このイメージは漢方治療の本質から、かなりズレているように思います。
漢方治療は西洋医学の補助的治療どころか、一部の急性病は西洋医学のお薬より、早くよく効くことがあります。
現にうちでは、近所に耳鼻咽喉科がありますが、そこで副鼻腔炎の治療を受けていた人が3週間、全然、よくならなかった人も、うちの漢方薬で1週間で鼻詰まりとれたりしています。
ちなみに、その耳鼻咽喉科、病院の薬と一緒に漢方薬も処方していましたが、僕からみたらまるで的ハズレな漢方処方でした。
慢性病の治療に関しては、遥かに西洋医学を凌いでいると思いますよ。
漢方治療って皆さんが思っているよりも補助的でなく、積極的な治療なんですね。
そして、漢方治療は、実は漢方薬が凄いというわけではないのです。
漢方治療ってまず、その人の体質を判断してから、その体質に合わせて漢方薬を選びます。
だから、漢方薬って頭痛を止める効果とか、湿疹のかゆみを止める効果ではないのですね。
体質のアンバランスを調整した結果、頭痛がとれたり、湿疹のかゆみがとれるのです。
自分に合った漢方薬を選ぶためには東洋医学的な自分の体質を知る事から始めなければいけません。
そして、この体質を調べることは、漢方薬を選ぶだけのデータではありません。
自分固有の体質がわかれば、どんなものを食べて、どんな生活を送ればいいのかが、自ずとわかるのですね。
漢方治療は漢方薬の処方よりも、こちらの方がよほど重要です。
なぜなら、自分の体質がわかって、その体質がおかしくならないように気をつけていれば、病気になりづらいからです。
体質は、生まれつき持っている体質もありますし、周りの環境の変化でつくられる体質もあります。
例えば、ここのところ猛暑が続いていますね。
外にいるだけで汗がダラダラ。
汗は元々、身体表面を濡らすことによって体表の温度を下げようとしますが、今のような高温が続くと、最早、汗は体表の温度を下げることができません。
そうなると身体の中に発生した熱が発散できないのです。
熱は身体の中でどんどん溜まっていきます。
一般的には、これを熱中症と呼びますが、漢方では身体の中に余分な熱が溜まって発散できない状態を「熱証」といいます。
熱証の症状は、それこそ、その人の体質によって様々です。
また、熱が身体のどこの部分に滞るかで症状も変わってきます。
よくあるのは、熱証が首から上に溜まってしまう上焦の熱証というもの。
症状は頭痛や口内炎、吐き気などが起こります。
顔の湿疹なども熱証で起こることもありますし、乾いた咳が止まらなくなることもあります。
胸の辺りに熱が滞ると胸脇の熱証です。
不眠気味になったり、気の巡りも邪魔されるので、悩みから抜けづらくなったり、急激にイライラ感に襲われたりします。
心下の熱証は動悸が激しくなったり、みぞおちの痛みや詰まり感なども起こったりします。
これらの症状は熱証になったら、全部起こるわけではなく、元の持っている体質や他にもってる証(体質的要素)によって、人それぞれ、いろいろな症状が出たりするのですね。
他にも表熱の証や肺の熱証、下焦の熱証など、熱証にもいろいろとありますが、夏に起こりやすいのは先程の上焦の熱証や心下の熱証、胸脇の熱証です。
漢方薬では、熱証を治療する場合、肝の臓の熱をしずめるものや熱そのものをしずめるを使用します。
生活で気をつけることは、お風呂で全身を温めないことです。
上半身に熱が溜まっているので、下半身をちょこっと温めるのがよいです。
熱を循環させてやるのですね。
激し過ぎたらよりひどくなりますが、運動も良い熱の発散となります。
またピーマンやセロリは身体の中の内熱を取り去ってくれますよ。
冷たい水分は身体を冷やしてくれますが、急激に冷やし過ぎると身体中の熱の巡りがおかしくなります。
また水分は、とれば、とるほど、胃腸や腎臓に負担がかかるので、冷たい飲み物は一気にとらずに、チョコチョコと少ない量を回数に分けて飲むようにしましょう。
漢方治療は漢方薬を選ぶことだけでなく、自分的にはどんな生活をすれば良いのかがわかるようになります。
ただし、病院がやっているような病名だけでマニュアル的に漢方薬を処方する方法は、体質を分析していませんので、その場合、体質が判明していないので生活上で気をつけることのアドバイスはできません。
もし、医者がアドバイスしてくれた場合は、それはあなたの病気や体質に対してのアドバイスではなく、テレビの健康番組のような、ただの一般論です。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉