2014年12月25日

漢方の問診には高度なコミュ力が必要!

漢方は自覚症状が体質を判断する際の決め手になります。

これに対して西洋医学は、他覚症状を重要視します。

自覚症状は患者さん自身が自分の体の状態について主張していること。

他覚症状は、血液検査や触診や検温計で測った体温など自分以外の検査などで自分の体の状態を確認すること。

漢方が「自覚症状をメインに治療する」というのを特徴的に現しているのが「熱がある」という状態

本人が「熱を感じる」と主張すれば、「じゃあ、体温を測ってみて」と西洋医学ではなりますね。

体温を測ってみたら「36.5℃」の平熱。

だったら「熱はないよ」というのが西洋医学。

漢方の場合は、実際の熱を重要視しません。

患者さんが「熱を感じる」と主張したとします。

実際に熱を測ってみたら「36.5℃」の平熱。

体温計の温度からいけば、熱を下げる必要がないですが、漢方では熱を冷ます漢方薬も候補として考えていきます。(漢方薬は1つの症状で決定するのではないので、熱だけの症状だけではあくまで治療候補の1つとして考えます)

自覚症状と他覚症状にはそれぞれ、利点と欠点があります。

自覚症状は相手の感じていることを細かに知ることができます。

逆に孤独で誰かにかまってもらいたい傾向がある人などは、心理的に症状を大げさに言う傾向があったりするので問診をとっている側としては惑わされます。

この場合、漢方ではこれが体質判断の致命傷となります。

漢方では自覚症状が体質を判断する基準になるので、ここがブレてると全部が嘘の情報になりかねません。

他覚症状は、自覚症状のような、その人の主観が入ってきませんので、心理的な影響のブレが入る余地が少ないです。

逆に他覚症状でわかる範囲は、あくまで「検査などでとれる範囲のもの限定」になってきますので、本当のところはどう感じているか、病気が実際にはどう進行しているかがわかりずらいことがあります。

血液検査で何も異常がなかったのに、その後、すぐに病気になった話などめずらしくありません。

どちらも利点と欠点がありますが、どちらにしても漢方では自覚症状を元に体質を分析していきますので、欠点があるからといって、他覚症状を中心に体質分析はできません。

前から、この自覚症状について、患者さんから、すごく変なことを聞きました。

どうも、鍼灸の先生に多いように思います。

それは「肩こり」「冷え」ですね。

自覚症状の最たるものですね。

これらの症状には具体的な数値や異常状態の基準が、ないので他覚症状からの観察というわけにはいきません。

感覚的な問題ですね。

ところが鍼灸や漢方を処方している病院などの治療を経験している方に「手足は冷えますか?」と聞くと「私は手足の冷えを感じませんが先生には手足の冷えがあると言われた」とか「私は肩こりを感じかことがないですが、先生に肩こりが強いと言われた」という答えが返ってきます。

「???」

これって「自覚症状」でもなく「他覚症状」でもありません。

自覚症状としたら「その人自身は感じていない」と言っている。

他覚症状としたら「その症状を測る客観的な指標がない」いわば、その先生の思い込みかもしれない。

ただ、こういう状況のことをよく聞くのが、決まって、鍼灸とマニュアルで漢方薬を処方する病院に多いように思います。

もちろん、自覚症状だからと言って、こちら側としては相手の言うなりに聞く必要はありません。

孤独でかまってもらいたい傾向の方は自覚症状を大げさに言う傾向があるし、逆にプライドの高い男性などは、明らかに病気でも「僕は何も問題なく健康だ!」と言ったりします。

かといって、自分の経験のみを押し付けるのもどうかなと思います。

「経験を積んでるんだから、間違いない!」と思われる先生もいるかもしれないですが、僕が違和感をおぼえるのは、鍼灸や病院で「冷えてるって言われました」って言っておられる時の患者さんの言い方が、明らかに不満というか、なんかおかしいと納得していない感じ。

納得させるのが問診の目的ではないですが、納得させられないということは、おそらく筋の通った説明ができていないということで、筋の通った説明をきちんとできないのは「誰かの」もしくは「本」からの受け売り的な中途半端な説明しかできてないから、患者さんは決めつけられたようで不満なのではないでしょうか?

患者さんの不満な状態を抱えたズレたコミュニケーションは自覚症状を治療のための情報としている東洋医学(漢方)では致命傷です。

自覚症状は、こちらから決めつけるではなく、より確かな情報として扱えるように患者さんと、とことん話し合う必要があると思います。

「じゃあ、おまえんとこはどうしてるの?」

うちでは、自覚症状も他覚症状もどっちも合わせて考えます。

患者さん自身が主張しておられることも、病院の検査などのことも。

さらに、手足の冷えなら、いろいろな場面や冷えの度合い、他の症状との兼ね合いなどなど「手足が冷えるかどうか」の2択ではなく、どんな時に、どう冷えるのかをいろいろな角度から聞きます。

「冷え、聞くだけでしつこいよ!」と思われているかもしれません。

漢方薬を選ぶ際の問診で「手足の冷えがあるか?ないか?」だけで聞く、素人まる出しの先生がいますが、冬の寒い時期に女性に「冷えますか?」なんて聞けば、十中八九は「冷えます!」と答えると思います。

それを真に受けて、じゃあ身体、温めたほうがいいから、当帰芍薬散とか真附湯とか処方してたら、低レベルの極みですね。

残念ながら、2千年間続いている医学はそんな甘くないと思います。

ある意味、漢方では自覚症状と他覚症状、そして自分の思い込みや決めつけとの戦いです。

どの情報(自覚症状など)をどのように治療で必要とするか?

ここが漢方の最も難しいところかもしれません。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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posted by 華陀 at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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