全て陰陽でなりたっています。
にんにく、しょうが、ネギ、山椒などなど。
ネットでよくありますよね。
「身近な食べ物の中にも漢方薬の生薬や身体に効果のあるものがある」みたいな感じで。
ガンを食事療法で治すためのコミュニティーサイトなんかも良くそんなことが書いてあります。
にんにくは血行促進があって・・・うんたらかんたら。
しょうがは身体を温めてくれて・・・うんたらかんたら。
怪しいサプリメントの宣伝文句みたいなの。
日本人って昔から「◯◯は身体の◯◯に良い」みたいなの好きですよね。
「漢方薬に使用される生薬は実は身近な食材の中にもある」
これはわかります。
確かに、にんにくやしょうがやゴマは漢方薬の生薬の1つとして使われています。
ここまではいいのですが、ここからが問題があります。
「身近にも漢方薬はありますので誰でも簡単に手に入るので気軽に使ってみましょう」
こんなキャッチフレーズもあったりしますが、これは東洋医学的にはアウトです。
漢方薬はその薬にどんな効果があるのか?ではなく、どんな体質の人にどんな生薬(ここでいう食材)を使うかが重要なのです。
極端に言えば、人間が今まで普通に食べてきたものは、どれもなにがしかの効果があります。
効果があるから食べてきたとも言えるかもしれません。
だから、特にゴマが良いとか気にする必要はありません。みんな良いものですから。
その中の「何かの食材だけは効果があって、同じ食べてきたもので全く効果のないものもある」なんてことはないと思います。
漢方医学の真髄は西洋医学の発想から持ってきた血行に良いとか新陳代謝を促進するなどの一方通行な効果の考え方はしません。
だから漢方にそんなエセ西洋医学理論みたいなもので解釈されてもどうなの?って違和感がします。
漢方治療をしていく際には治療の思考性として陰陽という概念をもたなければいけません。
東洋医学は思考をすごく重要視します。
「何かの漢方薬は◯◯の効果がある」というような単純な発想ではなく、漢方医は治療のポリシーみたいなものをもって治療に臨まなければいけません。
陰陽とは「すべての万物事象に陰陽がある」という考え方。
宗教じみてきましたね〜しかし、ご心配ありません。宗教にはなりませんよ。
例えば、にんにくは生薬では大蒜と言います。
温という作用があります。身体を温めてくれます。
冷え性の女性が聞けばこの時点で「身体に良さそう!」って思いますよね。
ところが、世の中の体質は冷えだけではないのです。
確かに冷え性の人がにんにくを食べれば心臓を強めて体力を増し、血の巡りが良くなって、いいことづくめです。
しかし僕は熱証といって熱がこもりやすい体質で冬でも手足が冷えません。「うらやましい!」と思われたかもしれませんが、そのかわり熱が多いので、のぼせやすく真夏などは、すぐに汗疹や湿疹ができます。
こんな体質の僕がにんにくを食べると血の巡りがよくなって手足がほてり、冷えとは反対の不快感に悩まされます。
もともと熱がこもりやすいところに温められるので、余計にのぼせや汗疹がひどくなります。
僕のような熱証でなくともにんにくは薬性が強いものなので、貧血で体力がない血虚証の人は、少ない血が無理やり巡らされて空回りしたりします。
漢方で最初に重要なのは、何かの効果があることではなく「どんな体質の人なのか?」をわかっていないといけないことなのです。
さっきの陰陽の考え方は流動的です。
にんにくは陽系の作用のものなので、冷えたり、疲れていたりと陰の体質の人なら陰陽、揃ってバランスがとれますが、僕の体質は元が陽系です。
なので、陽系の僕が陽系のにんにくを食べ続けていると陰陽のバランスがとれずに身体は悪くなっていくのです。
体質と漢方薬が合っていないと効果を発揮しないのはこういった理由です。
これは食べ物でも同じ。
基本的には東洋医学的に使おうと思ったら「にんにくにどんな効果があるのか?」よりも何よりも、まずは「自分の体質は何なのか?」を知る事が重要なのです。
自分の体質がわからなければ、どんな食材や漢方薬がバランスをとってくれるのかがわからないので、何も始まらないのです。
にんにくやしょうがやネギにどんな効果があるか?を知ることは二の次。
まずは、自分の現在の体質はどんな状態なのか?
その体質に合わせて、にんにくやしょうがやネギなどを合わせていけばよいのです。
なんでもかんでも摂るということは、自分の体質にとって良いも悪いもグチャグチャのカオスな状態にしているということですね。
ちなみに東洋医学的な体質判断は陰陽だけではありません。
血の巡りが悪いお血タイプとか貧血傾向の血虚タイプとか、そんな血液型みたいな1つのタイプで決定できるものでもありません。
実際の性格と同じでA型の人がみんな同じ性格ではないですよね。
細かくみれば、みなさんいろいろと体質が違うわけです。
体質は複雑です。
その複雑な体質を東洋医学のいろいろな診断方法を使って分析し自分にあった漢方薬は選ぶのですね。
(東洋医学の診断方法と効果の考え方であって、西洋医学の新陳代謝を活発にするなどの効果では考えません)
なので、食材だって良いと言われているからって、適当にばかばかと摂ればいいものではなく、ちゃんと自分の体質に合わせて摂らないといけないのです。
サプリメント的になんでもかんでも、身体によい効果があると思って摂るなら、それはそれでいいと思いますが、生薬として東洋医学的として考えるなら、どの食材も陰陽があり、体質に対しての適正があることを知っておいてください。