ネットのニュースで「血液型と性格は無関係」という記事がありました。
あれ、信じてるの日本人だけってご存知でした?
それを読んでいた時に「そういえば、漢方も似たような迷信みたいなものに惑わされているな」と思いました。
「先生!私ってこの本の中の何タイプの体質ですか?」
この質問です!血液型とよく似たもの。
よく聞かれるので1回、詳しく書いてみようと思います。
うちに「週刊朝日MOOK 正しく付き合う漢方」って漢方系の雑誌がおいてあります。
僕はこういうのって、あまり好きじゃないのですが、なぜか、みんな好きみたいです。
うちでは、漢方的な体質を分析して、あなたの現在の体質は東洋医学体には「あーで、こーで」と詳しく説明します。
しかーし、その後、さっきの雑誌をみて「で、この本ので言ったら私の体質は何タイプになりますか?」って質問されます。
体質はさっき説明したのですが・・・そうなんです。
僕がやってる日本漢方という治療の流派はあまりにマニアックで専門的すぎて、多分、何を言ってるのかわかりづらかったと思うのです。
ちゃんと説明できてなくて、すみません。
僕自身、なるべく噛み砕いて、ご説明はしているつもりですが、何せ、日本漢方って診断に出てくる用語ですら、漢方の基礎医学知識がないと理解するのが難しいのです。
だから、全く漢方の基礎知識がないとなると噛み砕いても限度があったりするのですね。
で、打って変わって、その本にはシンプルに「こんな症状の人は(気虚タイプ)とか(お血タイプ)」などと書かれています。血液型と一緒ですね。
「B型=わがまま」みたいな。
ちなみに僕はB型で当たってますけどね。
雑誌に書いてあるのは自分の症状が3、4個あてはまったら「あなたは気虚タイプ」
みたいな感じです。
これは、わかりやすいですね。
さっきまで僕が説明していた体質の説明とは違いシンプルでわかりやすい!
確かに、これで説明すれば、皆さんにも受けがよさそう!
でも、単純でわかりやすいこういった体質分析って違う部分で問題がでてきます。
それは、肝心の「治療」
簡単でわかりやすいということは、分析する体質タイプも少なく、そのタイプに分けていく条件も少ないということです。
例えば「気虚タイプ」という体力や抵抗力が弱い状態の人なんですが「やる気が出ない」があてはまれば → 気虚タイプと簡単に振り分けてみましょう。
これは患者さんもわかりやすいし、処方する先生も超簡単!
そもそも、処方する先生も簡単だということは、専門の先生にお願いする必要があるのか?という根本的な問題も出てきますが。
でも、現実は、そんな単純な要素で体質は構成されていません。
漢方薬自体が「やる気がない」ことだけに対応しているわけではないのです。
それだったら、漢方薬の種類があんなにたくさんいりませんよね。
漢方薬はそれぞれの体質に対応してますが、それだったら、せいぜい10種類位あればいいんじゃないでしょうか?
雑誌にある体質タイプなんて10種類位ですよ。
なのに何千年も経ってるのに漢方薬は現在も何百種類も残っているのです。
病院はマニュアルで処方していることが多いので、当帰芍薬散とか、温経湯とか、抑肝散とか、葛根湯とか、そんなにいろいろな種類の処方をしてませんが、それでもツムラのメーカー自体が提供している漢方薬は138種類(138番)あるのです。
つまり、138タイプの体質があるということですね。
ただし、どんな病気でも毎回その138タイプから考えるわけではありません。
僕が1つの病気のジャンルで候補として考えるのは毎回、平均40種類位。
さっきの雑誌を僕がやってる風に書いたら、40タイプ以上の体質が並んでいて、しかも1つ1つのタイプに事細かに症状のことや、症状はどんな状態なのかなど、書いてあるわけですよ。
ヘタしたら1ページに1つの体質タイプ。しかも、それを一般の人が読んでも、自分がどれにあてはまるのか皆目わからないでしょう。
多分、こんなの誰も読まないですね。
自分の体質タイプを見極めようと思ったら、「漢方を一から勉強しましょうッ!3年位かけて」みたいな、よくわからない雑誌になってしまいます。
ここで、誤解してしまってはいけないのは「自分が漢方を理解すること」と「治ること」は別物だということです。
もちろん、漢方治療に当たって深く理解することは少なからず、治療にも良い影響があると思いますが、患者さん側の理解がいくら深まっても治療成績が上がるわけではないのです。
むしろ、病気を治す目的に必要なのは10種類の体質タイプから簡単に振り分けて漢方薬を選ぶのではなく、20種類、30種類とたくさんの複雑なタイプの可能性から体質を詳細に分析し、漢方薬を選んだ方が治療精度は高まるのです。
だから、さっきの雑誌の「あなたは気虚タイプ」というのはただの「遊び」です。
治療とは何の関係ありません。
なんとなく「自分の体質がわかる」という「遊び」
「すべてのA型の人間は几帳面」と一緒。実際は、そんなわけないですね。
漢方の業界的な話しをすると医者も薬剤師もみんな、真剣に漢方を勉強しようとして、途中で挫折しています。
医者なんて、勉強どころか、漢方薬が効くとも思っていないのに処方しています。
なぜ、途中で挫折したらい、効くことが理解できないかというと、漢方薬は効果で考えるのではなく、体質とのマッチングで考えないといけないから。
「この漢方薬は頭痛を止める効果」で考えてはいけないからなのです。
「その頭痛は現在、どんな体質だから頭痛になっているのか?」
「その体質をどうすれば、元のバランスに戻り、結果的に頭痛は治るのか?」
効果が、どうとかこうとかではないのですね。
効果は結果論。
それを知るためにまずは詳細な体質を分析しなければいけません。
大概の先生は、この「体質分析」で挫けて、雑誌にあるような「病名や簡単な症状だけで体質を決めればいいや!そして簡単処方!」みたいな簡単な世界に逃げこんでしまいます。
実は2千年間残っている医学の深さはハンパじゃないのですね。
僕も今も現在進行形で勉強中です。
多分、一生終わらない・・・
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2014年07月25日
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