2014年01月16日

近藤医師vs長尾医師のがんの治療法で感じた違和感

最近、近藤誠医師のがんの”放置療法”に対して反論されている医者が登場して、なにやら物議を醸しだしています。

近藤誠さんは医師でありながら「がんもどき理論」を提唱し簡単にがんの手術をすることに対して警鐘を鳴らし、がんは「放置」することを勧められている。

がんもどき理論というのは、がんには本物と偽物があるという考えで「がんが検査で発見されたからといってすぐに簡単には手術しないほうが良い」というもの。

先に言っておくと僕は近藤誠医師の考え方に同調するわけでもないし、その反対でもありません。

近藤医師のこの考え方は医療界で結構な物議を起こしていて近藤医師の「がんは手術しないほうがよい」という証明のために見せている統計グラフは「捏造だ」と言われていたり、その捏造がどのようにうまく捏造されているかを説明しているものがあったりします。

また最近では長尾和宏医師が「近藤医師の主張による影響で検査を拒否する人を増やし、助かったかもしれない人も亡くなっている。あなたのせいで犠牲者が出ている」と反論されています。

うちでもがん相談をやっています。
その経験からこの両者の主張を聞いていてすごく違和感を感じました。

がんは未だ謎の病気です。
がん細胞自体の構造などはある程度、わかっていますが治すために必要な肝心な「何の原因でがんが発生するのか?」「がんが転移する時、転移しない時の違いのメカニズムは?」「がんの進行速度の違いは何からくるのか?」などは何もわかっていないし、がんは全世界レベルで克服できていません。

治療も抗ガン治療は簡単にいうと「がん細胞と正常細胞をもるごとやっつける」というものです。
放射線治療も方向性は抗がん治療と同じで抗ガン剤は薬の成分で細胞を殺しますが、放射線治療は放射線で細胞全体を殺します。

外科的手術はがん細胞を取り除くものですが、がん細胞が体内でイボみたいに都合良くできているとは限りません。
血管やら他の組織とくっついて成長していることもあるので、全部をきれいに取りきったとは常に言えないです。

治療のために薬を飲んだら毛が抜けるとか爪がはがれるとか、それって薬とは言えないのですよね。
頭痛を治すために薬を飲んだらかならず、ひどい下痢になるとか、鼻炎を抑えたら手足が麻痺するとかいう薬だったら皆さん、飲みます?
命がかかっているから麻痺しているけど、抗がん剤って普通の薬から見たら、研究レベルでとてもじゃないけど外に出せるレベルじゃないですよね。

出したらダメってことじゃなくて、通常の西洋医学の薬に比べたら、そんな危なくて頼りない薬を現場では使わざるえないくらい、がんは謎だということですね。

転移の問題もあります。
そもそも、どうなったら転移するということがはっきりとわかっていません。

近藤医師が主張するように手術によって悪化し転移するのかもしれないし、手術しなくても転移するときは転移するのかもしれない。

とにかくわかっていません。

長々と書いちゃいましたが、ようするに誰も何もわかっていない病気ということです。

感じた違和感は近藤医師に反論する長尾医師の書いた文。
まるで早期なら病院でちゃんと処置すれば治るかのような書き方。
病院も目隠し手探り状態のはずです。
全世界レベルで原因がわからず有効な治療方法も確立されていません。

なのになぜ、病院でちゃんと処置を受けていれば治るかもしれないと言えるのかがよくわかりません。

僕が今までがんを見てきた経験では、早期でがんが発見されてあれよあれよと半年位で亡くなった身内が3人います。

余命半年と言われて何もせずに6年生きている人。
余命半年と言われて手術や抗ガン治療をして副作用に散々苦しんで7ヶ月後に亡くなるという微妙な経過だった人。
また手術や抗ガン治療を行って今はほとんど、がんの心配のなくなった人。

本当にいろいろ。

全体の統計データで見れば早期発見は確かに治癒率が上がっているかもしれませんが、実際の現場で「私は早期だからかならず助かりますか?」って聞いたら、どうせ「がんはどうなるか、わかりません」って言いそう。
実際にうちに相談に来られた方はそう言われているんですけどね。

現場の声を聞いていると「病院でちゃんと処置すれば治る」という考えはどこからくるのかと思います。

そう考えると医師だって「がんって謎すぎてどっちが正しいのかわからないんですよ」というべきではないかと思うのですが・・・。

ここでは長尾医師の意見を取り上げていますが、長尾医師個人の意見からというより西洋医学全体のこの傲慢な考え方に違和感をおぼえます。

こういうコラム的な文になると「早期であれば、ちゃんと病院で治療すれば治る」的な意見がまことしやかに語られますが、そのくせ、がんどころか、即死亡につながらないアトピーですら治すどころか、年々、患者数は増えています。
アトピーだけに限らず、その他の慢性的な病気という病気は対症療法の薬を飲んでいる間だけ症状を抑えているだけで薬をやめたら元通り再発。

同じノリで言ったら、そのうち「抗がん剤を飲み続けている限りはがんは治っています!」って大マジメに言うのだろうか。(正常細胞がもちませんが)

急性がんなんて、ほぼないだろうからがんは慢性病の王様といえます。
がんの事でああだ、こうだと言う前に西洋医学に直接的には死亡につながらないアトピーなどの慢性病はどうにかできないのか?と思います。

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2014年01月14日

病院の間違った使い方

今日の記事の内容は僕の考えの方がレアだと思われるかもしれません。

ただ見る方向性を変えて、地球単位や大自然からみればごく当たり前なことかもしれません。

何の事かっていうと僕は、「一般的に西洋医学の利用の方法」を間違っているんじゃないかと思っています。

西洋医学は元々の発祥は感染症や外科的な治療から始まっています。

細菌やウィルスなどの感染症は、人々の間で一気に広がり死に至らしめます。

こういったものに対して西洋医学はすばらしい能力を発揮します。

ブドウ球菌を駆逐するペニシリンは西洋医学の中でも画期的な発見だと思います。

また外科手術の技術も、すばらしいものがあります。

現在の医学レベルでは切断された手足でさえ元に戻ることがあります。

また骨折したり、切れたりしてしまったものを治療できるのは外科的な手術だけです。

飲み薬だけで複雑に骨折した骨を元に戻したり、酷い切り傷は戻りません。

そして西洋医学の能力が発揮できるのは急激に変化していく急性病です。

心臓発作などの処置は西洋医学でないと助けられません。

産科なども産科の医療が充実することによって、死産などは爆発的に減っています。

出産は母子ともにリスクの高いことだったけど、今では安全な出産が確立されました。

しかし、これだけすごい医学でも問題があります。

それは慢性病に対して。

先程のような検査すればわかるようなウィルスや細菌。

事故などの外傷など明らかな原因のものは得意分野だと思うのですが、西洋医学は慢性病に関しては実際に治せていません。

治せていないどころか、場合によっては、余計に悪くしているかもしれません。

もちろん、西洋医学はエビデンスがしっかりとしているので、理論上はいろいろな病気に対して「これこれ、こういう原因があって、これこれこういう成分の薬で治療します」と一見、完璧に分析され対処されているように見えますが、実際の現場をみてみると、本来は急性の処置に対応する対症療法の薬をダラダラと処方していたり、検査をして、明らかな異常が出なかったら「お手上げ!」など、なんとも頼りない状況です。

そもそも、病院が、慢性病の治療に対して処方している治療薬は西洋医学が本来、得意な急性的な対処をするものばかりです。

それを何ヶ月も続けたからといって、長年の病気が治ることはありません。

急性病は何か大きなきっかけやハッキリとして原因があります。

風邪や膀胱炎などは原因にウィルスや細菌があることがわかっているので、その原因である細菌を殺す薬を使用すれば治療できます。(残念ながらウィルスを殺す薬はありません)

ところが、慢性病はジワジワなんとなく体調が悪くなっていって、ある日、限界がきて、病院で調べて見たらアトピーやら関節症やらと慢性的な病気になっています。

急性病は原因がわかりますが、慢性病はよく考えたら、かなり昔からジワジワと体調が悪くなっていたことなどが多いので、はっきりした原因なんてわかりません。

と言うか、原因が1つではない。

また西洋医学で根本的に治療できるのは細菌を殺す薬くらいで、後は現在の症状に一時的に対処するだけです。

つまり、症状を抑えるだけ。

薬が切れたらまた同じ症状が出てきます。

再発させるために薬を飲むようなものです。

ただし症状の起こり始めに何日か薬を使えば、再発しないこともあります。

しかし、これまた、なぜ、一時的に対処するだけで、再発しないのか、西洋医学的なメカニズムはわかっていません。

メカニズムとしてわかっていることは、薬の成分が一定の時間だけ効いて症状を抑えるということだけ。

そして慢性病は特別な病気でない限り、原因は1つではありません。

その原因は、生活習慣や生活環境とも結びついています。

だから飲む薬の成分だけでなんとかしようと思っても治せるわけがないのです。

漢方薬は急性病にも慢性病にも使えます。

食あたりや冷えなどの急性の下痢や急性の頭痛なんて漢方薬でも1包、2包で治ります。

ただし、漢方薬には大きな問題があります。

漢方薬は、「体質に合わせないと効かない」のです。

慢性病の治療は漢方の得意とするところ。

また漢方薬は食べ物に近い自然のものなので、長い間飲んでも安心です。

身体の機能を薬の成分で無理矢理に変えるのではなく、現在の体質を見極めてその人独自の自然治癒力を発揮させて症状をなくしていきます。

西洋医学と東洋医学、どちらの利点も生かして治療するのであれば、まずは病院に行ってみる。

それで慢性病だろうが急性病だろうが、病院の薬は急性病の治療に対応するものなので、それを理解して1、2週間使ってみる。

病気によったら1ヶ月。

そしてやめてみる。

やめて元通りに再発したら、それは西洋医学で治すのは難しいと病気です。

やめて再発するということは飲み続けないといけないパターンかもしれません。

西洋医学の薬は対症療法なので、飲み続けても体質は変わっていきません。

そうなったら漢方薬を選ぶのも1つの方法ではないかと思います。

ちなみに漢方は急性病にも対応できるので、初めから病院に行かずに漢方薬をやってみるのも1つの方法かしれません。

僕は急性病でも漢方薬で治療しています。

この何年も病院には行ってません。

ただその場合は、検査だけはしたほうがいいかも。

ひょっとすると大病が隠れているケースもありますから。

漢方は化学検査はできませんので。

これからは、漢方の自然治療も1つの候補として考えていただけたら嬉しいですね。

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2013年12月17日

病院の漢方薬の適当処方は資源の無駄使い!?

最近、西洋医学は切羽詰まってきているのかなと勝手に思ったりします。

というのも以前よりも、そこらの病院が漢方薬をやたら処方するようになったから。
別に漢方薬を処方するのは問題ないと思います。
ただ問題は病院が「漢方薬が治療薬として有効だ」と認めたから処方したように見えないから。

その証拠に処方の方法が西洋医学と一緒です。
つまり、漢方として体質を診断せずに、おそらくツムラなどの漢方薬メーカーから貰ったマニュアルだけ見て処方している感じがあるからです。
学校で教えられた医学のガイドラインに沿って処方する新薬のように。

これは新たに漢方薬で治療しようとしているのではなく、最近、西洋医学の薬が対症療法で「そのばしのぎ」ということが一般の人にバレてきたり「検査ばっかで実はほとんど原因がわかっていない」とかがバレてきたりで西洋医学としての治療がしずらくなってきているのが原因ではないかと思う。

漢方薬を処方するのは、新たな治療を考えての事ではなく、ただ単に逃げ手の1つとして苦し紛れに処方しているのでは?と。

なんで、新たに漢方薬を処方することが病院が考え直した新たな治療ではなく、逃げの方法と思うのか?

それは漢方を1つの医学として勉強して、やるつもりがないのが丸出しだからです。

言うまでもなく漢方は西洋医学と全く違う医学です。
診断の方法も治療経過の観察の方法も薬の効果の考え方も何もかもが違います。

例えていうなら、野球とサッカーくらい。(余計わかりにくいかな)
野球とサッカーは同じボール競技という共通点があるだけで両者は全く違う競技です。

野球のプロの人がすぐにサッカーのプロになれるでしょうか?
もちろんなれません。そんな甘くない。
フィジカルは高いから練習すれば一般の人よりも習得しやすいでしょうが、反対に野球の概念やクセが強いからこそ、サッカー自体になじまない可能性もあります。

今の病院は、これと同じことを漢方でやっているように思います。
要するに西洋医学と漢方は医学(ボール競技)という、くくりでしかないのに「同じような医学」というとんでもない勘違いをしているように思います。

その証拠に病院は漢方薬を処方するにも関わらず漢方薬を選ぶための問診をとりません。
そして漢方薬は西洋医学の客観的な他覚症状と違って、ほぼ自覚症状のみを頼りに体質を判断するものなんです。

自覚症状というのは、本人が主張するものです。
だから、じっくり話し合い整理する必要があるのです。ただこれを病院でやったら、たくさんの患者さんをこなせませんが。

初めて漢方薬を処方するなら最低でも1人の患者さんと30分は話さないと、自覚症状を整理できないと思います。

ところが漢方専門でやってる病院でないところは、この漢方薬を選ぶための問診も相談もせずに処方します。

この結果から見れば「マニュアル的に流れ作業でやっている」ということと「漢方薬を選ぶための体質を判断できない」ということが透けて見えてきます。

ヘタしたら東洋医学理論を全く理解せずにやってるんじゃないかと状況から考えられます。それが、僕には切羽詰まって、なりふりかまわずやっているように見えます。

1つ不思議なのは西洋医学を6年間。人によれば子供の頃から医学部に入る為に十年以上勉強してきた人が、なぜ歴史で言えば西洋医学の20倍もある東洋医学はメーカーから貰ったマニュアルと研修会に出ればできると考えたのかが僕にはわかりません。
(そこは逆に、かしこいんだから気づきそうなものですが)

医学者として漢方薬で治療したければ、少なくとも6年は基礎から勉強して、それから自信がついたら患者さんと接していこうと、なぜ考えつかなかったのかが不思議です。

儲けたいだけでしょうか?
医学者なのに東洋医学をナメてるのでしょうか?勉強しなくてもできると。
でもナメてるのなら、そんな気持ちのモノをなぜ患者さんに処方しようと思うのでしょうか?(だったら、がっちりと勉強してきた西洋医学でいいように思います)

どっちなのか僕にはよくわかりません。

うちには以前に治療していた人がまた訪れることが多いのですが、その時に言われるのが「病院に行った時に漢方薬を適当に処方されたので、それで先生を思いだして来ました」というパターンが多いです。

そして、病院がいかに適当に漢方薬を処方したかについて「聞いて!聞いて!」という感じで僕に話してくれます。

そんな状況を聞いていると非常にもったいないと思う事があります。

何がもったいないって漢方薬。
漢方薬は新薬のように化学合成で作られる人工物ではありません。

食べ物と同じで土からできる自然のもの。
人工物よりも限りがあるのです。

だから、もし「新薬だけで治療がやりにくいから」とか「漢方薬があると患者受けがいいから」とか、一から東洋医学を勉強する気がなく漢方薬を処方するのなら、一医学者として、よく考えてほしいなと思います。

こうやって書くと誤解する人がいるから、先に言っておくと「治せないなら、しないほうがいいんじゃない」なんて一言も言ってませんよ。
漢方を漢方として基礎から勉強してルールに則って、やる気がないなら自然資源の無駄使いじゃないかなと思う次第です。

現に再度、うちに来た人は「漢方薬を処方はされたけど、もちろん、病院の適当な漢方薬なんて飲んでませんっ!」って笑顔で言っておられるのです。
その病院からの漢方薬は捨てるしかありません。もったいない・・・


posted by 華陀 at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月26日

インフルエンザ=麻黄湯は余計にひどくなる処方!?

インフルエンザの季節になってまいりました。
かかったら嫌ですね。お店を初めてから、この5年程、1度も罹っていないので、このままいけたらと思ってます。

あっそう、そう、僕はインフルエンザのワクチンは4年前に1回やったっきり。それから1度もやってません。

この時期になると漢方理論をよくわかっていない医者がインフルエンザや風邪に意味不明な処方をする時期でもありますので、先に患者さん達にどんな処方だと意味不明なのかを知っておいてもらえたらと思って書きます。

そのインフルエンザに対しての意味不明な処方とは。

インフルエンザに麻黄湯ってやつです。

確かにインフルエンザに麻黄湯は確かによく使いますよ。これ、問題の処方です。
何が問題かって言うと、医者が麻黄湯の漢方的な意味もわからずに処方すること。

漢方薬は西洋医学の病名で処方しません。
そもそも、西洋医学の病名と漢方は一切、関係がありません。

漢方は基本的には病名がなく全体の症状をみて「○○証」という呼び方をします。
病名もありますが、病名で考えることは、めずらしいです。
ちなみに糖尿病に似た体質を漢方では消渇って言います。西洋医学と名前や状態が違うのですね。

なので、当然、インフルエンザに麻黄湯なんてマニュアル的な方法で処方はしません。

でも漢方理論を知らない医者はインフルエンザだったら麻黄湯を処方します。

なんで、こんな素人でもマニュアル見れば処方できそうなことになっているかというと、僕が友達の先生に聞いた話ではどうもツムラさんの営業担当が「麻黄湯の中に含まれる麻黄という生薬がインフルエンザに効く」という素人バリのことを説明してまわっているらしいです。

その話を聞いた先生は実は漢方の事を詳しいのですが、よくいる医者と同じような感じにしてみようと漢方を知らないフリをして質問していたみたいです。

先生もおもしろがって、いろいろ質問したら、ツムラさんのその営業さん、終いには「実は麻黄湯すら使わなくてもいい麻黄湯の中の麻黄だけでいいんですよ」とか言いだしたらしくって、この漢方理論も何もあったもんじゃないむちゃくくちゃぶりに「おもしろい話があった!!」って僕に教えてくれました。

これには僕もまいりました!
日本の代表的な漢方薬のメーカーであるツムラさんの前線部隊である営業さんが、麻黄湯の麻黄だけでインフルエンザに効くという漢方理論をぶっ飛ばした説明。

ここまで来たらさすが!としか言いようがない。
じゃあ、麻黄湯じゃなくて「麻黄」だけを売ればいいやん。

実は僕も元ツムラさんの営業社員を2名ほど知っていて、普段、医者に説明しているツムラさんの営業がどの程度かは知ってるんですけどね。

ここからは当たり前の話ですが、インフルエンザ=麻黄湯ではありません。
しかし、インフルエンザに麻黄湯を使う可能性は高いです。

漢方薬なので、当然、あくまでその時の体質に合わせてですが。
これはインフルエンザでも風邪でも一緒。

風邪っぽかったら葛根湯ではないです。
あくまでその時の風邪をひいた人の「体質」をみて処方します。

漢方で風邪を治す原則は「体力を使って風邪を追い出す」というのが原則。

そのため、まず風邪体質の中でみていくのが、現在、体力があるかどうか。
漢方では高熱が出るのは体力が強いとみます。

しかし、インフルエンザの高熱は、一気に高熱を出して、そこでエネルギーを使い切ってしまうようなイメージの体力です。一時的な限定的な体力ですね。

その体力は、すぐになくなって、その後は体力のなくなった隙をつかれて、いろいろなところが盛大にやられていきます。

だから、その人の体力の状態を見誤るとかえってとんでもない状態になってしまいます。
そういう方向からみると麻黄湯は体力のある人の熱を一気に上げて、ウィルスを追い出し、その後、一気に解熱に向かわせて治すのです。

「だったら、インフルエンザに最適じゃん」って思いますよね。
問題はさっきツムラさんの営業が言ってた麻黄湯に含まれる麻黄。

この麻黄の副作用が胃を傷めること。
そして漢方では体力をつける又は維持する為に最も重要なのは胃などの消化器だと考えます。

極論すれば、食べ物を食べることができていれば、ウィルスに対抗できる体力をつくれるのです。
しかし、食べることができなくなった途端、エネルギー不足。
どんどん体力が落ちていきます。

だから、インフルエンザでも風邪でも治す時に大事なのは胃の状態。
ここをやられると基地がやられたも同然で、一気に崩れていきます。

麻黄湯は熱を上げて一気にウィルスを追い出すように働いてくれます。
だから激烈に進行するインフルエンザに麻黄湯は合っているともいえます。
でも、胃がやられていたり、腸がやられて軟便だったりしたら、麻黄が合わなくて胃がやられたりするとヘタすると麻黄湯のせいで一気にインフルエンザがひどくなる可能性もあるのです。

だから「インフルエンザ=麻黄湯」なんて理屈は漢方医学にはありません。
あくまでその時の体質をみて麻黄湯が適正かどうかを考えていきます。

僕ら、漢方家の中では麻黄は要注意生薬です。
強く効きますが、副作用も強く効きますので。


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2013年11月14日

ひどい手荒れの患者さん

いやーこの症例、書きたくて、しょうがなかったんですよ。
でも、来られた時はまだ治るかどうかがわからなかったし、自分の見立てがあっているかもわからなかったので1ヶ月待ちました。

なんで治るかどうかも分からない相談し始めた時から書きたかったかというと、医師の診断がひどかったから。

ただ、こっちで治らないとそれは言えない。結果を出さないとただの批判です。
だから、このブログを書くのが待ち遠しかったのですね。

今回、長いですが最後まで読んでください。病院には怖さがあることもわかります。

患者さんはひどい手荒れの方。
60代で両手の皮膚がボロボロにめくれています。かゆみと痛みが混ざった状態で両手が使えない。
それまで病気一つしたことがない元気な患者さんです。
4月頃から軽い手荒れはあり、7月位から急激に悪くなったとのこと。

悪くなった頃、足の皮もポロポロとめくれていたとのことです。
急激にひどくなったため病院へ行きました。

初めは医師の大好きなステロイド。
その後、よりひどくなったので、ステロイド+抗菌剤。

で、より悪くなるばかり。

その後、医師は掌蹠膿疱症と尋常性乾癬の合併の状態との診断。
すごいですね。
掌蹠膿疱症と尋常性乾癬の合併!
どちらも難病ですが、70歳近くまで元気だった人が急に2つの難病を併発したと診断!!
今までの生きてきた背景とか仕事の環境とか完全無視。

で、この方にステロイド+抗菌剤を処方していましたが、それにメトトレキサートという抗がん剤を処方。

「抗がん剤」の処方です。やります。
尋常性乾癬だと自分の診断を疑わないすばらしい処方。
抗がん剤出すのに診断が間違っていたらどうしようなんて1mmも考えてません。

抗がん剤まで動員して総攻撃した結果・・・順調に悪化。
で、病院ではラチが開かないと、うちに相談に来られました。

僕は相談する時にまず医師の診断が誤診かもというところから入ります。
普通の方は医師は最高クラスの学歴を持っているので疑わないですが、高度であるのは間違いないですが所詮、免許なんですよ。免許。

運転免許をとったからといって、F1レースで優勝できるのは世界で一握りなんです。
F1まで行かなくてもレーサー並に運転できる人なんて免許があろうがなかろうが関係ない一握りの才能ある者だけです。

だから、医師免許も一緒。
免許持ってても医学を知ってるだけっていうのが大半だと思います。
運転免許取得者とレーサーが違うように医師免許取得者と「治すこと」は別物。
「治す」とはレースで勝つことができること。運転できることじゃないです。

僕の経験では7割がヤブ医者(免許もってるだけ)で2割が普通医者、1割が優秀な医者って感じだと思っています。(外科医、小児科医、救急医除く)

だから、病院の診断が誤診かどうかから入ります。
別に僕が新たに西洋医の真似事するわけじゃないです。
誤診するということは誤った薬を処方をするということ。
誤診による薬は身体に悪い影響を与えます。

その誤った処方による身体に対する悪い影響を調べるために誤診してないかどうかから入ります。体質みますから。(ちなみに自分の知識でわからない場合は、師匠のツテを辿って慶応とか阪大とかの西洋医のアドバイスも求めますよ。だから揚げ足とらないでね。)

そして今回、僕は見た瞬間、白癬菌による手荒れとみました。
足の皮がめくれるというのも詳しく聞くと半月も経たずに治ったとのこと。
これもただ単に水虫だと思う。

医師には足の皮がめくれることが治ったのは聞かれていないから答えていないらしいです。このパターンよくあります。医学の問題はなくコミュニケーションの問題。

ということで掌蹠膿疱症がそんな簡単に治るはずがない。
おそらく水虫に抗菌剤が効いたのでしょう。

手荒れの状態は文字では説明しずらいですが、特に湿疹が密集している部位とめくれている部位をみていけば菌系なんて一目瞭然。

ここで病院は西洋医学的に1つの間違いをしています。
漢方的にじゃないですよ。「西洋医学的に」

手荒れの見た目がひどかったので単純にそうしちゃったのと思うのですが、
抗菌剤とステロイドを一辺に処方しているのです。

ステロイドは炎症を抑えますが、免疫抑制の効果もあるのです。
だから菌だと診断したのであればステロイドと一辺に出しちゃダメ。

どっちか決めて様子をみながらやっていかないと。
様子を見ながら治療を変えていくことが必要。
大体、医師は治療方針を再検討して変えていくのではなく、薬をいたずらに増やしていくことが多いみたいです。

そして、うちでは簡単な外用ケアと体質に合わせた漢方薬をお渡ししました。

結果、2週間でかゆみがほぼなくなり、手のめくれていた皮は新たには、めくれなくなりました。
1ヶ月後は手のところどころ赤みが残っている状態。
一皮めくれた状態は普通の肌になっています。
まだ指先はひび割れたりしています。爪も半月はキレイになってますが、先はボロボロ。
でも完全に治るのは時間の問題。

菌による手荒れとみて、それに対する外用ケアと漢方薬をお渡しして短期間で治っています。ということは結果からは見立ては合っていたと考えられます。

で、もひとつ問題になるのは「抗がん剤」を処方していたこと。
医師が誤診して「抗がん剤」を処方。その時に抗がん剤なのに何の説明もなし。

実際、聞いた見たところ、飲んでいた時期は本人も、ものすごく身体がしんどかったそうです。そりゃそうですね。「抗がん剤と何の関係もない人に抗がん剤処方している」のですから。

なんにせよ、治ってよかったです。


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2013年11月12日

病院に通っても「治らない」のはなぜか?

慢性病は長いこと病院に通っていても、なかなか治らないですよね。
長い人だと、何年も病気の状態が変わらない人も多いと思います。

アトピーや慢性蕁麻疹なんか最たるものですね。
後、耳鳴りや不妊症、言い出したらキリがない。
病院の通い始めは、ちょっとした湿疹や蕁麻疹だったのに、気づいたら1年間通って、ちっとも変わっていない。もしくは徐々にひどくなっている。

どの病気でも慢性病は、なかなか状態が変わらないと感じている人が多いと思いますが、なんで治してもらうはずの病院に通っていてこんなことになるんでしょう?
おかしいですね。

これ実は医師と患者さんの「治る」という価値観の根本的な違いが関係しています。

西洋医学の治療は切れた傷を縫い合わせるとか骨をくっつけるとか、菌を殺す以外は根本的な治療になりません。

西洋医学の中心になる治療は対症療法と言われる治療で「その場をしのぐ」治療です。
なんか嫌な症状があれば、それをその場だけ止める。

湿疹があれば「湿疹をなくす」
かゆみがあれば「かゆみを止める」

「湿疹をなくしたり、かゆみを止めたりできてるんであれば治ってるじゃん!」
って思うでしょ?

これには1つの条件がつきます。
それは「薬が効いている時間だけ」

薬の効果時間は薬の種類によって変わりますが、薬を飲んだ後、2〜3時間は「治っている」のです。

何時間かの夢の時間。
ファンタジーな感じですね。
って、病気だとそんなのは困ります。

「薬を飲む → 何時間か「治る」ドリームタイム → ドリームタイム終わってまた再発 → 薬を飲む・・・」後は永遠ループ。

ラッキーだとこの治療を繰り返せば根本的に治ることもあります。しかし例え治った人がいたとしても問題があります。それは薬を作った会社自体が、それらのお薬を「対症療法のお薬なので病気を根本的にあ治すものではありません」と名言していること。

医師がなんと言おうと、薬を作ったのは製薬会社。
その製薬会社が「この薬は根本的に治らない薬ですよ」って言ってるのですね。

病院での治療とは大半はこの対症療法のことを指します。

ところが患者さんが考える「治る」は「薬を飲んでいる間だけ治ってたらいい」というものではないですよね。

病院側がどんな治療を用意していようが患者さんが望む治療は「しばらく治療したら後は何にも頼らなくても良い状態」にしてほしいということだと思います。

ここで医師と患者の「治る」という価値観のすれ違いが起こっています。

病院側が持っている治療方法は慢性病に対して、ほとんど対症療法しか持っていません。
「今の症状をとりあえず緩和しますよ」
患者さんが望んでいるのは「しばらくしたら病院に来なくもいいように治してほしい」

これって、他のもので例えたら、機械の修理をお願いしたら、これから毎日、修理に来ないと使えませんよ。とか家の修繕をお願いしたら、毎日、修繕しないと住めませんと言われているのと一緒です。

誰がそんな修理を望むでしょうか。「治ることまで、ちゃんとしろッ!」って話。
修理が終わったら、しばらく使えるようにしてほしいとお願いしているのです。
ずっと治し続けないと使えないなら、それってもう「治せない」ってことですよね。

物なら、そんなめんどいものは捨てて交換です。

「治る」には、そんなすれ違いがあるのです。

漢方は違います。漢方が目指すのは、病院の薬にも漢方薬にすら頼らなくても良い「体質」をつくること。

漢方薬で治療する期間は病態や体質によって変わってきますが、最終的に目指すのは何にも頼らずに健康な身体になることです。

でも、そんな漢方にも弱点はあります。
漢方薬は西洋医学の対症療法のように使うこともできますが、数時間で1つの症状を止めようと思ったら、西洋医学の薬の方が優れていること。

かゆみを止めたり、湿疹などの炎症をなくしたり、何時間かでピタッと止めるという芸当は漢方薬では難しいです。

下痢や痛み系だったら、何時間かでいけますけどね。

だから、とにかく症状だけを今すぐになんとかしたい。と言う場合は、西洋医学の薬の方が得意なんですね。
薬の効果時間が切れたら再発するっていったって、とりあえずは症状を止めてくれます。
ただし、ステロイドのようにそれを使ってしまうと漢方の治療を邪魔するというものもあります。

なので、僕の勝手な考えかもしれませんが、西洋医学の治療は、とりあえず今なんとかしたいとか、外傷を治すとか、即刻、解熱しないといけないとか、菌を殺す以外の治療には向いていないと思っています。

要は急性病とか、外科的なものだけで、西洋医学はほとんどの慢性病は治せないということですね。
病院側も、それに気づいているから勉強もしてなくても漢方薬を処方しているのではないでしょうか。
僕ならその場しのぎの対症療法の治療で1ヶ月位してダメだったらサッさとあきらめて漢方に切り替えます。

実際は急性病も漢方薬で対応していますが。

西洋医学と東洋医学はどっちが上とか下とかではありません。
治療の用途が全く違うということですね。
自分の状態を考えて適切な治療を選びましょう。
病院は治し続けないと治らない。治りきらない治療をしていますので。


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2013年10月29日

Webサイトで漢方の体質チェックしてみましょう!ってやつどうなの?

最近、Webサイトで漢方の体質チェックしてみましょう!

見たいなサイトがありますよね。
「へぇー漢方ってこういう症状のチェックだけで、自分の体質がわかるんだ!」って思われるかもしれませんが・・・

ちょっと待った!
それは違います。

確かに漢方は西洋医学と違って自覚症状を元に体質を分析していきます。
西洋医学は逆に自覚症状よりも他覚的なデータを重視します。
自覚症状とは自分の感じている症状なので、確かに医者に見てもらわなくても、そういったサイトの症状も自分でチェックしていくことができます。

しかーし、症状というのは、そう簡単なものではない。

ここで、自覚症状と他覚症状の違いについて説明したいと思います。
他覚的なデータというのは、血液検査の数値や医者自身(自分以外の人)がどう判断したかです。

例えば「熱」という症状。

体温計で37℃を超えていれば「熱」がある。
それ以下であれば「熱」がないですね。
体温計は自分の感覚とは関係ないので他覚症状です。

漢方の場合は体温計で実際に「熱」がなくても本人が「熱」を感じているのであれば、その人は「熱」があるとみて、体質を判断します。
逆に37.6℃とか体温計で実際に「熱」があっても本人が寒いと感じていれば「寒」として考えます。

ここで一つの問題が起こってきます。
他覚症状は主に機械などを使いますね。

だから、本人がどう思おうとその結果は変わらない。
でも自覚症状は、その人の「思い」なので、ヘタすると言いたい放題になっちゃうんです。

例えば「足の冷え」

女性に「足の冷え」がありますか?
って聞くと「冷えるかどうかって聞かれると冷える」って8割の人は答えます。

これをさっきのサイトで考えたら、
「足が冷える」という項目があれば、迷わずチェック!ですね。

ところが自覚症状をこんな風に「あるっちゃ、ある」
みたいな感じでチェックしていくと、どんどんいろいろな病的体質が増えていきます。

漢方は自覚症状を聞いて体質を判断するとは言え、なんでも思うことをなんてつけていったら→「いろんな病的体質ですね」って身もフタもない答えになります。

なのでいくら自覚症状で「冷え」があるにしても、
どれくらい冷えるのか?
夏でも冬でも手足が冷えるのか?
夏はクーラーのところでは手足が冷えるのか?
クーラーがかかっていなくても手足が冷えるのか?
足は冷えるけど手は冷えないのか?

などなど、いろいろな冷えのパターンがあるのです。
だから、Webサイトの体質チェックするもので「足が冷える」「手が冷える」に単純に「冷えるよ」ってチェックしてもそれが体質判断していく時に正しいことなのか疑わしくなってきます。

それにチェックする時も間違いなく「冷えてる」って自分自身が確信もってチェックできない場合もありますよね。「冷えてる時もあるし冷えてない時もある。どうなんだろう??」みたいな。

その症状にあてはまったら無条件で チェェック!というわけではないんです。

漢方は自覚症状を重視しますが、その人の言ってること全部を無条件に取り上げるわけではありません。

そこは漢方の先生が漢方フィルターを通して他覚的にデータ処理します。
冷えだったら冷えの度合いがどんなものなのか?
膝も腰も首も、あちこち痛いと言っているが、毎日、休みなく膝も腰も首もあちこち痛いのか?

他の症状と組み合わせて考えてみたり、過去の病気から体質の傾向をみたり、他の自覚症状との組み合わせで一致しているか答えあわせしてみたり。

「冷えてますか」 → 「はい、冷えてます」 → 「冷えだったらコノ体質、コノ薬!」
みたいな「体質」はそんな単純なものではないのですね。

うちでも相談用の症状チェック表がありますが、かなり細かく聞きます。
まず手軽にやってみようなんて思わないと思います。

また、チェックしたら「あなたは瘀血タイプ!」血の巡りが悪いよ。みたいなお遊びではありません。

チェックしてもらった症状などは、一度こちらで検討し何回か症状を詳しく聞き返して最終的な体質を考えていきます。
さっきの冷えであれば「冷えは1年中ですか?」とか、「冬でも屋内では温かさが戻ってきますか?」など冷えという自覚症状を僕の他覚的なところから見て検討します。

だから、Webサイトで症状チェックして「血虚タイプ」って出たって、お遊びのレベル。
遊園地の古ぼけたゲームセンターでいつの時代かわからない星座占い、やるようなものです。

「魚座、今日はついてるらしい!帰りは車とかの交通機関のものに気をつけたほうがいいらしいよ」
誰がそんなもの信用するでしょうか。

残念ながら、あの手の症状チェックのものは、お遊びでしかありません。
見てもらった後に「だから何?」ってやつです。
僕はB型ですが時間に細かいです。A型だけが几帳面じゃないよ。

気軽な分、何の意味もないですね。
うちは、あんないくつかチェックしたらプロブラムがあらかじめ書いていた体質パターンを出してくれる。
みたいなものはやりません。
だって、遊びで治療してないから。
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2013年10月25日

自分の肩の痛みを漢方薬で治してみた結果

僕は十代の頃からサーフィンをしています。
サーフィンを楽しむためには大波に負けない筋肉が必要なので、定期的に筋トレをがんばってます。

それで、最近、ダンベルのウェイトを上げたら右肩の付根のジョイント当たりに鋭い痛みが走るようになりました。

そこから念入りにストレッチをしながら、筋トレしたりしたのですが、ひどくなるばかり・・・。

1週間位、筋トレを休むと、それなりに痛みは和らぐのですが、これでは筋トレができません。
だまし、だまし、やってたら、今度は、肩から肘にかけて痛みが響くようになってきました。

こりゃ、本格的に治さないとマズい。
と思って、自分で体質を分析して桂枝加苓朮附湯を飲みました。

この漢方薬は附子という生薬が含まれていて、この附子が即効で痛みをとってくれるものなんですね。

狙い通り、寝る時に横向きになれなかったのが、痛みがとれて横向きになれるようになったのです!
ヤッター!漢方さまさま!

皆さんも肩が痛かったらコレを飲みましょう!ってことではないです。
本題はここから。

飲んでたら、だんだん良くなっていくというよりは、飲んでしばらくすると痛みがとれるけど、3、4時間してくるとまた元位の痛みになるという感じ。
なんか、対症療法の新薬みたい。ちょっとヤバいな。
漢方薬で対症療法的な動きはマズいです。

それに後から気づいたのですが、桂枝加苓朮附湯を飲み始めて1週間の間、毎日、寝つきが悪かったんです。

僕は、布団に入ったら気絶するように寝るタイプです。
サーフィンで夜中に運転してサッと寝るクセがついているもんで。

「寝つきが悪い」なんて年に数回、あるかないか。

それが1週間連続、寝つきが悪い。
1度などは、0時に布団に入って朝の4時まで眠れませんでした。

どう考えても漢方薬のせい。
眠れないなんて症状が出たということは肩の痛みがとれても全体のバランスは崩れてます。
つまり体質には合っていないということ。

それに、新薬みたく飲んだら治って、3時間経ったら、痛くなっての繰り返しなので、経験上、こういう動きをする時は、いつまで経っても体質が変わらないので、漢方薬を飲み続けないといけません。

これでは、その場しのぎの新薬と発想が同じ。
漢方治療的にはダサいし、具合が悪いですね。

そこで、その漢方薬から附子という生薬を抜いた処方に変更しました。

そしたら、途端に寝つきがよくなりました。
現金なくらいに。

肝心の肩の痛いはというと6〜7割位、痛みが弱くなる感じ。
2週間、飲んでみましたが、治る感じはいつも6〜7割位で、そこから一向にすすみません。

これは悪くないかもしれないけど、時間がかかりそうだなと思い、他になんかないかなと探して、「バカでも簡単に処方できる。肩の痛みに二朮湯!」を飲んでみたら、すっかり元の痛みに元通り。
これにはワロタ。

漢方薬ってほんっと体質と合わないと効いてくれないな。とこの時ばかりは、ちょっと腹立ちましたね。

んで、どうしようかと悩んでいたのですが、これはもう、整体かなんかでないと無理かもと思い、整体行くつもりで、とりあえず肩の治療は保留にして、鼻炎気味を治すためにいつも飲んでるある処方を飲んでいなかったので、再び飲み始めました。

そしたら、鼻もいい感じだったのですが、なんと、2週間ほどした時に肩の痛みがとれてる!

でも、考えてみたら、その処方って肩の痛みにも使う処方だったんですね。
「なーんだ、この処方だったのか」
と相変わらず、漢方薬は体質とピッタリ合わないと効いてくれないと改めて思いしらされました。

ちなみにその治った処方は秘密です。
この処方は僕の体質上にある肩の痛みに合ったもので「肩の痛み」の治療薬ではありませんから。


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2013年10月22日

漢方医に必要なのはプライドを捨てること

漢方治療で最も大事なことはなんでしょうか。
東洋医学の診断理論を詳しく知っている事でしょうか?
何百種類もある漢方薬を全て知っている事でしょうか?

どちらも漢方家としては知っていなくてはいけないことですが、最も重要なことではありません。

では何?

それは、自分が「先生」として治療しているというプライドを捨てること。

「プライドと治療に何の関係があるの?」
それがオオアリ。

プライドを捨てるといっても困難な病気でも治療をあきらめずに考えぬく漢方家としてのプライドは必要です。

しかし漢方を勉強して詳しくなるほどプライドを捨てないといけない場面があります。

それは「患者さんに漢方薬を飲んだ後に症状の変化を聞く時」

体質を考え抜いて、それに合わせる漢方薬を考え抜いて、これがベスト!
と考えた漢方薬をお出しします。

しかし、漢方薬の効果というのはあくまで【結果】です。
事前に「こう良くなるだろう」「ああよくなるだろう」って考えてたって、自分が考えた体質と漢方薬が合っていれば結果が出ますが、結果が出ないのは要は自分の考えた体質も漢方薬も合っていなかったということです。

たまに病院で、ある西洋薬の処方で良くならなかったら、
「この薬で治るはず・・・」「その症状は気にしすぎじゃないの」など患者さんの精神的な問題じゃないかという先生がいますが、漢方ではこれは一切通用しません。(西洋医学でも通用しないはずですが)

良くならなかったのは、処方した先生が体質を見誤り、漢方薬を選び間違いしているのです。

だから、漢方薬を飲んでもらう時点で「全然、よくならなかった」という結果を考えておかなければいけません。

「全然、変わらないですよ」「漢方薬を飲んでからひどくなった気がします」
などはそのまま受け止めなければいけないのです。

それを「僕はこれだけ漢方を勉強しているのだから、この薬が効かないはずはない!」なんて、しょうもないプライドを発揮したら治せるものも治せません。

ただし「良くならなかった。ハイ終わり」じゃないですよ。漢方の場合は「変わらなかった」「余計にひどくなった」からが本当の勝負どころ。

漢方薬は病名に合わせて処方するものではないので、初めから答えなんてないのです。
先生と患者さんが一緒に試行錯誤しながら何百種類の中から合うものを探していくのです。

そのために何百種類も漢方薬があるのですね。
ただ、合わなかった場合、患者さんには非常に申し訳ないですが・・・。

何百種類の漢方薬は、それぞれ理論的なつながりがあります。
ここでそれを詳しく説明はできないですが、ある漢方薬が合わなかった理由が体質に対して強すぎたと判断した場合、同じような方向性のもので弱い体質にも使えるものにすることができます。

そうやって、Aの漢方薬はBの漢方薬より強くて、CはAに比べて血の巡りを変えていく力が強くて・・・といったように漢方薬同士は有機的なイメージで互いに、つながっています。

うまくいかなかった場合も、この有機的なつながりを伝って、次の漢方薬を探していくのですね。

病名マニュアルで漢方薬を処方している先生のようにマニュアルに書いてある漢方薬を順番に適当に試してもらうわけではありません。

そんなわけで、患者さんに症状の変化を聞く時は「治っている」という想定で聞くよりも「治っていないかも」という想定の方を優先して聞かないといけません。

なぜなら、患者さんの中には、あまり良くなっていなくても気を使って良いように言ってくれる人がいるからです。

だから「僕は詳しいよ」というプライドが高い雰囲気も出してはいけません。
むしろ「ダメだったみたいです」という意見を言いやすい環境をつくらないといけないと僕は考えています。

なぜなら、漢方は自覚症状を聞いて体質を判断するから。
患者さんが申告する自覚症状が、例え気を使った上での嘘でも情報はねじ曲がってしまいます。ねじ曲がった症状の情報は、ねじ曲がった体質判断につながり、間違った漢方薬の処方につながります。

先生がプライド高くて、話しにくいなんて思っている人。
それ、漢方じゃ治療としてどうにもならないですよ。

クレームつけるくらいで言ってみましょう!
それを受けるのが漢方家なのだから。


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2013年10月17日

西洋医学に慢性病は治せない!と思うその理由

このブログを読んでくれている人だったら「知ってた」と思うかもしれませんが、
僕は病院があまり好きではありません。

といってますが師匠は西洋医学の外科医です。師匠は別。
ちなみに師匠は日本人ではなく、某有名大学の元外科医です。
国際レベルだと思います。

それはおいといて。
ただ好きじゃない!って言ったら感情論なんで、なんで好きじゃないのか、また西洋医学での治療は治療目的を分かって使い分けないといけないということをお話していきたいと思います。

僕自身は西洋医学は「慢性病」に対してはもう手詰まりなんじゃないかと思っています。
それに根本的に医療システムが患者さんのためになっていないし、それを疑問に思わずにルーティンワークを繰り返している医者もどうかと・・・。

好きじゃない理由は、実体験からです。
僕がよっぽど運がないのか、よくわかりませんが、僕、僕の家族を含めて、病院で治してもらったという記憶がありません。

自宅周辺はほとんど行きましたが「さすが、お医者さん、見解が違うわ」って1mmも感じたことがないです。ちなみに師匠の話は感銘の嵐ですが。

加えて、誤診も何度とありますし(当の医者が認めている)一度、僕自身、高熱で死にかけた時は「原因はサッパリわからないし、治す薬もハッキリとわからないけど、入院したほうがいい」って意味不明なことを言われたこともあります。

ただし、病院が全面的にダメだとは思っていません。
ただ、現在は、西洋医学の役割が大きく誤解され、それをそのまま通していることが問題なんじゃないかと思っているのです。

僕自身が思うのは西洋医学には西洋医学の得意分野があるということ。
西洋医学は病気のことならなんでもできるというわけじゃないと考えています。

なのに得意分野でない慢性病も治そうとしています。

これまた、僕の勝手な考えですが、西洋医学のルーツは感染症の治療や戦争などの怪我に対する手術です。

そして、このルーツは今も変わっていないと思います。
ようするに西洋医学は感染症、急性病、手術が必要な状態が主な治療分野で慢性病は治療分野ではないと思っています。

その証拠に西洋医学で処方される薬は対症療法とよばれるお薬でお薬にも「このお薬は根本的な原因を治すものではありません」と書いてあります。

対症療法とは薬の効果時間、3時間とか6時間とかの効果時間内は症状は緩和されたりするけど、効果時間が終わったら、また最初からですよ。元の病気です。ってやつです。だから根本的な治療にはならないということです。

長期間の治療が必要な慢性病から見たら、ただのその場しのぎ。

僕が1つ西洋医学で不思議なのは、薬をつくった会社が「その場しのぎ」の薬です。って言い切ってるのに「なんで長期間、飲ませてんの?」「対症療法の薬の長期間の服用で治ると思ってる科学的根拠って何?」ってこと。(西洋医学は科学的根拠で成り立ってますからね。)

ここは患者さんにしっかりと「長期間飲んだって治るかわかんないよ。基本的には長期間飲んで、どうにかなるかもわからないからね」って言うべきではないでしょうか。

西洋医学の治療は、その効果やメカニズムから考えると長期間、ダラダラ治療したって治らないですよね。

なんかこの辺が今の西洋医学ってちょっと違うんじゃないの?って思います。

それともう一つは、診察っていうけれど診察してないじゃん!

僕は病院に行く前に「今日の診療」っていう医療マニュアルやネット(大学などの根拠のしっかりしたところ)などを徹底的に調べます。

今のこの状態は西洋医学ではどんな状態で、どんな検査をして、第一選択薬は何で、そしてそのお薬の作用機序(効果ではないですよ。作用のメカニズム)を徹底的に調べてから病院に行きます。場合によっては、師匠に頼んで、東大やら阪大での見解などの資料をもらったりもします。

そうして、基本的な医学と薬学の知識を一通り、頭にいれてから病院に行きます。

なぜ、そんなことをするかというと職業柄もありますが、医者に「診察」してもらうために病院にいくからです。

診察とはその病気について独自に考えてもらうことです。
たかだか僕が20分くらいで、iPadで調べたことと同じことを言われたってしょうがないですから。だってそれだったら医者いらないですよ。iPadあるんだから。

僕は、その基礎の病態生理と基礎薬理を踏まえて、現場の知識と経験から得られた独特の「診察」を求めて病院に行っているのです。
マニュアルから得られるガイドラインを聞きにいってるわけではありません。

でも残念ながら、どこの病院にいっても、どんな病気の時も iPadで20分位で調べていった診察、投薬方法となんら変わらない。

誰でも調べられるものと同じ知識だったら「診察料」って何に対して発生しているんでしょうか?

特に問題なのは、初めの治療でうまく行かなかった時に僕は「今後はどうやったら治るとお考えですか?医学としてではなく、先生の経験から個人的にどうお考えです?」って聞いても、またまた、ガイドライン的なことしか説明しないのです。

「だから医療人個人としての見解を聞きたいって言ってるじゃん・・・
それって聞かなくても iPadで調べりゃわかるし・・・」

まー逆にあれだけガイドラインに忠実なのもすごいですね。
僕は iPadにデータをまとめて持っていきますが、それが頭にはいっているんだから「記憶力」はすごい。

病院は好きじゃないけど西洋医学がダメとは思いません。
西洋医学の利用の仕方ですね。

急性病の風邪や急性の下痢、頭痛、ヘルペス、膀胱炎なんかは漢方薬で余裕で治せるので、それ以外の急激に病態がすすむものは病院で治療したいと思います。
ただ、今のところ、それ以外で西洋医学が必要だと感じた場面はないです。

後、手術は漢方では無理なんで、外科的な手術も西洋医学の得意分野ですね。
こちらも西洋医学でお願いしたいですね。

でも後の慢性病を含む、病気は・・・。
西洋医学で「その場しのぎ」をしてもしょうがないので、必要ないです。
通うだけ時間もお金も無駄ですね。

ただ、これは今までがあまりに運が悪かっただけかも。
家族も「主治医はほしいよね」って言ってます。

ガイドラインを徹底的に調べて、必要であれば大学の論文なんかも取り寄せて、現場の治療の様子も師匠に聞いて基本は徹底的に頭にいれて診察に望みますが「おまえ、何もわかってない!現場をなめんなよ。聞いた事もないような知恵で治してやるよッ」って病院があったら教えてください。

「ごめんなさい」って言って、慢性病でも通います。


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2013年10月03日

2回目の治療から途端に弱腰になる病院

うちに相談に来れる方は、どんな病気であっても、ヘビーな状態な方が多いので、うちに来るまでに結構、いろいろな病院に通っていたということが多いです。

通っていた病院も最終的には近大だったり阪大だったりと有名どころが多いです。

そんな感じで何件も病院に通っていた人達に共通した意見があります。

それは、そういったところの先生は、初めて診察し処方する時は、自信満々で、上から目線で処方するが、それが全く効かないと途端にオロオロしたり「効かないはずがない!」と逆ギレし出すとのことです。

これは、西洋医学の1つの大きな特徴が現れています。

西洋医学は検査などによって何かの病名を決定して、その病名に使うことが決まっている薬を治療として使用します。

つまり、病名を診断した後は、処方する薬はほぼ決まっているようなものです。
そして、その薬の効果の設定は自分で決める事ができません。
薬の効果を決めているのは、医者ではなく製薬会社です。

西洋医学のお薬はあらかじめ、この病気にはこの薬を使うという設定が決まっています。

患者さんの病気がいつでも診断しやすい病気とは限りません。
中には西洋医学的に見れば複数の病気に一度にかかっていて、「あなたはこの病気です!」と特定できなかったり、特定の病名にあてはまらないこともあります。

そんな時は、漢方みたいに人それぞれの体質を考えて・・・というわけにはいきません。
その症状などから近い病名のものにあてはめてしまうのです。

もしくは正直に何かわからないから、一応、この薬出しときます。みたいな適当な感じだったり。

例え、無理矢理あてはめた病名でも、その決定した病名に対して薬の効果も、これまた決まっています。

お薬はあらかじめこの病気や検査の状態などに使うと決まっているのです。
初めの病気の診断が違っていれば、そのまま連鎖して当然、薬も思ったように効きません。

さっきのように複雑で本当のところは西洋医学的にどの病気かわからないとなると、あくまで便宜上、近い病名か何かの病名にあてはめて、その病気ズバリそのものではないので、薬も効かないのです。

だって「ある病気に対して、この薬を使いましょう」って設定になってるんだから、初めの病名が確実じゃなかったら、思ったように効くわけないんですね。

そうなると、実はもう手がないから、オロオロしたりします。
または、新薬の治療のバリエーションってみんなが思っているほどないんですね。

例えば皮膚病関係だったら、抗菌剤、非ステロイド剤、ステロイド剤。
これだけ。
後はメーカーが違うとか、薬の強さが違うとかだけで、菌を殺すか、炎症を抑えるか。

治療の手法だけで言ったら、これしかありません。
そりゃ、すぐに詰まりますよね。
効かなかったらオロオロするのもしょうがない。だって手がないものですから。

こんだけ、ボロクソ言ってんだから、当然、漢方は違うってことです。

漢方には、そもそも病名を確定するという概念がありません。
病名診断が西洋医学の考えですから。
漢方は体質を分析し判断するのですが、この体質は分析する先生によって、それこそ無数に考えられます。

もちろん、治すべき体質はひとつですが、ある分析した体質が間違っていて、治らなくても漢方の場合は、オロオロする必要はないんですね。

今の漢方薬が効かないということは、自分が分析した体質か、体質に合わせる漢方薬かが間違っているということ。

だから、全然、良くならなければ、今の失敗を踏まえて、次の体質や漢方薬を考えればいいのです。
漢方は体質も漢方薬もつながりを持っているので、次はこの漢方薬にしてみようという技が使えます。
漢方は「ある病名=漢方薬」ではないです。

この体質とそれに合わせる漢方薬の予測が高いほど治癒率が高く、漢方医の腕がいいということになります。

漢方の場合は、西洋医学のように「この病気や状態ならこの薬で治ります」なんて決まった設定がないです。また、西洋医学は「絶対にこうなるはず!」という設定に縛られすぎ。人間の身体は実験結果だけでうまくいくほど甘くないです。

事前に設定が決まっているから、思うようにいかないとオロオロしないといけないのです。

漢方は、はじめから自由。
体質をどう捉え、どういう漢方薬を合わせるかは先生の発想次第。
どんな戦略で組んでもいいのです。

「この漢方薬は絶対にこの効果」ではないですから。
だから粘り強く先生と患者さんが一体になって一緒に探していけば、体質をよくしてくれる漢方薬はあるのです。

その代わり、マニュアル好きな先生や戦略のアイディアが次々に浮かばない先生には漢方は向いてないでしょうが。


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2013年09月11日

漢方では心と身体はどちらも病に影響すると考える。

病は気からという言葉があります。

実際に精神的なダメージは身体の臓器を傷つけたりします。
仕事でのいやーな事がずっと気にかかっていると胃にポリープができたり、逆に長年の身体の重い病が、おおらかな性格をゆがめてしまったりします。

西洋医学では、心療内科などを設けて、肉体的な病気と精神的な病気は別物として扱います。

精神的なことは精神的なこと。
肉体とは関係ないと。

漢方では精神的なことと肉体的なことは切り離して考えません。

医学知識がなくても誰でも「そんなの当たり前だろ」と思うでしょう。

大勢の前でいきなり「話しなさい」と言われれば心臓がドキドキします。
寝る時に明日の仕事の問題などを考えていると眠れなくなります。

誰もが精神と身体は直結していると自然に知っています。

それは、例え、心療内科のように精神と肉体を分けて考える医者でも実感していると思います。

西洋医学ではそんな当たり前のことを分けて考えます。
漢方では身体の臓器と感情が結びつけて考えられています。

肝の臓は怒りや焦りなどの感情と。
心の臓は喜びの感情と。
脾(胃腸の消化器)の臓は憂いや思い過ごしなどの感情と。
肺の臓は悲しみなどの感情と。
腎の臓はびくびくと恐れたり、怖がったりする感情と。

それぞれの臓器が感情と結びついています。

やる気がでないなどの精神的な疲労も血の不足から起こるとも考えますし、失語症などを身体上部の余分な水を抜いていく漢方薬で治療したりします。

精神と身体の関係は逆からのリンクもあります。

いつもイライラしたり、すぐにキレたりしている人は、肝の臓を痛めます。
アトピーの人なんかは、こういった感情が臓器に作用して、より湿疹を悪化させている場合もあります。

漢方では身体と精神は互いにリンクしているのですね。

だから漢方薬である臓器を治療していくことは、ある感情や精神的な病を治すことにもつながるのです。

おもしろい話が実体験であります。

昔、うちの嫁さんは、顔のひどいニキビというかアトピーで悩んでいました。
そして言葉きつく、会話のやりとりでいつも自分が攻撃されているかのような反応をしていました。
いつもキレ気味というか起こっているというか。

それから、漢方薬でニキビを治したのですが、その後、性格も変わってしまいました。
性格が変わったというか、攻撃的な部分がなくなっちゃったのですね。

ニキビの時の体質が肝の熱が中心のものでした。
イライラとつながっている臓器に熱をもっていたのです。

漢方薬で肝の臓の熱を冷ましたら、ニキビだけでなく、イライラもなくなったのですね。

それから、ニキビもその性格も全然、なくなっていましたが、最近、またそのイライラが出るようになってきたのです。

漢方では、感情と病は一心同体ですから、感情的に何かが出てきたということは、身体にも何か不調が出ているということ。

それで、体質をみてみたら、体質のバランスがよくなかったのですね。
それでまた、イライラを調整する漢方薬を飲めば、身体に出始めていた湿疹も治まりました。

身体の病気を治せば、心の病が治る。
心の在り方を変えれば身体の病気が治るのです。

「でも、精神的なしんどさは、ちゃんと身体とは関係ない理由がありますよ」
そう思う方もいらっしゃいますね。

精神的な問題は、大概、何かの原因があります。
その原因は漢方薬が関われるような問題ではないかもしれません。

でも、身体が元気だとそういった問題に対抗する力がつくのですね。

西洋医学は忘れているようですが、心と身体は一心同体です。

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2013年07月30日

漢方ダイエットの裏側

最近、漢方がなんとなく流行っているようです。

そのせいか、健康関連の流行の王者とも言えるダイエットにちなんで漢方ダイエットがもてはやされています。

しかし、この漢方ダイエット。
いつもながら誤解だらけなので、本格的な漢方医学の側面から、きちんと説明したいと思います。

いきなりですが、漢方の中でダイエットの考えなんてありません。

漢方は、2千年前に医学理論が確率された医学です。
2千年前の世界を想像してみてください。

大半の人が食べていけるかどうかもわからない時代。
一般的には食べ過ぎて、痩せたいなんて概念すらなかったと思います。

では、漢方ダイエットと呼ばれているものは一体、なんなんでしょうか?

大きくは2種類の漢方薬にわけられます。

有名なのはコッコアポ。

これ、漢方薬名で「防風通聖散」って言います。

当然ですが、漢方薬は決まった効果があるわけではありません。
ですから、当然、防風通聖散は痩せる効果があるわけではありません。

「肥満型の人に合う漢方薬」です。
ココ、間違えてはいけません。肥満の人が痩せるのではなく「肥満型の体質の人に合う」薬です。

そして防風通聖散が飲める条件の体質は「肥満」だけではありません。
他にも太鼓腹や便秘やのぼせ、湿疹やむくみ、高血圧などなどがあります。

防風通聖散は臓毒と呼ばれるものが主たる原因となっている体質です。

先ほど、昔は痩せたい人よりも食べれないことが深刻だったとお話しました。
なので、おそらく、この処方はマンガに出てくるようなでっぷりと太ったいやらしいオジサンの体質に合うものだと考えられます。

どうしてもダイエットで使いたいのであれば、自分がこのマンガに出てくるような湿疹があって、赤ら顔で、むくみでブヨブヨで、太鼓腹ででっぷりと太っているような感じであれば合うと思います。

ただし、漢方薬は「応用」という使い方があるので、ダイエットではなく湿疹の治療や高血圧の体質治療として使う時はこの条件は関係がなくなります。

もちろん、この漢方薬の目的はダイエットではありません。
臓毒によって太ったりして出てきた高血圧や湿疹、腎臓の問題を治していくものです。

漢方薬なので、誰にでも合うものではありません。

「太っている=防風通聖散」ではないです。

当然、合わない人も出てきます。
この漢方薬が合っているかどうかは、いろいろな条件を考えないといけませんが、誰でもわかる副作用があります。この副作用が出たら、この漢方薬と自分の体質が合っていないみたいなやつ。

それは軟便。

これ飲んで軟便になる人は、合ってません。
軟便〜下痢になりやすい生薬が入っているので、軟便になって消化吸収が悪くなればちょっとは痩せるでしょうが、それがあなたの目的でしょうか?

軟便なって痩せるとか、詐欺みたいですよね。
軟便で痩せたって、それはちゃんと治さないと病気だし、軟便が治ったら、きっとまた元に戻るだろうから、結局、買っただけ損みたいになりそう。

漢方薬は証(体質)に合わせて処方するというのが漢方の専門家の常識なんですが、ダイエットと称して販売しているところをみると、クラシエさんって「実は全く漢方のこと知らなくて売ってます?」それとも名前変えてるくらいだから「騙すこと前提?」

こんな考え方の会社の病院とかのクラシエの漢方薬とか大丈夫なんだろうか???

他にも利水力(水を絞り出す)の高い漢方薬をダイエットといってすすめてたりします。

漢方薬名は防已黄耆湯。

もう説明するまでもないですね。
漢方薬は体質に合わせるもので、ダイエットだけの目的のものはありません。

では漢方薬はダイエットできないのか?

そんなことはありません。
本物のダイエットは漢方でできます。

それは、今度にでも書いてみますね。

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2013年07月23日

症状だけをあてはめて選んだ漢方薬では治るわけがない

漢方薬は体質に合わせるものです。
体質に合わせるということは、まずは、体質がわからないと漢方薬を合わせることができません。

体質は四診という4つの診断方法と2つの切診という診断方法、合計6つの診断方法を総合的に分析して判断されます。

望診は見た目や歩く姿勢、座る姿勢を見ます。
目の色や顔色、アトピーなどの湿疹であれば、患部の状態などを見ます。

聞診は、声の大きさや口臭、体臭などの臭いなどを感じとります。

舌診は、舌の形や色を見ます。

問診は全身の症状や状態、過去の病暦や親族の病気、住んでいる環境や生活パターンを聞きます。
あらゆることを患者さん自身から聞き出します。
最も重要な部分です。

2つの切診とは1つは脈診。
もう一つが触診です。

脈診は脈をみます。脈から身体の状況を判断します。
触診は患部を触って確認します。

体質をみるのに最も重要なのは問診です。
いろいろな事をお聞きするのですが、これがなぜか誤解されて、症状だけを聞いて、漢方薬にあてはめるだけというような形でやっている先生がいます。

残念ながら漢方医学でこんな方法は存在しません。

体質は症状だけで構成されているわけではありません。
いろいろな要素を分析しないといけないです。

なぜ「いくつかの症状があてはまったら、この漢方薬が良い」というようなエセ占いのような方法が当たり前のようになっているのでしょうか?

それは、ほとんどの先生が、いろいろな診察方法を使って総合的に体質が判断できないからです。
症状をあてはめるだけなら、マニュアルを見れば誰でもできます。

漢方を知らないあなたでも、病院が処方する時の方法となんら変わらない方法で漢方薬が選べます。

「マニュアルで簡単にできるのならそれでいいんじゃないの?」

そりゃ、仕事は簡単な方がいいです。
でも、現実はそんなに甘くはありません。

漢方は2千年も続いている医学。
医学理論も膨大な情報量があります。

そんな医学が2、3の症状をあてはめただけで選んだ漢方薬なんかで治るわけがありません。
よく考えてみたら、当たり前ですよね。

要するに症状だけ、あてはめて処方している漢方薬は、あてずっぽうの賭けみたいなものです。

当たって治る人もいるしハズれて治らない人もいる。
だって、漢方薬は500種類以上ありますから。

また、その症状にもいろいろな捉え方があります。

うちに相談来られた人の中でも、
「不妊以外は何も問題ないです。病院の検査でも診察でも何も問題ないって言われてます。」
と言われていても、いざ、うちで相談していると、
「あっそれもあてはまります」
「えっ、月経の時に胸が張るのって問題なんですか?」
とか言われてたりします。
気づいたら、結構、いろいろダメな症状があります。

漢方医が考える症状と本人が考える症状に食い違いがあるのですね。

大抵の人は、何かの症状がかなり目立って、辛い状況になると悪い症状と判断しますが、それは西洋医学的な考えで、その状態の時は漢方的にはかなり悪化している状態です。

60歳以下で夜中にオシッコがあったり、月経時に胸が張ったり、経血に塊があったり・・・

漢方では、病気か病気でないかを分けるのではないので、些細な症状でも、体質を判断していく手がかりになります。

また、症状をあてはめるといっても、症状にもいろいろな状態があります。
手足の冷えがあるという症状も足は冷えるけど手は実はそれほど冷えないとか。
頭痛があるといっても、毎日、頭痛がある人から月経時だけの人も。

でも、マニュアルで見るとどれも同じ症状になってしまうのですね。

大体、女性なら、疲れやすい、手足が冷える、肩がこる、月経不順気味という症状だったら、ほとんどの人が「あっ自分だ!」と思います。まさに占いの世界ですね。

でも、この症状だけで考えたら、あてはまる漢方薬は30種類以上あります。

だから、症状だけをあてはめて漢方薬を選んでも、意味がありません。
病名なんて、もっと抽象的で一人一人の体質から遠のいているので、更に悪い選び方ですね。

症状だけ、あてはめて治せるほど、2千年の東洋医学は甘くないと思います。


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2013年07月09日

サプリメントと漢方の違い 「もうちょっと続く」

僕自身は漢方の東洋医学理論を本格的に勉強し初めてからはサプリメントは一般的に思われているほど、効くものだと思わなくなりました。

漢方の自然医学を勉強すれば、するほど、サプリメントの効果ってちょっと無理があるよね?て思います。

前回の記事にも書きましたが、最も無理があるのが、濃縮エキスで大量にとれるというあの宣伝文句です。

サプリメント先進国のアメリカでは、すでにこのビタミンやミネラル、もしくは、何かのエキスを大量にとるというのは問題視されています。

例えば、ビタミンEやβカロチン。
特にガンの患者さんに大量にとることを警告しています。

ビタミンEがダメな理由はおもしろいですよ。

なんと、その理由が「人工的に合成したビタミンと自然のビタミンは厳密には違うから」

「えーっそんなの初めからわかってたじゃん!」

人間は何事も経験して、善し悪しが分かるのですね。

では、アメリカでは今までビタミンやらなんやらをたくさん飲まれていた方はどうしているのでしょう?

なんとっ和食を食べようって和食が健康食品みたいな感じになってるのです。

日本はサプリメントを摂るのに必死になっていて、それを広めた張本人のアメリカはサプリじゃなくて、和食だ!なんて、なんていう皮肉なんでしょうか。


サプリメントの一番、おかしいところ。
「一度にたくさんの成分や栄養素が摂れる」という、ふれこみ!

例えば、糖分は身体を動かすためや脳のエネルギーになるものですが、
その糖分を一度に多量にとったらどうなるでしょう?

体内では糖分を身体の中の細胞に入れて使うためにはインスリンというホルモンが必要です。
そして、そのインスリンホルモンはある程度量が決まっているのですね。

だから、一度にたくさんの糖分を腸から効率よく吸収できても、結局、インスリンがおっつかないから、血液に糖分ドバドバで血流ドロドロ。

身体に良いものであっても、適量が重要です。
この適量が漢方の原則ですね。
たくさん摂るほどパワーアップ!なんて、子供の考えそうな理屈は漢方では通用しません。

ちょっと、前の記事と内容が被ってしまいました。

でも、そんなサプリメントでも良いものはあります。

僕はたくさんのサプメントと関わってきましたが、良いものとはなんでしょうか?

それは・・・生薬系のサプリメント

これは、サプリメントの中でも効果が高いです。
ただし、生薬系サプリメントは、効きますが弱点があります。

それは、生薬を使用しているので、誰にでもいいというわけじゃない。
漢方薬ほど、体質の適正に対して厳しくないですが、それでも誰にでもいい・・・
というわけではありません。


ちなみに漢方薬は生薬というものが何種類か合わさって1つの漢方処方が構成されています。

それだったら、生薬系サプリと同じじゃないかと思われるかもしれません。

でも全然、違います。
その違いは理論です。

漢方薬は、どんな体質に合わせるとか、東洋医学理論にどんな効果があるとか、理屈があります。

生薬って元々、東洋医学の中で単体としての効果などの理屈は説明されているのですが、どんな体質に良いというのは漢方薬に比べると理屈は少ないのです。

そんな、ちょっと野放しで野生な感じの生薬ですが、体質に合わないかもしれない効果を逆に利用できるのです。

うちでは、元の体質から、ちょっと違う方向に動かしたいな〜とか、
「漢方薬ごと変えちゃうと体質を変えてしまう。だけど、ちょっぴり、体質を動かしたい。」そんあ風に考えた時に生薬系のサプリメントを使ったりします。

説明がわかりにくいですね。
うまく説明しずらいです。ようするに体質に合わせた漢方薬の補助としてサポートしてもらう感じですね。

サプリメントによくありがちな、○○にもいいし、□□にもいいし、といったような誰にでもいいですよといったような使い方はしません。

うちでは、濃縮していない生薬系のサプリを使います。

それ以外は、お金の無駄だから、患者さんには、そのお金で毎日、何か野菜でも買ったほうがいいよってアドバイスしています。

大半のサプリメントはぶっちゃけ、お金の無駄ですね。

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2013年06月25日

体質を説明しない(できない!?)偽漢方医

前のブログで漢方の名医かどうかを調べるには、処方した先生が、

「体質をどう捉えているのか?」
「それがどう変わると推測しているのか?」
「今後、どういう方針をたてているのか?」

これらのことを漢方薬を処方した先生は説明できるはずである。
ということを書きました。

そしたら、最近、おかしな話を聞きました。

病院で漢方を処方してもらったけれど、体質や漢方薬のことを説明してもらえなかったと。

病院で漢方の説明をしないという話は、以前からよく聞きます。

なぜ漢方の説明をしてくれなかったのかと聞いてみたら、ただ上から目線で「あなたが知る必要はない」と言われたそうです。

漢方の場合は、患者さんが知っておく必要があります。

最近は、情報開示が当たり前になってきたので、西洋医学は説明されるようになってきましたが、西洋医学の場合は特に説明を受けなくても治療に問題はないのではないかと僕は思います。

もちろん、自分が納得したり、把握しておくという意味では必要だとは思いますが、漢方での説明の必要性はそんな問題ではなく、患者さんに説明して理解しておいてもらわないと治療自体に支障が出ます。

漢方では体質のことや漢方薬がどんな影響をおよぼすかは患者さん自身が知っておかなくてはいけないのです。

では、なぜ、西洋医学よりも漢方の方が患者さん自身が体質や漢方薬のことをよく理解しておかないといけないのかを順をおって解明していきますね。

西洋医学は、どちらかというと他覚的な客観性を重視します。
どういうことかというと、本人の主観で主張していることよりも、検査での結果や医者自身の冷静な目から見た状態の方を重視します。

だから、本人が「痛い、痛い」と主張していても、検査やら診察やらで何の問題もなければ「特に原因はありまんよ」って言われます。

こんなケース、よく思い当たりませんか?

検査などで何も異常がないのに、自分だけがいろいろと主張していると、いった感じにとられて、しまいには、精神的な問題などに結びつけられたりします。

西洋医学ではこのように、本人が主張していることよりも、本人の意思が及ばない他覚的で客観的な検査などの診断が重要になります。

一方、漢方には、血液検査をしたり、レントゲンをとったりという客観的な検査は一切ありません。人間対人間。

漢方医が直接、見て患者さん自身に自分の感覚の自覚症状を話してもらって、それを漢方医が分析し、まとめて、体質を判断。治療方針を決めます。

この時に体質の事や漢方薬のことを患者さん自身にも理解してもらっていないと問題が起こります。

漢方は「この病気ならこの漢方薬」といったようなマニュアルで処方しません。
(そういった間違ったやり方が正しいと思ってやってる先生もいますが・・・)

漢方薬が体質に合っていたと確認できるのは、飲んだ結果で初めてわかります。
また、漢方は西洋薬と違って、何か1つの症状だけを狙って治療するわけではありません。

西洋薬は、鎮痛剤は痛みがとれるだけ。解熱剤は熱を下げるだけ。
と何か1つの効果です。

しかし漢方薬は総合的に身体や症状をみて、全体的に変化させていきます。
また、西洋薬のように何か1つの症状がとれれば良いというものではありません。

胃腸の調子や汗のかき方、便やオシッコ、睡眠の状態など、いろいろとお聞きし、例えそれらに大きな問題はなくとも、それらが、漢方薬を飲む事によってどう変わってくるのか。

全体的に観察し、自分の分析した漢方薬が合っているのか?
その体質に合わせた漢方薬が合っているのか?

この2点を飲み終わるたびに確認しないといけないのです。

マニュアルや本を見ながら選んだ漢方薬を2,3ヶ月飲んでたら、だんだん治っていくというわけではありません。

次回は同じ漢方薬を続けるか?
違う漢方薬に切り替えていくか?

この検討を一定期間で繰り返していかないといけないのですが、その切り替えの際に必要なのが、漢方薬を飲んで身体がどう変わったか?

気になる症状が一発でよくなるわけではないので事前にお聞きしている身体全体の状態の変化が良い方向に向かっているのかどうかの確認が必要です。

その確認は患者さん自身しかできないのです。

そして、その症状の変化を感じとるためには、事前に自分の体質と漢方薬の役割がわかっていないといけません。

だから、漢方治療において「あなたは体質や漢方薬のことなんて知らなくていい」なんてことはあり得ないのです。

自覚症状の変化が聞けなくなったら、それで治療は終わり。
もしくはマニュアル治療。

だから漢方薬を処方して体質とその体質に対しての漢方薬の役割の説明をできない先生は、実はマニュアルで漢方薬を選んでるから「体質」もそれに対する「漢方薬の役割」の説明も、しないのではなく「できない」のじゃないかなと思います。

だから、これからは「あなたが自分の体質や漢方薬の役割なんて知る必要がない」と言われたら「それじゃ、先生と一緒に治療できませんよ」って思っていただいていいと思います。

漢方治療は患者さんが主役。
患者さんんがどれだけ、自分の身体を観察できるか。

だから、先生側が体質やそれに合わせる漢方薬の説明を患者さんに、しなくていいなんてことはあり得ません。西洋医学で言えば検査一切なしで治療と同じことですね。
そんな医者はいい加減すぎて怖いです。


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2013年06月20日

漢方の名医とは?

漢方は、2千年前の伝統的な医学を現在まで、つなげてきた医学です。

伝統的医学は長い歴史の中でいろいろな派閥や流派に別れました。

それをそれぞれの漢方医が自分達なりの信念と理解でもって自分流をつくりだし治療をしています。

西洋医学は、ある程度世界共通の学問のガイドラインがあり、それに則って、治療を考えていきます。
程度の差はありますが、西洋医学の知識は、どの病院でも変わることはありません。

ところが、漢方には、学校などがありませんので、自分自身で勉強しなくてはいけません。もしくは、昔から伝わってきている技を知っている漢方医に弟子入りすることです。

逆に言えば、優秀な成績で大学を卒業しても、漢方では何の意味もありません。

そんな話になると、ちょっと詳しい先生なら、漢方にも中医学という学校も資格もあるじゃないかと反論されそうですが、中医学は伝統的漢方とは少し違った医学です。

中医学は、60年前にそれまでバラバラだった各流派の医学をまとめたものです。

ここで勘違いしてはいけないのは、それまでの伝統医学が間違っていたから、新しい中国医学をつくったわけではなく、ただ学問的に整理するためにまとめただけです。

ですから、強引にまとめた経緯上、診察や処方理論に矛盾もみられ現在も問題は山積みです。

要するに漢方に関しては、大学や資格や権威的な名声は何の意味もないです。
目の前の患者さんを治せたかどうかだけです。

僕は過去に10万人に1人と言われる難病「後縦靭帯骨化症」を治してきましたが、体質によったら、ニキビの人すら治せないこともあります。

体質ごとに治療が変わる漢方では、いくらたくさんの人を治しても、治った人にとっては名医ですが、治らない人にとっては名医ではありません。

と言ってしまうと身もフタもないので、治すのは当たり前として、最低限、どんな漢方医が名医か考えてみましょう。

漢方は、マニュアルが通用しません。
本に書いてあることは、本の書いた人がそう思っただけで、その本の先生が治した人の話が自分の患者さんの体質と一致するとは限りません。

つまり、本をたくさん読んでそれを参考にして処方しても治りません。

あくまで自分がそれらを参考に鬼のように勉強をして、その場で一人一人違う体質を見抜いていかないといけないです。

まず、名医は、病名で処方しません。
その人独自の体質を分析します。

そして、漢方というのは治った時に初めて分析した体質とそれに合わせた漢方薬が合っていたということになるので、患者さんごとにその都度、その都度、治療方針を考えているかどうかが、ヤブと名医を分けます。

重要な点は漢方医学の治療方針ではなく、その人だけの治療方針を考えたかどうか。
だから体質別なんですね。

マニュアル的に考えてしまうと「不妊症」は○○の治療方針で治すって具合になりますが、そうではありません。

患者さん自身に対する治療方針です。

AさんもBさんもCさんも、みんな不妊症だったとしても、治療方針はAさん用、Bさん用、Cさん用とみんな変わってきます。

漢方の名医として最も重要な点は、治した数が多いことではありません。(もちろん治した実績は必要ですが)

漢方医が自分のしようとしている治療を理解しているかどうかです。

マニュアル的に病名や症状をあてはめて処方なんて論外!
処方したけれど、どんな症状がどう変わっていくと見ているのか、今後、どう変化すればどう治療していこうと考えているのか、それがない漢方医はヤブですね。

僕は、名医ではありませんが、そういった漢方医学独特の特徴に沿って治療をしています。

当然、初回に体質を分析し、それを説明します。
合わせる漢方薬はその体質に対して、どんな調整を行うのかを説明します。
そして、推測と違った場合は、どう対処していくかを説明します。

だから不妊症の治療では、来月はここで排卵日が来るとか、月経はちょっと早まってここで来るかもとかお話することもあります。別に当てものではないですが当たった時は驚かれます。まー当たった時は・・・。

漢方薬を飲む前には「この症状とこの症状がこんな風に変わってくれば、良い方向に進んでいますよ。でもこうなったら、合ってないかもしれないので、連絡ください」とお話しています。

漢方の治療で重要なのは、いろいろな知識を知っている事ではありません。
漢方医が、

★自分のやろうとしていることをわかっているか?
★未来が予測できているか?

ですね。

本の書いてある理屈は、その先生自身の治療方針ではありませんよ。

今、漢方薬を飲んでいてもなかなか好転しないと悩んでいる方。
「体質はどう捉えているのか?」
「それがどう変わると推測しているのか?」
「今後、どういう方針をたてているのか?」

今の先生に聞いてみてください。
漢方薬を処方したのなら、説明できないとおかしいので。
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2013年06月18日

根本から治りたければ、ステロイドは意味がないかも!?

皆さんが、漢方の治療に期待していることってなんでしょうか?

それはズバリ!根本治療ですね。

では、根本治療って何?

根本的に病気じゃない体質になること。
病気を自力で治せる体質だと思います。
違うかな?

漢方の根本治療に対して病院の治療は対症療法とよばれるものが中心です。
対症療法とは、薬を飲んでいる間だけ効果のある治療。
薬の効果が切れれば、また、元の病気の状態に戻ります。

どちらが悪いというわけではなく、あなたが、どう治療していきたいか、その目的によって、どちらがより適切かを考えていく必要があります。

例えばアトピーで使うステロイド。
普段は湿疹など出た事なく、急に湿疹がでてきた!
そんな時は、短期間はステロイドを使ってみるのもいいかもしれません。

短期間、一時的にステロイドを使って、よくなれば、その後は、すぐにステロイドをやめちゃえばいいのですから。

やめて、湿疹が出てこなければ、ステロイドでも根本的に解決したことになります。
対症療法を有効に使っていますね。

ところが、ステロイド剤をやめた途端にまた、元の状態に戻った場合。もしくはひどくなったら。
外部のステロイドという作用で一時的によくなっているだけで、自分自身はよくなっていないですね。

まさに対症療法で、その場しのぎになっているわけです。

この場合は、いくら長く続けたって、ただステロイドを塗って、よくなってやめたら湿疹が復活し、またステロイドを塗って・・・とループを繰り返すだけです。

こうなると、根本的に治す必要があります。
となると、登場するのが漢方薬。

ところが、ここでひとつ問題があります。

うちでは結構、ヘビーなアトピーの治療をしてきました。
そんな時、かならずつきまとうのが、ステロイドをどうするか?

当然、最終的にはやめないといけないのですが、離脱が問題なんです。

今までは、だんだんとステロイドを断っていけばいいとアドバイスしてきましたが、最近、治療をしていると、どうもステロイドと漢方の治療を併用していると、どう考えても、ステロイドが漢方の治療の邪魔をしているのです。

良くなったり、悪くなったりと。

反対にステロイドを断った状態の人は、漢方が狙い通りに効いてくれているようなのです。

両者を比べると治る速度が違います。

でも、それって考えてみれば当たり前。
ステロイドは、ただのかゆみ止めではないです。

「免疫抑制作用」「抗炎症作用」「血管収縮作用」「細胞増殖抑制作用」があるのです。

これは裏を返せば、感染症に弱くなったり、血の巡りが悪くなったりといろいろな身体に対する悪影響もかゆみが止まることと同時に抱えるのです。

かゆみは止まるかもしれませんが、他の部分では、身体に対して、その代償を払っているのですね。

漢方薬は、身体のバランスを整え、その結果、アトピーを治します。
だから、ステロイドを使いながら、漢方治療するとステロイドでかゆみを止める以外のことは、身体に悪い影響を与えながら、漢方薬でバランスをとろうとする、非常に中途半端な治療になってしまうのです。
要するにどっちつかずな治療。

ということは、結局、ステロイドをやめないと本格的な漢方の治療が始まらないということにもつながります。

根本治療のためには、ステロイドをやめないといけません。
ただ、これが難しい。

早くやめないといけないからって、いきなり、やめていいものではありません。
アトピーの状態によったら、ショックを起こすこともあります。

となると、おひとりおひとりに合わせてステロイドをどうやめていくかの計画を考えていくしかありません。

根本治療に大事なのは、本格的に漢方を効かすためにどれだけ早くステロイドをやめることができるかにかかっているような感じがします。

なので、根本治療を考えている人で今、ステロイドを使っている人は、ステロイドをどう離していくかも使いながら考えていく必要があるかと思います。

特に子供さんの場合や、まだごく初期にステロイドを使用している人は、ステロイド使用で短期間で治らず、長期間に突入しそうであれば、一旦、漢方などの根本的な解決を考えてみてはいかがでしょうか。

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2013年06月14日

ステロイドのプロアクティブ療法って大丈夫?

医療系のサイトで欧米の方で広く提唱されているプロアクティブ療法というものの記事があった。

プロアクティブ療法とは、湿疹がなくなってキレイになっても、その後もステロイドを塗り続けると治るという方法らしい。

記事の医者の話によると今ままでは、キレイになったらステロイドをやめて、また湿疹が出てきたら、ステロイドを塗る。

それを繰り返すから、だんだんと強いステロイドを使わないといけなくなる。
だから、本当に治すにはキレイになっても塗り続けなければいけないということらしいです。

そして、塗り続けている期間の中で、だんだんと日数を空けて、ステロイドの塗るのを減らしていくと言ってます。
そうして、長期間、塗り続けた後、ステロイドをやめるようです。


なんか、西洋医学のいつもの理論だけが立派で実践ではお粗末な臭いがなんとなくしないでもないので、アトピーの患者さんに助言を貰いながら深く考えてみることにしました。(僕は皮膚科ではないので、現実のプロアクティブ療法とは違うかもしれません。僕がいろいろと調べたのと患者さん自身から聞いた現場のことを元に書いています)

とりあえず、アトピーで悩んでいるその患者さんに聞いてみたら、実際にやったことがあるとのこと。

そして、予想した答えですが、当然、かなり長い期間、ステロイドを続けてみたが、よくならなかったとのこと。こんな方はたくさんいらっしゃると思います。

まーこの話を医者にしたら、塗り続ける期間が短かったとか言うのでしょう。

この方法、結構、穴だらけで問題があります。

それでは現実によくある治療現場の様子を想像してみましょう。

ある人が湿疹がひどくなったから、病院へ行く。
医者はマニュアル的にステロイドを処方します。

ステロイドは強力な抗炎症剤なので、当然、ステロイドを塗れば湿疹はキレイになります。

プロアクティブ療法によると、キレイになっても続けるということですが、ここで1つの問題。

ステロイドは塗ったら一時的にキレイに治るのだから、その時点から「治った」ことになって、塗り続けろということなのでしょうか?

そもそも、ステロイドは対処療法のお薬なので、その定義からすれば1回目でも治ったことになります。

そこから、塗り続ければいいのでしょうか?
そして、その場合は、どれくらい続けて、どの時点から量を減らしていくのでしょうか?

???だらけです。

現実を考えてみましょう。

ステロイドの量を減らせば、復活することが多いです。
対処療法の薬は効果時間が終われば元に戻るので当たり前ですね。

で、結局、しばらく塗る→量を減らせば復活→またしばらく塗る→量を減らせば復活→復活を繰り返すので強いステロイドに切り替え。

これが皮膚科の王道パターンではないでしょうか。

つまり、長年のひどいアトピーで治療してきた人は、相談の経験上から考えるとプロアクティブ療法で悪くなってきたのです。

つまり、いつか、やめるために量を減らすことと、塗り続けることが矛盾しているのです。

ステロイドは一時的で、すぐにキレイになるものです。
なので、本当に治ったかどうかは、やめてみないとわからないのです。
塗ればすぐにキレイになるステロイドをやめないで、どうやって、だんだん減らしてもいいという結論になるのでしょう?(僕がバカすぎるのか・・・)

また、得意のマニュアルなのかな。
アトピーの人は一律、これぐらいから、量を減らしてもいいとかなんとか。

この療法は、医者の思い込みから始まっているような気がします。

1つは、患者さんは湿疹が消えたら、すぐにステロイドをやめていると思っている。
2つ目はステロイドでかならず、どんな湿疹でもキレイになると思っている。

うちには、かなり長い期間、アトピーだった患者さんが相談にきていますが、みんな、年単位で、かなり長期間、ステロイドを塗り続けて、ひどくなってきています。

もう一度、言いますが、プロアクティブ療法のようにステロイドを塗り続けてひどくなってきています。

現実は、プロアクティブ療法の中で医者自身がステロイドのグレードを繰り返し上げながらひどくしてきているのではないかと思います。

ところで、今日は、その患者さんから助言をいただいて、漢方治療とステロイドは、密接な関わりがあるのではないかということが判明しました。

今後は、その仮説を念頭において、漢方治療の経過をみていこうと思います。

「漢方治療とステロイドって何の関係があるの?」

それは、機会があれば、また書いてみますね。


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2013年06月06日

漢方治療のコツはたくさんの漢方薬を思い浮かべること

漢方薬が体質に合っていたと判断できるのは、患者さんが治った時です。
治った結果、処方した漢方薬が合っていたと判断できるのですね。

漢方薬を飲む前から、先生が上から目線で「あなたにはこの漢方薬が合っています」と決めることはできないです。
それは「あなたには、この漢方薬が合っていると推測できるのですが・・・」の間違い。

あくまで、飲んだ後に治れば「○」がもらえます。

病院のお薬は、体質がなんであろうと飲む前から作用が決まっています。
そこが漢方薬と病院の薬の決定的な違いです。

実際にその新薬を飲んで効こうが効くまいが、その作用は変わらないのです。

漢方薬の場合は、治った時に合っていたとわかるので、逆から考えれば、治らないということは、漢方薬が合っていないか、そもそも、元の体質の判断が間違えているということになります。(厳密には、漢方薬はどれくらい飲めば効いてくるかは体質差があるので、1ヶ月飲んで変化がないから合っていないとはいえませんが)

「あなたには、この漢方薬が合ってるはずなのに・・・」ではなく、ただ、ただ、先生の腕が悪いだけ。

結果でしか、漢方薬が体質に合っていたかどうかわからないというのは、ねじ曲げられない漢方の原則です。

だから、僕たち漢方家は、漢方薬を飲んでもらう前にできるだけ、1人の人の体質に対して1種類の体質や漢方薬だけでなく、いろいろなバリエーションの体質や漢方薬を考えるようにします。

例えば、アトピーだったら、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、消風散、十味敗毒湯、荊芥連翹湯といった具合に。

この人の体質は、現時点で5パターンが考えられ、それに合わせる漢方薬は1つの体質ごとに1つの漢方薬で、これまた5種類が考えられる。

昔、師匠に言われたことがあります。
病院などでマニュアル漢方にちょっと毛の生えた人なら2、3種類の漢方薬の可能性を考え、そこから選ぶようにしているけど、この治る可能性のある漢方薬を考えるのは多いほど良いと。

1人の人に事前に1種類の漢方薬しか候補として考えられなければ、その1種類がアウトだったら、それでもう治療の方法は終了です。

かといって、やみくもに、たーくさんの種類を候補に考えても、今度はそこに一貫性がなければ、治らないからドンドン試していくという、とっても無駄な治療になります。

ここでちょっと誤解を解いておきたいのですが、マニュアルで漢方薬を選んでいる先生や一般向けに漢方薬のことを書いてある本などに、不妊症なら当帰芍薬散と温経湯とといくつかの漢方薬を使うように書いていますが、その種類からしか選んじゃいけないということではありません。

これは書いた人が勝手に決めているだけで、本当の漢方理論にそんな方法は書いてません。

あれは、わかりやすくするためにあえて、代表的なものを絞って書いてあるだけで、本来の漢方では、病名に対して合わせるのではなく体質に合わせるので、どの病気であろうと、基本は全ての種類の漢方薬が候補になってきます。

もちろん、何百種類の漢方薬が全て、治る可能性があるわけではありません。
その中でも可能性の高いものを選んでいかないといけないです。

その可能性の高いものを絞り込んでいくのが、漢方医の腕ですね。

なるべく漢方薬を絞りこんで、なおかつ、その漢方薬がダメだったとしても、次の一手の漢方薬をいくつかのバリエーションでもっている。
それが理想です。

漢方薬は、何百種類とありますが、全部、全く違う働きのものではないです。
中には微妙な違いしかない漢方薬や、よく似ているが、ある1点だけが違う漢方薬など、まぎらわしいものがたくさんあるのです。

治療前にいくつかの候補の漢方薬を考える時は、当然、似たような種類の働きの漢方薬を考えることが多いです。

そこから、体質の微妙な部分を汲みとって、1つの漢方薬を選ぶのですね。

漢方では、このいくつかの候補から1つの漢方薬に絞ることを「鑑別」といいます。

新薬のように1つの原因を探し、その1つの原因を治せる薬を選ぶのはなく、飲む前になるべくたくさんの候補になる漢方薬を考え、それを消去法的に1つに絞りこんでいくのですね。

ちなみに僕は、1人の患者さんに対して、初回は大体4つの体質と4処方を考え、その中で一番、治りそうな優先度の高いものから飲んでもらいます。

飲まれた結果、推測に反してよくならなければ、プランBが発動するのですね。

場合によっては、飲まれた結果から、初回の候補ではなく新たなプランBダッシュになることもありますよ。

本に答えが書いてあるわけではないので、先生の考え方の数だけ、候補の処方があります。


posted by 華陀 at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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