2017年02月17日

漢方薬の選び方の問題

昔、僕らの中で漢方ジプシーと呼ぶ類の人たちがいました。
ひょっとして、漢方ジプシーと呼んでいるのは僕らの内輪だけだったかもしれないですが・・・

どんな人かというと、1つは数々の漢方内科や漢方薬局を転々とする人。
もう一つは、ネットなどで漢方の情報を調べて、自分で漢方薬を購入して飲む人。
自分でいろいろと試している人です。

前者は、病院の漢方科、漢方薬局でまともに漢方治療ができるところは、ほとんどないと言っていいくらいなので、運が悪ければ、ちゃんとした漢方家に出会えることはありませんのでジプシーになってもしょうがない部分もあります。

ちなみに僕は真剣に漢方が勉強したいと思い、当時、仕事上で漢方相談などをしている漢方薬局を500店ほど店の深い内情も含めて知っていたところから探しましたが、修行させてもらいたいと思ったのは九州のたった1店のみで、他にまともな漢方相談をしているところがないのは分かっていましたので、新婚で新築の家を買ったばかりにも関わらず、迷わず、大阪から九州へ修行へ行きました。

当時の経験から残念ながら一都道府県に1件もない可能性もありますよ。
漢方薬局の大半は、漢方と説明しながら、複数のサプリメントの抱き合わせを売っているところばかりでしたので。

最近、2つ目の漢方ジプシーさん(自分で調べて自分で漢方薬を試す)が増えてきたように思います。
正直、この手の漢方ジプシーさん、昔からやっかいですが、今は昔よりも困り果てております。

別に何がなんでもうちで買ってほしいという意味で言うわけではありません。自分だけの判断で漢方薬を飲みたいという人はこれ以上、読まないほうがいいと思います。そう思うならそれも良しです。

多分、この手の人って漢方自体をものすごく誤解しているんだなと思います。

この手の人って、単純に漢方薬って「自然のもので副作用がなく安全で根本的に治るもの」と「漠然」と考えているだと思います。

これは2つのポイントがずれています。
@残念ながら漢方薬は副作用があります。
病院の薬の副作用は、まれに副作用が出る的な感じですが、漢方薬の副作用は実に単純で「体質と合っていないと副作用」です。(病院の薬の副作用も薬理的に見れば、まれに出るものではなく鎮痛剤は痛みを止めて、胃を荒らすという2つの働きが存在するので、実はまれに起こるといったものではない)

ここでももう一つ誤解されていることがあります。
これは、病院や大手漢方薬メーカー、現状の漢方薬局の責任もあると思います。
病名や症状が「体質」ではありません。
サイトや漢方薬のマニュアルに適応症状と書いてあるので、医者まで素人と一緒になって、西洋医学の病名や症状をあてはめて漢方薬を選んでいますが、症状は東洋医学的な体質を診断していく上での1パーツにしかすぎません。血液型診断みたいに症状をあてはめるわけじゃありません。

病名で漢方薬を選ぶ方法に至っては、最早、論外で西洋医学の病理は体質を分析していく1つの情報として手助けにはなりますが、モロ、病名で漢方薬を選ぶ道理はありません。

なぜなら、漢方薬を選ぶ方法論は2千年前の中国ですでに確立されていて、今、病気、病名だとよんでいるものは、150年位前に西洋で発展したもので、歴史も場所も何の共通もなく、他ジャンルといってもいいくらいです。

逆にして見てみれば、2千年前の中国で確立された診断方法で体質を判断し、薬は西洋医学の現代の薬を選ぶようなものです。現代の薬を選ぶのに東洋医学の体質なんて何の関係もないです。
なので、西洋医学の病名は漢方とは何の関係もありません。
こんな歪はことはないでしょ?

漢方は体質と合っていなければ副作用になります。
ということは前提に「体質」の診断が必要です。
そして「体質」は「病名や症状」のことを指しているのではありません。

なので、体質と合わない可能性が高いわけですから、自分で漢方薬を選ぶ場合は、
@何も効果がない。 A効果があった。 B余計に悪くなった。
のどれかになるのを運にまかせるしかありません。

そうなると、詳しい専門家に聞けばいいんじゃないの?となって、うちに相談がありますが、これも自分で飲んでいくなら無意味。

そもそも、うちの相談では、購入前に具体的な漢方薬名は伝えませんが、仮にこれを事前に聞いたって、同じです。
「専門家なら治せる漢方薬を知ってる」と思ってるでしょ?
違います。確かに素人の方よりも知識や経験があるので、治る確率の高い漢方薬を知っていますが、
A漢方と体質が合っているというのは、そもそも、飲んだ後の結果からわかる。
のです。

そして、その「結果」って「あなたが気にしてる症状が消えたかどうか?」ではありません。

漢方薬って、あなたの気になる症状を抑制したり、緩和する目的ではありません。それだったら病院の対症療法と同じですよね。
漢方薬が「自然の物」って言うだけで、根本治療になると思います?
そんな甘くないですよ。

根本的に治るのは表に出てる症状を、ちまちま一時的に消したりするものではなく、体全体のバランスを整えるから根本治療になるのです。
体全体のバランスを整えるわけだから、飲んだ後の結果から検討し、当然、「体全体の状態」が根本治療の方向に向かっているか?を考え、他の漢方薬への変更も検討します。

つまり、漢方医の仕事って、治りそうな確率の高い漢方薬を選ぶのはもちろんですが、それよりも「根本的に治る方向に向かっているか」を常に確認し、他の漢方薬への変更などの調整をかけていくことです。

更にあなたの体質に合わせた、あなたの体にやさしい生活に調整していくことも大切です。
睡眠時間3時間の人が、睡眠薬を飲んで3時間、寝たからって、睡眠不足が解消すると思います?
漢方薬が根本的に治すというのは、病院の薬と違う特殊効果があるわけではなく、病気にならないように生活と体の両面を調整していくからです。

ということなので、1つ1つの症状を消して回っていたら、それは結局、病院の薬とやってることは同じなんですね。
それに僕には不思議なのですが、よく占いみたいな感覚で副作用もあるものを飲むなと感心します。
うちに明らかに漢方薬名だけ知りたいっていう人が相談してくることがありますが、あの感覚も不思議。
そもそも、うちでは購入前に漢方薬名自体をお伝えしませんが、会ったこともない人が「無料で本当のことを教えてもらえる」って自信や保証がどこから来るのかな?と思います。
無料ってことは、こっちは治療に一切、責任もつ必要ないですからね。

ほいほい、無料で教えてくれるとこがあるなら、逆にそこで相談するのやめたほうがいいですよ。
漢方の治療原則から考えておかしいし、無責任すぎます。


posted by 華陀 at 17:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月08日

瞑眩や漢方薬の副作用。

瞑眩って聞いたことがあるかと思います。
漢方の先生がよく「乱用」しているようび思います。

瞑眩とは、ある漢方薬を飲んで2日以内に不快な症状がドッと出て、その後にスーッと治っていくことを言います。

漢方薬は病名や症状に合わせてマニュアル的に選ぶものではなく、体質に合わせて選ぶものです。
体質はみなさん、違いますので、同じ病名の人でも身長、体重、全体の体の状態なんかを細かくみていくと全然、違う「病気(体質)」だったりするわけです。

なので、以前にアトピーの人に対して劇的に聞いた漢方薬も、次のアトピーの人に効くとは限りません。
なぜなら、病名は体質ではないからです。

漢方薬は体質に合わせるものですが、その体質を漢方薬が合っているというのは、一定期間、飲み終えて、いろいろと良くなっていれば、その時に初めて「その漢方薬は、その人の体質に合っていた」と判断できます。

あくまで飲んだ後の結果論なのです。
いくらアトピーの人を1000人、治しても、次の人は新たに「体質」を考え、一定期間、飲んでもらって
漢方薬と体質が合っているかどうかを答え合わせしていかなっければいけません。

そんなわけで、漢方薬は処方した時に合っているかどうかは、処方した先生も患者さんもわからないわけです。

漢方の先生も患者さんも「治る」と思って飲み始めた漢方薬。 
思いには反して漢方薬を2,3回飲み始めると湿疹がひどくなったり、下痢したり・・・
いろいろな悪い症状が出てくることがあります。

これを瞑眩とよんで「良くなる前の悪い症状」と説明する先生がいらっしゃいますが、実は瞑眩なんてものは滅多に出てきません。

僕は10年の漢方人生の中で2,3人。それも急性病の方のみ。
慢性病に至っては記憶にありません。
漢方のいろいろな名著を残された日本漢方の大家の先生の言葉では「40年の治療経験の中で数例にもみたない」と書いておられました。

そんなすごい先生でも、ほぼ、瞑眩というものは存在しないのです。

なのに、患者さんからは前の漢方の先生から「瞑眩反応」だと言われたという話を良く聞きます。
それはあまりに瞑眩という不渡り手形を乱発しすぎです。

それって、体質と漢方薬が合っていないから、ただ単に副作用なんじゃないの?
と思います。
漢方薬の副作用は「体質と漢方薬が合っていない」場合は全て副作用につながるからです。

瞑眩って説明してしまうと聞こえはいいですが、瞑眩だろうが、副作用だろうが、その時は「漢方薬を飲み始めて悪い症状が出てきた」という状態です。

この時に瞑眩だから「もうちょっと飲んだら良くなるから飲んでみて」と、言うのは簡単ですが、漢方の大家の先生の経験や僕の見解では瞑眩は「ほぼない反応」なのです。
つまり、その時は「体質と漢方薬が合っていないための副作用」と考えるか「調整途中で体が大きく動きはじめた結果の悪い反応」の2つを同時に考えます。

瞑眩の考え方と似ていますが、瞑眩は僕のイメージでは予期せぬ感じで悪い症状がドバーと出てきてスーッと劇的に良くなっていく感じ。

一方、僕が考える「調整途中で体が大きく動いた結果の悪い反応」というものは、バランスの崩れた体質が治っていこうとする時に起こりうる悪く見える症状です。

僕は漢方薬を選ぶ際に体質を分析し、漢方薬の調整がどんな風に進んでいくのかの予測を立てますが、その予測の範囲内で起こる副作用的な「悪い」症状を想定しています。

そして、漢方薬を飲み始めて「先生、なんか悪くなってきているので漢方薬を変えてもらったほうがいいでしょうか?」という相談がよくありますが、その際は、悪くなるかもしれない想定をしているとはいえ、常に「ただ単に体質を漢方薬が合っていないか?」「良くなるための調整か?」の正反対の2つに1つの決断を強いられます。
2つに1つといっても正反対の現象です。

経験上は、どちらもあるのですが、単純には決められないので、詳しくいろいろとお聞きして「良くなるための調整途中」だと判断した場合は、「耐えられない症状でなければ、もう少し続けてほしい」とお願いします。漢方薬を飲み始めて悪くなっているのに、更に僕が決めた一定期間(それほど長くない)を続けてもらうわけです。

そうすると、悪い症状が出ていたのに、何日かすると、その症状もなくなって、だんだんと良い感じになってきます。

患者さんには後から「実は続けてと言われた時は大丈夫なのか?と思いました」と言われることもあります。

再度、言いますが、これは瞑眩ではないように思います。なぜなら、僕は東洋医学理論に基づいて、理論的に分析して、続ければ治るという予測がある上で「続けてください」と決断しているから。
未来からみれば、ただの治る時の変化です。
もちろん、一定期間、続けてもらった後「漢方薬が合っていなかった」なんてこともあります。

最近、ご自身で漢方薬を選ばれる人がいますが、漢方治療にはこういったことも治療の中に含まれます。
飲んでみたけど「悪くなってきた」ことを理由にすぐに「漢方薬が合っていない」と判断しないほうがいいです。
全身の状態の変化を分析して、一定の期間で止めるべきか、また続けるべきかを検討しないと、基本的に、飲み始めて悪い症状が起こり、その薬を止めてしまうと、その薬を2度飲むことはなくなるので、下手すると一生、治せる漢方薬に出会えない可能性があります。
だって、その止めようとしている漢方薬こそが最高に合っている薬かもしれないですから。


posted by 華陀 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月02日

漢方薬はマニュアルで選んでも治らない

みんなの家庭の医学というテレビ番組で漢方の事をやっていたらしいですね。
(僕はテレビを見ませんので僕は番組を見ていません)
治療提携している鍼灸の先生から、先生にブログのネタを提供しますよ。と話を聞きました。

なんでも冷えの女性が出てきて、千葉大学の漢方の先生が、いろいろと診察して、その冷えの原因を「ストレス!」と言ったらしいです。

正直、この話を聞いた時、少し悲しかったです。
千葉大学といえば、日本漢方の大先生の母校です。
バリバリの超優秀な日本漢方医がいた大学の漢方の先生の見立てが「ストレス」って、そこらのサプリを売ってる怪しい販売員じゃないんだから、嘘でも、もうちょっと漢方医らしく「証」(東洋医学的な病的体質の要素)を診断して「証」とは何かをズバッ!と説明してほしかったですね。

更におかしな話を聞いたのが、その先生、漢方のガイドラインをつくっている先生とのこと。
???
漢方のガイドライン・・・漢方は個人、個人のその時の「証」を診断して、その証と治療戦略に基づいて漢方薬を選びます。
先生ごとに分析方法や証も治療戦略も変わるので、ガイドラインで漢方なんかできません。
もし、なんらかのガイドラインがないと漢方ができないというのであれば、それは、ただの勉強不足の人です。

厚生省の役所仕事で、ガイドラインやマニュアルをつくって、どの医者も漢方ができるようになる基準を作りたい気持ちはわからないでもないですが、漢方は個人の体質を調整する治療方法なので、ガイドラインを決めること自体、漢方薬を漢方らしく使えなくしているのと同じことです。

このガイドライン、どういう意味合いでのガイドラインか詳しくは知りませんが、おそらく、西洋医学の病名や症状をあてはめて、マニュアル的に漢方薬を選んでいくような今の病院がやってるファンタジーな方法を突き詰めていく感じなんじゃないかと勝手に推測します。

例えば、漢方では、治療の考え方の違いで中医学、古方、日本漢方と大きく3種類の方法があります。
この方法論は、どれが良いとかどれが優れているというような優劣などは、誰も決める事ができません。
どれも体質の診断の理屈や診断方法、漢方薬の選び方などが違い「それぞれの治療の考えがある」といった感じ。

この方法論。漢方では派閥と言いますが、この派閥のどれかを基準にするというのなら、まだわからなくもないです。
例えば「病院は中医学を漢方の基準医療の方法とする」などです。
ただ、中医学をガイドラインにしたところで、自分の考え方で、体質を分析し、漢方薬を選び、治療戦略を策定するというのは、変わりません。

やっぱり、西洋医学の病名や症状からあてはめて、漢方薬を選ぶという本来の漢方には一切ないファンタジー理論をガイドラインにするのは東洋医学的に異常なので、そんなガイドラインをつくったところで、診察する先生自身が一人一人、治療方針をつくらないといけないことに変わりないわけです。

西洋医学は、平均の医学で、個人の体質などは考えません。
小さな子供も、体格の良いアスリートも病弱で年老いているおばあちゃんも「頭痛」を治すのは、みんな同じ鎮痛剤を使います。
個人差を一切、考えないで、「頭痛」という症状だけに対して、一時的に治る薬を処方します。
時には効かないタイプもいますが、個人差を考えず「人間」だったら「効くはず」という前提で話がすすんでいきますので、効かなかった人は「なぜ効かなかったか?」の理由はわかりません。
「おかしいな・・・効くはずなんだけど・・・」で終わり。

漢方は西洋医学とは全くの逆で、一人一人、体質が違うと考えます。
顔や体つきと同じです。全く同じ人なんていませんよね。
小さな子供、体格の良いアスリート、病弱で年老いたおばあちゃんの「頭痛」を治すのは、全部、違う漢方薬になる可能性が高いです。

頭痛だったら呉茱萸湯とか、五苓散というのは、呉茱萸や五苓散が直接、痛みをとる働きなら、効くのですが、呉茱萸や五苓散もそういった効果ではないし、漢方は直接的に症状をとるために飲むものではないからです。

漢方は、頭痛そのものを直接的に治すものではありません。
漢方において「症状」とは体の健康を保つ要素のバランスが崩れた結果、出てくる警告音のようなものだとみます。
症状はあくまで警告音なので、警告音を直接切って、音をなくしても(症状をなくす)根本的な問題は何も解決しないのです。

体の中のいろいろな要素のバランスが崩れて症状が出ているので、全身の状態をみて、なぜ、頭痛という症状が出てきたのかを分析します。
それは、気の滞りと上焦部位(肩から上の部位)の水の滞り、それに寒証(冷え)という病的な体質(証)から出てきた症状かもしれません。
証を分析をする際は、全身の症状や生活状態などを調べていきます。
例え、不快な症状が「頭痛」だけであっても、食欲、胃腸の状態、睡眠に関すること、オシッコや便など、全身の状態をかならず調べる必要があります。

この場合、頭痛は、気滞の証、上焦の水毒の証、寒証という3つの証の組み合わせによって、現れていると考え、これらの3つの証を全部調整できる漢方薬を選びます。
ちなみに、これは僕がやってる日本漢方の分析です。

頭痛に効きそうな漢方薬を順に試していくのではありません。
漢方の初心者の頃は、どうしてもレベルが低いので、病名や症状にあてはめるところから、始めますが、あくまで初心者の頃の方法なので、そんな方法でやってていいのは、せいぜい6ヶ月位じゃないでしょうか。どんなものでもそうですが、いつまでも初心者レベルでやってちゃダメですから。

そして、肝心なのはここから。
本格的な漢方のマニュアルでも頭痛によく使われる漢方薬というものはあります。
ツムラのマニュアルを見ても7つ以上の候補があります。

今のガイドラインがどんなものか知りませんが、普段は、この候補から、いくらか書いてある頭痛以外の症状があてはまるかどうかを探していくのでしょうが、ここに書いてある症状は、あくまで例です。

その証拠に他の漢方薬の本を何冊も見比べてみてください。
漢方薬に適応症と書いてある症状は、本によって微妙に違うものが書いてあるはずです。
そうなったら、どの本をマニュアルにしますか?
ひょっとしたら、この「病名・症状=漢方薬」というマニュアルを標準化して、ガイドラインにするのでしょうか?

そもそも、現実には適応症状の全部の症状が一致することなんて、ありません。
「この症状はあるけど、この症状はないな・・・」
悲しいかな、詳しく見ていけば、見ていくほど一致しません。

そうしたら、どうするか?
「多分、大体合ってるから、これでいいか!」って急にテキトーになります。
でも、それっておかしいですよね。
症状を合わせるのであれば、全一致じゃないと「どれでもいい」になってしまいます。
これが、実は、漢方の勉強を始めて、本格的に勉強しようとした時に出会う大きな壁です。

最初は病名や代表的な症状だけをマニュアル的にあてはめて、処方しているのですが、その方法は、あくまで初心者用の方法で、当然、何ヶ月か経ったら、そのド素人の方法から抜け出さなきゃいけません。

そして、その次に、漢方薬の適応症状も見て、この適応症状が、あてはまるものを選べば、効く可能性が高いんじゃないかと思いはじめるのですが、皮肉な話、勉強すればするほど、その漢方薬に合う適応症状が増えて「あてはまる症状だったり、あてはまらない症状だったりが、ごちゃごちゃになって、どれがどれだかわかんない→どれでもいいや」状態になり、そのまま、レベルの低い占いのような病名・症状漢方を続けるか、漢方をやめるかという岐路に立たされた人は大勢います。

どんなガイドラインをつくっているのか知りませんが、ガイドラインをつくるのであれば、処方マニュアルではなく、中医学、古方、日本漢方の派閥をいずれかに設定し、どの診断基準を使うのか?で設定すればいいのではないかと思います。

ちなみに「漢方は気・血・水で診る!」みたいな、これまたファンタジーな話が一般的ですが、例えば日本漢方なら「気・血・水」「八綱弁証」「五臓六腑」「五行」「六経」「病因(外因・内因)」「八法」「治法」などの分析ツールを使って証(体質)を分析します。

「気・血・水」は体質分析ツールの1つにすぎませんので、もし体質分析を「気・血・水」だけでやってるなら、そういう先生は大丈夫かな?という感じです。


posted by 華陀 at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする