2015年07月17日

病院の治療が好きな人が漢方治療には向いていない理由

ビジネス系の良記事を読んでいて「あー漢方の治療もこれに通ずるな」と思いました。

松下幸之助「面接で”運が悪い”と答えた人は、どんなに学歴や面接が良くても、即不採用。」
ぜひ、読んでみて!

運の良い人、悪い人のことがいろいろと書かれているのですが、記事の中で、運が良いと言われている経営者 藤田さんの言葉が印象的です。

記事中では「ビジネスは、洗面器から最後まで顔を上げなかったものが勝つ」とおっしゃられていました。

要するに運が良いとか、悪い以前に0.1%でも勝つ為の確率を上げる努力をしておかなくてはいけないということです。

漢方の治療って、実は西洋医学の治療とは全く違います。

西洋医学の治療は、基本的に前もってガイドラインがあって、ある程度、そのガイドラインに沿って治療を進めていきます。

あらかじめ、パターンが決まっていて検査やらなんやらして、そのパターンにはめこんで、そのパターンに沿ってマニュアル的に投薬したりして治療する感じですね。

いつも一緒の診断。

いつも一緒の処方箋。

みなさん、なんとなく思い当たるんじゃないですか?

治療の姿勢も医者が治療してあげる的な医者から患者さんに与える感じの一方的なイメージです。

だから、患者さんも受動的、ただ、ひたすら薬を貰いにいったり、医者にすがるだけですね。

漢方治療であろうと西洋医学の治療であろうと本来なら、病気というのは一人一人、原因が違うので、治療では薬の投薬だけでなく、どんな風に生活するべきかなどのアドバイスも必要なはずですが、実際の医療現場の医者は、ほぼ一方通行に診断して、原因に対して薬以外で、どう対処すべきかのアドバイスなんて一切ありません。

あったとしてら、歩いたほうがいいとか、野菜を食べたほうがいいとか、近所の健康テレビ番組が好きなおばちゃんが言いそうなレベルの低い一般論

医者は漢方薬も東洋医学の理論で理解できないので、診断、治療は西洋医学と全く同じ方法でマニュアルをみて処方しています。

あるパターンを決めて、そのパターンに近い病気や症状だったら、葛根湯とか、そういった感じですね。

マニュアルがなかったら治療ができないのですね。

西洋医学の場合は医者も患者も言わば、一方通行な感じなのです。

医者は薬を渡す→患者は黙って薬を貰う。みたいな。

本来の漢方治療はそうではありません。

漢方治療の場合は、漢方医と患者さんが一緒のような立場で、その人にとっての独自の治療を考えていきます。

西洋医学のお薬は、人体に対して強制的な効果があるので、極端に言えば、痛みやかゆみなどをなかったことにしてくれます。

効果が切れればきっちり再発しますが。

症状がピタッとなくなるので、効いているのがわかりやすいのです。

しかし、漢方薬は違います。

よく誤解されるのが、3ヶ月ほど長期で飲んでジワジワ効いてくるとか、初回に自分に合った漢方薬をしつこく飲み続ければ治るとか。

これ、全部デタラメ!です。

漢方薬は3ヶ月経ってからジワジワ効いてくるものではありません。

かといって、効いてきたら症状がピタッとなくなるものでもありません。

体質と漢方薬が合っていれば、症状が少しずつ少しずつ良くなっていきます。

また、体質と漢方薬が合っているかどうかは漢方に詳しそうな先生なら知ってるんじゃないかと思っている人がいますが、そうではありません。

その時のその人の証(体質)を分析し、なるべくその体質に見合った最適な漢方薬を選びますが、漢方薬と体質が合っているかどうかは、飲まれた後の結果次第です。

僕は東洋医学をかなり勉強していると勝手に思っていますが、だからといって、毎回、絶対に体質とそれに合った漢方薬を選べるわけではありません。

もちろん、合っている可能性が高いものを選びますが、結果は飲んだ後にしかないのです。

つまり、漢方医は、体質診断と合わせる漢方薬の精度が高いというだけで、マニュアルを覚えていて、その漢方薬を出せると言う意味ではないのです。

漢方治療の場合は「あなたは◯◯の病気だから、この◯◯の漢方薬を飲んだら治るよ」と、西洋医学のように上から下に与えるものでなく、先生も患者さんも一緒に経過を観察しながら、漢方薬をその都度、調整して治療していきます。

さっきの運の話ではないですが、少しずつ勝てる確率(治る確率)を積み重ねていくのです。

運の良さというのは、みんな同じ確率だそうです。

ただ、運の良い人は、たくさんの人に話しかけたり、いろいろチャンスのあるところに自ら出かけたり・・・ラッキーに遭遇する確率を上げているのです。

漢方も同じ、中には劇的に治る人もいますが、逆に30年以上の身体中カサカサ血まみれ湿疹だらけのアトピーの人が、うちで何年か治療して今はむしろ、健康な人よりも白くて潤いのある美肌になっていたりします。

これは漢方薬が劇的な効果があるのではなく、漢方薬や肌をよくしていこうとする生活養生などが、少しずつ、少しずつ完治に至る確率を上げていき、ついには漢方薬を飲まなくても完治した肌を手に入れることができたのです。

漢方薬と日々の治ろうとする努力の積み重ねが完治という成功につながったのです。

西洋医学が好きな人は、多分、漢方治療には向いていません。

西洋医学の治療は華々しくわかりやすいので、いかにもすぐに治りそうなイメージがあります。

しかし、悲しいかな実際は効果は一瞬で再発するのは当たり前、誰もが同じ治療方法です。

漢方での治療は地味です。

ジワジワ少しずつ、変わっていきます。

時には状態が戻ってしまったりすることもあります。

西洋医学のように華々しくないですから。

少しずつ確率が上がっていって遂には完治!そんな感じです。

西洋医学の治療はすぐに効いて、効果も誰にでもわかりやすいですが、根本的に治すことができません。

東洋医学の治療はすぐには効きません。

効果も誰にでもわかりやすいものではありません。

時には全く効いていないように感じることもあります。

しかし最後には根本的に治ります。

「即効いて、効果がわかりやすく根本的に治る!」そんな治療が理想かもしれませんが、そんなものは幻想です。

リスクとリターンは等価なのです。

世の中の治療は上の2つのどちらか。これを踏まえて自分の治療を選んでみてください。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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posted by 華陀 at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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