よく使う代表的なものだけでも200種類以上です。
それだけ細かく体質別に漢方薬は、用意されているのです。
漢方では、その人が治ったときに初めて漢方医が予測した体質と漢方薬が合っていたと判断できます。
だから治ったという結果が出た後は「体質=漢方薬」という公式が成り立ちます。
これを「証が証明」されたというのですが、う〜ん難しいですよね。
漢方薬は西洋医学のように、その処方に「特定の何かの成分や効果がある」というような考え方をしません。
漢方薬の説明書の効能効果をみていただくとわかるのですが、効能効果とある次に「次の諸症のあるもの」としていろいろな症状や病気が書いてあります。
例えば、ツムラの葛根湯を例に見ると・・・
”ツムラ医療用漢方マニュアルより引用:
■効能又は効果
自発発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症体質(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
引用ここまで”
効能効果に書いてあるのはこれだけ。
おかしくないですか。
なんか足りない。
それでは次に風邪の時に出す医者の大好きな新薬のPLの説明を見てみましょう。
”病院でよく使われている非ピリン系の総合カゼ薬です。
解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬など4種類の有効成分が配合されています。
鼻水、鼻づまり、ノドの痛み、熱などカゼ全般の症状をやわらげます。
ただし、対症療法薬ですので、カゼの原因(ウイルス)そのものを治すことはできません。各成分の薬効は以下です。”
これがPLの効能効果です。
そう、ここには「鼻水、鼻づまり、ノドの痛み、熱などカゼ全般の症状をやわらげます。」と書いてあるのです。
効能というのはこういうものですね。
一方漢方薬に書いてあるのは「症状」と「病名」がズラズラと書いてあるだけ。
それをどうするともこうるとも書いてない・・・。
はい、実はここが漢方と病院の薬の違いです。
漢方薬は「効能又は効果」に書いてあるような人の体質に合わせますよ。
ということなんですね。
それが、どんな作用で治るのかは書いてないのです。
厳密には東洋医学的な「発表作用」とか「利水作用」といったものがあるのですが、それらはあくまで「葛根湯が体質と合えばそういった作用が働きます」ということです。
どんな人でも「風邪だったら葛根湯が合いますよ」ということではないのです。
だから、はっきりと書けないのだと思います。
そして、一見、細かな症状や病気が書いてあるように見えますが、実際はこの症状に全部あてはまったら葛根湯が合う体質というわけではありません。
だって、それだったら風邪で結膜炎で、じんましんで、おまけに上半身の神経痛の体質とかに合うのだったら、そんな人滅多にいませんよね。
ほぼ「葛根湯って使えない」ということになります。
だったら「効能又は効果」に書いてある「頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるもの」の【風邪】という都合のいい1つの部分だけをとって処方するのでしょうか。
それだったら、風邪なんて、いつも大抵こんな症状だし「大体、比較的体力があるものってどれくらいの体力なんだ?」ってわからないですよね。
48.195kmを8時間以内で完走できる人が比較的体力のある人でしょうか?
どちらにしても、そうなると風邪はどんな症状だろうと無条件で葛根湯ということになります。
でもそれだと、なんで体質に合わせるとか何百種類もあるの?ってことになりますね。
どっちも選び方として不正解なんです。
漢方薬は全身の症状を調べて、そこから更に東洋医学的な体質を分析するのです。
だからツムラの漢方薬に書いてある「効能又は効果」はこの症状だけでなく、そこから全身の症状を細かに聞いて、更に過去の既往歴や親の病気、現在の生活リズムや環境を聞いて、総合的に体質を分析し、その体質に葛根湯が適しているかを検討するのです。
そうして初めて1つの漢方薬を選び出すことができるのですね。
症状や病名の羅列だけをあてはめて漢方薬を選ぶわけではないのですよ。
2千年消えずに続いている医学が、そんな甘いわけないじゃんッ!
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉