「病院の漢方薬の適当処方は資源の無駄使いかも!?」
その後の経過がわかったので、書いておこうと思います。
前回、元々、うちで患者さんだった人が副鼻腔炎で病院に行ったら、漢方薬を処方され、コチラで漢方薬で治療するのならと、うちに来てくれました。
その病院の漢方薬の処方の方法は、東洋医学的な問診をとらない、いわゆる「なんちゃって漢方」だったので、もったいないですが、適当に選ばれた漢方薬は飲まずに処分してもらいました。
それで、うちから新たに漢方薬をお出しさせていただきました。
ここまでが前のブログの話し。
その結果がわかったので、その報告がてら漢方処方とはなんぞやということを書こうと思いました。
結果からいくと2週間もしないうちに副鼻腔炎はほぼ治りました。
一応、副鼻腔炎自体がどうなったのかを以前に漢方薬を処方してもらった病院で検査してもらって、ほぼ治っていることを確認してもらったのですが、ただ、その医者が2週間も経たずに治っていることに驚いていたとのことです。
「おい、おい」そもそも初めに漢方薬を処方したのはその当の医者ですよ。
自分の選んだ漢方薬を飲んでもらっていないとはいえ、漢方薬自体も信用してないの?
不思議なのは、その当の自分が信用していない漢方薬をなんで前は処方したのか?
この辺は医者の漢方薬に対する考えの不思議なところですね。
僕には計り知れません。
と、ここまでは経過のお話しですが、一般的にも漢方の先生的にもこの件を通して誤解されそうなことがあるのでそのことを説明しておきたいと思います。
何が誤解されるかっていうと「病院のはツムラの漢方薬だから効かなかったんじゃないの?」ってこと。
確かにツムラの漢方薬は業界的に効かないと言われています。
そして漢方薬は自然のもので食べ物に近いものなので、ものの質の違いで効果の違いは出て来ます。
でも、漢方においては、その事よりも大事なことがあります。
それは「体質と漢方薬が合っているか」ということ。
つまり、仮にツムラの漢方薬の品質が世界一だったとしても、体質と漢方薬が合っていなければ、残念ながら効果を発揮しないのですね。
効果はゼロでも品質はサイコーみたいな。
それどころか、品質がいいということは身体に変化を与える力も大きいということです。
体質と合っていないけど、漢方薬の効果が高いとしたら、皮肉なことに品質が良い事によって、より悪くなったり、変な副作用が出る可能性も高くなるということです。
このケースの話の場合、漢方医は医学者というよりも料理人に例えることができます。
漢方薬を処方する先生が料理人。
漢方薬が料理だとしたら、漢方薬を構成するそれぞれの生薬は食べ物の素材です。
一流の料理人は良い素材ほど良い料理をつくりだすことができますが、素材の質が落ちるからといって、全くおいしくなくなるかというとそうではないです。
最もベストな食材を使った時よりも味は落ちるかもしれませんが、素材がよくなくても、それを工夫しておいしい料理をつくります。
逆に「素材が悪くなれば、おいしい料理をつくれない」というのであれば、それは一流ではないですね。
要するに効かないと言われている漢方薬も効果がないのではなく、おそらく生薬という素材が企業のコストダウンのために悪くなっているだけだと思うのです。
漢方薬に違いはありません。
だから、良い素材の漢方薬よりは劣るかもしれませんが、体質に合わせさえすれば、それなりに効いてくれるのです。
問題は素材のせいではなく料理の腕ですね。
実際に僕も修行時代に一時期、ツムラの漢方薬を使っていましたが、結構、効かせてました。
ちなみに「漢方薬が体質に合っていて効いた!」というのは飲んだ後の結果論からしかわからないので「副鼻腔炎ならこの処方で良い」と決めつけることはできませんが、それでも、その医者が初めに処方した漢方薬は僕的には「あり得ない処方」でした。
まーあくまで僕的にはですが。
病名のマニュアル処方をしていたら、ダーツみたいでなかなか当たらないでしょうが、曲がりなりにも漢方薬を処方するなら漢方の力はせめて信じましょう。
「フォースの加護があらんことを」ですよ。
あっ、ちなみにその病院にかかり初めて、うちに来るまでにかかった治療日数は3ヶ月(その間、やや良くなっただけ)
うちで、ほぼ良くなるまでにかかった日数は2週間弱。
がんばれ新薬!と病名漢方!