2015年02月03日

漢方薬の有効成分を考えても無駄!

よく「処方してもらった漢方薬の成分は何ですか?」と聞かれますが、漢方薬に成分という考え方はありません。

漢方薬の中身はいくつかの生薬でできています。

例えば葛根湯なら、葛根、桂枝、麻黄、芍薬、大棗、甘草、生姜です。

これは薬やサプメントなどで言われるような成分ではなく、個々の独立した薬です。

生薬という1つ1つも1つの薬なんですね。

だから漢方薬の中には一味処方といって、厚朴のみという生薬のみの漢方薬というものもあります。

よく誤解されているのが、生薬1つ1つに症状を抑える効果や成分があって、それらを患者さんの言っている症状に合わせて、付け足していけば、いろいろな症状を一辺に治せると思われていること。

西洋医学の薬は薬の中に有効成分というものがあって、それが、解熱や鎮痛に効きます。

だから、熱があれば、解熱の成分のある薬。下痢があれば、止瀉の成分のある薬を足していきます。

でも漢方薬は西洋医学とは全く違っていて、漢方は有効成分を積みかさねて治療していくわけではないのです。

生薬の有効成分を探そうと研究していることがありますが、生薬の成分分析は漢方の自由研究としては良いでしょうが、現時点では実践の治療では何の役にも立たないと思います。

漢方薬を有効成分で考えるのであれば、そもそも何十億円もかけて、効果と安全性を調べている今の病院の薬を飲んでいるほうが遥かにマシです。

そういえば、昔にツムラの営業さんが「麻黄湯がインフルエンザに効くのは麻黄湯の中の”麻黄”という生薬ですよ」と漢方の医学理論とは何の関係もない意味不明なことを言ってましたが、これも病院の薬と同じ考え方ですね。

漢方では間違いですよ。ツムラさん!

「何かの有効成分があるから効いている」という考え方は間違い。

ですので、漢方はどちらかというと西洋医学の薬理学よりも、料理などで考えたほうがいいと僕は思います。

八宝菜の中には白菜、たまねぎ、にんじん、きくらげ、たまご、たけのこ、干ししいたけ、もやし、豚肉、イカ などを入れますね。

この時の具材が生薬になります。その具材を炒めた結果、できあがった八宝菜というのが漢方薬の名前ですね。
漢方薬の名前って料理名っていっていいかもしれません。

薬の有効成分は化学式で固有のものが決まっています。

しかし漢方薬においての生薬は料理の具材みたいなものなので、ある漢方薬だけの成分ではありません。

例えば、麻黄湯がインフルエンザに効くのは麻黄が効くから。とツムラの営業さんが言ってました。

しかし、麻黄湯の中の麻黄というのは、麻黄湯にしかない生薬ではありません。

さっきの八宝菜に使った豚肉みたいなものです。

豚肉っていろいろな料理に入ってますよね。

麻黄だけが、インフルエンザに効くのであれば、葛根湯にだって”麻黄”は入っています。

他にも更年期障害系の体質で使用される薏苡仁湯とか、五積散という漢方薬にも”麻黄”は入っています。

さっきのツムラの営業さんの話からいけば、だったら、麻黄が入っている薏苡仁湯とか、五積散もインフルエンザに効くんですか?という話になりますね。

それどころか、インフルエンザを治すのが麻黄の効果であれば、いっそ”麻黄”一味だけでいいじゃね?なんて思います。

ちなみに麻黄の一味処方は漢方薬処方の中には存在しません。

生薬はバラバラに使わずにいろいろな生薬を組み合わせて漢方薬として使ってきています。この何千年変わらずに。

だから、生薬をさっきの麻黄みたいに生薬の単体効果だけで使ったりするのって、漢方を理解できない先生が、自分の知ってる西洋医学理論にあてはめて、ただ単に漢方薬を使用しているだけ。なんですね。

要は治療として活かせてない!

料理も豚肉が好きだからって、豚肉だけで食べないですよね。

炭で焼いて塩をパッパッと振って豚肉だけで食べるのも悪くないですが、そんな食生活だけを延々と続けていると絶対に身体が悪くなっていきます。

バランスが悪いのです。

やっぱり、そこに白菜いれたりキノコいれたりして、いろいろ食べて、バランスの良い食事をするのです。

それが健康になる秘訣ですね。

トマトの有効成分はリコピンなど食べ物にも有効成分がありますが、それで、日々の食事を考える人なんていないですよね。

多分、その成分を1つ1つ考えて料理をつくったって、元々、伝わってきている料理のレシピのバランスの良さには敵わないですね。

だったら、成分や生薬1つ1つで細かく考えるのではなく、レシピのバランスがなぜ良いのか?/strong>を学んで使ったほうがいいです。

漢方薬も同じですね。

生薬を具材のようにいろいろと組み合わせていくと、いろいろな体質タイプに合う漢方薬の出来上がり。

漢方薬ごとに1つの有効成分があるわけでなく、使っている具材(生薬)は他の漢方薬でも使われているし、他の具材(生薬)との組み合わせによって、味(効果)も変わるのですね。

薬膳や中華料理のように漢方薬も特別なものでなく、非常に料理に近いものです。

僕は、理論的に病院の薬の薬理の化学式のような理論的にはっきりしているものも好きですが、やっぱり漢方の料理的感覚で治療を考えていける部分が好きですね。

ちなみにこんなことを考えながら中華料理をつくるもの好きです。

「麻黄湯は麻黄が有効成分だよ」的なものって、本来の漢方治療からかけ離れているのですが、一般的な理論としては、西洋医学っぽくってわかりやすいのです。

だから、漢方のことなんて、実は何もわかっていないツムラの営業さんが、とんちんかんな説明をしたのですね。

僕が言ってる「漢方薬は料理だよ」ってのは西洋医学や分析学からみれば、非常に非理論的なのですが、僕は、漢方の真髄に近づくには、こっちで考えたほうがいいのではないかと思うのです。

そして、うちみたいな伝統漢方の治療はどうも女性には受け入れやすいようです。

女性が受け入れやすいのは、女性は新しいことが例え理屈的にわからなくても、果敢にチャレンジしたり「漢方は有効成分理論ではなく料理である」というほうがわかりやすいのかもしれません。

なので、漢方薬で治療する際に「有効成分が何か?」などは気にしたって治療には何の役にもたちませんよ。

今後の研究意義はあるかもしれませんが、それは治療とは関係のない趣味になりますので、もの好きな研究者にまかせておきましょう。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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posted by 華陀 at 18:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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