2014年08月13日

漢方の専門家かどうかを見分ける方法

漢方って日本には大昔からある治療方法なのですが、これほどよく知られていない医学もめずらしいと思います。

そのよく知られていない状態に悪ノリして、病院や大学などでも好き放題言ってるように感じた出来事がありました。

漢方ってある種の自然から派生した治療方法なので「この方法が正しい!」とか「この方法が間違っている!」というものはありません。

なにせ2000年前からあった医学ですから。

漢方は先生の数だけ治療方法があるといっても過言ではありませんし、今も新たに新たな治療方法が考えられていると思います。

僕も自分なりの漢方治療の方法を持っています。

かといって、「漢方であれば、どんな風に考えてもいいか」と言えば、そうではありません。

当たり前ですが、治療方法は自分の応用で自由な発想があってもいいと思いますが、漢方の医学理論には、ちゃんとしたものがあります。

ですので、漢方の情報の中でもしっかり勉強した上で主張しているのか、どこかのメーカーの資料や講演会で聞きかじったことをウソかどうかもわかっていないのに主張しているだけなのか。

これは全く意味合いが違います。

患者さんの中からある質問がありました。

「日本漢方と中医学は一緒なんですか?」という質問。

その方はある大学教授に同じ質問をしたところ、日本漢方と中医学は一緒のものと説明されていたらしいです。

大学教授ですよ!

また、病院は中医学という方法で漢方を行っていて、薬局などは日本漢方という治療方法で行っているという、意味不明なウソを言ってる人もいるようです。

そもそも、さっきから言ってる日本漢方とか中医学ってなんでしょうか?

西洋医学は基本的に治療方法や薬の効果の考え方は全世界同じです。

世界標準の医学が、現在の西洋医学ともいえます。

ところが、漢方は「絶対にこの治し方が漢方」というものはないのです。

漢方が治療方法として2千年が経ちますが、その2千年間で治療の方法の考え方の違いでいろいろな派閥が生まれました。

ある派閥は「消化器さえよくしていけば身体は健康になる」と考えたり、ある派閥は「病気は全て毒の影響ではじまっているので、毒さえ抜けば健康になる」と考えたり・・・。

他にも、いろいろな考え方の派閥が生まれました。

本来の伝統的な漢方とはこんな調子だったのです。

「こんな考え方を治療を受ける側の私たちが知って何が関係あるの?」って思いました?

それが関係が大アリなんですよ。

なぜなら、このことに関してしっかりと研究している先生か、全く知らない先生かで、ある程度、漢方の専門家かどうかがわかるからです。

専門家であるかどうかは、あなたの病気が治せるかどうかに関わってきますね。

「あっ!でもこのブログ記事を丸おぼえするかもしれませんね。でも、そこまで詳しく書くつもりはありません。長くなりすぎますから」

そんな伝統的な漢方は室町時代あたりから日本でも医学として活発になってきました。

この中国から伝わった医学が明治時代まで続きました。

これが「日本漢方」ですね。

日本で発展していった漢方も中国の伝統的な漢方のように、いろいろな派閥が生まれました。

中国本土の一番最初の方法と思われるものが一番最良と考える古方派や、古いやり方もいいけど、それだけに固執せずに新しい薬なんかも使ってみたりしようよ。と柔軟な感じの折衷派など、日本でもいろいろな派閥が生まれました。

この派閥が違ってくると使う漢方薬や体質判断の方法なども微妙に変わってくるのですね。

一方、中国ではいろいろな派閥の伝統的な漢方が行われてきましたが1950年に文化大革命を経て毛沢東が国家事業として、それまで各地方でてんでバラバラに行われていた伝統医学を統一された学問として、中西一体の思想の元に統一教科書と中医学院をつくりました。これが中医学です。

ただ、残念ながら、中医学は伝統的な漢方理論と比べると矛盾点も多く、現在も中国では各流派が試行錯誤して漢方理論を研究、調整していて、中医学は教科書漢方と呼ぶものもいます。

この時点で先程の教授が合ってるとか間違ってるじゃなく、単純に勉強不足です。

歴史からみても日本漢方と中医学というジャンルが一緒というのがおかしいのです。

中医学は学問的に統一された教科書漢方です。

西洋医学みたいに体質の診断や漢方薬の効果等が教科書的に画一のルールが決まっているのですね。

でも日本漢方というのは、統一されたことがありません。

伝統的な手法を個々の先生方が研究し、それぞれの治療を実践しているのです。

それが日本漢方です。

いわば、いろいろな考えの漢方の治療方法がある状態です。

ですから中医学と日本漢方が一緒の治療方法というのは、日本漢方の何と比べて一緒なのかがよくわかりません。

1つの決まったルールをもった中医学といろいろなルールをもった日本漢方というジャンルが一緒の治療方法というのは、比較できないのです。

では、中医学や日本漢方ってどんな治療方法を実践しているのでしょうか?

中医学は体質を弁証論治という方法で分析します。

五行論の考え方も使います。

ちなみにちゃんと弁証論治して体質を分析する中医学の先生には日本では未だに会ったことがありません。

日本漢方は、決まったルールがありません。

各先生方の考え方でバラバラ。

ただし基本的には伝統的な手法を駆使して体質を分析します。

「六経弁証」「八綱弁証」「臓腑弁証」「方意」「八法」「標本」などの手法を使います。

どれを使うかなどマニュアルはなく、またマニュアル通りにできません。

統一教科書がないですから。

ただ日本漢方の先生は伝統的な手法全部を使う人が多いです。

ちなみに中医学の弁証論治の中にも六経弁証と臓腑弁証がありますが、捉え方や考え方が全く違います。

教授や医者で日本漢方はダメと言ってる人がいますが、厳密には、どの派閥やどの手法の日本漢方の事を指しているのかまで指摘しないと、勉強不足がバレてしまいます。

先程、病院は中医学の考え方、薬局は日本漢方と言われていましたが、僕が長い間、業界に携わってみてきた感じでは、大半の病院は中医学も日本漢方も分かっていないと思います。

中医学とか、日本漢方とかではなく、ただの漢方素人。

あえて言うなら医者はツムラなどのメーカーから貰ったマニュアルで処方するマニュアル派とでも言うのでしょうか(笑)

参考書をおぼえたら漢方薬で病気を治せると勘違いしている派閥ですね。

薬局でも大半は中医学も日本漢方もほんのちょっとずつかじっているだけで、どちらの知識も治療に役立てるには残念な感じの人が多いように思います。

五行論を使って不思議医学をアピールしながら、漢方薬を販売する派閥と言えばいいでしょうか。

現在の日本は、厳密には、中医学派も日本漢方派もほとんどいないというのが、現状ですね。

残念で寂しいことです。

「この先生大丈夫か?」と思ったら「先生は何派でどんな考えやポリシーで治療しているのですか?」って聞いてみましょう。

漢方を理論的に理解していたら、スラスラと答えられるはずですから。


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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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posted by 華陀 at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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