2014年06月05日

漢方治療の具体的方法(表と裏)

ほとんどの病院は漢方を医学的に知らないので、病名や症状だけをマニュアルで合わせて、単純に漢方薬を選んでいますが、漢方って本来、そんな単純な治療ではありません。

漢方には、いろいろな治療方法のテクニックがあるのですが、今回はその中の1部の治療方法を紹介したいと思います。

「そんな専門的な治療方法なんて知ってどうするの?私は医者じゃないよ?」

実は漢方薬を選んでもらう患者さん側でも、治療方針がどこに向かっているのかを知っておく事は重要です。

なぜなら、漢方薬は自覚症状で診断し、自覚症状の変化で体質を分析するのです。

だから、漢方薬がどう治していくのか?

症状が、どう変化するのかをあらかじめ知っておけば、漢方の先生とスムーズに相談が進められるようになります。

あっでも、漢方の医学理論をわかっていない病院や薬局の場合は、こんな風に自覚症状を気にする必要はありませんよ。

どうせマニュアルで処方を繰り返すだけなので、処方する先生側も患者さん側も深く考える必要はありません。

そういった漢方薬で治るか?治らないか?は、ただ運次第ですので。

漢方治療の1つの治療方法。

漢方では表裏という考え方があります。
表というのはおもての病やおもての部分。

裏はうらの病やうらの部分。

漢方の言葉の捉え方というのは絶対的な意味合いではなく、その他の組み合わせや状況などによって、相対的に変わるのが特徴です(この部分を説明するのが難しいです)

表の病とは、皮膚や身体上部、また六病位の太陽病などの病気の初期は、表の病が多くなります。

裏の病とは、内臓や身体下部、また六病位の太陰病などの病気の慢性期は、裏の病が多くなります。

表とか裏というだけで、これだけいろいろな意味合いを含んでいるのですね。

ま、それはおいといて、表裏の病って、区別して治療しないといけない場合があるのです。

例えば、湿疹が急激に悪化し、手足や顔に出て来た状態で湿疹の根本的な原因が消化器に合った場合、これって、どっちも一辺に治療することが難しいことがあるのです。

漢方は基本的には、全身の状態から体質そのものを分析し、根本的なところから治すことを目的としていますが、体質によってはこういったケースが出てきます。

この場合、根本的な原因である裏の病を治療するには、身体の深い部分に効かせるために比較的、穏やかで時間のかかる漢方薬を使います。

つまり、この治療自体が、表面の症状の邪魔になるのです。

顔や手足で急激に悪化した湿疹は、まずは最初に、すばやく対処する必要があります。

この場合、裏で使うような、じっくりと効くような漢方薬は正反対の効果になってしまいます。

そこで、治療戦略として、2つの治療として分けて考えます。

そして、この2つの治療は時期も分けて考えるのです。

つまり、急がないといけない表の状態を先に対処して、裏の病を後回しにするのです。

これを漢方では「先表後裏」といいます。

この場合は、手足と顔に急激に出た湿疹を治めることだけに集中するのですね。

その治療を比較的短期間でやってしまうのです。

その代わり、この治療期間は裏の根本的な原因は切り捨て、保留です。

さっき、患者さんもこういった治療法則を知っておいたほうがより良いといったのは、このことです。

根本的な原因は胃の不調や軟便だったりした場合、表の湿疹に集中させると、その裏の部分は変化がないのです。

だから、他の症状に変化がなくとも、何も治療が進んでいないと考えてはいけないです。

そこは処方してもらっている先生と症状の変化を確認しながら治療をすすめてください。

「それだったら、初めから、湿疹だけに集中して続ければいいんじゃないの?」

なんて思いました?

もちろん、初めから湿疹のみに集中し、なおかつ変化の早い表の漢方薬を使うこともアリだし、それを続けることによって治ることもあります。

しかし、長期間の病気の場合は、まず本当の原因は身体の深いところにあります。

つまり、裏にある状態が、本当の原因なのです。

この表面の病気を治すことを標治、裏の本当の病気を治すことを本治といいます。

だから、表も裏も両方を見ていかないといけないことも結構あるのです。

ただし、これらの治療は体質から見て治療できる先生だけに限ります。

西洋医学と同じように「湿疹をなくす漢方薬は十味敗毒湯」とか「五苓散が頭痛の痛みを止める漢方薬」とか、単純かつ短絡的、マニュアル的に漢方薬の効果を捉えて処方している先生もいますが、その場合は、そもそも体質自体を分析していませんので、今までの治療戦略の話は何の関係もありません。

その場合、患者さんの方で、こんなことを知っておくことは意味がありません。

気楽にいつかラッキーで治るかも♪的な感じで宝クジ的に、いつか治るのを待ちましょう。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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posted by 華陀 at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方薬の選び方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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