ようこそ漢方相談室にお越しいただきありがとうございます。
漢方薬の働きや病気・症状の原因を徹底解剖!
あなたの悩みにお答えします。

このブログではあらゆる流派の漢方医学を勉強しサプリメントや病院などの業界の裏側を見てきた経験や知識を活かし私の独断と偏見で思ったことを書いています。 漢方マニアの本音としてお読みください。

※専門家に対して漢方の情報提供をしているつもりはありませんので、漢方を処方する側の人(医師や薬剤師などで特に病名や症状だけで漢方薬を処方している人)は不快な気分になる可能性があるので、読まないでください。

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漢方相談室

2015年11月25日

漢方薬で治るのか?病院で治るのか?

厚生省は、医療費を下げるのに必死です。
なぜなら、国民健康保険は毎年、大赤字だから。

医療費って安いですが、あれ別に病院が安くしてくれているわけではなく、健康保険という皆さんの税金で病院に足らずの70%の料金を支払っているわけですよ。

ちなみに去年の税金から払った医療費は前年に比べて7000億円増の39兆9556億円。
国民1人当たりの医療費は31万4000円。老人になると1人当たり93万1000円です。
すごいですね。

あなたはこんなに使ってます?
若い人なんか使ってないでしょうね。誰かが誰かの医療費の肩代わりするのが利点でもあり欠点でもあるところですね。

高度医療や手術、救急、産科以外の病院は1人に対して何十万円もの価値のある医療を施しているとは思えません。
僕の周りの病院を見ていたら、ただマニュアル通りに薬をばら撒いているようにしか見えませんね。後、何もわからないくせに撮るレントゲン!レントゲン最強!

このままいくと医療費で国が潰れちゃうかもしれないので、厚生省もジェネリック使ってくれとか、いろいろと医療費を減らす工夫をしているのですが、僕は全く違った方法で医療費を減らせると考えています。

ブログの本題はここから。
「治療」や「病院」に対して見直すのです。

医学理論がしっかりとある治療方法は大きく2つあります。
西洋医学と東洋医学ですね。
それと医学ではないですが、自分で養生とかして、なんとかする!という方法があります。
他にもハーブや温泉の湯治やといろいろとあるかもしれませんが、とりあえずは大きく3つの治療方法を考えてみたいと思います。

実は今「治る」「治癒」ということに関して、社会的に1つの大きな間違いが常識になってしまっていると僕は考えています。

それは、西洋医学の薬で「根本的に治る」とか「病院の薬で予防できる」とか。
そもそも、病院の薬は対症療法といって、薬を飲んでいる間だけ症状を遮断したりして、薬の効果が切れるとまた元どおりに戻ります。
薬の化学的構造から考えれば、それ以上でもそれ以下でもない効果であることが証明されています。

なので、慢性病で悩んでいる人が何週間か病院の薬を飲んでやめた時に再発した場合は、病院の薬で根本治癒する道理はないわけです。(外科医の師匠にも生理学的、薬理的、理論的に道理がないことを確認しました)

ここのところを本来、医者が理解するべきですが、それは難しいようなので患者さん側が理解するしかありません。病院の薬の本来の価値観と使い方を変えないといけないと思うのです。

病院での治療は基本的には急性の治療なのですよ。
もしくは、慢性病でも何週間か薬を飲んで、治らなかったら後は病院の薬を何年飲んでも治らないと思います。飲み続けて根本的に治っていく道理はありませんから。

つまり、急性か慢性病の初期でちょこっと行くだけのところが病院だと思うので本来は、長い間通うところじゃないと思うのですよ。
ただ、急性の病気や症状には短時間で薬は効きますので、そこは病院の利点です。

欠点は待ち時間など時間がかかる。慢性病は初期で治せなかったら、後はグダグダ中途半端な治療がダラダラと続くだけ。中には、続けるべきでない対症療法の薬を続けて身体がおかしくなった人なんかも、うちに相談に来ています。
対症療法を使ってアレルギー科でアレルギー体質を治療するとか意味わかんないですね。

漢方薬は根本的に治療を考えるものです。
漢方は急性病でも慢性病でも対応できます。
ただし、欠点でもあるかもしれないですが、漢方は証という体質の要素を分析し、それにガッチリと漢方薬を合わさないと悲しいほど効きません。

一般的に病院や漢方薬局がやってるような病名や症状にマニュアル的にあてはめるような方法は治るかどうかはラッキーにすがるしかないです。
そこが漢方薬の難儀なところですね。
東洋医学理論にのとってやらないとウンともスンとも言わない。
その点、病院の薬は大体、見立てがあってれば誰でも効きます。

利点は、漢方薬は自然のもので病気を根本的に治療することができますが、(ただし養生も必要)分析した体質と漢方薬が合っていないと何年飲み続けても治らないので、そこが欠点ですね。
また、自分の体質に合わせた生活養生も必要です。
根本的に治るというのは薬の力だけではないからです。
だから、病院で根本的に治ることはないのですね。

一人一人の体質に合わせると言われているだけあって、毎回、毎回、その人の体質を分析しないといけないので、毎回、1回でバッチリはまる!というのが難しいのです。
また本当にちゃんと診断してもらえる漢方は保険と同じ料金というわけにはいきません。そこも欠点かも。

病院の薬も使わず漢方薬も使わず治したい。という場合・・・それは可能です。
しかし、それは、自分の都合のいい時に自分のできそうな養生をすることではありません。

生活の全てを病気を治すために変える必要があります。
「昨日はたまたま遅くて寝るのが遅くなって」とか、よくあるようにチョコチョコ、身体に悪い影響を与えていたら、常に一進一退です。
健康維持ならそれでいいですが、薬も使わないで自分で治すとなると少しの妥協が病気の悪化につながります。また自分の養生だけで治すのであれば、おそらく何年もかかりますので、ある種、病院や漢方薬の道よりもイバラの道です。

利点はお金がかからないことですが、欠点は鬼のような意思の強さを何年も持ち続けないといけないということ。

ということで長くなりましたが、日本の医療費の大赤字を減らそうと思ったら「西洋医学でなんでも治る」という幻想を捨てて、冷静に自分は何の治療を選ぶべきかを一人一人が考えていけば、病院にはそれほど行く必要がないことがわかるので、その結果、医療費は減るのではないかと思います。

次回、この3つの治療方法の違いを具体的に説明したいと思います。

続きの自分の力だけで治すか?薬を使うか?はこちらから。

posted by 華陀 at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月18日

漢方薬の効き具合は漢方医の腕にかかっている

東京での漢方相談会、終了しました。次回は1月の予定です。
毎回、たくさんの方にお越しいただき、ありがたい限りです。

以前から都内だけでなく千葉県や神奈川県からお越しいただいていたのですが、最近は岩手や盛岡、長野からもお越しいただいていて本当にありがたいです。

さて、うちに漢方相談に来られる方には「以前に何度か漢方薬を飲んだことがある」という方が多いです。
多い方だと何年間かで10種類以上の漢方薬を歴代飲まれている方もいらっしゃいます。

いろいろと漢方薬を飲んでみたけど、ダメだったのでうちに来ていただいたりして、非常にありがたいのですが僕的には1つ不思議なことがあったんです。

それは今まで漢方薬でうまくいかなかったのに、なんでまたうちみたいな漢方一筋みたいなところに来ようと思ったのか?

最初はみなさん、病院のお薬が嫌で漢方に治療を求められます。
これはわかる。

薬を飲んだら症状が治まって薬の効果が切れたら症状が再発して・・・
と繰り返す対症療法なんて普通は誰でも嫌ですよね。おまけに添加物なんて目じゃない人工化合物だし。
病院の薬がおかしくないと思ってるのって、ひょっとしたら当の医者だけかもしれないですね。

だったら、根本的に治りそうな漢方薬に。
そうなりますね。

そして、一般的なパターンだと病院で漢方薬を処方してもらいます。
でも、病院の漢方薬の処方は本来の漢方治療の方法とは全く違って、ただマニュアル的に漢方薬を処方しているだけ。いくら医学的に素人の方だって「漢方って体質に合わせて治療するんじゃないの?」と不思議に思いますよね。

病院の漢方薬だったら、処方してもらっても実質、治療すら始まっていないような感じなので、もっとちゃんとしたところを探そうと思いますよね。

「病院の漢方はどうもおかしい」と感じたので今度は専門っぽい漢方薬局に行きます。
そうしたら、病院では「東洋医学の問診はとらないわ」「話すら聞かないわ」だったのが、東洋医学っぽい問診票もあり、話もじっくり聞いてくれます。
でも、ここでも落とし穴。

説明が気・血・水がどうたらこうたらとか、五行論がどうたらこうたらとか。
一方的な説明はガンガンしてくるんだけど、肝心の「私の体質は?」という問いに対しはザックリと「瘀血タイプですよ」と朝の占いレベル。
そして出されるのは漢方薬だけでなくサプリメントっぽい商品いくつか。

一般的には漢方と言っても、こんな感じの病院や漢方薬局が多いので「もっとちゃんとした漢方の治療をしているところを探そう!」ってなるのはわかります。

しかし、うちに来る何人かの方は、過去の漢方治療した経緯をお聞きしていると「東洋医学的な体質判断をしてちゃんと処方してるじゃん!」ってところで飲まれていたりするのですよ。

そんな状況で何年か、何種類かの漢方薬を飲んできて、よくならなかったら、僕なんかは「なんだ漢方薬ってダメじゃん!」って漢方自体に裏切られた気分になると思うのです。
でも、またまた漢方治療としてうちに相談に来られるのですね。

当初は不思議だったのですが、そんな経験をされている方々のお話をお聞きするうちにあることがわかりました。

それは、きちんと漢方理論と手順にのっとって、ちゃんとしているところも1つ大問題があるようです。

それは初回はどこの先生も「あなたの証(体質)はこうでああで」と自信たっぷりに説明してくれるそうなのですが、問題は2回目。
2回目の相談時に、より悪くなっていたり、なーんにも変化がなかった時に結局、「なんとなく今の処方を続けるか」「漢方薬を変更しても、なぜそれに変更したいと考えたか?」という説明がなかったりと2回目の相談で途端に「実は自信がなかった」ということが露呈するようなんです。

その時に患者さんたちは「漢方って先生によって腕の差が相当あるんだ」となんとなく直感的に感じとれるのかな。
「だったら、腕のありそうな漢方の先生を探そう」ってことで再び漢方にトライ!ということになるようです。

これはもっともなことです。
医学となると、おぼえることが多く医者や薬剤師で勘違いしている人がいますが、漢方治療は「人よりも漢方の知識があれば→腕がいい」とはなりません。
「ものすごい本をたくさん読んで知ってる」「古典の難しいことも知ってる」これらが、漢方の腕があることにはなりません。

ものすごく勉強しようがしまいがどっちでもいいのです。
なぜなら、いろいろ知ってるから治せるわけじゃないので。

漢方は一人一人の体質や状況に合わせて治療しますので、杓子定規の知識なんて大して役に立ちません。
必要なのは、その都度、その人のために考える問題解決の知恵。
もちろん、漢方の場合は、最低限度知っておかないといけない知識は膨大ですが、残念ながら漢方の場合、知識が腕にはつながらないのです。

そういう意味では音楽やスポーツに似ています。
世界一、楽譜を知っていても、結局、感動させるような演奏ができなかったら、ただの音楽をよく知ってるだけの人。
スポーツも一緒ですね。そのスポーツの知識をどれだけ知っていてもパフォーマンスを発揮できなければ、結果が伴いません。スポーツを知ってる鈍臭い人なのです。

通常の勉強と違って漢方はまずは結果。知識は二の次。
極端に言えばビートルズのように楽譜の知識がなくたって人を感動させられればそれでいいのです。

「僕は腕がある」なんて傲慢なことを思っているのではありません。僕はそう思って日々、漢方に取り組んでいます。それだけ。


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2015年11月10日

5分診療では漢方治療が不可能な理由

漢方治療の歴史は剥き出しの表現をすれば、人体実験の歴史です。
そして、現実の漢方治療も人体実験の繰り返し。とも言えます。
僕はマッドじゃないですよ。人体実験というと拷問的なイメージをしてしまいがちですがそういったものではありません。

漢方薬は様々な生薬で構成されています。
生薬の中には様々なものがあり、中には石なんかも生薬としてあります。
ちなみに石の生薬としての役割は清熱といって体の中の余分な熱をしずめてくれます。

食べ物や生薬などは最初に神農さんという漢方の神様みたいな人が、自然界にあるあらゆるものを食べて、時には1日に何度も毒にあたりながら解明してきたとされています。
実際は一人の人間ではなく、何人もの人間がなが〜い年月をかけて「この葉っぱは体が冷える」とか「この根は体が温まる」とか組織だってそんなことをやってきたのでしょう。
どちらにせよ人体実験が漢方の始まりでもあり、治療の原則とも言えるのですね。

人体実験が治療原則?
なんか嫌な感じですよね。
でも、とても理にかなっているのです。

漢方薬はその人、個人の現在の体質に合わせて選びます。
体質は個人個人、違います。またその体質も普遍ではありません。

一般的には「最初に自分の体質を知って、後は、その体質に合った漢方薬をずっと飲み続ける」といったイメージがあるようですが、これは誤解です。

ある程度、その家系の持っている体質の傾向というものはありますが、その体質も季節や生活環境の変化によって、どんどんと変わっていきます。

一人一人の体質も違うし、その時々でも体質は変化していきます。
非常に流動的なのですね。
だから「同じような症状なのに前に治った漢方薬で治らない」なんてことも漢方では不思議ではありません。

人の体質というのはこんな具合なので漢方薬は「こんな病気だったら、この漢方薬で決まり!」ということができないのです。

毎回、毎回、体質をチェックして漢方薬を検討していく必要があります。

西洋医学は漢方とは全くの逆です。
たまに西洋医学は化学の強い薬を使うもので漢方薬は自然の穏やかな薬を使うみたいなザーッとした分け方をしている方がいらっしゃいますが、治療の根本的な考え、概念が違います。

漢方と西洋医学は互いに異質な医学なのです。
(発祥した場所も年代も違うので当たり前ですが)

西洋医学は、体質をみません。体質ごとに治療する考え自体が存在しません。
実際は顔や体格、性格のように皆それぞれ、体質も違いますが、西洋医学は体の働きは皆一緒!のはず。と見て、一律、「人間」に効く薬を開発しそれを治療に使います。

病院のお薬は「人間」を研究し「人間」に効果のある薬を開発します。
なので、あらかじめ、どんな病気や症状に使う薬かが決まっています。薬の効果も決まっています。
そういう効果を発揮するようにあらかじめ研究し開発しているので。

だから病院のお薬は、どんな人にでも効くようにできています。
そして、副作用も事前にわかっています。

一方、漢方は、現在の体質がどんななのか?
それは誰にもわからないのです。
それを僕は東洋医学理論でもって推測します。
そして現在の体質を割り出し、最適であろう漢方薬を合わせるわけです。

体質も漢方薬の効果もあらかじめ決まっているわけではないので、時には体質の推測がズレていたり、選んだ漢方薬がズレていたりすると全然、治らなかったり、逆に症状がひどくなることもあります。

漢方医の仕事は、どっかのメーカーのマニュアルや漢方の本を見ながら、病名や症状で漢方薬を選ぶことではなく、体質とそれに合わせる漢方薬をズレないように調整することが仕事です。

漢方のすごいところは、ズレるかもしれないことが折り込み済みなことで、ズレた場合は、漢方薬を飲んでからの変化をみて、漢方薬を変更しながら調整できることです。

「流動的な一人一人違う体質に初めから合わせることができるマニュアルなんかない」ということが前提になっているのです。
体質が決まっていないゆえにマニュアル的に合わせることができないのです。

病院の薬の利点は、体質を考えなくても誰でも効くことが事前にわかっていることです。
欠点は、個人の体質に合わせていないゆえの強制的な効果でその場だけの治療になってしまうこと。ステロイドやホルモン剤のように元の体の機能がおかしくなることもあります。
そして、あらかじめ理論的に効くことが前提になっているので、薬の説明通りに効かなかったら、もうどうしようもないです。
「効くはず」のゴリ押しで通すしかありません。
薬は理論的に「絶対に効くはず」という独特な傲慢ルールで成り立っているので、その薬が効かなかったら「ストレス、気のせい」などで心療内科行きです。

一方、漢方薬は元々「体質は未知である」という前提になっているので、効かなかったり、悪くなったりしたら、その結果をふまえて次の治療を考えていくことができること。
おまけに病院のお薬と違って、自然のものなので病院の薬ほどの強制的な効果でないので失敗しても取り返しのつかない状態になりません。
まさに良い意味で人体実験なのです。

病院のお薬は人工化学合成物で作用も強いので、取り返しのつかないことになることもあるので「病院の薬でいろいろと試していく」なんてことはできません。
それこそ、マッドサイエンティストの狂気の人体実験です。

漢方薬を病院のお薬のように病名や症状だけで選んではいけないのはこういった理由です。

うちの患者さんはこういった概念を理解されていますので、ごくたまに「先生、今回の漢方薬はダメっぽいかも」なんて報告してもらいながら、患者さんと毎回話し合いながら治療をすすめます。だから5分診療では漢方治療は不可能なのです。


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2015年11月05日

未だに横行している症状漢方

「元々、とある京都の漢方薬局で漢方薬を飲んできたけど、なかなか良くならないので」ということで、うちに相談に来られました。

うちでは「今まで、どんな漢方薬を飲んできて、どんな変化があったのか?」をお聞きするのですが、その漢方薬局で大量に漢方薬を飲んでおられたので、最早、何が効いていて何が効いていないのかがわからない状態でした。ご本人も、途中で飲まなくなったものもあり、むちゃくちゃになっていて収集がつかないと困っている状態。

一番、最近での飲まれているのが、漢方薬10種類、サプリメント7種類、生薬系サプリメントが4種類。
これがなんと1日分。
1ヶ月で何十万円にもなります。

このケースはかなり高額ですが、実はこういう風な方法を漢方治療だといって漢方薬やサプリメントを抱き合わせで販売している漢方薬局は結構あります。
残念なことに、こういう薬局って人気があったりするのですね。

相談時のことをお聞きすると詳しく聞くまでもなく症状漢方というもの。

漢方薬がまともに扱えない人用の方法に病名漢方、症状漢方というものがあります。

漢方は東洋医学の理論を元に体質を分析し、その体質に合わせて漢方薬を選びます。
初学の頃はいきなり東洋医学的な体質診断なんてできないので、どうしても、ある病名の時によく使う漢方薬をマニュアルを見て選んだり、漢方薬の適応症状として書いてある症状を勝手にあてはめて症状ごとに漢方薬を選んだりとするしかありません。

僕も漢方の修行し始めの、どシロウトの頃は恥ずかしながら病名漢方や症状漢方の方法で、病名=ある漢方薬(例えばアトピーに消風散や不妊症に当帰芍薬散など)で漢方薬を選んだり、その方法からちょっと毛が生えてきた頃に症状ごとに漢方薬をあわせる症状=ある漢方薬(むくみに五苓散や胃痛、胃もたれに六君子湯など)で漢方薬を選んだりしていました。

今回のこの漢方薬局の選び方は、患者さんの話をお聞きしているとモロ、症状漢方。
頭痛には香蘇散、イライラには黄連解毒湯、むくみに五苓散などなど。
こんな漢方薬の選び方で治るわけがないと思います。

順をおって説明したいと思いますが、この漢方薬局のケースではないですが、病院のやっている病名で漢方薬を選ぶ病名漢方も本来の漢方治療の方法ではありません。

僕も素人同然の頃はやっていたので、言い訳がましくなるかもしれませんが、まず、西洋医学の病名と漢方薬は何の関係もありません。
西洋医学は新薬を使用して治療する医学で、診断も血液検査など化学的な検査を行って病名を診断します。
漢方は2千年前に確立された医学で、西洋医学は200年ほど前、両者には1800年以上の開きと中国とヨーロッパという地政学的な違いがあります。

では、なぜ、病名漢方があるかというと、東洋医学は難解なので、漢方を知らない人間が、いきなり東洋医学的な体質を診断するのは不可能なのです。
ちなみに大学で教えている漢方は素人に毛が生えた程度で、診断方法などは何も教えていないので、医者も薬剤師も一般の方もスタートは何ら変わりません。
みんな平等に「漢方は理論的に知らない」というところから始まります。

そんな状況で、なんとか漢方薬を処方しようと思ったら「ある病名でよく使われる漢方薬」というマニュアルでもないとスタートすることもできないのです。
だから、最初の素人同然の頃は、本来は東洋医学的な体質である証に合わせて漢方薬を選ぶ必要がありますが、アトピーに消風散や不妊症に当帰芍薬散ってなっちゃうのですね。

そういったマニュアル処方を経験していると「同じ病気でも、みんな体質が違うんだな」ということに気づきます。
ただ、この時も「同じ病気でも体質が違う」ということには気づくのですが、かといって、その体質ってどんなのか?は、まだ分析できないのです。

だから、今度は、症状で漢方薬を選んでいこうとします。
ど素人からちょっと毛が生えましたね。

漢方は「漢方薬=体質」という考え方です。
西洋医学は、いろいろな検査で原因を追求してその原因を治すべく薬を選びますが、漢方薬は体質にあわせるので、漢方薬自体がその体質を表しているし、体質はある漢方薬を示しているのです。
ややこしくなってきました。

漢方薬には適応症状といって、その漢方薬を使ってもよい条件的な症状が設定されています。
清上防風湯にはニキビという症状が条件であったり、人参湯だったら下痢という症状が条件であったり。

ここで絶対に勘違いしてはいけないのは、その症状にあてはまったら、その漢方薬というわけではありません。
漢方薬に設定されている「症状」は体質を示すごく一部の条件であって、それがあてはまったらその漢方薬が合っているというわけではないのです。

それによく考えてみてください。
症状なんて、そんなバリエーション豊かにありません。
頭痛や冷えなど、人間の症状なんて、そこそこしかないのです。
でも漢方薬は何百種類とあります。

症状漢方の間違いは、症状をあてはめて漢方薬を選ぶということ。
漢方薬を選ぶ際には、体質を診断する必要があります。
体質は症状だけでなく病位や虚実など他のいろいろな条件を考えあわせて分析した上で導き出すのです。

ギャル向けの軽いノリの占いや血液型診断じゃないんだから、冷えと月経不順があったら当帰芍薬散なんて、そんな軽いバカな世界ではありません。

説明が長くなりましたが、1つの漢方薬にはいろいろな症状が設定されています。
なので、症状ごとに漢方薬をあてはめている今回のケースは、体質を分析できていない証拠ともいえます。

サプリメントを一緒に販売しているのも意味不明です。
漢方薬は何種類かの生薬で構成されています。
1つの漢方薬で8種類等のサプリメントがバランス良く詰まっているようなものなのです。

漢方薬やサプリメントを何種類も出すということは効果のある生薬や食べ物だらけになって、何が効いていて、何が悪さをしているのかわかるわけがないですよね。

ということで、こんな方法は僕は漢方ではないと思います。
多分、儲けで大量に漢方薬を売ってるだけですね。

ちなみにうちでは、なるべく1種類の漢方薬を考えぬきます。
自分の出した漢方薬がどんな方向にいくのかを見極めないといけないので、他の漢方薬やサプリメントは全部やめてもらいます。
つまり1種類の漢方薬だけで、あらゆる症状を治療しようとします。
今のところは、うまくいっていると思います。

病名漢方や症状漢方は合っているとか間違っているではなく「素人臭すぎる」この一言ですね。


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2015年10月28日

漢方薬は早く効くものか?ゆっくり効くものなのか?

漢方薬はゆっくりと何ヶ月もかけて効いてくるのか?

ブログの中では漢方薬の効果は遅いのでも早いのでもないと説明してきましたが、なんか自分自身でもしっくりこない感じでした。

病院が言い始めたのか?
某漢方薬メーカーが言い始めたのか?

「漢方薬を飲んでいたら、どれくらいで良くなるのか」というテーマに対して、はっきりと言い切れることは、一般に思われているような、「漢方薬の効果が現れるのに3ヶ月ほどかかる」というのは全くのデタラメです。

そんな理屈は、どの漢方薬の本にも書いていません。
素人向けの漢方の本は知りませんが、僕らが治療のために勉強する専門書には、どの専門書にもそんなことは一言も書いていません。

それどころか、昭和の初期のバリバリの日本漢方の達人が残した書には「10日間で◯◯の症状は良くなったけど◯◯の症状は逆に悪くなったので、違う漢方薬に変更した」というようなことが普通に書いてあります。
この頃、真剣に漢方治療をしていた先生方は、10日間という短い期間の中で治療勝負していたのですね、

それが「効くのに3ヶ月かかる」とか、もしこれを医者や薬剤師などの治療のプロ側の人間が説明しているのなら恥ずかしすぎます。

で、結局、早く効くのか?ゆっくり効くのか?

答えはどっちもなんですよ。
漢方薬は早く効く場合もあるし、ゆっくりと効いてくるときもあります。
はい、おしまい。

これだったら、いつもと同じようなざっくりととした説明ですね、
この部分を理論的に説明します。

漢方薬の効果の期間は「治療目標」「その人の体質」「選択する漢方薬」の3つの掛け合わせで決まります。

基本的には漢方薬は早く効くものからゆっくり効くものまでバリエーション豊かにあります。

漢方薬はいくつかの生薬というものから構成されていますが、例えば半夏厚朴湯に使用されている半夏という生薬は飲んでしばらくしたら、喉が首を絞められたように苦しくなります。
この締めつけ感も生姜を飲めば、しばらくすればなくなります。
ほんの10分ほどの間に副作用のような変化を起こさせて、その後、それを消しさることができます。

たとえば、フリスクなどのスーッとする効果はハッカなどの効果ですね。
ハッカも漢方薬を構成する生薬の1つですが、ハッカなんて、食べてる時から効きますよね。
どれくらいで効くの?と聞かれたら「瞬間」ですよ。

「漢方薬は効くのに3ヶ月もかかる」と説明している人は漢方の勉強を一からやり直したほうが良さそうです。

とまぁ、かなり早く効くものもあるのですが、早く効けばいいというものではありません。
早く効かせないといけない病態とゆっくりと効かせないといけない病態があるのですね。
これが「治療目標」です。

例えば「風邪」の治療に何週間もかけていてはいけません。当たり前!
何週間もかかるのなら、もはや、漢方薬で治ったのか?自然に治ったのか?がわかりませんよね。

風邪の「治療目標」は1日単位で考えます。
できれば1袋単位です。風邪は次々に体質を変えていきます。
漢方薬は体質に合わせないといけないので、それに合わせて漢方薬も変更しないといけないのです。

たまに病院で風邪のための漢方薬で1週間分とか処方しているのを耳にしますが、意味がわからない!
「本当に漢方薬で治療する気ある?」と聞きたいです。

慢性病は細かく紐解いていけば、いろいろな体の細かい不具合が時間が経って重なって、複雑な感じの病態にしているものです。
ですから、慢性病を治療する場合は、1つ1つこんがらがった紐を解くように元に戻していくような治療をします。

絡まった糸くずを早くほどかなくちゃいけないとばかりにぐちゃぐちゃと急いでやっても余計に絡まるだけなのです。

慢性病の場合は、その人の回復力に合わせて慎重に時間をかけて治さないといけないのです。物の修復のようにそれぞれの体質によって修復できる時間が違うのですね。

次に「体質」です。
漢方薬は強く効かせるものもありますが「強く効くもの=良い効果」ではありません。
強い効果は強い変化を体に与えるので、体質に合っていけなければ強い変化が悪くて強い変化になることもあるのです。

強い効果の漢方薬はそれなりに体力のある体質でないと活かせないのです。
元の体質が弱ければ残念ながら穏やかな漢方薬を選ぶありません。
体質に合っていない漢方薬は毒になりますから。

最後に「選択する漢方薬」
これはある種、さっきの体質と同じともいえます。
体質に合った漢方薬を選ぶのが漢方なので。
しかし、あえて早く治すために体質より高レベルのものを選んだり、逆に体質よりもゆっくりしたペースで効かせるために体質よりも下のレベルのものを選ぶこともあります。
これで効いてくる期間も変わってくるのですね。

こういった具合で、漢方薬が効いてくる速度というか期間は「治療目標」「その人の体質」「選択する漢方薬」の3つの要素を掛け合わせ考えた上ではじき出されるのですね。

ちなみに東洋医学的な体質を診断せずに体質と合っていない漢方薬を飲んでいる場合・・・永遠に効きません。
体質判断せずに処方してもらった漢方薬が効いているのは、ただのラッキーです。処方した人間もなぜ効いているのか東洋医学的理屈がわかっていないと思います。


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2015年10月22日

なぜ病院の薬を飲みたくないのか。その理由。

ある不妊治療系の病院でのひっどい話を聞きました。
その不妊治療病院で診察を受けていた時に、それまで穏やかに診察していた医師が患者さんが「薬は飲みたくありません」と言った途端に顔を真っ赤にし机をバン!バン!叩いて「なぜ、薬を飲みたくないの?それを説明しないさい」と詰め寄ったようです。

専門知識のない人にこういった質問すること自体、その医師の人間性を疑いますよね。
専門家でない患者さんは当然、何も答えられなかったわけです。
その後も何度も「薬を飲みたくない理由を説明しろ!」と詰め寄り、最後には「今の年齢で薬も飲まなかったらあなたは全体、妊娠できない」という捨てセリフまで吐く始末。

そしてこの手の話は、その医師だけがレアでぶっ壊れた人でなく、うちでは、これによく似た話は何人もから聞いてます。
こういうことはいろいろな病院でしょっちゅうあるみたいなので、僕が代わりになんで病院の薬を飲みたくないのかを説明したいと思います。

ちなみに「あなたの意見って漢方家だから新薬が悪いと思い込んでるのでしょ」と思われるのは心外なので、師匠の元外科医、調剤をしている薬剤師、新薬メーカーのMRなどにも生理学的、薬学的にも確認をとっています。

みなさんが最も飲みたくない理由。僕も同じだと思うのですが。

◯病院の薬は対症療法である。
◯病院の薬は結局は異物である。
◯個々の状態に合わせたものではない。

後は次点で副作用が怖いというのもあるでしょうか。

以上が理由ではないでしょうか。

対症療法とは姑息療法とも言われていて、要するに薬効成分が体内にある間は効果があり、薬効成分が一定時間経ち、なくなるとまた症状がぶり返すというものです。
ステロイドを長年使用している人は嫌というほど体験していると思います。
月経時に頭痛がある人の鎮痛剤も効果が切れて頭痛が再開することがわかりますね。

「病院の薬は根本治療にならない」
これが薬を飲みたくない理由ではないでしょうか。
誰でもバカみたいに同じことの繰り返しは嫌ですよね。

病院の薬は薬物動態という薬学の基本的な考えで成り立っています。
薬物動態とはADMEと呼ばれるもので薬物が体内で「吸収→分布→代謝→排泄」されるまでをワンセットとして考えます。

基本は薬物が血中の中に存在する血中濃度というものさしで考えます。
薬の成分が血液中に入って、対象の臓器や組織に到達し、効果を発揮して、人体にとって「異物」である薬の効果を代謝して不活性化させ腎臓から排泄します。

成分もさることながら「異物」である証拠に薬を作り出す際にはプロドラッグという考えがあります。
これは所詮、薬は「異物」なので、体内で毒だと思われて分解されて効果がなくなっちゃうのを防ぐ工夫です。
消化液に解けないようにしたり、代謝されないように代謝される盾で有効成分をくるんだりと、いろいろと身体を騙して「異物」を体内に入れる事ができるようにつくります。

薬の種類によりますが、ADMEはスパンが長くても短い期間で排泄されます。
留まるものもありますが、何ヶ月単位などで留まりません。

なぜ、排泄までを考えないといけないかというと本来の自然にはない「外的な異物」が強制的な作用によって体内の働きを変えて症状を緩和するからです。
そんなものがずっと体内に留まったら、身体のシステムは外的な強制的な働きで動いていくことになりますので、身体がおかしくなってしまいます。

血中濃度が高くなるにつれ効果を発揮し、やがて代謝されて排泄される。
この流れが化学的に証明されているのが病院のお薬です。

なので、薬の効果時間の間だけ効いて成分が排泄されると症状が再発するので対処療法になるのです。

病院のほとんどの薬は対症療法です。
日本では慢性病の人に対して、その場しのぎの薬を長期間使っています。
僕はそれが化学的な見地から考えてもどうにもおかしいと思っていたので、
「こういった性質の病院の薬がなぜ慢性病を治すと考えるのか?そのメカニズムがどうしてもわからない」と師匠に尋ねたところ「いや、全くその通りで対症療法の薬を長期間使ったら慢性病が治るなんて道理もエビデンスもどこにもないよ」とアッサリ言われました。

なぜ薬を飲みたくないのか?

一番の理由と問題は医者と患者さんの間の価値観の違いかもしれません。
医者の「治る」という価値観をどこにおいているのか理解不能ですが、

患者さんは、
「薬が切れたら途端に再発するような治療」は望んでいないのです。

「根本的に治る」ことが患者さんの「治る」の目的です。

かといって、厚生省でパクってきたようなありきたりで平均的な生活養生を付け焼刃で言われても、説得力も何もないのです。

今まで感じていなかった急性の症状に病院の薬は有効だと思いますが、慢性病や長期的なスパンで根本治療したいと願っている患者さんは対症療法を望んでいません。
それが薬を飲みたくない理由だと思います。

病院の薬は個人の体質にフォーカスしないで人間全般に対して効果を発揮するように化学的に考えられています。
それゆえに誰が飲んでも効くようにできていますが、その性質のせいで対症療法になります。

これからの治療は西洋医学の薬といえども、個人の体質に合わせたものが必要かもしれません。
ただ、それは1つの薬を作るのに何十億円もかかりますので、商業的なことも含めて考えると不可能ですが。

不妊治療や婦人科系のホルモン剤はまた問題が違うので、それは不妊治療ブログの方で書きたいと思います。


posted by 華陀 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月13日

漢方薬の効果に対する大いなる誤解

漢方薬は東洋医学を基に考え、処方しますが、その東洋医学が西洋医学とは全く違う異質なものなので謎な感じが多く、漢方はいろいろと誤解されて理解されています。

実は知っていてなのか、知らないのかはわかりませんが、医者ですら東洋医学の考えで漢方薬を使用せず、西洋医学の考えから漢方薬を使用しているので、意味不明な漢方処方の方法をとっている病院が多いようです。

そういった状態がより「漢方っていうのは実のところよくわからない」というようにしてしまっているのでしょう。

もっとも、大きな誤解は「効果」に対するもの。
効果とか作用とか。
なんでもいいのですが、要するに自分の身体が「良くなる」「治る」という概念が漢方は西洋医学とは全く違います。

うちに相談に来られる場合、大体、僕のブログに共鳴して来られる方が多いので、なんとなーく「漢方の治療は西洋医学の治療とは全く違うものなんだ」と思いながらこられる方が多いのですが、時々、「先生、私の病気が良くなる漢方薬はないですか?」と割合、病院と同じノリで来られる方もいらっしゃいます。

西洋医学は体質全体を整えていくことが目的ではりません。
西洋医学の薬は、ダイレクトに成分が効いて症状が良くなるようになっています。
基本的には1つの症状に対して1つの薬が効きます。

症状1つに対して1つの効果みたいなものなので「効いたか」「効かないか」はすぐに答えが出ます。判断は◯×ですね。

漢方でも、風邪や下痢など急性の病気に効かせる方法もあるので、急性の病気の場合だったら、病院の薬と同じように短期間で「効く」「効かない」の判断で処方しますが、慢性病になると、これがガラッと違ってきます。

急性の病気の場合は、気になる症状は風邪の咳と鼻水だったり、下痢だったり、頭痛だったりと、病院の治療と同じように単体の症状を治す目的のことが多いです。

漢方の場合は、急性でも、いろいろと身体の他の状態もお聞きしますが、基本的には1つの気になる症状を目標にして、うまく治らなかったら、急性の場合は、1日ごとに漢方薬の種類を変更していったりします。

ある種、どの漢方薬が良く効くか?効かないか?みたいな側面もあります。
ところが、慢性病になってきた場合、効くか?効かないか?ではなく体質を変えていくことが目的となるので治療の考え自体が変わってきます。

慢性病の場合は、全身の症状や状態、今の住んでいる環境など、その人の事を詳しくお聞きして分析します。
なので、問診はかなり細かく、お聞きする問診項目もかなり多くなります。

症状をいろいろお聞きするのは、症状の1つ1つを漢方薬の条件にあてはめていくわけではなく、たくさんの症状や状態、状況をお聞きして総合的に考え「東洋医学的な体質」を分析するためです。

「東洋医学的な体質」を分析したら、次にその体質をどの方向にもっていけば、全体のバランスがとれるか?を考えます。
1つ1つの症状に対して「効いたか?」「効かなかったか?」ではなく、治る方向性に体質が順調に向かっているかをみます。

「良くさせる」のではなく身体を良い方向へ「変化」させるのです。

漢方薬は身体に変化を与えながら調整していきますので、中には「悪いような変化」を感じる場合もあります。

例えば、血虚、瘀血という血が足りなくて血の巡りが悪い体質の人は漢方薬を飲み始めた初期に血がグルグル回るので、めまいや立ちくらみという症状が出てきたりする場合があります。

この場合、症状だけで見たら、新たにめまいと立ちくらみが増えてしまっていますが、東洋医学的に見たら、血が巡っている途中だから起こっている場合もあるのです。

この場合は、しばらく続けてもらい血の巡りが良くなる方向として続けば、自然にその症状は治まってきます。

西洋医学的に見れば、新たな症状が増えるのは「副作用」でしかないかもしれませんが、漢方治療は「良くする」のは結果論であって、漢方治療でやっていくことは「身体に変化を与えて調整する」ことが目的なので、新たな症状が増えることも身体が治ろうと動き出した結果かもしれないのです。

「病院で処方してもらった漢方薬を3ヶ月飲んでるけど、一向に良くならない」と言ってる方がいらっしゃいますが、そもそも漢方薬は気になる症状がダイレクトに治っていくのかどうかではなく、気になる症状がなくなるように身体が動いているかをみていくものです。
一向に良くならず、身体の「変化(良いも悪いも含めて)」もないのであれば、漢方薬を変更してもらったほうがいいですよ。
もちろん、最初に書いた東洋医学的な問診に基づいてですが。

漢方薬が直接、ステロイドみたいにかゆみを止めたり、痛みを止めたりするものではありません。

漢方では不快な症状は体質のいろいろな要素のバランスが崩れることによって、起こると考えますので、治療の目的もバランスを整えることになります。

そのバランスが整うことによって、結果的にバランスの崩れで起こっていた症状がなくなっていくということになります。

なので、東洋医学の理論で漢方薬を使う勉強をしてきた僕から見ると、病院で漢方専門の問診をとらないで体質も判断しない漢方薬の処方は、治療が始まってすらいないと思っています。

だって、漢方はダイレクトに薬の成分で効かせるものではなく体質に変化を与えて、症状がなくなるように身体を調整しますので、現在の体質がわかっていなければ、漢方薬が変化を与えることができたかどうかがわからないですよね。
よって、東洋医学的な問診をとらない漢方薬の処方は漢方薬を治療としては使っていないことになると思うのですよ。

漢方は西洋医学とは全く別の医学なので症状に対して効いたか?効かないか?ではなく、いろいろな身体の変化が良い方向に向かっているかどうかで考えましょう。


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2015年10月06日

体によい食べ物や生薬について。

東洋医学では万人に良いというものはありません。
全て陰陽でなりたっています。

にんにく、しょうが、ネギ、山椒などなど。

ネットでよくありますよね。
「身近な食べ物の中にも漢方薬の生薬や身体に効果のあるものがある」みたいな感じで。
ガンを食事療法で治すためのコミュニティーサイトなんかも良くそんなことが書いてあります。

にんにくは血行促進があって・・・うんたらかんたら。
しょうがは身体を温めてくれて・・・うんたらかんたら。

怪しいサプリメントの宣伝文句みたいなの。

日本人って昔から「◯◯は身体の◯◯に良い」みたいなの好きですよね。

「漢方薬に使用される生薬は実は身近な食材の中にもある」
これはわかります。
確かに、にんにくやしょうがやゴマは漢方薬の生薬の1つとして使われています。

ここまではいいのですが、ここからが問題があります。

「身近にも漢方薬はありますので誰でも簡単に手に入るので気軽に使ってみましょう」
こんなキャッチフレーズもあったりしますが、これは東洋医学的にはアウトです。

漢方薬はその薬にどんな効果があるのか?ではなく、どんな体質の人にどんな生薬(ここでいう食材)を使うかが重要なのです。

極端に言えば、人間が今まで普通に食べてきたものは、どれもなにがしかの効果があります。
効果があるから食べてきたとも言えるかもしれません。
だから、特にゴマが良いとか気にする必要はありません。みんな良いものですから。

その中の「何かの食材だけは効果があって、同じ食べてきたもので全く効果のないものもある」なんてことはないと思います。

漢方医学の真髄は西洋医学の発想から持ってきた血行に良いとか新陳代謝を促進するなどの一方通行な効果の考え方はしません。

だから漢方にそんなエセ西洋医学理論みたいなもので解釈されてもどうなの?って違和感がします。

漢方治療をしていく際には治療の思考性として陰陽という概念をもたなければいけません。
東洋医学は思考をすごく重要視します。
「何かの漢方薬は◯◯の効果がある」というような単純な発想ではなく、漢方医は治療のポリシーみたいなものをもって治療に臨まなければいけません。

陰陽とは「すべての万物事象に陰陽がある」という考え方。
宗教じみてきましたね〜しかし、ご心配ありません。宗教にはなりませんよ。

例えば、にんにくは生薬では大蒜と言います。
温という作用があります。身体を温めてくれます。
冷え性の女性が聞けばこの時点で「身体に良さそう!」って思いますよね。

ところが、世の中の体質は冷えだけではないのです。
確かに冷え性の人がにんにくを食べれば心臓を強めて体力を増し、血の巡りが良くなって、いいことづくめです。

しかし僕は熱証といって熱がこもりやすい体質で冬でも手足が冷えません。「うらやましい!」と思われたかもしれませんが、そのかわり熱が多いので、のぼせやすく真夏などは、すぐに汗疹や湿疹ができます。

こんな体質の僕がにんにくを食べると血の巡りがよくなって手足がほてり、冷えとは反対の不快感に悩まされます。
もともと熱がこもりやすいところに温められるので、余計にのぼせや汗疹がひどくなります。

僕のような熱証でなくともにんにくは薬性が強いものなので、貧血で体力がない血虚証の人は、少ない血が無理やり巡らされて空回りしたりします。

漢方で最初に重要なのは、何かの効果があることではなく「どんな体質の人なのか?」をわかっていないといけないことなのです。

さっきの陰陽の考え方は流動的です。
にんにくは陽系の作用のものなので、冷えたり、疲れていたりと陰の体質の人なら陰陽、揃ってバランスがとれますが、僕の体質は元が陽系です。
なので、陽系の僕が陽系のにんにくを食べ続けていると陰陽のバランスがとれずに身体は悪くなっていくのです。

体質と漢方薬が合っていないと効果を発揮しないのはこういった理由です。
これは食べ物でも同じ。
基本的には東洋医学的に使おうと思ったら「にんにくにどんな効果があるのか?」よりも何よりも、まずは「自分の体質は何なのか?」を知る事が重要なのです。

自分の体質がわからなければ、どんな食材や漢方薬がバランスをとってくれるのかがわからないので、何も始まらないのです。

にんにくやしょうがやネギにどんな効果があるか?を知ることは二の次。
まずは、自分の現在の体質はどんな状態なのか?
その体質に合わせて、にんにくやしょうがやネギなどを合わせていけばよいのです。

なんでもかんでも摂るということは、自分の体質にとって良いも悪いもグチャグチャのカオスな状態にしているということですね。

ちなみに東洋医学的な体質判断は陰陽だけではありません。
血の巡りが悪いお血タイプとか貧血傾向の血虚タイプとか、そんな血液型みたいな1つのタイプで決定できるものでもありません。
実際の性格と同じでA型の人がみんな同じ性格ではないですよね。
細かくみれば、みなさんいろいろと体質が違うわけです。

体質は複雑です。
その複雑な体質を東洋医学のいろいろな診断方法を使って分析し自分にあった漢方薬は選ぶのですね。
(東洋医学の診断方法と効果の考え方であって、西洋医学の新陳代謝を活発にするなどの効果では考えません)
なので、食材だって良いと言われているからって、適当にばかばかと摂ればいいものではなく、ちゃんと自分の体質に合わせて摂らないといけないのです。

サプリメント的になんでもかんでも、身体によい効果があると思って摂るなら、それはそれでいいと思いますが、生薬として東洋医学的として考えるなら、どの食材も陰陽があり、体質に対しての適正があることを知っておいてください。


posted by 華陀 at 18:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康生活!食べ物のお話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月29日

季節に合わせて飲む漢方薬を考え直す重要性

秋ですね。本来ならすごしやすいはずの秋です。
でも今年は夏から続いて最悪ですね。

台風につぐ台風。
加えて、なんとなく風邪が流行っていたり、花粉症っぽいものがあるようなないようなで、鼻ズルズルだったり、喘息みたいな肺炎になった人が多かったりと。
東洋医学的にはこういった季節は湿熱という身体にとって体調を崩しやすい環境をつくりだします。

漢方薬が西洋医学と決定的に違うところは、漢方薬は体内の自然な働きに逆らわないようにしながら調整します。
本来の健康なバランスから乱れてしまった働きを元の正常なところに戻れるように促すのです。

西洋医学はその人の体内の自然な働きとは関係なく薬の強制的な力で体内の働きを変えます。
本来の流れを遮断したり、本来の働きを助けるというよりは、本来の働きを邪魔して痛みなどが伝われないようにして治療します。

なので、東洋医学と西洋医学は全く治療の方向性が違うのですね。
現状の漢方薬を扱っているほとんどの漢方の病院や漢方薬局は、この漢方の治療原則がわかっていないのか、わかっているうえでそうしないのか、その辺はわかりませんが、漢方薬をその人の体質合わせて処方しようとしません。
漢方薬も西洋医学の薬のように強引に痛み止めやホルモン活性、かゆみ止めなどの効果を目標して処方したりしていますが、これは本来の漢方治療ではありません。

本来の漢方治療は、その人の体質を本来の正しい働きに調整するのですが、この正しい働きというのは、いろいろな要因で悪くなります。

西洋医学ならウィルスとか病原菌が体内に入って悪さをするのが病気の原因になりますが、漢方では自分を取り巻く自然環境や生活リズムと自分の体質の調整能力がずれたりすると病気になると考えます。

漢方薬を選ぶ際に西洋医学の病名が関係がないのは、そういう治療原則からですね。

身体は夏は汗を多量にかきますが、あれは体内の熱の発散を行って体温を下げて外の環境と調整しています。
逆に冬は汗や熱がなどが漏れ出ないようにして身体を温めています。

こういった風に身体のあらゆる機能は外の環境や生活リズムに合わせて身体を最もよい状態になるよう調整を行っているのですが、外の環境が強すぎると体内の調整がうまくいかずに病気の状態になったりするのですね。

漢方の治療で良くなっていくキーポイントは現在の環境とも関わっているのです。

そして、話は戻りますが、今年はすごく変な気候です。
ものすごい猛暑かと思ったら、台風がきて梅雨みたいに雨続き。

こうなると外の環境のバランスが悪すぎて、身体の調節がうまくいかなくなります。

調節がうまくいかなくなった部分を探すのが漢方の体質判断です。
初回に相談を受けにこられた方は問題ないのですが、こういう乱れに乱れた季節の時に困るのは、すでに何ヶ月か漢方薬を飲んでいて、順調に治ってきた人。

こういった方々が今年は季節の乱れが大きいので、今まで治っていた漢方薬が急に効かなくなったり、悪い場合は、変な症状が出てきたり不調になったりしているのです。

前までよかった漢方薬で悪くなる感じ。

これは、季節の変動が激しすぎて、身体の調整と漢方薬が調整する効果の3者がズレることによって起こります。

通常の季節の移り変わりくらいなら全然、問題ないのですが、今年は最悪です。

夏から同じ種類の漢方薬を飲んでいて、順調に症状が治ってきていたのに、急に症状がぶり返したりと、このまま同じ漢方薬を飲んでいてもうまくいかない感じの方がたくさんいらっしゃいました。

こんなに漢方薬の調整に苦労した季節は初めてですね。

病院のように病名や症状だけで漢方薬を処方していたら、そもそも、こういった漢方の治療原則を知らないので、何か症状がひどくなったとしても、新たな病気になったみたいな捉え方をして、また新しい薬を処方したり「漢方薬は効くまでに時間がかかるから」といって同じ対応でほったらかされたりしますが、漢方治療は外界と体内環境を調和させていくのが本来の治療なので、こんな時は季節の乱れに応じて元の漢方薬の治療の方向性を考慮しつつ漢方薬の種類を微調整して対応していかないといけません。

なのでうちでは、順調に治っていた人からジャンジャン、電話がありました。
まだ、台風が来ていて、季節は落ち着かない感じなので、まだまだ油断できそうにありません。

外の環境(気候)が落ち着いてくれると漢方薬の調整もしやすくはなるのですが・・・。

サーフィンをやってるので趣味的には台風は嬉しいのですが、皆さんの身体の治療を考えると今年の台風はちょっと勘弁してほしいなと思います。


posted by 華陀 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月24日

患者さんに治療法?を選ばせる漢方薬局

この間、皮膚疾患でうちに来られた方から聞いた話です。

漢方薬局らしいのですが、早く治りたかったら5万円コースがあり、通常なら3万円コースらしいです。

前日に似たような話を漢方薬局を訪問している生薬メーカーの営業さんからも聞きました。

その先生は営業さんに向かって「お客さんには2つの商品を提示して選ばせたらいいんやで。それを勉強会で教えてもらったんや」と得意気に話していたようです。
勉強会で何やってんの・・・漢方の勉強じゃないんだ・・・

僕も昔は漢方相談などをしている薬局さんを営業先として訪問させていただいていたので、この種の話はよく聞きました。

ただ、十年以上も前の話なので、未だにそんな売り方をしているのかと逆に感心しました。薬業界、漢方業界は悪い意味で時間が止まっていますね。

そもそも、高いコースが治りが早いというのが「すごい!」です。

うちでは、当然、高かったら早く治してあげるとか、安かったら普通にしか治さない。という概念自体がありません。

病院の薬は強制的な効果が決まっていますので、決まった時間だけなら、ほぼ確実に効かせることができます。
だから、病院の薬であれば高いコースは早く治る。という提案もできるかもしれません。
ただし、ステロイドなどの新薬を使う場合は、ほぼ確実に効かせられるかもしれませんが、根本的には治らないし「一時的に治る→再発する」の繰り返しです。

じゃあ、漢方となると「こっちの処方だったら早く治るけど高い。
こっちの処方だったら安いので治るのに時間がかかる」なんてありえません。
しかも、この5万円コースの治療って漢方薬でなくて乳酸菌を使うらしいです。
サプリメントなんて漢方よりもはるかに医学レベルが低いのに、お金を高く払ってくれたら早く治すと言えることが単純にすごいなと思いました。

長年、漢方薬での治療に携わっていますが、病気を治すというのは、非常に難しいです。

人それぞれ、いろいろな環境やストレスがあって、症状や病名が他人と似ているように見えても、みんなそれぞれ、違う症状や病気です。

それを見極めて、患者さんとも何度も話し合って治療を進めていきます。

なので、うちで提案するものは、毎回、僕の全力です。
「高いお金を払ってくれたら早く治してあげる」なんて余裕が1mmもありません。

僕が提案するのは、あなたの今の体質にとっての一番のベストだと考えられるもの。
「ちょっと手を抜いた安いバージョン」と「早く治せる高いバージョン」なんて提案できる余裕がない。僕にとったら身体の治療ってそんなに甘くないです。

ましてや、それを患者さんに選ばせるなんて「自分は何のために漢方を勉強してきたんだー!」って感じになります。

なんかそういうのって治療じゃなくて完全な商売なような気がします。
商売だったら、高いものと安いものを同時に提示して選ばせるというのは昔からの常套手段ですから。

昔、うちに相談に来られたある方が
「いくらでも払うから、良いもの全部ください」と言ってこられたことがありますが「残念ながら漢方は医学理論的に、できるだけ、その人にとってベストの1つの処方に絞りこむのが良いので、種類を増やすことはできません」とお断りしたことがあります。
商売的にはもったいないですね。

でも漢方の治療はその人、その人の体質に合わせるものだから、みやみやたらと種類を増やして値段を高くすることは「治せない」ことに直結しているのです。これは漢方医学の原則でもあります。

もちろん、お店を維持していくのに商売的な側面も重要ですが、それよりも「治せない」というのは僕にとって最も恐ろしいことです。

それに漢方薬は何百種類とあるので、その何百種類の中から1つに絞り込んで治せた時の達成感は最高です。
このあたりは漢方マニアとしての快感かもしれません。

僕も早く治したり、普通に治したりと、あやつれるくらいになりたいです。
でも、これからも「全力で1日でも早く治せるかどうか」を地道に努力していくしかなさそうです。


posted by 華陀 at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする