サプリメントがアメリカから渡って来た時、当初は怪しくてキワ物系の扱いでしたが、そのうち、儲かると見るとサントリーなどの大企業が次々に参入し、より飲まれる人が増えました。
今では、どのサプリメントが良くってどのサプリメントが粗悪なものなのか?
ほとんど見分けがつかないくらい、いろいろなものが混ざったカオス状態です。
僕らのような業界の人間から見れば、どこの企業も有名人を使ったり体験談の多さでアピール!
どこも同じような方法でアピールしているので、良い物を当てることすらできない感じです。
こういったブームの中で僕ら漢方家にとって、非常に困った問題があります。
それは、サプリメントと漢方をごっちゃにされていること。
「どちらも自然のもの」
かなり広くていいかげんなカテゴリーでくくっています。
でも両者は全然、違うものです。
そこでまず、漢方とサプリメントの違いを知ってもらいたいと思います。
最も大きな違いは成分や効果ではありません。
サプリメントには医学理論がありません。
大体のサプリメントが栄養学的なことを医学的な根拠としています。
○○の成分が□□に効くみたいな。
そこには飲む人の体質などは関係ありません。
サプリメントは、本来、本当のところはどうなるかわからないけど、良いものを補充していればよくなるだろう・・・というもの。
だから、物量的に明らかに足りていないというものなら効果的です。
例えば、カップラーメンしか食べない人が青汁で野菜系のビタミンやミネラルを補給するとか、うちでもやってる、年齢が高くホルモンが減少している人の不妊症に天然の生薬由来のプラセンタを補給してもらうとか。
残念ながら病気になると何かの成分を補給するだけでは治りません。
なので、漢方薬は体質に合わせて補給することもあるし、水や熱を抜いたり、ある臓器の気を巡らせたりといろいろな方法があります。
体質に合わせた最適な方法をとるために漢方には東洋医学理論があるのです。
「ちょっと食生活が悪くって」「最近、年をとって疲れた」
はっきりとした病気の原因はないけれど、なんとな〜く体調が悪いくらいならサプリメントでも十分ですが、不妊症を克服するとか、アトピーを克服するなどのレベルになると、サプリメントでは治すための理論がないので治療の方針が立てる事ができません。
そうなると「治る人もいるし、治らない人もいる」という状態になりがちです。
すすめた当の先生も医学的根拠が乏しいので「治るかもしれない」という、あてずっぽうに頼らざるえないです。
サプリメントは、そのサプリを売りたい会社が独自で根拠になるデータをとることが多いです。
ちゃんと大学病院に何百万払ってデータをとることもあるし、誰かに飲んでもらった近所レベルの感想を並べ立てて良い根拠とする場合もあります。
サプリメントは医薬品ではないので、そこに厳格なルールはありません。
サプリを売りたい会社がどこまでやるかです。
めっちゃ、そのサプリの良さを分析してもいいし、ちょー適当でもOK!
さっき、業界人でも良いサプリを見つけるのが難しいというのは、こういう性質があるからです。
医薬品の場合は、効能効果や副作用をちゃんと出さないといけません。
何百万なんかの予算ではなく何十億レベルです。
漢方の場合は「体質や効能効果のことをどこまで考えて治療方針を立てるか」です。
病院によっては、サプリメントと変わらんようなノリで漢方薬を処方していますが、漢方は勉強しようと思えば、いくらでも医学理論を勉強でき、自分のレベルを上げていくことができます。
どちらも医学理論的な根拠をしっかりと立ててそれを方針として治療をすすめます。
サプリメントの場合は、会社が出したデータを信じるしかありません。
後、体験談ですね。
実際に医学的根拠があったのかどうかは、その利益を上げたがっているサプリの会社を信じるしかありません。
体験談だって、どこまで本当かわからないし、そこに医学的根拠はありません。
「あの人がそう言ってた」レベルです。
「信じる者は救われる」ある種の宗教レベルです。
だから、サプリメントを効かそうと思ったら、医学的理論の根拠に頼ってはいけません。
「きっと良くなるはず!!」
これがサプリメントを効かせるコツです。
実際に効くかどうかはわかりませんが。
健康維持ならサプリでいいと思いますが、治療で考えるなら、西洋医学の薬か漢方にしたほうがいいと思います。
ちなみに僕がサプリメントを治療に使わない理由があります。
それは、サプリメントは「あれに良い」「これに良い」とは言いますが「誰だったらダメなのか」「どの体質だったら合わないのか」が言えないところ。
漢方はこの体質には良いけど、反対にこの体質にはダメという理論があります。
「誰にでも良い」なんて都合の良いものは存在しないと思いますよ。