを検討するのです。

そうして初めて1つの漢方薬を選び出すことができるのですね。
症状や病名の羅列だけをあてはめて漢方薬を選ぶわけではないのですよ。
2千年消えずに続いている医学が、そんな甘いわけないじゃんッ!


posted by 華陀 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月04日

漢方治療は漢方薬を探すことが目的ではない。

漢方は人を治療する医学です。
僕たちの国でスタンダードになっている西洋医学も医学です。

この2つの医学は医学とよばれていても実は全くの別物です。

しかし漢方は治療者である大半の医者や薬剤師が医学理論を正しく理解しようとしないまま、もしくは理解しようとしたけど理解できないまま漢方薬を扱ったので、西洋医学のルールで考え最後の処方薬を新薬でなく漢方薬に変えただけという、なんとも奇妙なルールが常識にとって変わられています。

「まさか!お医者さんが医学理論を知らずにやってる!!」
まさかとは思うでしょうが、これが現在の漢方の事実です。

なぜ、こうなったのかは明治時代の漢方医学と西洋医学(当時の蘭学)の歴史的な背景や漢方医学は西洋医学のように学問的に誰にでも再現できない職人技術的なところがあることが関係しているのですが、それはまたの機会に書きたいと思います。

そんな訳で医療の専門家であるはずの医者がこの有様なので、一般の方々には更に誤解されているように思います。

いろいろと誤解されているし、なんだったら実は漢方薬名以外の診断の方法や体質理論のことなどは何も知られていないと言ってもいいんじゃないかと思うのですが、その中でも2つのことが特に医者などを通じて一般の方に更に誤解をさせています。

1つ目の間違いは漢方薬は3ヶ月から6ヶ月間飲めば、少しずつゆっくりと効いてくるというもの。
漢方薬は3〜6ヶ月で徐々に効いてくるものではありません。
こんな事は漢方の専門書のドコを探しても書いていません。

2つ目は1つ目のデマに関連してくることですが漢方薬は体質に合わせるという考えです。確かにこれは間違っていないのですが、微妙に間違って理解されているように思います。

そしてこれら2つの間違った認識を合わせて1つの大きな間違いで漢方は認識されています。

その大きな間違いとは「自分に合った漢方薬を3ヶ月〜6ヶ月飲み続ければ徐々によくなっていく」というもの。

病院で医者がよく言ってることですね。
これは、おおーーーーーまちがいッ!です。

まず「体質」とは病名の事ではありません。
花粉症(アレルギー性鼻炎)とかアトピーとか、不妊症とか。
これらは体質ではなく西洋医学のルールで決められた「病名」です。

体質とは漢方医学で理論的に診断されたものです。
アレルギー性鼻炎をもったいろいろな体質。アトピーのあるいろいろな体質。不妊症の傾向のあるいろいろな体質。
病気はその人の体質の一部でしかありません。
西洋医学の病名は漢方薬を選ぶのに直接は全く関係ありません。参考にはしますが。

よって、いろいろな東洋医学的な問診をとらずに漢方薬は処方できません。(全身症状などを聞く事)
漢方薬を合わせるための体質は東洋医学的な問診から初めて判断できるのです。

中には問診をとっても体質を判断せずに症状を体質だと勘違いしている人もいます。しかし漢方薬は症状をあてはめて選ぶものではありません。

そして、これをよく勘違いされるのですが仮に漢方の専門家が体質を判断しても、合っているかどうかは、その時点ではわからないのです。

ここが大きな違いです。
西洋医学のお薬は医者が効果を決めているのではなく、製薬会社が厚生労働省に認可してもらうときに製薬会社が効果を設定しているというか、その効果に設定して作っているのです。

医者はそれをただ処方しているだけ。
どんな体質の人に処方しようが薬の効果は製薬会社の設定したもので変わらないのです。

しかし漢方薬は違います。
そもそも、誰に出しても変わらない効果ではありません。
飲む人の体質によって漢方薬は効果が変わってしまうと言えます。

漢方の専門家はなるべく体質に合っている漢方薬を選びますが、その体質と漢方薬があっていたかどうかは、飲んだ後の結果でわかるのです。

だからここでさっきの1つ目の間違いが合わさります。
合っていない漢方薬は3ヶ月飲もうが、6ヶ月飲もうが何の意味もないのです。
それどころか「漢方薬の副作用は体質と合っていない事」なので飲まない方がよかったかもってなるかもしれません。

すごい漢方の専門の先生でも外す時は外すのです。
でも、本来の漢方治療は、当たりかハズレで考えるものではありません。

人体は未知のものという設定で臨むのです。
うまくいかなければ、数ある漢方薬の中から再調整して漢方薬を変更していくのです。

飲まれた様子を聞いて、漢方薬を変更して調整。
また飲まれた様子を聞いて、漢方薬を変更して調整。

それを繰り返しているうちにいつのまにか、良くなっている。
こんな感じが本来の漢方ではないかなと思います。

だから、初めに漢方の専門家に選んだものを飲み続ければ半年後に治るわけではありません。
それは漢方薬を飲んでいるだけで治療になってません。「ラッキーだったら治るかな」ってノリ。

漢方は自分に合っている漢方薬を探して終わり。ではなく、その後の反応や変化と照らし合わせながら常に今の体質と漢方薬のバランスを考えていくことの方が重要ですね。

posted by 華陀 at 18:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月24日

治療を進めていくために必要な漢方薬の変更

一般的に漢方薬は初めに処方してもらった漢方薬を3ヶ月〜6ヶ月かけてじっくりと飲まないと効いてこないみたいな感じで思われていますが、あれは全くのデタラメです。

専門家が読む本にはそんなことは一言も書いていません。

そもそも、漢方薬の場合は新薬と違って「1つの症状や病気に1つの効果がある」といったものではないので3ヶ月〜6ヶ月で一体、身体のどこに効いてくるのかを最初に考えておかないといけません。

「薬なんだから最初から効果なんて決まってるでしょ?」
と言われそうですが、それがそうではないんですね。

体質によって漢方薬を選ばないといけませんが同時にその漢方薬の効果をどう捉えるかということも考えないといけません。

ちょっとややこしくなってきたかな。

漢方薬は身体全体を調整するので効果の現れ方も人によって変わってきます。
また、漢方薬には方意というものがあって新薬と違い絶対に1つの効果というものではありません。

例えば不妊症に出す事もある当帰芍薬散は月経を整えるものでも、不妊症を治すものでもありません。

漢方的には補血、利水、陰性の駆瘀血、血虚・水毒の精神症状の安定などの効果があります。

補血とは血を補う効果。
陰性の駆瘀血とは温めて血を増やすことと合わせて血の巡りを整えていく効果。
血虚・水毒の血虚、水毒の精神症状の安定は血の不足と水の巡りの悪さから精神の不安定を治す効果です。

当帰芍薬散の主な効果はこんな感じ。

体質に合わせるというのは、この効果が必要な人が飲んでもよいという意味です。
他にも筋肉が弱く軟らかい皮膚で華奢な人とか比較的体力のない人など、体質的な条件を出していけば、まだまだいろいろとあるのですが、とりあえず、こんな感じ。

これらの効果は全てが効くとは限りません。
体質に合わせて主証といってこのいくつかの効果の中から特に効かせたい部分を選択して処方していきます。

ちょっと難しすぎるかな。これは漢方の先生でもややこしくなってくるかもです。

例えば、単純に説明しますと貧血の人ならば当帰芍薬散の血を補う補血という部分をメインに考えていくのですね。
もちろん、補血だけで良いのなら、他にもいろいろな漢方薬がありますので、あくまで治したいメインが補血であるということで他の利水、陰性の駆瘀血、血虚、水毒の精神症状の安定なども治さないといけない部分としてあります。

これだけのいろいろな方面から効果や治療を考えていくので、新薬のように何か1つが良くなったかどうかだけでは見れません。

だから、3ヶ月たったら、だんだん良くなってくると思ってる人がいますが、もっと具体的に何がどう良くなってくるのかをあらかじめわかっていないといけないのです。しかも1つの症状じゃないです。

漢方では、漠然と良くなってくるというのは、何も考えずに処方しているのと同じです。
どこの部分の症状がいつどのように変わってくるか?

これを処方する側が事前に考えなくてはいけません。
更に漢方薬は複数の症状を治すために対応するのですが、それらの症状が一度に同じ時期に治ってくるとは限りません。

更に更にもっと難儀な事態になることも。

それはメインの血を補う効果は貧血の症状がなくなってきたけど、利水の水の巡りの効果の部分は「しょっちゅう、オシッコにいくようになって余計に悪くなった」なんてことも起こります。

この状況は漢方では別に珍しくありません。

良くなった症状と悪くなった症状。
これらが、混ざっているのですね。

こうなったら、どうします?

悪くなった部分があるから漢方薬を止める?
良くなった部分があるから漢方薬を続ける?

この時に漢方薬の中には似たような効果を持った漢方薬が何十種類もあるのですね。

こういう状況に陥ったら漢方薬の種類自体を変えてしまいます。

血を補うだけの効果をもった漢方薬なら他に何種類もあるのです。
そこから、それほど利水力の強くない漢方薬に変えていきます。

つまり当帰芍薬散ほど利水効果が強くなく、それでてい利水効果が、ちゃんとあるもの。
もちろん、血を補う効果はそのままで。

そんな微妙な調節が漢方薬はできるのですね。

だから何百種類とあります。
体質に合わせるとは飲んだ結果をみながら調整していくこも含まれています。

飲む漢方薬自体を変えてしまうというのはリスクが高まりますが、長く飲んだからといってかならず効くわけではないので、体質とあっていないかもしれない漢方薬を飲み続けるのも同じ位、治らないリスクが高まります。

「同じ漢方薬を続けるか?」
「種類を変更するか?」
これがいつも漢方医を悩ます課題ですね。


posted by 華陀 at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする