つまり、「運動すればするほど、痩せていくわけではなく、痩せるのは運動よりも食生活ですよ。食べなければいいんです」みたいなことが書いてあります。
この記事を読んで非常に人間の身体、そのものの性質のことを鋭く捉えている記事だなと思いました。
記事中では、
(記事から引用)
「運動レベルが中程度を超える人たちにおいては、運動量を増やしてもカロリー消費が増えにくくなる傾向が確認できたのです」
(引用ここまで)
とあります。
人間の身体って、やればやるほど変わっていくわけではないのです。
同じことを続けていても人間の身体は体内で自動でバランスをとっているので、だんだんと成果が出にくくなってきます。
実は漢方は、人間の身体のこんな性質を最初から理解している医学です。
漢方の治療は、体内のバランスをとることによって治します。
逆に見れば、いろいろな病気は東洋医学から考えると何か1つの原因でなっているわけではなく、いろいろな体内要素がギクシャクとバランスを崩している状態が症状となって現れているのです。
漢方の治療の目的は、そのギクシャクしたアンバランスな要素をパズルのように組み替えて、元の正しい位置や機能に戻す事です。
皮膚の炎症が湿疹の原因とか、ホルモン値が低いのが不妊症の原因とか、西洋医学で見てるような、そんな一部分の原因をなんとかしたら身体が治るほど、人間の身体は単純ではありません。
西洋医学のお薬は1つの原因に対して1つの効果を発揮することが多いので、全体のバランスを整えることができません。
だからといって、治らないから薬の種類をどんどん増やしていっても「体内のバランス」としては、ますます崩れていきます。
新薬は、元々、1つの部分を専門に治すようにつくられていますが、漢方薬は元々、複数の部分のバランスをとるように構成されています。
アトピーで皮膚の部分だけをステロイドで治療しても、ステロイドをやめれば、湿疹は復活します。
不妊治療でホルモン剤を使って妊娠する人もいれば、不正出血を起こしたり、無月経になる人もいます。
それは、体内のホルモンバランスをホルモン剤で崩しているからです。
漢方薬でも漢方をよくわかっていない先生は、この根本の東洋医学の理念をよくわかっていないので、複数の生薬と複数の役割の漢方薬を何種類も使って治そうとします。
これは、余計に体内のバランスを崩す結果となります。
なぜなら、原則、1種類の漢方薬で複数の部分を動かしてバランスを整えるように設計さrているからです。
根本的な治療というのは、総合的なバランスの問題なのです。
身体は常にそのレベルに応じた体内システムを構築します。
ずっと一定ではありません。
それが、さっきの「ある程度、運動ができる人は、それほど痩せない」のです。
そのレベルの時にはそのレベルの方法が必要です。
病気の治療も同じです。
体質は常に変化していきますので、その時のレベルに応じた漢方薬が必要になります。
フルマラソンを8時間で走りきる人は、毎日3km走ったって、代謝が高まったり筋力が上がったりはしないのです。
でも、運動がゼロの人は3kmを走り続ければ、最初の方は痩せます。
やがて記事にあるように効果がなくなります。
同じ治療をゴリ押しで長期間続けさせるのは、先生側からすると楽なのですが、治療でも運動と同じようにステージは変わっていくので、漢方の場合は、漢方薬をその時の体質のステージ合わせて変えていく必要があります。
以前、尋常性乾癬の方が医者から「これは大変な難病だから今の漢方薬を10年飲み続けなければ治りません」と言われたことがあるようですが、これは、とんでもないウソですね。
運動も治療も今の自分のステージを知って、それに適したプログラムや漢方薬が必要なのです。