あいかわらず病院の漢方はマニュアル大好き漢方なので、花粉症と言えば、小青龍湯を何も考えずに処方しているようですね。
うちの近くの耳鼻咽喉科も以前までは、この時期になるとツムラの営業さんが小青龍湯(ツムラ19番)のみを山のように抱えて、その病院に納品していました。
その様は、まるでスーパーの特売品!
あそこまで割り切って漢方薬をマニュアル特売してたら、逆に清々しいですね。
病院だけど安売りのドラッグのようです(遠い目・・・)
そういえば、その特売品も最近は見なくなりました。
よく、そこの病院で漢方薬を処方された人が、うちにその漢方薬の事を聞きに来るので、マニュアル漢方がやりにくくなったのかな・・・。
真相はわかりませんが。
それはさておき、どこの病院も得意の全国共通商品券のように花粉症と言えば小青龍湯を処方していますね。
アレグラなんかと同じだと思っているのでしょうか。
あんな発想だけで漢方薬を処方できる厚顔さが羨ましい限りです。
僕は漢方は複雑で難解な医学だと思っているのですが。
と言いながら、小青龍湯は花粉症によく効きます。
でも、その効き方が問題。
うちでは、その効き方のことを詳しく説明しています。
小青龍湯は効くのですが、効き方が新薬みたいな感じです。
いわゆる、皆さんが漢方薬で想像するような、根本的な治療効果ではない感じ。
小青龍湯は漢方的には「上焦の水毒と熱」という体質に合わせるとよく効きます。
よく効くと言っても、そこは漢方薬なので、誰にでも効くわけじゃありません。
花粉症だと言っても、人それぞれ、体質がありますので基本的にはその人独自の体質に合わせます。
あくまで漢方なので「小青龍湯の合う体質であれば効く」ですね。
小青龍湯が合わない花粉症だったらウンともスンとも効きません。
漢方では、病位という、どんなレベルの状態かを判断する属性レベルを判断する基準があるのですが、小青龍湯は太陽病と太陰病という2つのレベルを持っている変わった漢方薬です。
この病位というもの、詳しく説明するとブログ記事でvol.10位まで書かないと理解が難しい理論なので、簡単に説明するとレギュラーの4段階の上から4、3、2、1と弱くなり、レベルが高いほど、急性で使用し薬性も強く、レベルが低くなると慢性病で使用し薬性も穏やかになります。
(漢方薬性は強い=効果が強いではなく、体質と合わせるレベルと指します)
他にイレギュラーレベルが2つあります。
つまり、小青龍湯は、急性で薬性も強い状態のものです。
もうひとつ、裏属性で穏やかな薬性レベル2も持っていますが、これはイレギュラーな特殊なものなので説明すると、かなり長くなるので、今回は割愛。
要するに小青龍湯は早く強く効くのです。
その代り、漢方は自然界の陰陽の法則で動いているので、早く効くということは、じっくりと効かせて、根本的に治す治療に使うのは難しいということ。
治療の世界でも一夜づけは、すぐに忘れちゃうんですね。
経験上、効果の持続時間は大体、2〜3時間位。
飲んで40分しないうちに鼻水なんかが止まってきますが、3時間もすれば、ドバーと鼻水が再開です。
病院の薬、お得意の「薬を飲むと症状が止まる → 時間が経ったら症状が再開」のループが小青龍湯でも始まります。
効き方が新薬的なんですね。
その上、病院では誰でも効くと勘違いしているかもしれませんが、そこは漢方薬なので、体質が合ってなければ小青龍湯も全く効かない人もいます。
基本的には小青龍湯のみで花粉症を治せないことはないかもしれないですが何年もかかると思います。
ちなみに僕は小青龍湯で花粉症を根本治療できると考えていませんので、花粉症の時期でない時も飲んでても意味がないと思っているので、うちでは「新薬で眠気や頭がボーッとするなどの副作用がなければ、花粉症の時期が短ければ新薬を飲んだほうがいいよ」と新薬の方を勧めています。
その新薬も病院は保険で若干、安いですが、ドラッグでも病院が処方するものと同じ成分のものが売ってますので、病院に行く時間や待ち時間を短縮できる方が大事だと思う人は、ドラッグで買ってください。
ドラッグでもそんなに高くありません。
まとめると、新薬の副作用が困るなら、小青龍湯が治療薬になりますが、レベル4の漢方薬なので、飲み続けていたら、だんだん効いて根本治療してくれるということは稀です。
小青龍湯も体質を選ぶので最初の何包かで、症状が緩和されなかったら、飲み続けても効いてきません。
小青龍湯とあなたの体質が合ってません。
小青龍湯はあきらめましょう。他に花粉症に使用する漢方薬はいくらでもあります。
小青龍湯が、その時に効いたとしても、新薬的なので花粉症の時期を過ぎて飲み続けても根本的には治らないと思います。
長くても1ヶ月飲み続けて、やめた時に症状が再開していたら、さっさと違う漢方薬にしたほうがいいです。
一応、花粉症からガンまでの漢方相談を専門にやってきた僕の見解です。