皆さん、ビッグデータって知っていますか?
ネット界ではちょっと注目されているものです。
コンピューターというのは、さまざまな情報を蓄えることができますので、人々の活動をデータ化してそれを生かして「どんな商品が売れるか」とか「どんな広告がうけるか」とか巨大なデータを元に算出させるということができます。
もちろん、応用は商品の販売などに限りません。
渋滞情報なんかやいろいろな事に生かすことができます。
要は膨大なデータを集めて何かの方法に役立てるというもの。
この言葉が流行ってくると、おそらく頭の堅い医者辺りが、漢方薬を飲まれた人のデータをビッグデータ化して、簡単に処方できるようにしよう!って言い出しそうなので、先にお話します。
結論から言うと現時点のアルゴリズムでは漢方はビッグデータ化しても近い将来含めても役に立たないと思います。
ビッグデータまではいきませんが、漢方界では、過去に何度か簡単に選べる漢方薬システムみたいなものが販売されています。
病名をチェックして → 症状をチェックして → そしてボタンを押せば「あなたにあった漢方薬はコレです!」みたいな。
似たようなプログラムが何度か販売されたのですが、やっぱり役に立たなかったようです。
なんとなくスタれて誰も使わなくなりました。
もし、今も使っている人がいるなら、本当のバカだと思います。
どうも漢方はズルを許さないようですね。
かくいう僕も実は修行時代に病名と症状をチェックしたら漢方薬が出てくるプログラムを自分で作ったことがあります。
当時の自分は浅はかですね〜
膨大な数の漢方薬を覚えていかなくちゃいけなかったから、プログラムなんか作って逃げたかったんでしょうね。
もちろん、自分でつくったものもすぐに使わなくなりました。
その理由はこれから説明します。
「でも、漢方薬って病名や症状をチェックしていって、自分の体質に合った漢方薬を探すのでしょ?」
違います!!
まず、病名で漢方薬は合わせません。
これは漢方の医学理論を理解できないけど、漢方薬は処方して儲けたい。
もしくは、漢方薬メーカーが、いちから医者に漢方医学理論なんかを教えて漢方薬を扱ってもらっていたら、全然、漢方薬を扱う病院が増えなくてメーカーとして倒産するからです。長いッ!
西洋医学の病名と東洋医学の体質は全くの別物です。
病名で漢方薬を選んでも何の関係もありません。
したがって、「病名で漢方薬を選ぶプログラム」は、治療には何の意味もありません。
「病名と漢方薬が関係なくても症状は関係あるんじゃないの?」
はい、これは関係あります。
漢方は自覚症状から体質を診断します。
しかし誤解してはいけないのは、症状をあてはめるのではありません。
自覚症状と他覚的にみた状況などを総合的に分析して体質を判断するのです。
雑誌のお遊びの占いじゃあるまいし「いくつか症状があてはまったら、この漢方薬!」なんて遊びのような訳、ないじゃないですか。
東洋医学ですよ。「い・が・く」
プログラムで症状のチェックの入ったものに該当する漢方薬を抜き出してくるようにつくるのは簡単なのですが、漢方の場合は、症状から「体質」を考えて、それに合う漢方薬を探しだすのです。
将来はコンピューターも人間の脳に近くなって、当てはまった症状から漢方医としての経験値を足して体質を導き出せるかもしれませんが、少なくとも先に人間に近い人工知能が開発されないと使える漢方薬プログラムはつくれませんね。
チェックする症状に関してですが、実はこの症状にも種類があります。
どういうことかというと、プログラムで聞くとしたら「冷えがあるかどうか」になりますが「冬は冷えるけど、夏は冷えない」とか「冬は足先が痛くなるほど冷える」とか「動き始めたら冷えはなくなる」など冷えにもいろいろな度合いや種類があるのです。
当然ですが、体質を見極める場合にザックリと「冷えがあるかないか」なんてイエスorノーで、やっちゃいけません。
漢方薬は冷えの度合いなどによって、どれくらいの温めるレベルの薬を使うかも選べるのです。それくらい体質に合わせていくことができるのですね。
それにもう一つ症状で重要なのは「自分は気づいていないけど、聞かれたらあるかも」ってやつ。
漢方薬を選ぶ際には、それぞれ、体質の条件、症状の条件があります。
僕はある程度の問診をしたら、頭の中で何種類かの漢方薬を想像しながら、体質を分析していきます。
その時に「この人は多分、この体質なんだけど、こんな症状ってないのかな?」っていうものが出てきたりします。
そして、「頭痛はないって言ってたけど、朝方の起きた時だけ頭痛ないですか?」
「・・・そう言われてみたらあります」
この「そう言われてみたら」という症状は、当然ですが、自分では気づいていないから、プログラムだったらチェックできないわけです。
そして、先生側もあらゆる漢方薬が頭の中に入っていなければ、そもそも聞く事ができないわけです。
先生にあらゆる漢方薬のことが頭の中に入っているなら・・・
プログラムはいらないのですね。
だから、僕は初期の頃に自分でつくりましたが、勉強がすすんでいくに従って、アホくさくなって漢方薬プログラムは破棄したのでした。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2014年05月16日
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