寒さが厳しくなると元気になるのがウィルスちゃん達。
ノロにインフルエンザと感染症が手ぐすねひいて待ってるようで怖い・・・。
先日、ある新聞で病院ではインフルエンザに麻黄湯が効くと書いてあった。
「???」
まーいつもの病院のマニュアル漢方だから、いちいち反応しても・・・
と思ったが、麻黄湯は体質によったらシャレにならない方意も持っていて、
注意しない漢方薬なので詳しく書いてみようと思います。
そもそも、インフルエンザや風邪はウィルスという小さな微生物が身体に侵入して、
あれやこれやと身体を傷つける病気です。
粘膜部分である喉や鼻、気管支にとりついて、ガンガン悪さをするので、
喉痛、咳、鼻水ジュルジュルが出てくるのはこのため。
彼らは、体内に入ってからどんどん増えます。
24時間で100万とか、そんなすんごい数になります。
この場合、病気の原因は風邪・インフルエンザのウィルスなので、
ウィルスがなくなれば、喉痛や咳、鼻水などの症状もなくなるのですが、
今のところ、病院にはウィルスを直接やっつける薬はありません。
(タミフルのみ別、発症48時間未満であればウィルスの増殖を抑える)
当然、漢方薬の中にもウィルスを直接、やっつけるものはありません。
そもそも、風邪に使う葛根湯や麻黄湯が考え出された2000年前は、
風邪の原因がウィルスということすらわかっていません。
では、漢方ではどう治しているかというと「発表」「和解」「補益」という治療方法を使うのです。
「発表」とは発汗などによって汗を出して、それと一緒にウィルスも出しちゃえという方法で「和解」というのは、今風に言えば、免疫を助けて、自分の免疫で始末をつけるといった感じです。「補益」はエネルギーを足して体力をつけて、免疫強化につなげていくといった感じでしょうか。
「発表」「和解」「補益」の方法は、自分が好きなように選ぶわけではありません。
もちろん、ルーレットで選ぶわけでもないですよ。
風邪になってからの期間や主症状、元の体力と今の体力がどれくらいあるか?を症状などを聞いて体質を判断し、それに合わせるのです。
風邪に使う漢方薬はざっとわけると麻黄湯、越婢加朮湯、葛根湯、桂麻各半湯、小青龍湯、桂枝湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、香蘇散、人参湯、麻黄附子細辛湯の11処方から選びます。
細かく言えば、そんなん使わんやろーの大青竜湯や越婢湯。
レアだけども使う事もある参蘇飲。
気管支炎も併発したら麦門冬湯や竹如温胆湯。
喉痛、咳、吐き気が強ければ半夏厚朴湯湯。それからそれからとまだまだあるが、とりあえずよく使うのは上にある11処方。
この11処方、インフルエンザだったら、麻黄湯で、鼻水だったら小青龍湯で。と症状で選ぶのではありません。
漢方では風邪もインフルエンザも同じ病態としてみます。
そして、風邪のお薬をあわせる時のポイントは、ウィルスの勢いと患者さんの体力の程度をみるのがポイント。
どう判断するかはここでは細かく言いませんが、
さっきの麻黄湯から始まって、麻黄附子細辛湯までの順番は、強いお薬から弱いお薬の順番です。(厳密には横並びもある)
漢方では強いお薬はイコール効果が高いという意味ではありません。
「強い変化を与える」です。
だから強い変化のお薬に耐えるだけの体力がいります。
例えていうなら、温めるための弱い変化が「毛布をかけてあげる」なら、
強い変化は「サウナ室にほりこむ!」
つまり麻黄湯は、強く温めてくれて、強い発表作用で発汗、それから解熱の効果がありますが、自分の体力が少なく麻黄湯があっていない場合、強い温めでのぼせ、強い発表作用で脱汗、脱水、体力なくなって、より発熱にもつながります。
ちなみに麻黄湯の中の麻黄という生薬にはエフェドリンという成分が含まれていて、
これは、西洋医学的に麻薬成分でもあります。
医学に詳しくなくても「なんか強くて強烈だな」って感じますね。
なので、インフルエンザに麻黄湯を使うとは限りません。
風邪もインフルエンザも選んでくる11種類の漢方薬は同じ。
選び方は、インフルエンザなら●●ではなく、治療をしようとしている時点の風邪・インフルエンザの勢いや自分の体力や体調にあわせるのがベスト。
麻黄湯は特に子供さんには気をつけてくださいね。
治るどころかとんでもない副作用に見舞われることもあります。
後、高血圧、心臓や脈に問題のある人、胃腸の弱い人も気をつけてください。
また、初めに飲んだ時によくなったとしても長期間飲むものでもありません。
僕たち漢方の専門家の間では、麻黄湯を選ぶ場合は、
かーなーり慎重に選びます。
だから、インフルエンザだったら麻黄湯なんて単純に選べません。
漢方はあくまで体質に合わせる!ですね。