2017年10月20日

漢方薬が効かない人。漢方治療が向いていない人

時々、患者さんから「私は漢方薬が効かない人でしょうか?」という質問があります。
漢方薬は西洋医学の病名に合わせるものではないので、病院で原因がわからなくても治療できますから漢方薬が効かない人というのは、ほとんどいません。

効かないのは、処方する先生の体質の分析判断が間違っているか、選ぶ漢方薬が間違っているか、その逆か、その両方が間違っているから、効かないので、僕も含めて処方した先生の腕の無さというのが漢方の非情な掟です。

ちなみに病院の保険適応の漢方薬は、そもそも東洋医学的な体質の判断もしていないので漢方治療自体が始まってもいません。

「ただ漢方薬を適当に飲んでいるだけ」という状況なので漢方薬が効く、効かない以前の問題です。

保険適応の漢方薬で、なおかつ証(体質)判断もなく病名のマニュアルだけで処方されている方は、効かないかどうかよりも医者と一緒にラッキーを待っててください。
どうせ治療理論も治療方針もありませんので、漢方治療を進めていく根拠がありませんので。

こういった条件を抜いて通常の漢方治療で考えても漢方薬が効かない人はいます。

それは病院の薬を年単位で続けている人で高齢(経験上70歳以上)の人。
風邪を引いた時とか、月経痛でたまに鎮痛剤を飲むのはかまいませんが、降圧剤や利尿剤などを長年続けてきた人は、漢方薬を使っての根本治療が難しくなります。

なぜなら、漢方というか人間の治療というのは、実は全部、自分自身の自然治癒力で治しているからです。

例えば、骨折しても周りから補助はできても、骨をつくってつなげるのは自分自身がやってるのです。

病院の鎮痛剤や湿布はその都度、一時的に痛みを和らげる役には立ちますが「折れた骨が治る」ことに関しては1mmも役立ちません。

西洋医学も漢方も実は、自分自身が治しやすいようにバックアップしているだけなのです。治療の主人公は医者ではなく常に自分自身の中にある自然治癒力。

(ただし病気の中には薬を飲み続けないと体内の正常な働きを保てない特殊な病態は除きます)

漢方は西洋医学の人工科学よりも人間の自然治癒力の活かし方に長けているのです。

そして、病院の薬は長年続けていると体内の働きを歪めます。
この話をすると「体内にまだ薬の成分が残っているのでしょうか?」と言われますが、安心してください。
薬の成分は2,3日もすれば体内から抜けていきます。

問題は長年、自分の本来の働きでない薬の成分の力で体内の働きを歪めていることです。
病院の薬で歪めて誤魔化した結果、症状は一時的になくなるのですが、本来の問題(本当の原因)を棚上げして、薬の成分だけで体内のシステムを変えちゃってきたことです。

例えば、アトピーに使うステロイド剤は長期間使うと副腎が萎縮します。
元々、ステロイドは副腎が少量ずつ他のホルモンとの連携を考えながら分泌調整しているのですが、それがストロイド剤が多量に体に入ってきて他のホルモンとのバランスなんて無視して体内で働くわけです。
勝手に暴れるといってもいいかも。

それが長期間続くと副腎はうまく働けなくなり、だんだんと動かなくなって萎縮します。

ステロイド剤に限らず病院の薬は大なり小なり、この問題を持っています。
なにせ、薬の薬理が「体のどこかの一部分だけの働きを強烈に変更する」となっているからです。
ところが、人間の体は全部つながっていて何かの成分やホルモンは他の何かに影響しています。

体は「えっ肌がかゆい。じゃあステロイド10倍位だしときゃいいよ。あっ待ってやっぱ念のため20倍位にしといて」なんてバカなことやってません。
すごく繊細に他のホルモンの様子も見ながら調整しているのです。
でもこのバカなことをやってるのが病院の薬。

ステロイドはかゆみを抑えるだけでなく他にもいろいろな働きに関わってます。
本来、体内では分泌するはずがない量を強制的に体内に入れるということは、他の部分や他のホルモンとの連携がむちゃくちゃになるともいえます。

人間の体はロボットではないので、1つのホルモンが、体のいろいろなところに関わっています。
だから、自分勝手な量(ステロイド剤など)を好き勝手な時間に使用されても困るわけです。

※ただしステロイド剤などは急性で治療として必要なことはあります。問題は慢性症状にダラダラと使っていることです。

糖尿病は糖分の取りすぎなどで発現する病気です。

では、糖尿病と診断されてから糖分を控えたら治ります?
治りません。

もう手遅れなんです。糖尿病と診断されたら、もうその時に膵臓とか、いろいろの働きが変わっちゃってるのです。

今更、過剰な糖分という成分を抜いても、すでに体内の働きは悪く変わってしまい、その変化は変えることができません。
ガラスが割れるようなもの。2度と元に戻せません。

誰にとっても人間全体にとっても生きていくために不可欠な糖分。
そんな、そこらにある普通の糖分でも食べ方を間違えたら2度と治らない病的な体になるのです。

それが薬となると・・・糖分なんて目じゃないですよね。

なので、成分が体に残っているかどうかなんてどうでもいいことです。
指の骨にずっと何かが当たっているとタコになる。
プロのスポーツ選手はそのスポーツの動きに合わせて体に特有の歪みなどが出てきます。

別に薬を飲まなくても外的な影響でも体は少しずつ歪んでいきます。

漢方は二千年前から存在し、二千年分の人体実験の結果が叡智となっている治療方法です。

ありとあらゆる体質の人や病気、症状を治してきています。
2千年もやってきているので、あらゆる治療経験が詰まっているのですね。

しかし、その中に「病院の化学薬で体の働きを変えてしまった人」を治す経験がありません。
経験値ゼロです。

このタイプの人を治すデータが存在しないのです。
なおかつ、高齢で自然治癒力が衰えているとダブルダメージで最早、漢方薬で根本治療できる余地が、ほとんどありません。

漢方の自然治療理念からいったら病的体質ではなく「科学薬によって作られた異常な体質」です。

病院の薬を何年か飲んでいても高齢でなければ、薬を徐々になくしていき、同時に漢方薬で治療していけば、病院の薬を全く使っていない人よりは時間はかかりますが、最終的には根本治療できます。

ただし、この場合も最終的に病院の薬を手放せないのあれば根本治療は難しいです。
本当にかなりの時間がかかると思います。

うちの義理のおばあちゃんは90歳の頃から99歳の亡くなるまでに何度かうちの漢方薬で治療しましたが、どの病態も2、3週間で完治。最後は何の問題もなく老衰です。
病院の薬を続けて飲んでいた経験はありませんでした。

一方、何年と病院のいろいろな薬を飲まれてきて相談に来られた70代のおばあちゃんは、うちで漢方薬で治療を始めたら、たった2服目位から副作用のオンパレード。

うちは体質を分析判断してから、漢方薬を選びますので飲んだ後に「どんな風に良くなるか」「副作用があるとすればどんな風に出てくるか」を事前に予測しています。

しかし、こういった方は漢方理論がどれもあてはまらないような予期せぬ、副作用がジャンジャン出てきます。

だったらと薬性を一気に落として通常なら1、2ヶ月でジワジワと効いてくる穏やかな漢方薬に変更しても、1、2服で「なんでそんな副作用が!!」みたいな予期せぬ副作用が出てくるのです。あとはこれの繰り返し。

漢方は普通の体質の病気は大概のものを治せますが、長年の病院の薬の服用と高齢が重なると、どう治療してよいのかわからなくなるのです。

ちなみに病院の薬はどれも1回毎に飲んだごとに効くエビエンスがあるだけで、長期間、飲み続ければ、根本的に治るエビデンスなんか存在しません。
病院の薬は慢性病を飲み続けて治すように作られていないのです。

ましてや複数の薬との飲み合わせなると、もはや、良くなるのか?悪くなるのか?医者どころか作った製薬会社も未知すぎて分からないのです。

特にステロイドと心療内科系の薬の長期間の使用は歪な体質になっている人が多いです。
なので、うちでは廃薬ペースはその人のペースでいいですが根本治療したいなら最終的には病院の薬は廃薬が前提です。

これ、若い人だといいのですが、70歳以上になってくると、すでに病院の薬をやめられないところまできていることが多いのです。
簡単に言えば、病院の治療を続けた人は漢方薬で根本治療するには手遅れ。

ですから、うちでは70歳以上で病院の同じ薬を年単位で飲んできた人には、漢方薬での治療は、かなーーーーーーーーーーーーり難しいですよ。と説明しています。

これから、うちの患者さんには病院の薬を飲み続けないといけなくなった場合、「かならず最初に教えてほしい」と言っていこうと思います。
本当にその病院の薬を飲み続ける必要があるかどうかを検討する必要があるからです。

でないと、病院の薬の服用が長くなるほど、僕は治しにくくなりますので。

追記:いろいろ誤解もあったようなので追記です。
単に高齢だったらダメというわけではありません。病院の薬を飲んでいても先々で廃止する覚悟があれば、根本治療は可能です。
僕は西洋医学は好きですが、病院の薬と漢方治療ってものすごく相性が悪いのです。


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ラベル:漢方薬 病院の薬
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2017年10月13日

保険適応の漢方薬と実費の漢方薬の違い

ここで書いているブログは個人的な考えや思いもありますが、元のネタは病院や医者やネットの漢方情報に対する実際の患者さんの疑問だったりです。

年に二人もいない位レアですが、たまにトチ狂った医者か、病院や西洋医学の大ファンの人がブログに文句をつけてきますが、むしろ元ネタは患者さんが現場で体験し、心の中で思った真実を僕が代弁しているようなものなのでキツイことを書いているというよりも「王様、すっぱだかですよ!!」と親切に言ってるつもりなのですが、ごくごく一部の人には届かないようです。

うちによくある質問です。
「保険適応の漢方薬と実費の漢方薬ってどう違うのですか?」という質問の時に、ほとんどの人が「多分、漢方薬の質が違うんだろう」みたいに思いながら質問してこられるのですが・・・

これは当たっているようで的ハズレというか・・・

多分、サプリメントのノリで「品質がよければ、それだけ効きがいい!!」という感覚を漢方薬も同じノリで考えてしまっているんじゃないかと思います。

実際のサプリって中国から汚ったないコンテナで運んできた原料を「〇〇県産の上質のエキスが・・・」みたいに宣伝して売るのですが。

確かに品質の良し悪しは間違ってはいないのですが、重要度でいうと2番手です。

漢方薬において重要なのは品質よりも「体質と漢方薬が合っているかどうか」が最も重要です。
「体質と漢方薬が合っているかどうか」が最も重要です。本当に大事なので2回言っときます。

最も重要な「体質と漢方薬を合わせる」が重要度ランキング1位としたら、2位の「品質が良い」とは結構、離れています。

言い方を変えれば、最悪、漢方薬の品質が悪くても「体質と漢方薬が合ってたらそこそこイケる」ということ。

その絶対に外しちゃいけない漢方治療の重要なこと「1位 体質に合わせる」、「2位 品質が重要」を軽々とスルーしているのが、保険適応のツムラの漢方です。

体質は漢方とは何の関係もない西洋医学の病名マニュアルで処方する。
病院の悪しき漢方の習慣である病名漢方についてはこちらから ツムラが国民を欺いた「漢方」の大嘘Vol.1

品質、効果に至っても去年の週刊新潮で生薬の農薬管理を徹底していると言いながら現実は管理ができていなくてツムラの社員が自分の家族にツムラの漢方薬を飲ませたくないほど、農薬まみれになっているという記事がありました。

品質に関しては、現実にはわかりませんが、漢方業界では何十年も前から、ツムラの漢方薬が薄いと言われています。

友人で漢方相談と調剤薬局もやっている先生も自分で飲んでみても味というか効果は1/3位に思うとのことでした。

どれも個人の見解ですが、真剣に漢方相談している先生にツムラの漢方のことを聞けば普通に「効きが薄いよね」って申し合わせたようにいいます。そしてなぜか「みんな1/3位の感じ」と言います。

実は昔に堺市のツムラの勉強会で講師の医者が「ツムラの漢方薬は効きが薄いから重い病気は多めに使ったほうがいい」と言っていました。その時もなぜか「3倍量」でした。

そして、僕は実際、どうなのかを試したことがあります。
患者さんにスパイと臨床をしてもらったのですが、過去3人の患者さんで頭痛や鼻水、副鼻腔炎による鼻詰まりなど、わかりやすく治しやすい病気で、うちの漢方薬で症状が良くなったのを確認した後に5日ほど放ったらかしにして症状を再発させて、その後に病院に行ってもらい、ツムラの漢方薬を2倍量、3倍量と増やして飲んでもらったら、3人ともに「3倍量で先生のところの漢方薬の80%位の効果感がある」とのこと。

「80%って何?残りの20%の悪さって何なの?」とお聞きすると、効き始めるまでの時間とか、持続時間が、なんか頼りない感じだから、総合で20%引かせていただきました。とのこと。

そして、更にその後にまた漢方薬を飲まないで症状を再発させて、うちの漢方薬を飲んで、どう効いていたかという確認も行いました。

本当はどうなのかわかりませんが、実際にはこんな感じでした。
ツムラの漢方の品質に関してのブログはこちら ツムラの漢方薬は、なぜ効かないと言われるのか? その1

その時に患者さんが「もし、本気で漢方薬で治療したかったら結局、3倍量を出してもらって、漢方としての診察はナシに等しく、飲む苦痛も3倍、金額も3倍かかるから保険適応の意味がないっすね」って言っておられました。

思わず漢方薬の品質のくだりが長くなりましたが、漢方薬の場合は西洋医学の薬のように薬のある有効成分が何かの症状を抑えるのではないので、薬の力が強いかどうかが、良いかどうかとは関係がありません。

むしろ、漢方薬の効果の強さは、あなたの体質の漢方薬を受け入れられる強さとも合わせないといけないので「効果が高い=治る」にはなりません。

薬性と効果が強い薬はあなたの受け止める体質が弱く、漢方薬と体質のバランスがとれていなければ、漢方薬は毒薬と化します。

漢方薬はごく単純にいえば、冷えている人に温める漢方薬。
余分な熱がある人に冷やす漢方薬を合わせれば、体がニュートラルになって症状や病気が治るという仕組みです。

現実はやっかいなことに冷えているだけの人とか余分な熱があふれているだけの人なんて単純な人はいません。

実際は、足は冷えて頭はのぼせて、肝臓は熱をもって気は胸で滞り、水が下半身で溜まっているけど、首から上は水が不足しているみたいな複雑な体質で、しかも「冷えている」という判断も「足が冷たいから→冷え体質」にならず、実際の温度で判断するわけでもありません。

例えば「胃もたれ」でも「余分な熱が胃にこもっている」とか「胃が冷えている」とか「胃の気が停滞し機能が停止に近い状態になっている」など、いろいろな診断があり、しかもこの診断は処方した漢方薬で症状が治れば診断が合っていたことになるし、症状が治らなければ診断が間違っていた。という風に考えます。

だから、漢方と何の関係もない病名マニュアルで漢方薬を合わせたって意味がないわけです。

漢方薬は全種類、どれも良いもので悪いものです。
要は冷えている人に冷やす漢方薬を与えれば、それは毒なのです。
そのまま、それを体の余分な熱で困っている人に渡せば薬になります。

その診断が病的体質である「証」をみるということ。

さっきの漢方薬の品質としての良さと体質をみて漢方薬を合わせるというのは、料理が全くできない人に最高級の野菜などの食材を与えて料理してもらうのと、最高の腕を持ったシェフに最高級ではない普通の食材で料理してもらった場合、どっちのものを食べたいですか?ということ。

保険適応の病名マニュアルで処方している医者の漢方薬は言うまでもなく、料理が全くできない人。「切る→焼く→味付けする」ということしか書いてないアホみたいなレシピで料理したものです。

一方、食材が普通でも最高の腕を持ったシェフなら、めっちゃ美味しい料理をつくることができるのです。

だから、よく皆さん「やっぱり保険適応の漢方薬は品質が悪いですか?」とお聞きになりますが、問題はそこじゃなく、相談に1時間位かけてもらって東洋医学的な体質を診断するための問診も書いたかどうかが重要です。

品質なんてさっきの料理の話からいったら二の次。品質が悪くても体質をちゃんと診断して治療方針を考えて治療していれば、若干、時間がかかっても治ります。

実際、僕も昔に漢方薬局をお手伝いしていた時分に、時間はかかりましたが、ツムラの漢方薬でリウマチを治したこともあります。効果が弱いせいか時間はかかりましたが。

漢方薬の品質に関して「ドラッグのものはどうですか?」と聞かれたのでついでに説明します。
これも真実はわかりませんが、僕は昔、営業時代にドラッグさんと値段交渉していた経験がありますが、ドラッグは徹底して薄利多売で利益を出します。

なので経営上、高級なものを置けません。
また、ドラッグさんが想定しているお客さんも富裕層とかではなく、どちらかというと安いものを求めて来られる方が大半ですので店を存続させるマーケティング上「良くて高いもの」を置くと、在庫として、かえって弊害になります。セグメントが違うのです。

漢方薬は体質と合っていないと副作用になります。
つまり、どの漢方薬も良い効果があるし副作用にもなるので、東洋医学的な体質も診断できないし、東洋医学的治療を説明できない人の処方する漢方薬であれば「いっそ飲まない方が治療になります」と説明しています。


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2017年10月05日

漢方薬で根本治療するための最初の方法

週刊新潮の記事でマニュアルかつステレオタイプ的にしか仕事ができない医者を糾弾していましたがツムラの病名漢方マニュアルやそれらのマニュアルを使っていた医者に限らず、漢方薬局も含めて、体質(証)をちゃんと判断して治療方針を考えて漢方薬を使うことができる先生なんて、そもそもほんの数%しか存在してません。

大概は西洋医学の病名マニュアルか、症状を2,3あてはめるだけ、もしくは訴える症状ごとに漢方薬を当て物のようにあてはめて選んでいます。

そして漢方の説明は五行論や瘀血タイプ、気滞タイプなど、またお得意のマニュアル的なパターンのはめこみで説明します。

漢方薬を西洋医学の薬を補助する副作用のない薬。
ひどいのになると、なんとなく飲み続ければ根本的に治る魔法の薬みたいに考えている人がいます。

漢方薬を処方している当の医者も素人と同じようにこんな間隔で処方したりするので、始末が悪いです。

西洋医学は「薬自体に頼って飲んでさえいれば治る」みたいな、ある種、他人任せのファンタジーな治療だと思います。根本的に治るまでのイメージもメカニズムもエビデンスもないからです。

実際に現場でも医者も患者さんも「薬の成分がどうにかしてくれる」という、ちっぽけで単純な治療理念にすがって治療しているように僕にはみえます。

漢方治療や根本治療の場合は有効成分がどうとか、漢方薬という薬自体が主役ではありません。
西洋医学的な感じだと薬が主役なので漢方薬もそう考えがちですが、漢方薬というのは根本治療の1つの方法にしかすぎないです。

薬の成分がどうとかこうとかではなく、漢方では「どうやって治すか?」という「治療」に対する考え方自体が重要なのです。

西洋医学の薬は外部から人工的な有効成分を体内に入れて、無理やり症状が起こらないようにします。

自分でどうにかできなくなったものを外部の成分が一定時間だけ肩代わりしてくれます。
その成分は症状が起こらないようにする成分なので、薬を飲めば症状は消えます。

しかし、これは外部の薬の成分が働いて薬が体内にある数時間限定で、あくまで一時的に働いてくれているだけなので、数時間すれば、元の病気の状態に戻ります。

これが西洋医学の治療の考え方。治療理念ですね。
簡単に言えば根本治療には、程遠い「症状や状態のごまかし」です。
もちろん、そのゴマカシが必要な時もあるので、悪いというわけではないですが、実は必要な場面が皆さんが考えているよりもはるかに少ないです。

漢方の場合は症状自体を消すことを目的にしていません。もちろん最終的には症状もなくなりますが。

体質をみないで漢方薬を処方している先生は、この辺を大きく勘違いしていると思いますが。

漢方においては「症状」とは体内のいろいろな臓器や組織の連携や働きのバランスが崩れた結果、警告として知らせていると考えます。

ですので、西洋医学のようにただ単に症状を薬の成分で消しても何の意味もないのです。
症状が即座に消えれば、確かに嬉しいですが、症状のみ消すことを目的にしてしまったら、体内のアンバランスが見つけられなくなり根本的に治ることはありません。

漢方の治療理念は実に単純で「大自然の中で生きているものは大自然の流れに沿うことが最も悪くならない方法である」という考えです。

そして自然は循環と一定のリズムで巡っています。
単純ですが、地球で生きていくなら理にかなっていますね。

漢方は自然の営みと体内の営みは大なり小なりの違いはあれど同じものだと考えました。
同じというのは、全く何もかも同一ということではなく、自然も体も一定のリズムを保つために全体の調和をはかる営みという感覚が同じだということです。

これを元に考えると、最も健康なのは、常に最も調和のとれた状態を保つことです。
ですから漢方では「健康」という考え方そのものが西洋医学と違います。

西洋医学の考える「健康」は病気か病気でないかの状態。
病気じゃなくなれば「健康」です。
病気はしょっちゅうなるものではないと考えられ病気と健康は違いに行き来する固定されたものです。

でも漢方では毎日、いろいろな要因で病気に傾いていると考えます。
生活環境、生活リズム、ストレス、普通に生活しているだけで、健康を保つバランスはいとも簡単に崩れますので、保つほうが難しいと考えます。

健康と病気の明確な境目がありません。
健康か健康でないかではなく現在、バランスのとれた状態なのかを考えます。

バランスのとれた状態とは、何も不調がなかった時の状態。
これは西洋医学的に病気かそうでないかというものではなく、何も問題のない頃の状態です。

漢方治療や根本治療とは体の状態をバランスのとれていた元の状態に戻すことなのです。
病的な体質から何も不調がなかった時代まで漢方薬を使って巻き戻すといってもいいです。

不妊治療なんてまさにこの状態で、ホルモンがどうとか、そういった小手先の問題ではなく、月経周期や体調におかしなことがなかった時代に巻き戻すのです。
若返れば誰でも妊娠しやすくなります。

子供の頃は特別な遺伝的な病気でない限り、誰もが何も気にすることのない体でした。
それが、いろいろな要因でバランスが崩れて悪くなり、そのバランスの崩れがひどいと「症状」となって警告音がなります。

元の病気も症状もなかったバランスというのは人それぞれです。
体つきや体力、生活環境、生活リズムに見合った状態でその人独自のバランスで健康を保っています。
なので、誰でにも共通する健康なんてものは漢方には存在しません。

今、病気じゃないという人も不調がゼロか?と問われたら、そうではないでしょ?
漢方では元でない状態。一つでも慢性的に気になる症状がある場合は、治療対象です。

病気や症状が現れた場合は、その人に応じたバランスの崩れが起こっていることを知らせてくれているので、その人の状態に応じて、元に戻るように漢方薬で調整します。

漢方薬の魔法成分が症状を抑えるのではありません。
病気を治すのではありません。
体内が何もなかった頃のバランスとリズムで営めるように調整するのです。

これが漢方の原則です。
西洋医学の病名や症状に合わせて漢方薬を処方することが、いかにマヌケな行為であるかはこの漢方の治療理念からわかります。

漢方治療とは枝葉末節の漢方薬の小手先の使い方を学ぶのではなく、治療理念をどれだけ深く理解しているかが、治療の武器となるのです。
漢方の専門書には、だいたい、こういったことが当たり前のように冒頭で書かれています。

病名で選んだり、症状をあてはめて選んだりなどの低レベルな知識で治せるようなものではありません。
それでも治ることはありますが、それは治しているではなく、たまたま治っただけのギャンブルです。

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