僕たちの国でスタンダードになっている西洋医学も医学です。
この2つの医学は医学とよばれていても実は全くの別物です。
しかし漢方は治療者である大半の医者や薬剤師が医学理論を正しく理解しようとしないまま、もしくは理解しようとしたけど理解できないまま、漢方薬を扱ったので、西洋医学のルールで考え最後の処方薬を病院の薬でなく漢方薬に変えただけという、なんとも奇妙なルールが常識にとって変わられています。
「まさか!お医者さんが医学理論を知らずにやってる!!」
まさかとは思うでしょうが、これが現在の漢方の事実です。
なぜ、こうなったのかは明治時代の漢方医学と西洋医学(当時の蘭学)の歴史的な背景や漢方医学は西洋医学のように学問的に誰にでも再現できない職人技術的なところがあることが関係しているのですが、それはまたの機会に書きたいと思います。
そんな訳で医療の専門家であるはずの医者が、この有様なので、一般の方々には更に誤解されているように思います。
いろいろと誤解されているし、なんだったら、実は漢方薬名以外の診断の方法や体質理論のことなどは何も知られていないと言ってもいいんじゃないかと思うのですが、その中でも2つのことが特に医者などを通じて一般の方に更に誤解をさせています。
1つ目の間違いは漢方薬は3ヶ月から6ヶ月間飲めば、少しずつゆっくりと効いてくるというもの。
漢方薬は3〜6ヶ月で徐々に効いてくるものではありません。
こんな事は漢方の専門書のドコを探しても書いていません。
2つ目は1つ目のデマに関連してくることですが漢方薬は体質に合わせるという考えです。
確かにこれは間違っていないのですが、微妙に間違って理解されているように思います。
そしてこれら2つの間違った認識を合わせて1つの大きな間違いで漢方は認識されています。
その大きな間違いとは「自分に合った漢方薬を3ヶ月〜6ヶ月飲み続ければ徐々によくなっていく」というもの。
病院で医者がよく言ってることですね。
これは、おおーーーまちがいッ!です。
まず「体質」とは病名の事ではありません。
花粉症(アレルギー性鼻炎)とかアトピーとか、不妊症とか。
これらは体質ではなく西洋医学のルールで決められた「病名」です。
体質とは漢方医学で理論的に診断されたものです。
その人独自の病気の原因ともいえます。
アレルギー性鼻炎をもったいろいろな体質。
アトピーのあるいろいろな体質。
不妊症の傾向のあるいろいろな体質。
病気はその人の体質の一部でしかありません。
西洋医学の病名は、漢方薬を選ぶのに直接は全く関係ありません(参考にはしますが)
よって、いろいろな東洋医学的な問診(全身症状などを聞く事)をとらずに漢方薬は処方できません。
漢方薬を合わせるための体質は東洋医学的な問診から初めて判断できるのです。
中には問診をとっても体質を判断せずに症状を体質だと勘違いしている人もいます。
しかし漢方薬は症状をあてはめて選ぶものではありません。
そして、これをよく勘違いされるのですが仮に漢方の専門家が体質を判断しても、合っているかどうかは、その時点ではわからないのです。
ここが大きな違いです。
西洋医学のお薬は医者が効果を決めているのではなく、製薬会社が厚生労働省に認可してもらうときに製薬会社が効果を設定しているというか、その効果に設定して作っているのです。
医者はそれをブローカーのように、ただ処方しているだけ。
どんな体質の人に処方しようが、薬の効果は製薬会社の設定したものと変わらないのです。
しかし漢方薬は違います。
そもそも、誰に出しても変わらない効果ではありません。
飲む人の体質によって漢方薬は効果が変わってしまうと言えます。
漢方の専門家はなるべく体質に合っている漢方薬を選びますが、その体質と漢方薬があっていたかどうかは、飲んだ後の結果でわかるのです。
だからここでさっきの1つ目の間違いが合わさります。
合っていない漢方薬は3ヶ月飲もうが、6ヶ月飲もうが何の意味もないのです。
それどころか「漢方薬の副作用は体質と合っていない事」なので飲まない方がよかったかもってなるかもしれません。
すごい漢方の専門の先生でも外す時は外すのです。
でも、本来の漢方治療は、当たりかハズレで考えるものではありません。
人体は未知のものという設定で臨むのです。
うまくいかなければ、数ある漢方薬の中から再調整して漢方薬を変更していくのです。
飲まれた様子を聞いて、漢方薬を変更して調整。
また飲まれた様子を聞いて、漢方薬を変更して調整。
それを繰り返しているうちにいつのまにか、良くなっている。
こんな感じが本来の漢方ではないかなと思います。
だから、初めに漢方の専門家に選んだものを飲み続ければ半年後に治るわけではありません。
それは漢方薬を飲んでいるだけで治療になってません。「ラッキーだったら治るかな」ってノリ。
漢方は自分に合っている漢方薬を探して終わり。ではなく、その後の反応や変化と照らし合わせながら常に今の体質と漢方薬のバランスを考えていくことの方が重要ですね。
●PMS(月経前症候群)など、漢方相談ご希望の方は、こちらのまごころ漢方の「無料漢方相談」から送信してください。
●お問い合わせなどは、こちらから送信してください。
【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉