2017年07月27日

漢方でダイエットとか美容とかのウソ!?

漫画やアニメの世界で原作レイプという言葉があります。

なんかギョッとする言葉ですが、何かと言うと人気漫画などが実写の映画化やドラマ化されることがありますが、その時に原作と違った感じで話が作られることで、出来上がった映画やドラマは、原作とは似ても似つかないヒドイものとなりクソのような内容になり、失敗しています。

このことを原作レイプと言います。
結局、原作を忠実に再現した映画やドラマはそれなりの良い評価を得ることが多いので、付け焼き刃で、どこかの低レベルの脚本家が原作を無視したストーリーを書いたところで、キャラや設定とのバランスを崩すなどして、うまくいかないのですね。

漢方でなんでこんな話をするかというと、別に僕の徒然日記ではありません。
漢方もこの「原作レイプの被害者になっているな」と思うからです。
漢方という医学理論に対して被害者というのも変ですが。

・病院などが率先してやっている西洋医学の病名で漢方薬をマニュアル的に処方する方法。
・病院や漢方専門薬局と言いながら、1つの症状ごとに漢方薬がまるで症状の緩和に使う薬のように、これまたマニュアル的に処方している方法

この辺は、伝統的な漢方治療のルールから悪い意味で外れて最早スタンダードになっています。

この辺はまだ漢方とは、あまり関係ないですが、西洋医学をそれなりに漢方に結びつけようとしている努力が見えますが、ヒドイのは「漢方でダイエット」とか「漢方で美容」などの「特定の漢方薬がダイエットや美容に効く」みたいにやっている人やドラッグなどに卸している某有名メーカーやエステティシャンやアロマ、ヨガなどをやってる人。

例えば「防風通聖散、防已黄耆湯、大柴胡湯、大黄甘草湯などはダイエットにいいですよ〜」
みたいなヒドイの。

そもそも、漢方は体質に合わせて選ぶので「太っているからこの漢方薬」なんて選び方はありません。

そういうと「防風通聖散は太っている人に合わせるという条件がありますよ」というかもしれませんが、太っている人に合わせるのであって、痩せるために飲んでもらうのではありません。

ここのところは大事です。都合よく解釈してはいけません。

防風通聖散の目的は臓毒による病態を治すことが目的で、臓毒が解消されれば、確かに痩せやすい体内環境は作られるかもしれないですが運動しないで食べていれば、絶対、痩せませんよ。

先にあげた、これらの漢方薬には大黄という便を刺激で強制的に促す生薬が含まれるのですが、多分、ダイエット漢方なんかで売り出しているメーカーさんは「便を出せばやせるでしょ」というようなものすごく単純で低レベルな発想で売り出しているんじゃないかなと思ったりします。

便出すだけで痩せるなら、強烈な下剤を飲めばいいですよね。
西洋医学の薬の方が即効性ありますよ。

ちなみに大黄や芒硝とよばれる便を刺激するものは、ちゃんと体質をみて処方するのであれば、かなり慎重に選ばないといけないものです。

「便出ないの → じゃあこれ!」そんな感じでは選びません。
便秘だったとしても、刺激系の生薬以外で便秘を解消できないか?などを考えぬきます。

巷の薬局では「食べるだけで痩せる」というようなサプリメントやエセ漢方薬を紹介して成功例なんかを載せているところがありますが、成功させているお店のカラクリをご存知でしょうか?

実際に痩せさせたと結果を出しているお店に相談に行くと、食事や運動の徹底指導をするのですよ。
その徹底指導のためのツールがてんこ盛りです。
結局、飲んで痩せるのではなく、食事と運動の指導をやってるのです。

漢方は診断技術を含めて確立されたのが2千年前。
特に診断技術などの医学理論が向上したのは三国志の時代で、1年に流行り病で200人以上も一族が亡くした今でいう市長みたいな人が、いろいろと漢方医学論を考えました。(厳密には1人が考えたのではなくたくさんの漢方医によって考えられたとされている)

イメージしてみてください。
「私、最近、運動不足もあって、ふとっちゃってぇ〜」なんて世界じゃないです。

この頃の三国志の時代は、帝が一般の家に匿われた時に献上する食べものがなくて、母親の肉を差し出したなんて記述の本もあるくらい壮絶です。

いくさ、飢饉、今と違って常に餓死の可能性があります。
平民は生きていくための労働は基本、大変な運動を伴います。

また、宮廷の宦官という役所仕事の人にしたって、今と違って自転車も車もありません。広い宮廷内をあちこち歩き回るのです。

王族といえども、いつ戦になるかわかりません。
王族のごくごく一部にはダイエットが必要な体型の人もいたでしょうが、それでも、運動不足になるような環境ではないし、そんな、ごくごく一部の人の病気でもない人のために当時の重要な治療である漢方がダイエットなんかに取り組むわけがありません。

ほとんどいないような肥満者のために今なら、大きな大学病院が研究しているようなものですよ。

他にまだまだ克服できていない未知の病気を治せないことが山積みなのにそんなことするわけないじゃないですか。

それこそ、そんな研究は、現在は、ただ単にダイエット業界はお金になるからやるだけです。ダイエット、痩せるという言葉はお金になりやすいのです。

昔、うちの漢方相談で他の治療をしていて、その過程でどうしても痩せたいというので、指導したことがあります。

その人は、いくらダイエットをしても、あるkgから下に痩せることができませんでした。
そこで漢方薬を再検討し、食事、運動、生活の送り方を徹底的に調べて、痩せるための改善指導をしました。

漢方薬を再検討と書きましたが、何も防風通聖散や防已黄耆湯などの大黄の入っている漢方薬を選ぶような、そんな低レベルのことはしていません。

消化器、循環、代謝、排泄の一連の流れをもう一度見直して、最適な漢方薬を再考しただけで、結局、ダイエットといえども、その人の体調を全体的にベストに調整するという漢方本来の診断と変わりがないのです。

そして、結果的に3ヶ月位で今までにないところまで痩せることができました。
劇的といっていいくらい!
何よりも目指したのはkgの減少だけではなくシルエットなので、細くて綺麗なシルエットになったのです。

ところが、これにはオチがあって、すぐさま何ヶ月か経って、前ほどではないですが、元に近い重さに戻りました。

その時にその人から言われたのが「こんな生活は続けられない」
ちなみに指導した生活は僕が普段、行なっている生活よりも、まだちょっと楽な感じの生活。

別に僕は時々、ケーキも食べるし、外食もします。ただしチェーン店系は裏事情を知っているので気持ち悪くて行きませんが。

それほど、ストイックではありません。ただ、週3日はトレーニングしています。
自分でいうのもおこがましいですが、細マッチョです。
中年ですが、腹筋は6つに割れてます。

細マッチョ体型としては過酷でもない普通の生活です。

結局、漢方薬は体質全体を調整するために東洋医学的な体質である「証」に合わせて選べば、体全体の調子をあげてくれますので「痩せやすい体」ができますが「痩せやすい体」は「痩せていく体」ではありません。

そこから痩せるには、食事、運動、生活の送り方の調整が必要なのです。
だから、「防風通聖散、防已黄耆湯、大柴胡湯、大黄甘草湯」なんかを飲んでいたら痩せるというのは、まるっきりのウソ!ではないかと思うのです。

漢方の世界にダイエットはありません。
痩せやすい体づくりのために漢方薬を応用できないこともないという感じです。

しかも、その漢方薬は東洋医学的な「証」を分析診断して選んだものに限ると思います。
なぜなら、体質と漢方薬が合っていなければ、逆に体質は悪くなるからです。

そして、最大のポイントは太っている人だと「もう続けるのが嫌だ!」と思うようなことを毎日、少しづつでも続けていけば、痩せるというか、痩せてキレイなシルエットを保つことができる生活を送ることができます。

いわば肥満の完治ですね。

別に厳しく指導するわけでもなく、その人に合わせますので、こんな冷静な現実の記事を書くようなやつですが、もういい加減、本気で痩せたい!!と思う人はご相談ください。

気づいたら、美容のことをほとんど書いてませんでした。
漢方と美容のウソ!?を書きますね。

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2017年07月21日

ウソにまみれた漢方業界の正体

最近、ネットもフェイクニュースやら嘘の情報が溢れていて、かなりのネットリテラシーを持って情報を見ないと真実かどうかも疑わしくなってきています。

リテラシーとはWikiによると「情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと」となっていますが簡単に言えば、調べる対象の基礎知識を網羅していない状態では、ウソかどうかを判別することすらできないということです。

もうすぐ、誰もが安心して情報として活用できるのは時刻表位になるかもしれません。

どんな情報でも理解するためには基礎知識が必要だと思いますが、その中でも高レベルなのは医療情報だと思います。

医療情報の難しいところはガイドラインが絶対的に正しいわけじゃないということ。
最近、ネットでは医療に携わっていない人が「こんな運動したら妊娠した」みたいな記事を書いて、それを医者から「エビデンス」がないと突っ込まれていることがありますが、あれも微妙です。

もちろん、あまりにいいかげんなものは、アウトだと思いますが、ではエビデンスがあれば、いいのかというと、西洋医学で病気を調べると慢性病なんて、ほぼ「原因不明」だったりします。

エビデンスと言ってるもののほとんどは、急性的な症状に対して、一時しのぎできる対症療法の薬に関してなので、結局、慢性病に対してはエビデンスなしで治療してるじゃん!って思ったりして、そんな記事を見た時は「どっちもどっちじゃないの、よけ変わらんわ」と。

普段から明確な原因の説明も治療方針も説明できない医者が「エビデンスがない」と文句つけても、説得力が・・・

ちなみに僕と僕の家族は病院で「これが原因でこの治療方針で治る!」なんて説明を一度も受けたことがなく、なんか「ごにょごにょ」説明されて煮え切らない説明がよくわからないので、それに対してガンガン質問していくと最後に逆ギレされて終了!というのが最近のスタンダードです。

漢方には西洋医学的なエビデンス(科学的根拠)はありません。
なぜなら、科学に基づいて発達した医学ではないからです。
しかし、広義のエビデンスとしては理論や根拠はあります。東洋医学として。

漢方を西洋医学のルールや理論から翻訳しようとしていることが多いですが、漢方は中国で2千年前にすでに医療理論が確立している医学で、西洋医学の今の投薬で治療する理論は、漢方の発祥の1800年後、今からたかだか200年前あたりから発達してきたものです。漢方とゼロが一桁違いますね。

そもそも2千年前の時点で「観察・検査の方法」「診断方法」「治療方法」が決まっているのに、今更、科学の力で分析する必要がないのです。

何よりも滑稽なのは、科学の力で翻訳しようとしながら、その元の東洋医学の「観察・検査の方法」「診断方法」「治療方法」を理解していないのに、科学で理解しようとしているところ。

なんか、東洋医学思想が難解でわからないから逃げているようにしか見えません。
科学で漢方を分析してもいいと思いますが、それならせめて東洋医学の「観察・検査の方法」「診断方法」「治療方法」を完璧に理解し使用した結果、こんな壁にぶち当たった。位までやってほしいところです。

まとめると医療情報は一般の方の知りたいところかも知れないですが、せめて生理学と薬理学の基礎知識を知らないと自分にとって、どの情報が良くなくてどれが良いのかすら判別できないということと、実は西洋医学のガイドラインもあくまで参考にするものであって絶対ではないのです。

前置きが長くなりましが、本題はここからです。
漢方には実はガイドラインがありません。一応、70年前くらいに中国で再編された中医学は現在の漢方のガイドラインと言えばガイドラインですが、理論に偏りすぎて実践的でないというのが僕の意見です。

中医学派の他にも古方派、日本漢方派というジャンルが漢方にはあります。
古方と日本漢方は親戚同士みたいなものですが、中医学は、治療の考え方や診断方法は全く違います。別ジャンルの医学といってもいいくらいです。

ちなみに僕は日本漢方派です。これは室町時代から明治初期まで日本で医療として使われてきた医療です。
江戸後期に蘭学(西洋医学)が入ってくるまでは宮廷医も御典医も漢方でした。

漢方にガイドラインがないのは、マニュアル的にできないからです。
ただガイドラインがないといっても、最低限、守らないといけない原則や方法はあります。

それは『体質を分析し、体質に合わせた漢方薬を処方すること』
これはどの流派も絶対です。
間違っても不妊症に当帰芍薬散とか頭痛に五苓散など西洋医学の病名で漢方薬を選びません。

体質は東洋医学的体質のことで病名や症状を並べ立てることではなく、生活環境や生活リズム、体全体の症状を総合的に判断して導き出した答えが体質です。

現時点で日本で漢方治療しようと思ったらどんな機関があるのか、その特徴を書き出してみます。

■一般の病院の漢方薬
東洋医学としての知識はゼロに近いです。ツムラさんなどは西洋医学の病名に対して、どんな漢方薬を処方すれば良いのかというようなマニュアルを配っていて、営業さんは西洋医学的に「何人かにある漢方薬を飲んでもらったら、こんないい結果が出た」みたいなサプリの口コミみたいな資料をもっていって、医者はそのデータを根拠にしています。

もちろん、体質も診断せずに西洋医学の同じ病名の人に飲んでもらったデータは漢方的には何の役にも立ちません。
データを取る前に「体質を診断してデータをとり直そう!」って感じですが、そもそも漢方のルールで体質を診断できないので、はじめることができません。

処方の方法は、皆さんご存知のように病名のマニュアルで漢方薬を選んでいます。
実は医大でも漢方ってほぼ勉強していないので、素人の方とそれほど変わらないのです。

■漢方専門薬局
一般病院と違って、ここはやっぱり専門家に!と思うかもしれませんが、実は漢方専門と言いながら、ほとんどの店が専門と言えるレベルではありません。
なぜ、そんなことが言えるかというと、実際に昔に僕は漢方専門薬局さんをお仕事で関わっていたからです。

裏事情を知っているどころではありません。
ご本人たちから「漢方はよく分からないから教えて」なんて言われたこともあります。
ちなみにそこも看板は漢方専門です。

一般の病院よりはマシで、ほとんどのところは体質はみることができませんが、一応、2,3の症状を聞いて漢方薬を合わせたりします。
仕事上で会った先生は全国400人は越えていますが体質を分析できている先生には師匠以外では会ったことがないです。

瘀血タイプとか水毒タイプなどでわけて漢方薬を処方することが多く、症状ごとに1つづつ漢方薬を合わせる先生も多いです。結局、ものすごく漢方薬の種類が多くなってたりします。

説明は大体、五行論で、僕自身は五行論のみで体質分析できるとは考えていません。

よくあるパターンは「漢方薬だけでは効かないから」といって、サプリメントを加えたり、サプリメントも漢方薬かのように説明して、すすめていることがあります。

僕は漢方薬局さん対象に何度か勉強会をしたことがありますが、東洋医学的に体質を分析できる人は1人しか会ったことがないです。
あとは病名と症状を複合的にあてはめて漢方薬を選んでいた人がほとんどでした。

■ドラッグ・ネット通販
箱に書いてある「適応症状」や「病名」をみて自分で選んで買うこといなりますね。
ドラッグもネット通販も根幹は「売る」ことが目的ですので、店員さんや通販に問い合わせや相談をしても無駄です。

ある意味、病院の病名や症状だけをあてはめてマニュアル的に選んでいる感じと一緒なので東洋医学的な問診をとらず体質もみれない一般的な病院で漢方薬を処方してもらうなら、ドラッグやネット通販で買っても同じだと思います。

ネット上にある説明は全く当てになりません。
良さそうに書いていても『漢方の大原則が体質に合わせて漢方薬を選ぶこと』であって、主観的に効きそうなものを選ぶことではありません。

そもそも「効く」のは体質に合っている漢方薬であって体質は人それぞれ違うので、体質を診断しないで説明だけの時点で最早、漢方ではないです。

手前味噌で調子にのっていると思われるかもしれませんが、ちゃんと治療として漢方薬を使いたいのであれば、自分で体質判断して漢方薬を選ばないといけないので3年位は東洋医学を勉強して基礎を身につけたほうがいいです。

医者も東洋医学的に理解できていない東洋医学理論はそんな簡単なものではないです。

漢方薬自体は、いいものなのでラッキーで当たって治ることもありますが、ラッキーだけに頼るのであれば、体質と合っていなければえらい目に合うこともあるので無理して漢方でなくてもいいようにも思います。

■鍼灸医院
これは僕もびっくりしましたが、実際の鍼灸の先生の話を聞くまでは漢方薬とは異なりますが、鍼灸部門の東洋医学には詳しいのかと思いましたが、ほとんどの鍼灸医さんが用語やらを知っているだけで治療に役立てるレベルでは知らない先生がほとんどだそうです。

体質を東洋医学では「証」といいますが、証を分析して治療できる先生は、ほぼいないくらいのレアらしいです。
ちなみに鍼灸の先生で漢方薬のことをアドバイスする人がいますが、あれも怪しいです。
学校で勉強するのは、さわりだけ。ましてや漢方薬は臨床ありき。
毎回、処方していない人が漢方のことを知ることはできません。

僕も最初は皆さんと一緒で漢方を全く知らず、逆に怪しいとさえ思っていたところからスタートし、勉強すればするほど、びっくりしたのは、この業界はとにかく「証」という東洋医学的な体質を分析せずに漢方薬を選んでいることです。

結局、病名か症状にあてはめて、遊びの占いのノリで漢方薬を処方している間違った方法が、まかり通っているのが、この業界の裏事情です。

僕は、なんで漢方業界がこんなひどいことになっちゃってるのか悲しいです。
漢方の本質的な部分である自然治療の医療として復活させたいと思っています。


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2017年07月13日

卵巣嚢腫の漢方治療3(漢方の治療)

前回の記事はこちらから卵巣嚢腫・嚢胞の漢方治療2(病院の治療)

卵巣嚢腫の治療相談はうちに結構、来られます
漢方薬で卵巣嚢腫をどう治療するのかを書き始める前におさらいですが、病院での治療は、どうするのかというと詳しくはこちらの 卵巣嚢腫・嚢胞の漢方治療 1(病院はどんな診断) を読んでもらいたいのですが、まとめると、

@卵巣嚢腫・嚢胞の部分摘出手術。
A卵巣自体の摘出手術。
Bホルモン剤

この3つにわかれます。ホルモン剤に関して、かならずしも治療になるのか、その辺りのことは、こちらので 卵巣嚢腫・嚢胞の漢方治療 2(病院の治療) 書いています。

病院でのホルモン剤の治療は、卵巣嚢腫の西洋医学的な見解の中に、「エストロゲンが関わっていることはわかっているが、ホルモン値は卵巣嚢腫がない健康な方と同じで正常である」というホルモン剤が治療になるのだか、ならないのだか、よくわからない感じで西洋医学の専門書に記されています。

実際に治療のつもりのホルモン剤を飲んで、かえって卵巣嚢腫や嚢胞が大きくなる人がいますが、これにはホルモンなどの内分泌とフィードバックというものが関わっていて、大きくなってもおかしくない理論も西洋医学的にあります。

ホルモン剤の決定的な問題は、不妊症でも同じなのですが、ホルモン剤自体の問題よりも、ホルモン量が、果たして、その人にとってどれくらい不足していて、どれくらい過剰なのかが、全くわかっていないことです。

よしんば、個人の必要な量がわかったところで、ホルモン剤自体は個人、個人、分量を変えられるわけでもなく、誰でも同じ分量を服用することになるので、治療が確信をもってできないのが現在のホルモン治療の問題だと思います。

となると、病院の方で自信を持って、おすすめできるのは手術です。
理想は卵巣嚢腫、嚢胞だけが、手術で取り除ければいいですが、卵巣のほとんどを除くことになったり、卵巣自体を摘出することになることも少なくありません。

漢方的には、最終的には体質によってタイプは別れてきますが、大きくはへそから下の下半身の部位を示す下焦部の血の水の巡りが問題になっていることが多いです。

現在の漢方では手術はありませんので、この下焦の血の巡りと水の巡りを整えていきます。

ここで西洋医学の手術と比較してみましょう。
卵巣嚢腫や嚢胞は放っておけば、卵巣ガンにも変わる可能性があるので、手術で取り除いてしまえば、少なくともガンになる可能性は低くなります。

ところが、この裏のリスクもあります。
それは「妊娠に悪影響を与えるかもしれない」ということと、漢方では人間の体で失ってよい臓器というものはありませんので、年配の女性の治療の経験から、卵巣がないことが直接的な原因ではないかもしれないですが、どうも更年期以後も血の道症的(ホルモンがらみの病気のこと)な症状で悩んでいる人に卵巣を摘出した人が多いのです。というリスクです。

リスクの方向性は、その人の捉え方もあるので、一概には言えないですが、少なくとも、まだ閉経していない人は、治療自体のホルモン療法で、ホルモンリズムを薬でむちゃくちゃにしちゃうのも問題だし、手術でとってしまうのも具合悪いわけです。

卵巣嚢腫はウィルスや菌が直接的な原因によってなるわけではありません。
病院の薬やホルモン剤でなりやすくはなりますが。

卵巣嚢腫の治療で使用するホルモン剤が卵巣嚢腫の原因にもなるのが人間のホルモン分泌の複雑なところですね。

漢方的には血と水の巡りの悪い状態が、長い間、続いて徐々に血と水が卵巣に溜まっていきます。
つまり、急に事故のように卵巣がおかしくなるわけではなく、ベースに血と水の巡りの悪さがあるので、僕ら的に自然治療から体質を考えると、卵巣の全摘出でない限り、嚢腫や嚢胞を取り除いたところで、また徐々に水と血が溜まっていって卵巣嚢腫や嚢胞を形成するわけです。

西洋医学では再発とかいいますが、手術が応急処置であって、手術では、血と水の巡りを整えていないので、もともと治療してないんじゃないのと根本的治療からみると思うのです。

もともと、応急処置なので、また卵巣嚢腫や嚢胞ができるのは、応急処置のままで「根本的には治してなかったもの」がひどくなるだけですね。

また、このような漢方の自然治療の考えからいくと、下焦の血の水の巡りが悪い状態が奥底であるわけですから、手術でとったところで、次は子宮自体の巡りが悪くなったりして、子宮筋腫につながると漢方的には考えます。

だから、西洋医学でも卵巣嚢腫と子宮筋腫は同じ項目で書かれていたのかもしれません。
根本的に治そうと思ったら、下焦の血と水の巡りを整えていくしかないのです。

病院で卵巣嚢腫や嚢胞が漢方で「治らない」と患者さんに言い切っている医者がいます。
もちろん、漢方薬で治せますとも言い切れませんが、おかしなのは、そういう医者って漢方のことを全くわかってないところが多いのです。(実際に患者さんに探ってもらいました)

漢方治療なんてしたことないし、やっていても、病名マニュアル漢方で漢方薬の治療というよりも、ただの販売レベル。

そんな漢方をわかってない人が、「治らない!」と言い切る根拠って、どこにあるのでしょう???

いいかげん「医者なら漢方を知っている」という、ざっくりした、まやかしのポーズはやめるべきではないかと思います。
東洋医学の基礎から概念、治療哲学等を勉強していないことは本人が一番、わかっていますからね。

漢方の治療というのは、こういった風に考えますので、ホルモン剤のように卵巣嚢腫、嚢胞が小さくなるのか、大きくなるのか確信を持てない不安定な治療でもなく、手術のような、応急処置的なものでもない根本的な治療を目指します。

漢方的には卵巣嚢腫や嚢胞は、下焦の血と水の巡りの悪さといっておりますが、あくまで大まかには、その傾向があるというだけで、細かくは一人一人、体質が変わってきますので、お悩みの方はご相談ください。

明らかに卵巣嚢腫のガン化の高そうな人は、手術を検討されたほうがいいですが、漢方が考える卵巣嚢腫や嚢胞は、下焦の血や水の巡りの悪さから考え、卵巣嚢腫や嚢胞になりにくい体質へと調整するのが目的ですので、手術と併用して治療されるのも良いかと思います。

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2017年07月05日

卵巣嚢腫の漢方治療2(病院の治療)

卵巣嚢腫の治療について、西洋医学的な部分をみていきましょう。
西洋医学の診断はこちらの卵巣嚢腫・嚢胞の漢方治療 1(病院はどんな診断)を読んでみてください。
僕自身の考えではなくメルクマニュアルとう国際的な医者が監修している西洋医学の情報をわかりやすく説明できたらと思っていますので詳しく知りたい方はこちらを参照してください。

メルクマニュアルプロフェッショナル版

メルクマニュアルによると、
@嚢胞部分の切除。
Aときに卵巣自体の摘出手術。
8cm未満の卵巣嚢胞の大部分は自然消失すると書かれています。

卵巣摘出術する場合は以下の条件があります。
・10cm以上の嚢胞が月経3周期の間、大きさが変わらない。
・嚢胞性奇形腫(10cm未満)
・腹膜炎を伴う出血性黄体嚢胞
・線維腫および他の固形腫瘍

ポイントとしてX線上の悪性腫瘍の特徴がある場合は切除するとなっています。

次にメルクマニュアル家庭版をみると、
直径7cm未満の嚢胞は特に治療しなくても自然消失と書いてあります。
プロフェッショナル版は8cmでしたが、何が違うのでしょうか。
参照するならこちらメルクマニュアル家庭版

嚢胞の大きさが約7.5センチメートルを超えて月経周期が3回、経過しても消えない嚢胞は手術の対象です。

あとの手術の条件はプロフェッショナル版と同じです。

メルクマニュアルは海外系の医学情報ですが、海外ではホルモン剤をガンガン使う感じがないようです。

医者は最悪のパターンや可能性を想定して話すので、現場では、少しでも大きければ、捻転、破裂、卵巣ガンになるかもという話をする傾向にあるようです。

間違ってはいないですが「卵巣嚢腫・嚢胞が大きい=捻転、破裂、卵巣ガン」ではありません。確かにどれも可能性はゼロではないですが「車に乗ったら事故をする」と言われても確かに事故のパーセンテージからいけばゼロではないですが、その人それぞれの運転技術とかいろいろな要素を加味してどうなのかを考えるべきなので、卵巣嚢腫、嚢胞がある程度の大きさであり、捻転、破裂、卵巣ガンが言われた場合は、卵巣嚢腫、嚢胞は誰でも「ガンになるかも」という可能性がゼロじゃないという話ではなく、また「甘くみてもいい、大げさにみてもいい」という話でもなく「なぜそう思ったのか?」をガイドライン上の意見ではなく、その医者の経験から個人の見解として説明してもらうとよいと思います。

危ないから車には一切乗るな。というアドバイスしかもらえないなら、そもそも相談しませんよね。

知識だけで説明するのではあれば、可能性を考えれば、とにかく切除するに越したことはないわけですから。

治療は手術以外にも薬物療法がありますが、こちらは「今日の治療指針」を参考にしてみたいと思います。
こちらはネットでは公開されていません。
買って読むことはできます。

GnRHとよばれるゴナドロピン分泌を抑制することでエストロゲンを低い状態にします。
前回の卵巣嚢腫の原因の部分で「ホルモン異常は認められないが嚢腫などにエストロゲンが関わっている」というわかったようなわからないようなやつです。

ホルモンを操作して縮小という目的です。

薬にはナサニール、スプレキュア、リュープリンなどがあります。

よく使われるは低容量ピルです。
ディナゲスト、ルナベルなどです。

うちに相談に来られる患者さんからよく効くのは、ディナゲストです。
黄体ホルモンをいれることによって、エストロゲンを抑えてしまうという作用ですが、ホルモンは分泌量が多いかで、少ないかではなく、多くなりすぎれば、かえって増えることもあったりと、体内で自動的に調整を行っているので、ホルモン剤を飲んで、余計に卵巣嚢腫が大きくなった人もいます。

ホルモンは単純な量だけで作用しているわけではなく、複数のホルモンとの関わりもあり、おまけに個人差もありますので、ホルモン検査で異常がないけれど「ホルモン剤で治せる」というのは、科学的に筋は通っていないなと不思議に思います。

実際にうちに相談に来られている方に病院では、どんな様子だったか、どんな治療だったかをお聞きしていると、検査はエコーのみで「がんになるかも」と説明しながら、MRIやガンマーカーを調べることになった人はいませんでした。
大学病院などの大きな病院でないところは、検査日の指定もありません。
排卵付近の自然に卵巣が大きくなる時に検査に行ったとしても特に何も言われません。
僕の方から検査に行く時は月経終了2日後に行って欲しいと頼んでいるくらいです。

受診は毎回、エコーで検査し、卵巣嚢腫や嚢胞が「今、何cmです」と言われ、ほとんどの人がディナゲスを処方されています。
大きさは2回目、3回目の受診でも大きさは±0.5cmで変わらない感じが漫然と続くことが多く、卵巣の大きさが8cmを越えない患者さんの場合は、2回目、3回目の受診も「検査→ホルモン剤処方」と同じパターンがただ続く感じですね。

この時に、逆にホルモン剤を飲み始めてから急に卵巣嚢腫が大きくなった人もいます。

同じ感じの受診が続くので「どれくらいで小さくなるのか?」「今後、どうするのか?」を聞くと、急にしどろもどろになり、曖昧なよくわからない感じで「続けるしかない」みたいなことを説明されるようです。

続きの卵巣嚢腫の漢方治療 3(漢方の治療)はこちらから。


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