他覚症状とは自分の感じている症状や状態ではなく、医者などの第三者や検査などで確認される症状や状態です。
例えば、熱っぽいから熱があるという自覚があるとします。
この「熱があるんじゃないか」という症状は自覚している症状です。
で、実際に体温計で熱を計ってみたら平熱だった。
実際に平熱だったという見方は他覚症状ですね。
客観的にみたら熱はなかったわけです。
病院の場合は、実際に熱がなければ、解熱剤などは処方しません。
例え、あなたが熱があるように感じていたって、体温計では熱がなかったから。
いろいろな症状があるのに検査で何もなければ「何も異常ないです」とか、ひどい先生になると精神的な問題にしてしまいます。
客観的にみて何もなかったので、あなたが何を感じていようが健康ってことですね。
あれってすごい誤解を与えていると思います。
医者が西洋医学が万能だと勘違いしている節があるので、上からあんな風に言ってるのかもしれませんが、あれ、言い方を変えたら「現時点の西洋医学の検査や僕の医学レベルではわかりません」というのが本来、説明として正しいと思います。
そうやって、ちゃんと説明してもらえば、自分に不快な症状があった上で、医者に「異常ないですから何も治療できません」という風になったら、それは「異常なく健康です」ではなく「医者の僕にはわかりません」って言ってるのと同じなので、そこでの治療はあきらるという選択ができます。
漢方ではどちらかといえば自覚症状を重視します。
つまり、患者さんが熱があるようだと言えば、実際に体温計で熱が平熱でも、熱証という体質になっていると判断して身体に熱がこもっていると考え、余分な熱をさます漢方薬を処方します。
体温計で平熱だから「熱っぽいのは気のせい」にはしません。
体温計の温度を無視するわけではないですが、漢方では、そもそも温度が何度あるかを知りたいのではなく、熱の度合いを「本人はどう感じているか」を知りたいのです。
それで、本人が症状をどう自覚しているのかを聞くのですね。
しかしここで、病院のような他覚的な見方と漢方のような自覚症状的な判断に利点と欠点が見えてきます。
病院の検査などは誰が検査しても基本的には変わりません。
体温計を渡す先生によって温度が変わるなんてことはないのです。
他覚的な見方は先生などによって見方が変わったり、ぶれたりすることがないのです。
熱があれば38℃は38℃なんですね。
患者さんや先生の考え方によって36℃になったり38℃になったりはしません。
こういった冷徹な客観性は治療をすすめていく上で利点です。
しかし欠点は検査で出ないような要素のもの以外だと途端に太刀打ちできなくなることです。
それが、いろいろな症状に苦しめられているのに現時点の化学検査で何かの異常が出なければ、精神的な問題にされたりするのです。
漢方が重視する自覚症状は、これとは逆に検査で何の異常がなくとも治療することができる点が利点です。
漢方は、その人が感じている自覚症状を元に体質を考え、それに対応した漢方薬を処方します。
あッ!そう言えば大半の病院の漢方って漢方薬を処方する前に体質を判断するための自覚症状を聞かないか、聞いても体質を判断できないようなレベルの少ない質問をチョコチョコするだけだから、病院の漢方に関してはまともに漢方薬を扱えるレベルにすら達していないですね。
話しは逸れましたが、漢方は他覚症状よりは自覚症状を重視して漢方薬を選びます。
しかしこれには欠点もあります。
自覚症状とは自分自身が感じている症状です。
症状は人によって、それほどでない症状でもひどく悲観的に訴えたり、逆にがまん強く、症状がないかのように強がって主張しない人もいて、症状に対する価値観がいろいろなんですね。
ここが客観的な見方との違いです。
また、これに合わせて先生自身も患者さんの訴えを「大袈裟に捉えたり」、逆に「軽くみたり」とある2人の先生が1人の患者さんから症状の訴えを聞いても2人とも捉え方が簡単に変わったりします。
だから僕が思うのは漢方は症状だけを聞けばいいのではないです。
病院の検査などの客観的な他覚症状と今、実際に感じておられる自覚症状をいったり来たり、一見、関係のなさそうな症状をいろいろ聞いて、なるべく冷静なその人の本質的な症状を捉えて体質を考えていかないといけないと思うのです。
ただ漠然と「冷えてますか?」とか「疲れがひどいですか?」ではダメなんですね。
そんな単発の受け答えでは本当のところは、どうなのかわかりません。
同じ症状を確認するのでも、いろいろな聞き方で症状を確認しないといけないのです。
だから、漢方を処方する先生でコミュニケーション能力に欠ける人は、それだけで漢方の治療の腕はヘタクソだと言えると思います。
「なんか、この先生苦手・・・」「なんか、この先生話しにくい・・・」
たったこれだけで、漢方治療はうまくいかなくなるのです。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉