病院の治療で治らなかった人によくあるパターンです。
同じ、治療がループしているだけ。
なぜ、治るはずのお薬を長い間、飲んでいるのによくならないのでしょう。
「漢方薬は何のために飲みますか?」
「病院のお薬は何のために飲みますか?」
答えは当たり前ですが「病気を治すため」「健康になるため」「元気になるため」ですね。
この「治る」という言葉。
実はいろいろな意味合いがあります。
「治る」には、いろいろな意味合いがあるゆえに患者さんと医者は、とんでもないすれ違いをしていることがあります。
慢性病に対して病院のお薬の大半は、対症療法とよばれるもので治療します。
これは、薬の効果時間だけ、ある特定の症状を抑えたり、なくしたりできることです。
薬の効果時間が切れれば、症状は何事もなかったように復活します。
そして、また、お薬を飲めば、効果時間がある間は、症状がない。
そして、また、薬の効果時間が切れれば・・・・
と、お薬を飲み始めた初期で治らなければ、後は【薬を飲む→薬の効果時間が切れる→症状再発→薬を飲む】の繰り返しの無限ループ。
正確には無限ループではないですね。
薬は肝臓に負担を与えたり、薬自体に身体が慣れていったりするので、長期間、飲み続けていたら、効かなくなってきたりします。
そしたら、新しい薬の追加です。
医者側としては、慢性病に対しては治療方法がほぼ対症療法しかないので、薬の効果時間が続く間だけ症状がなくなることが「治った」という定義になるのかな?
対症療法の薬。つまり「その場しのぎの薬を続ければ慢性病が治る薬」で慢性的な疾患が根治するのか、僕にはその理論が分かりません。(ひょっとしたら、りっぱな理論があるのかもしれませんが)
要するに医者側の「治った」は医者の考えがどうであれ、結果的には薬を飲んで効果時間の間だけでも症状がなくなれば「治った」になります。
ところが、患者さんの「治った」は違います。
患者さんが病院に行って「治してもらいたい」のは、しばらく通って、薬を飲んだり、手術をすれば、後は薬をやめて普通の生活に戻っても問題ないというのが患者さんが考えている「治った」です。
病院の人工的な化学薬品を一生飲んでいれば、「治っている」ことになるとは思っていません。
だから、現状では、医者と患者さんの「治った」の思惑はすれ違っているわけです。
ある記事で、こんな話がありました。
高血圧の患者さんに降圧剤を処方するのは、ごまかしでしかないのではないかと、降圧剤は、一生飲んでおいた方がいいと言われることが多いが、元々の原因を辿れば、老化だけでなく、生活環境の中や自分の体質などに問題があり、それが積もり積もって高血圧という結果になっただけだと考えられる。
元々の高血圧の原因は「降圧剤を飲まなかったこと」ではない。
そう考えれば、降圧剤を処方して、月並みな塩分を控えて程度のアドバイスしかしない医者は、問題を誤摩化し先送りしているだけではないか?
緊急用に降圧剤を持っておくか、ないし、ごく短い時間試してみるのは、必要かもしれないが、その人自身の原因を探る相談をしないで、塩分を控えるという誰でも知っている一般論だけを話しているのは、治療どころか、却って本当に治ることを邪魔している。
という話でした。
確かに病気は感染や怪我、はっきりと遺伝的な原因だと分かるもの以外のほとんどの慢性病は、その人の体質とその人を取り巻く環境(食事、仕事、ストレス、住む場所など)が混ざって引き起こされます。
なので「薬を飲み続けない治療」を行うのであれば、そこの部分をひとり、ひとり、徹底的に話し合わないと患者さんの望む「治る」にはならないのです。
漢方は患者さんの「治った」と考えが一緒です。
新薬的、サプリメント的な発想で処方している漢方は別ですが。
漢方薬をやめても、病気が再発しない。
目指すべきところはここ。
ただし、漢方でも問題は一緒で「漢方薬だから飲み続けなくても治る」ということはありません。
やはり、そこは、体質、生活の中から病気の原因。
漢方では病因というのですが、これを見つけ出し、なおかつその人の生活リズムや性格に合った方法で治していかないといけないのです。
この時にも西洋医学では、病気の原因を1つに絞ろうとしがちですが(高血圧=塩分の摂り過ぎなど)
漢方は、病因と考え、病因は1つではないのです。
因子ですから、人によってたくさん存在しているのですね。
慢性病で原因がたった1つなんてまずありません。
それを体質を分析、生活のことや考え方などもお聞きして同時に治療していくのも漢方の治療です。
だから、最終的には、漢方薬をやめても再発しない「体質」になることができるのですね。