2013年10月22日

漢方医に必要なのはプライドを捨てること

漢方治療で最も大事なことはなんでしょうか。
東洋医学の診断理論を詳しく知っている事でしょうか?
何百種類もある漢方薬を全て知っている事でしょうか?

どちらも漢方家としては知っていなくてはいけないことですが、最も重要なことではありません。

では何?

それは、自分が「先生」として治療しているというプライドを捨てること。

「プライドと治療に何の関係があるの?」
それがオオアリ。

プライドを捨てるといっても困難な病気でも治療をあきらめずに考えぬく漢方家としてのプライドは必要です。

しかし漢方を勉強して詳しくなるほどプライドを捨てないといけない場面があります。

それは「患者さんに漢方薬を飲んだ後に症状の変化を聞く時」

体質を考え抜いて、それに合わせる漢方薬を考え抜いて、これがベスト!
と考えた漢方薬をお出しします。

しかし、漢方薬の効果というのはあくまで【結果】です。
事前に「こう良くなるだろう」「ああよくなるだろう」って考えてたって、自分が考えた体質と漢方薬が合っていれば結果が出ますが、結果が出ないのは要は自分の考えた体質も漢方薬も合っていなかったということです。

たまに病院で、ある西洋薬の処方で良くならなかったら、
「この薬で治るはず・・・」「その症状は気にしすぎじゃないの」など患者さんの精神的な問題じゃないかという先生がいますが、漢方ではこれは一切通用しません。(西洋医学でも通用しないはずですが)

良くならなかったのは、処方した先生が体質を見誤り、漢方薬を選び間違いしているのです。

だから、漢方薬を飲んでもらう時点で「全然、よくならなかった」という結果を考えておかなければいけません。

「全然、変わらないですよ」「漢方薬を飲んでからひどくなった気がします」
などはそのまま受け止めなければいけないのです。

それを「僕はこれだけ漢方を勉強しているのだから、この薬が効かないはずはない!」なんて、しょうもないプライドを発揮したら治せるものも治せません。

ただし「良くならなかった。ハイ終わり」じゃないですよ。漢方の場合は「変わらなかった」「余計にひどくなった」からが本当の勝負どころ。

漢方薬は病名に合わせて処方するものではないので、初めから答えなんてないのです。
先生と患者さんが一緒に試行錯誤しながら何百種類の中から合うものを探していくのです。

そのために何百種類も漢方薬があるのですね。
ただ、合わなかった場合、患者さんには非常に申し訳ないですが・・・。

何百種類の漢方薬は、それぞれ理論的なつながりがあります。
ここでそれを詳しく説明はできないですが、ある漢方薬が合わなかった理由が体質に対して強すぎたと判断した場合、同じような方向性のもので弱い体質にも使えるものにすることができます。

そうやって、Aの漢方薬はBの漢方薬より強くて、CはAに比べて血の巡りを変えていく力が強くて・・・といったように漢方薬同士は有機的なイメージで互いに、つながっています。

うまくいかなかった場合も、この有機的なつながりを伝って、次の漢方薬を探していくのですね。

病名マニュアルで漢方薬を処方している先生のようにマニュアルに書いてある漢方薬を順番に適当に試してもらうわけではありません。

そんなわけで、患者さんに症状の変化を聞く時は「治っている」という想定で聞くよりも「治っていないかも」という想定の方を優先して聞かないといけません。

なぜなら、患者さんの中には、あまり良くなっていなくても気を使って良いように言ってくれる人がいるからです。

だから「僕は詳しいよ」というプライドが高い雰囲気も出してはいけません。
むしろ「ダメだったみたいです」という意見を言いやすい環境をつくらないといけないと僕は考えています。

なぜなら、漢方は自覚症状を聞いて体質を判断するから。
患者さんが申告する自覚症状が、例え気を使った上での嘘でも情報はねじ曲がってしまいます。ねじ曲がった症状の情報は、ねじ曲がった体質判断につながり、間違った漢方薬の処方につながります。

先生がプライド高くて、話しにくいなんて思っている人。
それ、漢方じゃ治療としてどうにもならないですよ。

クレームつけるくらいで言ってみましょう!
それを受けるのが漢方家なのだから。




posted by 華陀 at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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