小青竜湯が花粉症の薬だと勘違いしている医者がいるみたいですが、漢方薬は体質に合わせるものなので ”花粉症=小青竜湯” なんて法則ありません。
花粉症の症状は、みんなある程度、共通かもしれませんが、その上で元がどんな体質かを加えて考えるのですね。そうすると同じ花粉症の人でもみんな漢方薬の種類が変わってくるのです。
僕も時々、医者の頭の中みたいに単純な発想で漢方できたらラクだろうなぁ〜って、うらやましく思いますよ。
ま、それじゃあ、僕はラクだけど患者さんは治りませんけどね。
そもそも、なんで病院では、小青竜湯で花粉症を出すようになっているのでしょう。
漢方薬って体質に合わせますが、体質を分析するのに自覚症状という情報を使います。
そのときに小青竜湯には小青竜湯に合う人の特徴的な症状として ”くしゃみと” と ”鼻水” があるのですね。
漢方をよくわかっていない時期は、いろいろな症状やその人の生活環境、過去の病歴など、全部の要素をまとめて1つの ”東洋医学的体質” というものを自分で考えることができないので、漢方薬ごとに設定されている特徴的な症状から、ある漢方薬がその人と合ってるんじゃないかと考えがちなんです。
僕も漢方を勉強したての3ヶ月目頃は、そんなマニュアル的な方法でやってました。
勉強しだして半年もしたら、そんな幼稚な分析からは卒業しましたが。
とにかく漢方をよくわかってないけど、ちょびっとわかりはじめた!
みたいな時に ”漢方薬ごとに設定されている特徴的な症状” を使って漢方薬を処方するのです。
そしたら小青竜湯が合う体質の人の特徴的な症状は ”くしゃみと” と ”鼻水” じゃん!
で「花粉症 → 小青竜湯」みたいな単純思考によって導き出されるのですね。
病院は漢方薬をちゃんと選びだすために体質を分析して、その体質を分析するためにわざわざ、東洋医学的な問診をとるなんて時間がありません。
なぜなら、次から次へと患者さんがきますから。
うちで問診表を書いてもらっている時間が記入だけで早い人で15分。
その後、症状は、ただ「あるか?ないか?」でみるわけじゃないので、その症状1つ1つに対していろいろ質問を変えながら体質を分析するために詳しく聞いていきます。
それに早くても15分。
僕は体質分析と漢方薬を選ぶのは症状の確認をしながら並行して、頭の中で処理しますので、それに時間がかかりませんが、これは漢方の医学理論が頭に入っていなければ、漢方薬探して、それを患者さんに説明するのに合計で15分くらいかかるんじゃないでしょうか。
つまり病院で本気で漢方相談したら1人に最低45分位かかっちゃうわけですよ。
無駄話なんて一切なしで。全部治療のための時間です。
病院でこれやったら、その病院は24時間営業にしても追いつきませんね。
今は5分で終わってるのにそれが45分。
9倍かかるわけですよ。
そしたらそんなことはやってられない。
病院は右から左に患者さんをベルトコンベアに乗せて、じゃんじゃん、さばいていかないくては、いつまでたっても仕事が終わらないのです。
そしたら「花粉症だったら漢方薬で丁度、特徴的な症状に ”くしゃみと” と ”鼻水” に対応する処方があるじゃん!」となって、体質もロクに見ないでテキトーに漢方薬を使うのですね。
この特徴的な症状って他の漢方薬にもあります。
例えば葛根湯。
葛根湯は ”項背のこわばり" というものが葛根湯がもっている特徴的な症状として設定されているのですが、これを簡単便利にする西洋医学では単純に ”肩こり” にしちゃいます。
なんでも勝手に簡単にする西洋医学の単純思考魔法ですね。
「ステロイド塗っときゃ、そのうちアトピー治る」みたいな。
で、これで「風邪で肩こりある人は葛根湯」ってことになります。
でも日本人の7割以上の人が肩こりを感じているといわれています。
肩こりあるかないかって聞いたら女性はもっと割合高いんじゃないでしょうか。
となると風邪をひいたら、みんな葛根湯のみということですね。
そんなわけなーーーい。
風邪の漢方薬なんてたくさん種類がありますよ。
漢方薬に設定されている特徴的な症状って「その症状があればその漢方薬だよ」って言ってるんじゃありません。
残念ながらそんな単純ではありません。
小青竜湯のくしゃみと水鼻は日本漢方的にいうと「表の寒証という身体表面が冷えているのと肺の水毒という呼吸器系に水がたまりやすい状態が結びついたら ”くしゃみ” という症状として現れることがある。」というもの。
水鼻もそうですね。
表の寒証と水毒という水の巡りの悪さが結びついて、がまんしてもダラダラ流れてしまう鼻水がでるのです。
さむーいところに立ってたら、鼻水ってコントロールきかずにダラダラと出てくる感じでしょ。あの状態です。
だから小青竜湯は花粉症の薬ではありません。
花粉症も元の体質によって出てくる症状や症状の強さなどが変わってきますので、やっぱり体質ごとに漢方薬を変えていかないといけないのです。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉