2013年10月01日

漢方薬の効果をアトピーを例に具体的に考えてみる。

一般的に漢方薬の効果というのは誤解されているんじゃないかと思います。
病気で悩んでいる患者さんだけでなく、その患者さんに実際に漢方薬を処方している病院や薬局の先生も含めて。

そこで、うちでよく相談するアトピーから具体的に漢方薬の効果を考えてみましょう。

アトピーの治療目的は、身体の湿疹やかゆみがなくなること。
でも漢方薬に直接、かゆみを止める効果はありません。

ここで西洋医学の治療目的を考えてみましょう。
アトピーで受診された患者さんをどう治療しようとするのか。を考えてみます。

西洋医学は基本的に原因を特定し、その原因に対して治療効果のある薬を処方します。
アトピーの場合なら、治療薬としてはステロイド剤や非ステロイド剤です。

非ステロイド剤は、ステロイドが含まれない、かゆみ止めです。
それに対して、よく使われるのはステロイド剤です。

ステロイド剤は、免疫抑制が中心となっている炎症を抑える抗炎症剤です。
湿疹は皮膚の炎症ですので、抗炎症とは湿疹とかゆみを直接抑える効果ですね。

元々、身体はステロイド剤のような抗炎症の効果のあるステロイドを自前で持っています。

病院のステロイド剤はそれを何十倍、何百倍にした人工ステロイドです。
本来なら自前のステロイドで、湿疹(皮膚の炎症)を抑えてしまうのですが、それがなんらかの原因(原因不明)で炎症が抑えられなくなって、だんだんとひどくなっていくのがアトピーです。

抗炎症のステロイドを人工的に塗る事によって強制的に炎症を抑えるのですね。
ただし、自分の身体が持っているステロイドよりも、はるかに強力な効果がなので、副作用もそれなりに強くなります。

最も、大変な副作用は、免疫抑制によって、感染系の湿疹にかかりやすくなること。
白癬菌などの菌系の湿疹はステロイドを使うことによって、よりひどくなります。
なぜなら、感染系の菌などは免疫の働きによって、抑えられますが、ステロイドはその免疫を抑えますので。他にも皮膚の透過性やらなんやらといろんな副作用がありますが、ここでは割愛します。

次の問題は外部からステロイドを長期間使っていると、自分の身体の中のステロイドは使わなくなってしまうこと。
これによって、外部のステロイドをやめると、自前のステロイドが使われないため、湿疹はよりひどくなります。

後、非ステロイド系のかゆみ止めは、うまくいけばかゆみが止まりますが、大体、効かない人が多いです。だから、ほぼ、アトピーの人は、非ステロイド系の薬からステロイド剤へと治療が変わっていきます。

簡単に言えば、ほとんどの人はステロイドを飲む、もしくは塗るということが西洋医学でのアトピーの治療です。

ステロイドで治る人は、ごく初期で治るはずなので、慢性化している人は、ステロイドの治療方法では治りずらいと考えもいいんじゃないかと思います。

そうなると「漢方薬」ってどうなんだろう?
って思いますよね。

だって、西洋医学のアトピー治療って結局、ステロイド剤、一択ですもの。

これは、僕の勝手な思い込みかもしれませんが、病院のステロイド治療の失敗から漢方薬なら治るんじゃないかと考えた人は、漢方薬もステロイドと同じように、かゆみを止める効果があって、湿疹をなくしてくれて、なおかつ、自然のものだから副作用がないという風にイメージしているのではないでしょうか?

残念ながら、漢方薬は、そんな都合の良いものではありません。
漢方薬は「副作用のないステロイド剤のような働き」ではありません。

漢方薬は治療の根元の考え方自体が違います。

冒頭でお話したように漢方薬は体質に合わせます。
じゃあ、体質って何?ってことです。

アトピーがある → 体質 ではありません。
アトピー(湿疹)は体質を形づくる一部のパーツでしかありません。

日本漢方では、体質はいくつかの「証」というものから成り立っていると考えます。
その「証」は症状と症状の組み合わせなどから成り立っています。
ちょっと、ややこしくなってきますよ。

【体質】 ← 【いくつかの証】 ← 【病気のなった期間や症状と症状の組み合わせ】

例えば。風邪の時によく飲まれる葛根湯は【表の寒証】と【表の実証】【脾胃の熱証】と【太陽病】【実証】という1つの病位と4つの証からなりたっている「体質」に合うとされています。

【表の寒証】とは悪寒、発熱、頭痛、首のこわばり、身体の痛み、関節痛、のぼせ、喉痛、鼻汁などです。
【表の実証】とは 汗をかきづらい、分泌液が少ない、硬い腫瘤、痛みを伴う発疹、鼻の詰まり などです。
【脾胃の熱証】とは 下痢などです。
【太陽病】とは 病気状態になってから初期の状態を示し。
【実証】とは それなりに強い薬を使える体力がある。ことを示します。(こんな単純ではないですがこれを書き出すとブログで書ききれないので簡略します)

これらの「証」の条件にあえば葛根湯が効果的に働く体質だということです。

漢方が難しいところはここから。
各【証】にある症状はかならず、全部が一致するわけではありません。
大体この体質なんじゃないか。と判断するのは、漢方医のセンスと経験です。マニュアルなんてりません。

また【表の実証】に「痛みを伴う発疹」という条件がありますね。
風邪にそんな症状はありません。
これは、葛根湯を風邪だけでなく、イボや炎症で腫れた状態にも使うことを示しています。

話が大分、それちゃいましたが、要するに漢方の治療目的は、アトピーの湿疹をなくすとか、かゆみを直接止める効果ではないということです。

一見、関係のない症状をそれぞれフォローし、身体が正常に働くようにしむけるのです。

これを踏まえて考えると病院などで東洋医学的な問診をとらずにアトピーなら消風散みたいな処方をしていることが、いかにマヌケな行為しているかがわかります。

そして、効果というのは、先程のいくつかの「証」を正常化していくことが「漢方薬の効果」になります。
「証」ごとに対応する効果があるので、1つの漢方薬に4つ、5つの効果があるということですね。

しかも、その効果はあくまで、予測した体質と合えば効果が発動するという条件があります。

うちでも初回は「私の漢方薬の効果って何か教えてください」って言われて、上記のように細かに説明しますが、2回目になると、漢方薬の効果が複雑すぎて、「私に合うものをみつくろってください」みたいになって、効果に対する質問はなくなることが多いです。

もちろん、毎回、お聞きいただいて結構ですが。

そんなわけで漢方薬の効果は西洋医学ような1つの問題に対する1つの効果というような単純な構造で成り立っているわけではないということですね。


posted by 華陀 at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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