2013年05月22日

自分の漢方薬が合っているかどうかを知る方法 本来の漢方編

前回の記事にも書きましたが、自分が飲んでいる漢方薬が合っているかどうかを知るためには漢方薬を飲む前に「何がどうなったら飲んでいる漢方薬が合っている」とするのかという推測がたっていないと、合っているかどうかを確認できません。

よくある誤解が、自分の気になる症状がよくなれば「合っていたんじゃないの?」と考えること。

そうなって当然だと思います。
だって、漢方薬を飲むのは何かの症状や病気を治したくて飲んでいるからです。

ところが、漢方の場合は、自分が気になっている症状が「良くなった」「悪くなった」で漢方薬が合っているかどうかを確認できるとは限らないのです。

漢方薬は特定の効果を期待して選ぶものではありません。
あくまで体質に合わせて選ぶものです。

例えば、アトピーならステロイドのような皮膚の炎症をしずめるとか、不妊症なら黄体ホルモンを活性化するとか。

そういった、特定の効果は漢方薬にはありません。

「この漢方薬が自分に合っていたら湿疹が治ってくるはず」というのは、自分側の都合です。

例えば、消風散には「どんな体質の人でもかゆみを止めます」なんて設定はないのです。

では、自分の気になっている症状で確認できない場合でも漢方薬が合っているかどうかが分かるのか?

分かるのです。

漢方治療では、漢方薬を選ぶ前に体質を判断します。

これは「あなたはアトピーです」といったような西洋医学の病名ではありません。

東洋医学独特の体質を判断します。

水毒証とか、瘀血証とか、血虚証とか。
(こういった要素が複数、重なっている)

西洋医学とは全く関係のない東洋医学独自のものです。

アトピーの人は、みんな、湿疹ができて、かゆいという状態は同じですが、体質はそれぞれ違います。

アトピーの人でも、ある人は、血の巡りが原因であったり、ある人は水毒といって水の巡りが原因だったり、ある人は肝の臓の機能が落ちていたり・・・

こういった体質の要素(証)をいろいろな症状や状況と組み合わせて、考え、推論を立てていきます。

水毒証は、汗とオシッコと便と冷え関係の症状と組み合わせて考えたり、瘀血証は月経と手足の冷えと頭痛や耳鳴りなどと組み合わせて考えたり、湿疹のできる場所などから考えたり。

とにかく、足が冷えてたら寒証とか、血の巡りが悪いから瘀血証とか、そんな単純な分析ではありません。

全身の症状をいろいろと組み合わせて、1つの体質を考えていくのです

この考えだされる体質に共通のマニュアルはありません。
体質は、ひとりひとり違うので、その都度、判断が変わります。
また漢方医によっても体質判断は変わります。

「あの先生は私の体質を●●証だと言っていたが、先生の見方は違うのですね」
そうです。先生によって判断は変わります。

そして、この考え出された体質を調整する漢方薬を選びます。

体質を調整する漢方薬を選んだ時、同時にその漢方薬はどんな風に証を調整していくか、良くしていくかも考えます。

ここで注意しないといけないのは、漢方医が選んだからといって「絶対に体質に合っている漢方ではない!」ということ。

漢方医学の体質判断は漢方薬を飲む前は推測でしかないのです。

で、この漢方薬が合っているかどうかを調べるのは、あらかじめ推測した体質の要素(証)が漢方薬の飲む前の推測通りに調整されているかどうかを、はじめの問診の時のように症状や状況から判断していきます。

それを簡単にまとめると、

@現在の環境や症状、病名から漢方的な体質を判断する。
A体質を調整する漢方薬を選ぶ。
B症状などが、どう変化すれば漢方薬が合っていたかの推測を立てておく。
(患者さんが気になる症状から変化するとは限らない)
C漢方薬を飲んでもらう。
Dあらかじめ推測していた変化の推測を現在の症状などを聞きながら確認し、判断した体質、それに合わせた漢方薬があっているかの答え合わせをする。
E推測した変化がなければ、違う体質や違う漢方薬を検討する。

この行程を経て、漢方薬が体質と合っていたかどうかがわかります。

ちょっと例えが違うかもしれませんが、自分で問題を作って、飲んでもらった変化を観察し、答えが合っていたかどうかを答え合わせする。

それの繰り返しで、患者さんの気になっている症状を最終的には根本的になくしていきますよ。

「漢方薬が体質に合っていた」というのは、推測通りに良くなった時に初めてわかるのです。
だから漢方医によって体質判断は変わるし、漢方薬を飲む前の時点では答えではないのですね。
あくまで治ったら、正解。

なので、自分の気になる症状が「良くなった」「悪くなった」「何も変化がなかった」だけでは、本当に体質に合っているかどうかは判断できません。


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2013年05月16日

自分の漢方薬が合っているかどうかを知る方法 病院編

自分の飲んでる漢方薬って合っているのだろうか?

漢方薬を飲み始めた人は誰しもが思うことです。

実は自分の飲んでいる漢方薬が合っているかどうかという、この問題。
とっても誤解されています。

もしかしたら、処方している先生すら誤解している、もしくは、ちゃんと分かっていないことがあります。

漢方薬は現在の体質を判断し、その体質のバランスの調整ができるように漢方薬を合わせます。

わかりやすく理解してもらうために、かなり簡易的な例になりますが、身体が冷えている体質だと判断したら、温める漢方薬を選ぶのですね。(実際はこんな単純ではありません)

なので、病院などがやってる病名だけで処方したり、なんらかの西洋医学的な効果(かゆみ自体を止める効果とか、黄体ホルモンを高めるなど)だけで処方している場合は、合ってるも、何もあったもんじゃありませんので、これは論外です。

漢方は西洋医学とはなんの関係もなく、病名で漢方薬を処方している理由は、マニュアルみるだけで処方できて「簡単だから」って理由だけです。多分・・・。

とっても論外ですが、大半の病院や薬局がこういった方法で処方していて、
根元の選び方からして間違っていますが、悲しいことに最も多い、選び方なので、このケースで考えてみましょう。

病名で処方するということは、アトピーだったら消風散みたいな処方ですね。

病名は、その人、個人の体質を現していません。

「アトピー」って「体質」なんかないです。
アトピーっていうのは「よくわからない湿疹が続く」っていう西洋医学の診断状態のことです。(この状態も曖昧すぎて、よくわかりませんが)

で、この本来の漢方的体質と全く関係なく「よくわからない湿疹が続く」という状態に漢方薬を処方した場合、どうなったら、その漢方薬が合っていたと判断できるのでしょう。

その漢方薬が合っていたかどうかを知るためには、
「どんな症状が、その漢方薬を飲んで、どう変わったか?」
これで確認できますね。

更に具体的に確認するためには、3つの条件が必要です。

@漢方薬を飲む前の現在の症状はどんな症状があるのか?
Aその漢方薬で、どの症状が、どう変わるのか?
Bその変化はいつ起こるのか?

この3つが確認されることによって合っているかどうかがわかりますね。

そしたら、病名で処方した場合を考えましょう。

@症状はアトピーってだけですね。「湿疹がある」とか「かゆい」以上、それだけです。

Aどの症状が、どう変わるか?「どう変わるか?」って言われても湿疹とかゆみしか情報がありません。どう変わるのかは、選ぶ漢方薬で変わってきますが、マニュアル的に選んでいるため、どう変わるのかは処方した人自身が予測できていないと思います。
あえて言うんなら「もしかしたら、漢方で治るかも!?」みたいな。

B変化がいつ起こるのか?については、勝手に3〜6ヶ月で効くとか、じょじょに効くとか適当に説明されてますが、これはウソ。体質によって違います。本来の体質をみる漢方だと、同じアトピーという状態でも、判断する体質は個人個人変わるし選ぶ漢方薬も変わるので、「これくらいでよくなる」という基準はありません。

こればっかりは、先生の経験、腕としかいいようがないですね。

では情報が揃ったところで、合っているかどうか検証しましょう・・・東洋医学的な体質判断をせずに病名だけでで処方した場合
「かゆみと湿疹がなくなれば、合っていた」ということですね。

でも、これにはBの「いつから変化する」の要素を含めないといけないので、1ヶ月で変化なくても、いつか「かゆみと湿疹がなくなるかも」という状態になります。
そうなると永遠、飲み続ける可能性もあるので、合っているかどうかを判断するのは不可能ですね。

変化する期間を勝手に1ヶ月としたとしても、合っているかどうかの判断は、「かゆみ、湿疹」がなくなったかどうか。

つまり、
湿疹が治ったか、治らないかだけです。

しかも、このかゆみや湿疹も「全部がなくなるのか?」「どうなくなるのか?」も本当は推測しておかないといけませんが。

黄体ホルモンを当帰芍薬散で活性化するとか説明しているような処方の場合も同じ。

黄体ホルモンが活性化するかどうかが、その漢方薬が合ってるかどうかのポイントですね。
もちろん、これにも「B」のいつ変化が起こるのか?を無視した場合です。

1ヶ月、飲み終わった頃にこっちの都合で変化してくれる保証などありません。

そもそも、西洋医学的に黄体ホルモンが活性化するとかで当帰芍薬散や温経湯を処方するのであれば「プラノバールやルトラールで確実に妊娠するって思ってること?」ってことになります。
それだったら「はじめからホルモン剤でいいじゃない」と思うのですが、体質みないで漢方薬を処方している先生は、そこんとこどう考えているのでしょうか?知りたいです。

付け加えると不妊症で漢方薬を飲んでいた場合は、黄体ホルモンの弱いことが決定的な不妊症の原因かどうかがわかりません。だから、例え、漢方薬で黄体ホルモンの数値がよくなったとしても、不妊の改善につながっているかどうはわかりませんね。

着床障害のために当帰芍薬散を処方しているケースも同様ですね。


よく「アトピーで消風散を処方されました」とか「不妊症で当帰芍薬散を処方されました」っ人から「合ってますか?」という質問がありますが、以上の理由で合っているかどうかは確かめようがないです。

うちでは、飲む前と飲んだ後の変化をみるために初めの問診で42項目の症状や状態を聞きます。
人によっては、1つの項目で3つ位、該当する症状があったりするので、120以上の症状や状態の変化をみていくことになりますね。

それだけの数の症状などが、漢方薬を飲んだ後、どうなったのか?をみています。
だから「アトピーで処方されました」言い方を変えれば「かゆみと湿疹の2つの症状を理由に処方されました」というたった2つの症状だけで合っているかどうかは、答えようがないです。

こういった本来の東洋医学的な体質判断をしないで、病名や特定の効果だけを期待して処方された場合は、合っているかどうかを知るには「治るまで待つしかない」ですね。

ちなみに下記がうちで体質判断している項目です。
ステマするつもりはないので、あくまで参考にみていただければと思います。

体質判断表

で、いい加減流漢方の批判だけしていてもしょうがいないので、次回は、じゃあ、本来の漢方では、自分の漢方薬とあっているかどうかをどうみていくのかを書いてみたいと思います。


posted by 華陀 at 18:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月25日

アレルギー物質を避けていてはアトピーは治らない!

漢方と西洋医学は、治療の考え方が全く違います。

中でもアトピーほど、その考え方の違いがでるものはないと思います。

西洋医学の治療では、アトピーの原因を探すためにアレルギーの検査をします。
卵や小麦、ハウスダストなど、何に反応してアレルギー反応をおこしているのか。

アレルギーになっているものを避ければアレルギー反応が起こらないから、アトピーにもならない。

そういった理由ですね。

また、西洋医学の治療は根本的な原因ではなく、病気の一番表面的な湿疹やかゆみにステロイドなどで対応します。加えて原因となるアレルギーの物質を避けていく。

漢方は直接、皮膚の炎症や湿疹に対応しません。
なので、かゆみ止めの漢方薬はありません。

厳密には、かゆみ止めの漢方薬はありますが、治療の主役にはなりません。
あくまで、補助的にかゆみを止めるといった感じ。
また、このかゆみ止め漢方薬も体質を選ぶので、ステロイドみたいに誰が使っても「かゆみが止まる」といったものではありません。

漢方治療のメインは、崩れたバランスを整えて、健康状態に戻し、その結果、かゆみがなくなるといった感じですね。

誰でも、かつてアトピーのなかった時期があります。
だから、その時の状態に体質を戻してあげれば、かゆみも湿疹もなくなるわけですね。

漢方が根本治療とよばれるのは、こういった西洋医学とは全く違うアプローチで治すからです。

病院では、アレルギー反応を起こす物質を検査で探しだし、それを避けることで治療しようとしますが、あの検査も参考にはなっても本当の原因になるかどうは疑わしいらしいです。

医者本人が、そう言ってました。

それはさておき、漢方では何の食べ物がアレルギーを起こしているかは、調べません。
もちろん、現時点でアレルギーを起こしているものは、治療中は避けた方がよいですが、漢方の場合は、ここでも西洋医学と発想が逆で、アレルギー物質を避けるのではなく、アレルギーに負けない体質をつくるのです。

なので、自分がわかっていないアレルギー物質をわざわざ機械で重箱の隅をつつくような無駄なことはしません。

大体、検査でアレルギー物質がわかったからといって、それが治療になるのでしょうか?

確かにその物質を避けていれば、アレルギー反応を起こさないでしょう。
でも「一生、避けるの?」って感じです。

病院では、それが、さも治療みたいに言ってますが、それって、ただの「逃げ」ですよね。

例えば、一般的なそばや甲殻類なら、まーこれからも避けたほうがいいかもって思いますが、卵や小麦なんか、誰でも食べるじゃないですか。
また、昔から長年、誰もが食べてきました。

それを、現在になって「避けてたら、治りますよ」って、
それって治療じゃないです。

「ごまかしと逃げ」ですね。

アレルギー反応というのは、免疫の反応性のことです。

免疫システムが外からの何か物質に反応することは正常な事なんですね。

ただ、アトピーや喘息の人は、それが過剰になってるだけ。

だから、それほど特別な病気でもないです。

免疫を再教育してあげればいいのです。

後から後から出てくる、かゆみや湿疹をステロイドで止めても、その時のかゆみは止まっても根本的に治ることはありません。

腐った枝をいくら払い落としても、幹や根が腐っていたら、永遠に枝を払い落とさないといけないですから。また枝を何度も払い落としていたら、自動的に幹や根が治ることはありません。

漢方は、この免疫の調整を身体全体を調整することによって、免疫を調整します。
免疫も身体のいろいろな営みの一部なので、身体全体の営みを調整してあげたら、自然、免疫も調整されるのです。

漢方では、卵や小麦を一生食べれない。わんちゃんや猫ちゃんを一生触れないような治療はしません。

むしろ、積極的に食べたり触ったりできるように前に進んで行く治療なんですね。

うちでは、治療中は一旦、アレルギー物質を避けて身体の負担を軽くしてあげますが、ひとたび、よくなってくれば、次は、あえて、食べたいものを食べれるように様子をみながら調整していきます。

だから、僕は何かを我慢したら治るという治療は治療とは思ってません。


posted by 華陀 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月18日

脈診、舌診、実はわからずにやってない?

漢方をちょっと、知ってる人なら、脈診とか舌診って知ってますよね。

脈診は脈をみて、漢方的な体質を探ります。
舌診は舌をみて、漢方的な体質を探ります。

うちは、慢性病の患者さんでは、どちらもやってません。
急性や子供ならみますけれど。

で、慢性病系の方だと、やってないもんだから、患者さんからよく、
「脈診とか舌診はしなくていいのですか?」って聞かれます。

僕の答えは、しなくてもいい。

念のために言っておくと僕が「みれない」ということではありません。
理論的にも勉強したし、修行でも実践的に教えてもらいました。

知っているけど、みません。
ちなみに僕はギターをやってるので、指先感覚は、普通の人よりはすぐれていると思います。

では、なぜ見ないかというと、かつての経験から、どちらも「現時点で出ている体質」を示していることが多いと感じたからです。

どういうことかというと、ちょっとイメージしてみて。
長年アトピーで悩んでいる人が相談に来られました。
そして、その人は、昨日から風邪をひいている。

脈は、体質の状態が出たものです。

となると、脈や舌は、風邪に影響されたものが出やすいのです。

もちろん、元の体質であるアトピーの舌や脈も出ていると思いますが、もとの感じを知らないのに見分けることは困難です。

勉強していると、いろいろな舌や脈の状態があるんだなぁ〜と感じます。
「あー、舌が、この色だったら、この病気」
「この脈だったら、この状態なんだ」って具合に。

わかった気になっても、実際の相談の現場では、ものすごく微妙な感じの舌や脈ばかりです。
本にあるような、はっきりとした舌や脈の人なんて滅多にお目にかかれません。

僕の師匠は、中国の先生でその先生は、脈を学ぶ時に問診一切なしで脈だけで妊娠しているか当てることができる指導医について研修したんだそうです。

その時に、その指導医の方が実際に診ている患者さんを来る日も来る日も一緒にみて、現場で脈を教えてもらったそうです。
ちょっとウロおぼえですが、2千人以上はみたと言っていたような。

そして、その結果・・・。

「全然、わからん!」って言ってました。

師匠曰く、理論は誰でも勉強すれば学べる。しかし、脈や舌を診るのは、知ってるだけじゃどうしようもないそうです。

イチロー選手のようなセンスと考えられないような努力が必要なんです。
男の子なら誰でも野球のバッティングを知ってますが、理屈を知ってても打てません。
それと一緒。脈診の達人に直接、教えてもらっても2千人程度の努力じゃ、甘いということですね。

おまけに日本では、歴史的に脈診や舌診はあまり発達しなかったので、元々、達人がいなかったらしいです。
だから、技術が伝えられてきていないとも書いてありました。

それに現場では、実際的な問題がありまして、舌診では、まず色のつく飲み物や食べ物を食べてきたらアウト。診察前は飲食しないでくださいって書いてるところもありますが、一切飲食してないかどうかはわからないし、患者さん自身は、何だったらダメなのかがわかりません。

脈診では、遅れそうだからって走ってきたらアウト。始めてのところだからって緊張してもアウトですね。これも「今」の状態が色濃く出てしまうので。走ったり緊張すれば、誰でも脈は早くなりますから。

それと、これが地味に問題になるのですが、問診、望診で考えたものと舌診、脈診で考えたものは、結構、一致しません。

そしたら、コミュニケーションをとりながら、理論的にいろいろ考えたものをとるのか?
感覚技術がすぐれていなければ、ちゃんと分からない微妙な舌診、脈診の方をとるのか?

そんなとき、僕はコミュニケーションをとりながら理論的に考えた方をとり、矛盾して一致しない舌診と脈診は捨てます。

あっでも、子供だと舌診、脈診は有効です。
だって、子供は問診とったって、大人ほど、詳しくわからないですから。

僕は自分で勉強し、経験し、師匠の何千人診ても、わからんかったわって話を聞いて、ずっと疑問に思っていたことがあります。

それは「他の漢方の先生って本当にわかってるの?」

それで、仲のいい漢方の先生に聞いてみたら、
「そんな細かくわかるかいな」とのこと。
「やっぱり」

その他の先生には聞いてませんが、僕が観察してきたところ、多分。9割の先生はわかってないと思う。

よーするにパフォーマンスですね。

そりゃ、脈の浮、沈や舌の怒張、白苔なんかは、ちょっと勉強すりゃわかるでしょうが、ぶっちゃけ、その程度では、なんもわかってないに等しいですから。

ま、なんにせよ。舌診や脈診は漢方の素人の人に占い程度のことはできても、診断に使うには、国宝級の達人じゃないとダメだと思います。


posted by 華陀 at 18:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月22日

病院のお薬やステロイドはどれくらい続ければ治るのか?

最近、病院に対してイラッとくることがありました。

僕のことではないです。
僕や僕の家族は、医者に行っても治療や治療方針の説明はグダグダなのは、もう大昔から何件も何件もの病院で体験済みなので、今さらイラッとくることはないです。

うちに来てくれてる患者さんのことでです。

うちで治療している患者さんが、病院にいったときに「ちゃんと飲まないから治らないんだ!」と上から目線で怒られたこと。

ちゃんと飲み続けないと治らないという理屈はわかります。

漢方なんて特に飲んだり、飲まなかったりすると身体の変化の過程を探れないので、あんまり空いてたら、とりあえず、飲み続けてから症状を教えてくださいと、なってしまう。

漢方の場合は、飲んでる一定時間効かせるのではないです。
ここでは詳しく説明しませんが、気とか血とか、寒とか熱とか、身体の中にもっている自然的な要因を少しずつ整えていくので、飲み続けた結果をみていかないといけません。

ところが、病院のお薬は漢方薬とは違います。

病院のお薬は基本は対症療法のお薬。

このブログを読まれている方はおなじみですね。
よーするに「その場しのぎのお薬」

薬の効果時間が決まっていて、薬の成分が代謝されたら効果がなくなります。
そして、元通り。

ここで師匠の西洋医学の先生に聞いても、どうしてもわからないことがあります。

例えばステロイドの説明には下記のことが書いてあります。

(引用ここから)

「さまざまな皮膚症状に使用されています。ただし、症状をとる対症療法薬ですので、病気の原因そのものを治すことはできません。」

「長く続けていると、ステロイド特有の皮膚症状がでてくるおそれがあります。にきび、肌荒れ、皮膚の赤みや萎縮、シワ、多毛などです。また、細菌や真菌(カビ)などによる新たな感染症にも注意が必要です。さらに、大量連用中に急に中止すると、ひどい反発症状を起こす危険性があります。」

(引用ここまで)

薬の説明ではっきりと「その時の症状をとるだけ」と書いてあるのですね。

僕がわからないのは、医者が使う薬にこのようにはっきりと書いてあるのに、なぜ続けたら根本的に治ると思っているのかが理解できません。
(僕がアホなのかもしれませんが)

飲み忘れようが塗り忘れようが、症状がある時に使えば効くんじゃないの?

そして「根本的に治らないですよ」と作った本人(製薬会社)が説明しているものを続けても、

●薬を飲んで症状が治まる → 薬の効果時間が切れて症状が再発 → 薬を飲んで症状が治まる → 以下、繰り返し。

なんじゃないのかな。と思うのです。

なので、さっきの医者に上から目線で怒られた患者さんに戻りますが、飲み忘れたら治らないとか、続けないと治らないという意味がよくわかりません。

これだけ話しておいて、今さら、こんな事いうのもなんですが、僕自身は、病院のお薬でも2週間か長くて1ヶ月位続けて、その後にやめても再発しなくなる体質や病状はあると思います。ただまれです。

なんせ  「ただし、症状をとる対症療法薬ですので、病気の原因そのものを治すことはできません。」  と言ってますから。

実は怒られた患者さん達は、サボったりでちゃんと飲まなかったわけではありません。

処方した医者の説明に納得できない信用できないからだと思います。

だって、うちの漢方薬は飲み忘れてないもん。

これは、僕も経験があることです。

ある時に、うちのチビが蕁麻疹かアトピーかよくわからない湿疹で、これも経験だと思って病院に連れていったことがあります。

その時にうちのチビの見えている部分の湿疹(腕の部分の湿疹)だけ見て、ステロイドを処方しました。

エッ!?となりました。「この3日間、何を食べた?」とか「何か薬を飲んだか?」とか「普段の便とこの3日間の便の状態は?」「どんなものが好きか?」などなどの「体調」を一切、何も聞かないのです。

腕の湿疹だけ見て治せる・・・

漢方の問診で症状のことなどを聞きまくっている僕としては「スゲー、超能力者じゃんっ!」って思いましたね。

ただ、ステロイドやめた後は即、湿疹が爆発しましたけど・・・残念!

ちゃんとした問診や説明がないことも不安ですが(適当にやってるって見られてもしかたがないですから)何よりも続けるのはかまわないが、どれくらいの期間で治るのかを教えてほしい。

この続ける期間のことを聞いたら「治るまで」って意味不明な答え。

だって、対症療法のお薬は使えば効果時間内は「治る」のです。
そんなことは医者に聞かなくてもわかってます。
それだったら「1回塗ってやめんの?」って感じです。

聞きたいのは、今回、診断して、今後どういう方針でどう展開していくと考えているか?

これを聞くと勘違いして「治る保証なんてできない」なんて、意味不明な答えをした医者が何人かいましたが、治る保証をしてもらいたいのではなく「今回のようなケースは専門家してどう考えたか?」「次回、どうなっていたらどういう風に対応していくのか?」「それらを統合して、どれくらいの期間、必要だとみているか?」そこを知りたいのです。

その方針が事前に説明されていたら、患者さんは飲み続けてくれると思います。
保証してもらいたいのではなく、治る方向を間違わずに一歩でも進んでいるのかが知りたいのです。

もちろん、これだけ言ってますから、うちでは、事前に方針や戦略をたて、それを患者さんに説明し、次回、どうなっていたら、どう治療は進んでいるのか、または後退しちゃってるのかを説明します。(事前)にです。

病院の薬を飲み続ける期間。

ひょっとしたら僕が全く理解できていないだけかもしれません。


★「ただし、症状をとる対症療法薬ですので、病気の原因そのものを治すことはできません。」★

って薬をどれくらい続ければ治るかがわかっている、お医者さんがいらっしゃいましたら、どうか、そのメカニズムや考え方をアホな僕に教えてください。


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2013年03月19日

漢方薬の効果を確かめる方法

漢方薬は西洋医学のお薬とは全く違うものです。

「治療の受け方」というのでしょうか、それぞれ、どういう風に治療を受けていくのがよいのかが違うのです。

正しい治療の受け方こそ、病院のお薬や漢方薬の【真の力】を引き出します。

2つの薬には決定的な違いがあります。

病院のお薬はあらかじめ効果が決まっているが、漢方薬は決まっていない。ということ。

病院のお薬は患者さんに飲んでもらう前から効果が決まっています。

「この病気ならこのお薬。そして、その効果は●●で」
といった感じに「病名(症状)=●●薬=●●効果」とマニュアル式に決まっているのですね。

だから花粉症の人に降圧剤を処方したりすることはありません。

「高血圧=降圧剤」というマニュアル式は、どの先生が処方しようが変わらないのです。

なぜ、マニュアル的に変わらないかというと、一人一人の体質が関係ないからです。

また、病院のお薬は効き方も決まっています。
薬の種類によって、違いますが、「飲んで20分後くらいで吸収されてその後2時間効く」とか、割合、デジタル的に設定されています。

なので病院のお薬は、効果の時間が終われば元通りになり、また飲む事によって効いてきて、効果がなくなって元通りになり、また薬を飲んで・・・を繰り返します。

病院のお薬が根本的治療ではなく、対症療法と言われるゆえんですね。

漢方薬は、あらかじめお薬の効果が決まっていません。

だから、花粉症で悩んでいる人が来たら、あっ「花粉症=抗アレルギー剤」だ!って単純な処方になりません。(病院は漢方を誤解して病名で漢方薬を処方したりしてますが・・・)

その人の体質が、どうなのかわからないと、どの漢方薬を選べばよいのかわからないのです。

だから、同じ種類の漢方薬でも血圧が下がった漢方薬を違う人には不眠症で使うことがあるのです。

漢方薬は、血圧を下げるとか、鼻水を止めるといったような「効果」ではないからです。

「あらかじめ分析した体質を調整する」
これが漢方薬の効果です。

だから、同じ種類の漢方薬も体質によってコロコロ効果が変わります。

また漢方薬は、あなた自身の治ろうとする力を手助けするので、根本治療になりますが、はじめに選んだ漢方薬をずっと飲み続ければ、いつか治るといったものではありません。

体質の判断も合わせる漢方薬も治った結果、「体質に合っていた」とわかるのです。

だから初めに「これだったら絶対治る」という漢方薬はないのです。

初めに選んだ漢方薬で様子をみながら、微調整して、どんどんよい方向へ導くのです。

病院のお薬は、あらかじめ効果が決まっていて、効く時間も決まっています。
また、飲んでいる時間は効果がありますが、時間がくると効果がなくなります。

だから、早く効かさないといけない病気には効果的です。
逆に慢性病のように長く続いて症状を繰りかえすような時は効果的ではないですね。

これは、僕個人の考え方ですが、対症療法のお薬を慢性病に使う場合は、2週間も使えば結果が見えます。
2週間使って、その後やめる。そして症状が再発するのであれば、その薬はどれだけ使い続けてもずっと同じ事を繰り返しているだけ(薬で治る→効果がなくなったら再発)なので、飲み続けても治りません。

そんな時は漢方薬です。
漢方薬は、効果が決まっているわけではなく、体質を調整した結果、病気を治すので、最終的には、漢方薬をやめても病気や症状は再発しません。

ただし、漢方薬はあらかじめ効果が決まってないゆえの問題もあります。

それは「僕も患者さんもその漢方薬が効くかどうかは、飲み終わった後でわかる」という問題。

そして、どれくらい飲めば治ってくるのかといった期間的問題もあります。

だから時には1ヶ月飲んだだけでは、良いのか悪いのかがわからないことがあるのです。
ましてや、病院のお薬と同じように考えられないので、良い悪いの判断も難しいですよ。

かといって、よくわからない状態でダラダラ飲めばいいものでもありません。

一緒に考えながらより早く治していくといった方法をとります。
だから、1ヶ月で自分で判断してやめちゃうのはもったいないし、それは漢方の治し方ではありません。

漢方薬の場合、飲み終わった後に良い方向へ進んでいるかどうかを一緒に考え検討し、次の方向性を決めていきながら治すのです。

西洋医学のお薬はその性質にあった治し方。
漢方薬の性質にあった治し方。
それぞれ違うので、最も力を発揮できるように使っていきましょう。


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2013年03月04日

インフルエンザ治療で感じた「内科系の医者は薬のブローカー?」

あんまり言いたくないですが、たまーに病院に行くと、行く度にガッカリすることが多くて疲れます。

この前、うちの息子が夕方あたりから急に39.2℃の高熱を出しました。

咳も鼻水もない。症状は喉が、なんとなくイガイガするのみ。

とりあえずは、いつも通り、漢方薬を合わせました。

次の日に熱は37.6℃に下がりました。
ただ、今度は両足が「痛い、痛い」と言い出しました。

風邪からくる関節の痛みなのかと思って、聞いてみたけど「しびれる」「痛い」など、とりとめもない答えでよくわからない。

まー子供にはよくある答え方です。

いつも、風邪っぽくても、こんな事は言わないので、インフルエンザ臭いなと思って、いつもブログのネタを提供してくれる病院へ行ってもらうことにしました。

診てもらったら、いつも通りのクオリテリィーで「ただの風邪」にされそうだったので、こちらから「インフルエンザでは?」と提案したら、再度、調べはじめるとインフルエンザB型でした。

さらっと誤診しようとするのは、いつものことなので、いいのですが、(ここでは、こちらの指摘で先生が2回誤診。いずれも医者当人が認めている)
問題はここから。

治療に「タミフルを処方します」それでOK!みたいな感じになりました。

そこで「今は高熱ではないですが、それでもタミフルが必要ですか?」って素朴に質問したら、さっきまで自分が処方すると言ってた自信はどこへやら、今度は急に「親がつきっきりで見れなかったら副作用で危ない場合もある」とか「治らないこともある」とか言いだし態度が一変しました。

そして最後には「あなたの方で飲むかどうか考えてください」みたいな。
よーするに医者の方で責任もって治療する気はないらしいです。

僕自身は日本だけ異常に多いタミフルやリレンザの副作用の問題は、一緒に処方する他の薬が多すぎてそれらが相互干渉して起こっているのではないかと考えています。

なので、タミフル以外処方しない条件で処方箋を書いてもらいました。

帰ってから、漢方薬を再度、合わせ直してタミフルとは十分に時間を離して飲ませました。

次の日にはケロッとして、えらい元気になりました。
しかし、この日から鼻水と咳が出てきたので、発散系の漢方薬に変更しながら合計3日間で治しました。

今回に限りませんが、最近の医者は、治療というより、薬を紹介しているだけのような感じに思います。(皮膚科含む内科系の慢性病は特に)

薬の使い方や説明も、その先生の独自の経験からのものではなく、寸分狂わず新薬のマニュアル通りのものです。

これでは、ただ単に薬を紹介しているカタログ販売。
薬のブローカーなのじゃないかと思う時があります。
(マニュアル通りにおぼえているので優秀なブローカーですね)

僕たちが聞きたいのは、薬の効能効果や副作用のことではなく、何千人と経験してきている先生の独特の治療方針を聞きたいのです。

「今後、どうなって、それをどうしていこうと思っているのか?」

専門情報が一部の専門家にしか手に入らない昔ならいざ知らず、現在はネットで薬でも病気の生理学の情報でも全くの素人の人が簡単に手に入る時代。

そんな調べればわかりきっている薬の情報なんかいりません。

そういう西洋医学の「一般知識」ではなく、その先生が知恵と経験から生み出した独特の治療方針を提案されたいものです。

決まりきった薬を出すだけなら、薬局とネットがあればいいですから。
あっ後、検査だけするところですね。

ちなみにうちでは、今どんな体質や状況でそれをどんな風に変えて、どうしようと思っているか、どこを目指すかを説明します。

やっぱり、相変わらずブログネタを提供してくれる病院でした。



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2013年02月25日

薬を飲んでいても病気が治らない本当の理由

「考えてみたら、同じ薬を飲み続けて、何も状況が変わっていない・・・」
病院の治療で治らなかった人によくあるパターンです。

同じ、治療がループしているだけ。

なぜ、治るはずのお薬を長い間、飲んでいるのによくならないのでしょう。

「漢方薬は何のために飲みますか?」

「病院のお薬は何のために飲みますか?」

答えは当たり前ですが「病気を治すため」「健康になるため」「元気になるため」ですね。

この「治る」という言葉。

実はいろいろな意味合いがあります。
「治る」には、いろいろな意味合いがあるゆえに患者さんと医者は、とんでもないすれ違いをしていることがあります。

慢性病に対して病院のお薬の大半は、対症療法とよばれるもので治療します。
これは、薬の効果時間だけ、ある特定の症状を抑えたり、なくしたりできることです。

薬の効果時間が切れれば、症状は何事もなかったように復活します。
そして、また、お薬を飲めば、効果時間がある間は、症状がない。
そして、また、薬の効果時間が切れれば・・・・

と、お薬を飲み始めた初期で治らなければ、後は【薬を飲む→薬の効果時間が切れる→症状再発→薬を飲む】の繰り返しの無限ループ。

正確には無限ループではないですね。
薬は肝臓に負担を与えたり、薬自体に身体が慣れていったりするので、長期間、飲み続けていたら、効かなくなってきたりします。

そしたら、新しい薬の追加です。

医者側としては、慢性病に対しては治療方法がほぼ対症療法しかないので、薬の効果時間が続く間だけ症状がなくなることが「治った」という定義になるのかな?

対症療法の薬。つまり「その場しのぎの薬を続ければ慢性病が治る薬」で慢性的な疾患が根治するのか、僕にはその理論が分かりません。(ひょっとしたら、りっぱな理論があるのかもしれませんが)

要するに医者側の「治った」は医者の考えがどうであれ、結果的には薬を飲んで効果時間の間だけでも症状がなくなれば「治った」になります。

ところが、患者さんの「治った」は違います。
患者さんが病院に行って「治してもらいたい」のは、しばらく通って、薬を飲んだり、手術をすれば、後は薬をやめて普通の生活に戻っても問題ないというのが患者さんが考えている「治った」です。

病院の人工的な化学薬品を一生飲んでいれば、「治っている」ことになるとは思っていません。

だから、現状では、医者と患者さんの「治った」の思惑はすれ違っているわけです。

ある記事で、こんな話がありました。

高血圧の患者さんに降圧剤を処方するのは、ごまかしでしかないのではないかと、降圧剤は、一生飲んでおいた方がいいと言われることが多いが、元々の原因を辿れば、老化だけでなく、生活環境の中や自分の体質などに問題があり、それが積もり積もって高血圧という結果になっただけだと考えられる。

元々の高血圧の原因は「降圧剤を飲まなかったこと」ではない。
そう考えれば、降圧剤を処方して、月並みな塩分を控えて程度のアドバイスしかしない医者は、問題を誤摩化し先送りしているだけではないか?

緊急用に降圧剤を持っておくか、ないし、ごく短い時間試してみるのは、必要かもしれないが、その人自身の原因を探る相談をしないで、塩分を控えるという誰でも知っている一般論だけを話しているのは、治療どころか、却って本当に治ることを邪魔している。

という話でした。

確かに病気は感染や怪我、はっきりと遺伝的な原因だと分かるもの以外のほとんどの慢性病は、その人の体質とその人を取り巻く環境(食事、仕事、ストレス、住む場所など)が混ざって引き起こされます。

なので「薬を飲み続けない治療」を行うのであれば、そこの部分をひとり、ひとり、徹底的に話し合わないと患者さんの望む「治る」にはならないのです。

漢方は患者さんの「治った」と考えが一緒です。
新薬的、サプリメント的な発想で処方している漢方は別ですが。

漢方薬をやめても、病気が再発しない。
目指すべきところはここ。

ただし、漢方でも問題は一緒で「漢方薬だから飲み続けなくても治る」ということはありません。

やはり、そこは、体質、生活の中から病気の原因。
漢方では病因というのですが、これを見つけ出し、なおかつその人の生活リズムや性格に合った方法で治していかないといけないのです。

この時にも西洋医学では、病気の原因を1つに絞ろうとしがちですが(高血圧=塩分の摂り過ぎなど)

漢方は、病因と考え、病因は1つではないのです。
因子ですから、人によってたくさん存在しているのですね。

慢性病で原因がたった1つなんてまずありません。

それを体質を分析、生活のことや考え方などもお聞きして同時に治療していくのも漢方の治療です。

だから、最終的には、漢方薬をやめても再発しない「体質」になることができるのですね。


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2013年02月20日

体質にあった漢方薬の探し方

漢方薬は体質に合わせて選ぶといわれていますね。

では、体質に合わせるとはなんぞや?ですね。

厚生労働省監修の「一般用漢方処方の手引き」の序文には、「漢方薬は漢方治療の原則に基づいて、証にしたがって、使用すべきものであり、その使い方を誤れば十分な効果は期待できない」というようなことが書いてあります。

また、医者が使う「ツムラ医療用漢方製剤」というマニュアルには、医療用漢方製剤の「適正使用」に基づく重要な注意にあるように「患者の証を考慮して投与すること」。効能・効果、使用上の注意は補助的な情報です。とあります。

どちらにも漢方薬は「証」に合わせて使用することとなっています。

ところが、ほとんどの病院はこの「証」を考えずに勝手に「病名」で漢方薬を処方しています。
補助的な参照に留めることと書いてあるにも関わらず効果は何かを考えて処方します。

「証」というのは「病名」ではありません。

「病名」は西洋医学の理論や検査方法にのっとって診断されるもので、
「証」とは東洋医学の理論や分析方法にのっとって診断されるものです。

そう、「証」とは体質とも言えるし、日本漢方では体質を構成する1つの要素ともいえます。
また、「証」は「あかし」でもあるので、自分が患者さんに選んだ、ある漢方薬の「根拠」でもあります。

体質にあわせた漢方薬というのは、体質である「証」を導き出し、その体質と判断したという「根拠」を出して、その理論にのっとって選んだ漢方薬ということですね。

ちょっと、ややこしい。

よーするに「体質=証」「体質≠病名」です。

じゃあ、あなたに最適な漢方薬を選ぶために、まず体質を導き出すには、どうすればいいのか?

それは、自覚症状や現在のあなたを取り巻く環境、過去の病気、家族の病気、食生活などをお聞き、症状などのいろいろなことをたくさんお聞きします。

いろいろな症状が情報として出てきたら、今度は、東洋医学の証(体質)を整理する理論に基づいて分析していくのですね。

ここで、誤解している先生がいますが、いろいろな症状を漢方薬のマニュアル見ながら、あてはめるのではありません。

「葛根湯は頭痛、発熱があって肩が凝っていて・・・だから葛根湯!」ってバカ。
そんな風に当てはめるではないのですね。

バラバラな自覚症状などの情報を整理し分析するのです。

そして、あなた特有の体質を判断します。

これで終わりじゃないですよ。

次に「証(あかし)」を立てないといけません。
それは、なぜ、その体質だと判断したかという根拠を説明できるようにしなくてはいけません。

それは具体的な根拠が必要です。

例えば、ニキビやアトピーで悩んでいる方の体質が、上焦の熱証、水毒証と判断したら、その状態を全部を中和し元に調整する漢方薬を原則は【1つ】選びます。
(体質によっては1〜3の体質が重なっていて2種類くらいの漢方薬を使うこともあります)

上焦の熱証は肺から上に熱がくすぶっている状態を示しますが、これをよくしていくには、熱を発散させるか、熱を身体の下へ降ろしていくか、冷やすかといった方法をとります。

水毒証は水の巡りが、うまくいっていない状態です。
身体の表面にたまっているなら表面の水を取り除く、下半身に溜まっているなら、腎に誘導する。
腎自体の水分代謝機能が弱っているなら、腎の機能を高めるなどをします。

根拠は更に具体的にする必要があります。

それは、どういう症状がどう変わっていくと判断しているのか?
ニキビの赤みがひいてくるとか、夜のオシッコがなくなり、昼間に何回か増えてくるとか、のぼせ感がなくなり、新たなニキビができなくなるとか。

それが、次回に飲み終わった時にどうなっているか、確認し、そのまま、今の漢方薬を続けるか、変方(漢方薬の種類を変更する)するかの【根拠】にします。

病院の薬は基本、1つの症状を抑えるようにできています。
また、体質の分析もなにも関係なく、はじめから、どんな効果なのかが決まっています。
1つの症状がなくなるか、なくならないかのみ。
だから、未来の変化を推測する必要はないです。

効くか、効かないかだけですから。

しかも、その効くか、効かないかは医者が推測するのではなく、発売される前に製薬会社が臨床(実験みたないもの)を行って、どんな効果を決めて、それを厚生省が認めて、その後に使っているのですね。

ところが、漢方薬はあらかじめ効果が決まっていません。
また、同じ漢方薬でも使う人の体質によって、効果も変わってきます。

なので、一人、一人の証である根拠を立てないといけないのですね。

この「証」をたて「証」にしたがって漢方薬を選ぶ漢方薬は絶対ではありません。
根拠があって、理論的に説明されたら、それが合ってるんじゃないかと考えがちですが・・・

あくまで漢方は、治った時が結果的に漢方薬が体質に合っていたと判断できます。

だから、病院のお薬のように「この薬は●●の効果があって・・」というのは事前には成り立たないのです。

この原則は、いくら世界一の漢方の腕をもっていても同じです。
あくまで結果。

だから結果がよかったか、どうかを確認するために「証」(根拠)が必要なのです。

だって、仮に「病名で選んだ」(漢方理論からはあり得ませんが)ということが根拠だったら、その漢方薬が合っているかどうかを確認するためには、「病気が治ったかどうか?」という曖昧で適当な確認方法になるので、症状に変化がなかろうが「飲み続ける」と選択肢しかなくなりますから。

うちでは、患者さんが、漢方薬を変更した時に普通にこう聞かれます。

「今度の漢方薬は、合っていたら症状がどうなります? また合っていなかったら、症状がどうなりますか?」

当然、「証」を考えてから漢方薬をお渡ししているので、
「合っていたらこうなる」「合っていなかったらこうなる」と説明し、できれば変化に注意して教えてくださいとお願いしています。

だから、患者さん側も漢方薬を飲んでいても不安な場合は、処方してくれた先生に、「証」(どんな漢方的体質と判断したか?)、「証」(その体質を判断した根拠は?)の2つの「証」を聞いてください。

根拠がしっかりしていたら、次回の治療につながります。


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2013年02月14日

病院で病気だと言われたら手遅れかも!?

検査でもひかっかてないし、病院にいく必要がないから「病気じゃない」と思っている人がいますが、
病名が診断された時点ではやや手遅れだと思ったほうがいいです。

身体は毎日。体内の潰れたところを修復したり、乱れた神経を調整したりと僕らの知らないところで、いろいろとお直し(治癒)をしているのです。

ちなみにガン細胞は誰でも毎日できていて、それを免疫が潰してくれています。
その状態がちょっとした体調の変化で免疫がガン細胞を見逃し、10年位経った時にガン細胞が十分に成長し自覚できるようになって病院で「手遅れのガン」だとわかります。

病気とは、見えないところで、がんばってる状態がどうしようもなくなって、表にでちゃった状態。

だから病院のお世話にならないといけない時点で実はちょっと手遅れ。

人間の身体は複数の化学システムが同居し、それらが協力しあって1人の身体を動かしています。

わかりやすく例えると車ですね。
車も、いろいろな機関が合わさって車を動かしています。
エンジン、シャシー、タイヤ、電気系統、大きなグループでいえばこういったものが連携して車がちゃんとコントロールできるようにしてくれています。

もっと細かくみていけばプラグやベルト、ファンなど細かな様々な部品が思うようにコントロールできるように組み合わされているのです。

車を運転していて「なんとなくアクセルの吹かした後の音がおかしい」
「ハンドルがやや重い」「ブレーキが若干だけど反応が遅い」感じたら。

これらは、気のせいではなく、僕らには見えないですが、細かなところでは部品の劣化などにより、システムが少しずつ悪い影響を受けているのですね。

漢方でみている「症状」とか「体質」はこういった細かな変化です。
まだ、はっきりと何かが起こっているわけじゃない。

この時点では、余程、豆な人でない限り車を修理には出しません。
僕は職業柄もあるのか、違和感を感じた時点で検査してもらいますが・・・。

次に「アクセルを吹かしても進まない」「タイヤがパンク」「ブレーキが効かなくなる時がある」
これらは、誰でもわかる故障です。

完全にダメになってるのがわかる状態。
これが、病気の診断が下った状態。

今は病気じゃないから「気にする必要はない」と考えている人は、完全に故障するまで待ってるといった感じ。

車は故障すれば、パーツを交換すればいいですが、人間のパーツは交換できません。
IPS細胞とDNA解析がもっと進んだら可能だろうけど。

とりあえず今は無理!

初めの「なんとなくおかしいな」と感じた時に検査して調整してもらえば、交換までする必要なく、簡単な調整だけで治ることが多いのですが、完全な故障までいくと運が悪いと「あちゃー、これ致命的だわ、車ごと買い替えたら?」ってなります。

故障した時に買い替えまで行かないなんて誰も保証できませんからね。

漢方の古典のお話の中で扁鵲という名医の話があります。
ある日、魏の文公が扁鵲に
「お前達の3人兄弟の中で一番優れた医者はだれであろう?」と問われました。

扁鵲は「長兄が一番優れ、次に次兄、私が一番下手です」と答えました。

文公がその理由を問うたところ、扁鵲はこう答えました。

「長兄は神気を診て、病気がはっきりとした形をとる前に治してしまいます。なので長兄の実力は家族しか知りません。
次兄は、病気を膏こう(身体の深い部分)にある内に治してしまいます。だから村の物しか次兄の実力を知りません。
私ときましたら、表にはっきりと形をとった病気に対して血脈に鍼を刺し、劇薬を投与するので、私の名前は遠く諸公に聞こえてしまいます」

と話しています。

扁鵲は兄に対して嫌みで言っているのでもなんでもなく、病気かどうかわからない芽の間に治してしまうことこそ、まことの名医だと言っています。

そして、同時に、病気じゃない未病を治す人は、治療が派手じゃないので、目立たないともいっているのですね。

車でも人間の身体でも、かすかな違和感は、何かの前兆なのです。
その間に治してしまうのは、簡単ですし、患者さんも名患者さんでもあります。

派手で誰でもわかるようになった病気の状態は、治すのに手間がかかるし、下手をすれば手遅れってこともありますよ。

漢方薬を病気(病名の診断が下った状態)を治すための新薬の代わりの自然バージョンみたいに扱っている医療機関が多いですが、漢方は、細かな変化をお聞きして分析し、それを調整して治すものです。

病名に対して治療するものではありません。
また予防するものでもなく、一般の人や西洋医学では発見しずらいレベルの不具合を見つけ出し調整し治してしまいます。

もちろん、現在、病気でも細かなところから、立ち直していきますよ。



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2013年02月12日

漢方薬は1つの原因だけを治す事はできない。

頭痛を治すためには痛みを止める鎮痛薬。
胃痛という症状を治すためには、胃酸を抑える胃の薬。

西洋医学では、1つの原因を特定し、その1つの原因を抑える(治す?)薬を使います。

なので病院では、いろいろな症状があると、鎮痛剤+胃の薬+睡眠導入剤など症状を訴えた分だけ増えることがよくあります。

ところが、日本漢方では西洋医学とは逆で、1つの漢方薬で1つの症状だけをなんとかするというのはできません。
言い方を変えれば日本漢方は、1つの漢方薬で1つの症状だけをなんとかするものではないです。

なぜか?
それは西洋医学と漢方の治療の考え方の違いにあります。

西洋医学の治療は、ほとんどの治療薬が対症療法といって症状を抑制したり緩和するのが目的です。

簡単に言ったら対症療法とは、お薬が効いている間はそのお薬のターゲットとなる症状は、弱くなるか、なくなりますよっていうことです。

効果時間はお薬によって変わりますが、例えば鎮痛剤で2時間の効果があるお薬なら2時間は痛みが抑えられ、効果の時間が切れたら痛み復活!

とりあえず今の症状に対応するということですね。

漢方でも対症的に使う漢方薬はありますが、急性以外は滅多に使うことがありません。
漢方の場合は、例えば痛みなら、●●漢方薬と確実に決まっているわけではありません。

例えば芍薬甘草湯は構成されている生薬が芍薬と甘草の2つなので、効果もわかりやすく、漢方では「構成される生薬が少ないほど効き目はシャープ」という法則があるので西洋医学のお薬のように1つの症状だけに使うことができます。

ただし、このお薬。
西洋医学のお薬の自然バージョンじゃありません。
あくまで急性の痛みにも使うというだけで、そこは漢方薬。
体質は選びます。

どんな体質の人にでも効くわけではないのですね。
痛みでも筋肉の緊張や気の緊張からきている痛みなら、痛みという1つの症状だけで効かすことができるのです。

漢方薬ではこういった、体質をみないで使えるお薬というのは非常に少ないです。
風邪系の麻黄湯、葛根湯、桂枝湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯などは別として、急性の1つの症状に使えるのは、あと五苓散、人参湯、香蘇散などそれほどたくさんの種類はありません。

ちなみに、これらの処方は痛みに使うのではありませんよ。
使い方は秘密です。(急性に使う時は危ないからね★)

さて、話は戻りますが西洋医学のお薬が1つの症状を抑えたりできるのは、その症状にターゲットを絞ってるからです。

頭痛が起こる時は、痛みにつながる物質が身体の中で分泌されます。
それを薬の力で抑えてしまうのですね。
痛みにつながる物質が抑えられれば痛みが起きない。という理論。

これは、体質関係なく人間の痛みの構造を研究し、その痛みに対してだけ、なんとかなるように薬を作っています。
西洋医学の場合は体質別の個人ではなく「人間」の痛みとして見ていますので、痛みが起こるメカニズムは「人間」であれば皆、同じだという前提にもとづいています。

だから、「人間」の痛みという1つの症状に効くようになってます。

漢方の場合は西洋医学とは根っこから治療の考え方が違います。
漢方の場合は、人間の身体の構造を調べた結果、それを変える成分が漢方薬にあるわけではありません。

漢方では痛みも一人一人違うメカニズムで起こっていると考えます。
痛み物質は関係ないんですね。

漢方は身体全体をみて健康を保つバランスが崩れているので、それを正常に整えることが目的で1つ1つの症状に対応しません。(漢方をしている先生でも勘違いして1つ1つの症状に1つ1つ漢方薬で対応していることもありますが・・・)

頭痛や胃の痛み、にきび、咳などは、バラバラに存在しているのではなく、全ての1人の身体で起こっていることだと考えるので全体を捉えようとします。

そして身体全体を整える漢方薬を合わせることによって結果的に頭痛や胃の痛みなどがなくなるのですね。

漢方では治療の考え方が西洋医学と全く違うので、1つの症状だけをとることや1つの原因だけを取り除くことはできないのです。

頭痛では、ある体質の人は、水の巡りの問題。
ある体質の人は熱が身体の上部で溜まってしまう問題。
など、いろいろな体質によって様々です。

西洋医学のように体質関係なく「人間」の痛みの物質に対応するのではないのですね。

漢方薬ではプロラクチン値を下げる漢方薬とか、頭痛だけを止める漢方薬とか、
女性ホルモンを活性化させる効果の漢方薬とか、そんな部分的な事をなんとかするものは存在しませんし、そうやって使っているのであれば、思いっっっっきり!間違っています!!

現在の体質はどんな体質でその体質を整える漢方薬は何か?
それが合っていれば結果的に身体全体の症状がよくなってきます。


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2013年02月05日

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)とうちの漢方の違い

ネットで婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)を買おうか考えてみたけど、一応、専門家に相談してからにしてみようと思った。

「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)とまごころ漢方さんの漢方はどう違うのですか?」

この質問、めっちゃ多いです。
なので今回は、このご質問にお答えします。

まず、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)とはなんぞや?
という方のためにちょっと説明すると、

イスクラ産業というメーカーが出してる女性の更年期障害や頭痛、腰痛、月経トラブルに良いとされているものです。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は、どちらかというと「生薬を組み合わせた医薬品」です。
よく似たもので不妊症に良いとされているタンポポ茶などは生薬のサプリメントです。

漢方薬は1種類〜複数の生薬で構成されたものです。

「それだったら、さっきの婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)も複数の生薬で構成されているのではないの?」と思いますよね。

はい、一緒です。
でも違うんです。漢方薬とは全く。

何が違うかというと、東洋医学の裏付けがあるかどうか。
そして、この裏付けがあるかどうかが漢方治療にとって最も重要。

漢方薬というのは、体質を分析し体質を診断してから漢方薬を選ぶのです。
漢方薬の効果から勝手に選びません。

例えば、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は四物湯という漢方薬にオウギ、トウジン、ブクリョウ、カンゾウ、アキョウという生薬が混ぜてあります。

これは本来の昔からの漢方理論にない処方です。

要するにメーカーさんが考えたオリジナル構成なんでしょう。

メインになっている四物湯は血を補い、皮膚などが乾燥しやすい燥証があり、血虚による精神的な症状も含まれる体質です。

これに滋養強壮と皮膚利水の黄耆、潤し滋養強壮するトウジン、水を巡らせるブクリョウ、止血のアキョウ、それにいろいろな生薬のバランスをとるカンゾウ。

婦人系トラブルならこれくらい入ってたらいいでしょ的な感じ。

「えーなんかいろいろやってくれて、よさそうですね」
って思っちゃいますね。

でも根本的にダメなんです。
漢方薬は効果のあるものが、たくさん入っているから効くのではないのです。
そんな単純ではありません。
それが効くんだったら、生薬全部いれたものが良いはずですから。

体質にあっているものだからこそ、体内バランスが調整されて効くのです。

わかりやすく単純に説明すると、漢方薬は熱がたまっている人には熱を冷ます薬をあわせて、熱がなく冷えている人には、温める漢方薬を合わせるのです。
だから、効果がよいものだったら、なんでも入れちゃうは逆に誰にも効かないものになってしまいます。

個人的にこの婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は温める、留める生薬系が中心なので、熱症状中心の体質に人にとったら逆効果ですね。

要するに生薬を適当に組み合わせれば漢方薬になるのではなく、体質の分析方法や、その体質にあう漢方薬を選ぶ根拠など東洋医学ルールのことを「漢方」というのですね。

だから、生薬をいくら組み合わせても、そこに東洋医学的ルールがなければ漢方ではないのです。
ただの医薬品、ただのサプリメント。

で、うちの漢方と婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)の違いはどこで出てくるか?

それは、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)で1ヶ月飲んで治らなかった時。

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は当帰には●●な働きがあって、こんな症状の人が改善されますとか説明されていますが、これは体質を分析しているわけではありません。

生薬の効果の説明をしてるだけ。
誰にでもあてはまる症状を並べているだけなんですね。

あなただけの症状ではありません。
他のサプリメントも一緒です。
「●●な成分が●●な効果がある。だから治る」みたいな説明。

でも、これってどれも体質分析してません。
だから、説明されてるのを信じて飲んでみても、治らなかったらそれでアウト。

売ってる人に治らないんですけどって相談しても「じゃあ2倍飲んでくれ、効くから」って言われるだけ。

でもちゃんとした漢方薬(うちの漢方と言っときます)の場合は違います。
ひとりひとりの体質を分析します。そのひとりひとりに合った漢方薬を選びます。

漢方薬は事前に絶対効くとわかっているものではありません(漢方薬に限らず実際に事前に絶対に効くものなんて存在しませんよね。病院の薬だって効かないときは効かない)

漢方ってのは、結果論なのですね。
「治れば体質に合っていた」と後からわかるのです。

だから1ヶ月後に効果が感じられなくても心配ありません。
なんらかの変化はあるのですね。(全てがよいとは限らない)
その変化の結果から、より合っていると考えられる漢方薬に微調整していくのです。

これを変方といいます。
漢方薬は500種類以上あるので、微妙な変化を観察すれば、より合っているものにルールにのっとって変更できるのです。

なので、うちでは、はじめに患者さんの気になっている症状だけでなく、客観的な今後の体質の観察に必要なたくさんの問診をとるのですね。

そこから、何が良くなって、何が変わらなくて、何が悪くなったかなどをみていきます。

ところが、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)の場合は、更年期によい、頭痛によいだけで体質分析されてませんので、自分が勝手に良くなると思った症状が良くならなかったらそれでアウト。

何がよくて何が変わらなくて、何が悪くなったか、などわかりません。
良くなったかどうかのみ。(しかも客観的な症状全体ではなく自己判断の症状のみ)

ダメだったら終了。
いちかばちかの賭けですね。

サプリメントは全て、この感じです。
タンポポ茶も同様。ダメだったらアウト。
なぜ、タンポポ茶だったらダメなのかの理由なんて、飲んだ後も何もわかりません。

理由がわからないので、次をどうすれば良いのか?
ルールがありませんので次につながりません。

うちの漢方は、初めに体質と治療方針、治療戦略をだして、それにのっとって治療します。
ダメだったら、治療方針と戦略をどう変えていくべきかを検討し、漢方薬を変更していきます。
これだったら次につながります。

飲む期間が長くなるほど、いろいろな情報がわかってくるのですね。

だから漢方(東洋医学理論)の治療方針や治療戦略のない「ただ効果がありますよ」というものは漢方薬ではなく漢方的サプリです。

お試しと割り切るならいいかもですね。
もしくは、しっかり相談するのが煩わしいという方。


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2013年01月25日

サプリや薬の決定的な弱点と漢方薬の弱点

最近、不妊治療専門の病院では半ば強制的にサプリを売りつけているらしいです。
それも、薬業界的に見たら、ちょっと前に流行った古くさいやつ。

まーちょっと前まで、当の医者自体がサプリを「そんな怪しいものやめてしまえ」って患者さん叱りつけてたくらいですから、サプリの取り扱いでいうと【新人さん】なんですね。
急に儲かるからって、やり始めたところでサプリのことわかるわけないですよ。

うちの患者さんもサプリを「知らないうちに」といってもよい状態で買わされているのを見て、これは、ちょっとサプリの事を書かないといけないと思った次第です。

サプリのことを話す前に知っておいてもらいたいのですが、
僕は漢方医の前はサプリのエキスパートといってもよい人間でした。
サプリを原料から仕入れてパッケージを考えて薬局などに売ってもらうってこともやってました。

なので、サプリは裏の裏側まで知ってます。
あっこれだったら表ですね。

サプリの裏側を知ったからこそかもしれませんが、僕はサプリはあんまり好きじゃありません。
なぜなら、勧める先生が信じてるほど効果も意味もないから。(使い方にもよりますが)

ただ全部が全部悪いわけじゃないです。
8割は「屑みたいな粉」だろうけど、中にはちゃんとした効果があるものもあります。
うちでも厳選に厳選して、いくつかは店に置いておすすめしています。

ただしいくらよいサプリでも漢方薬と比べると使いにくいです。

現在のサプリは自社製品を売りたい会社が自分のところで良いとされる成分を分析したり、良い結果を臨床で出したりして、それを効果がある証拠としておすすめしています。(薬事法的にサプリは効果を標榜できない。というくだらない【法的建前】の話はとりあえず置いといてください)

効果の証拠がある。
大いにいいことですね。

ところが、この効果は本当かどうか怪しいのです。
なぜなら、そういう結果が出るように実験しているとも言えるので。

そして、自社であろうと公的機関の臨床であろうと、会社がお金を払って、そういった所で良い資料を出してもらうようにするのです。
だって、大学に臨床を頼みにいったこともありますから。

ちなみに医者が扱うサプリは、この建前上かもしれない資料が多いものほど好みます。
「臨床で出てるんだから間違いない」ってやつですね。

では、これらの決定的な弱点を発表します。
それはサプリに限らず病院のお薬も含めてですが【良い効果の理論しかない】ということ。

「えッ薬なんか副作用という悪いものがあるじゃないか」
と思われるかもしれませんが、ここで言うのは副作用のような「一定の悪い効果が出る事がある」といった偶発的なものではないです。

ちょっと表現が難しいのですが、漢方薬と比べるとよくわかります。

例えば不妊で使われるサプリ「たんぽぽ茶」(これは漢方ではないですよ)
効果は視床下部を刺激して女性ホルモンを活性化してくれるとか足の冷えを温めてくれるといってます。

そして病院のお薬。
例えばステロイドは湿疹などの炎症性の皮膚炎ならサーっとキレイにしてくれます。薬が効いている時間だけは・・・。

この2つは漢方に比べて大きな問題があります。

それは、その効果通りにならなかった場合に起こります。

お薬もサプリメントも主張は「体質に関係なく誰にでも●●な効果がある」という主張。
副作用が出た場合はやめるだけ。

漢方との大きな違いは医者の主張通り、またはサプリ会社の主張通りの効果がなかったら、そこから進まないこと。
効くか効かないかの2択ですね。

わかりやすいといえばわかりやすいですが、賭けっぽい治療ですね。

じゃあ、そのサプリや薬で思ったような効果がなかったらどうするか?

これは医者もサプリを中心にやってる漢方薬局もやり方は一緒です。
「効くはず・・・」と同じやり方、薬をゴリ押しか、
その物の量を増やしたりして効果を強める。
後、3ヶ月! タンポポ倍量! ステロイドのランク上げて強さ倍増!

それでもダメだったら、複数攻撃。
「こんな●●な原因もあるから」と揚げ足取るみたいに原因引っぱり出してきて他のサプリや抗アレルギー剤を出してきます。

結局、「強めたらなんとかなるんじゃないか」の1点バリッ!

なぜ、効かなかったのかの理由がわからない。

う〜ん単純。
僕はこのサプリや病院の薬の「芸のなさ」が嫌になりました。
2つとも、使い始めから、うまくいけばいうことないですが、うまくいかなかったら、それで詰まるのです。

極端かもしれませんが、良くならなかった場合に、こんな単純なアイディアしかないのであれば、ネットでどんな情報でもとれる時代ですから医者もサプリ売りの先生もいりませんよ。

漢方は違います。

元々、漢方は「誰にでも効く効果」で選ぶわけではありません。
体質を分析し、それに合っていると思われるものを選ぶのです。

漢方薬の場合は「良い効果だけのもの」はありません。
冷えの強い体質の人には、温めるものが中心の漢方薬が合っていて、
熱の強い体質の人には、冷やすものが中心の漢方薬が合っている。

漢方の場合は、体質を分析し漢方薬を合わせていくのに理論がちゃんとあります。
「効果が出ると考えられる体質」
「効果が出ないと考えられる体質」
「逆効果になるかもしれない体質」

初めから誰にでも良い効果が出るといわれるものはありません。

だからうまくいかなかった場合でも、初めの体質の分析が誤っているからか、周りの環境の影響があってうまく調整できていないのか、もう少し続ければ変わってくるのかといった、
「効果がなかったりダメだった場合に分析する理論」があります。

漢方の先生の分析やアイディア次第でいくらでも再チャレンジできます。

だって、500種類以上ありますから。

逆にここが医者やサプリ好きの漢方薬局に嫌われるところですね。
病名だけで処方できないので、毎回、その人ごとに戦略を考えないといけない。
一人ずつ別々に治療のためのアイディアを出さないといけない。

漢方薬の弱点はここです。
決まった効果がないのです。
同じ漢方薬でも体質によって反応がコロコロ変わるのです。

サプリや病院の薬と同じ方法(病名処方)で漢方薬を処方すると、ちっとも効かないのはソコです。

ちなみに東洋医学的体質分析せずにツムラの漢方薬を出してる病院は、こういった戦略的に漢方薬を選んでいないところが多いですよ。

処方するのが「新薬かサプリ、または漢方薬」ってだけで発想は、さっきのサプリや新薬の「病名に対して決まった効果のものを出す」という方法でやってますから。

僕が不妊症の方にタンポポ茶を出すのをやめたのは、メーカーの人に、
「誰だったら使っちゃダメか? どうなったら使っちゃダメか?」
と聞いたときに「不妊症なら誰でもよいですよ」っていったから。
そんな「いい加減な理屈」は漢方の理論では存在しないので、やめました。

一時、まだわからなかった時に実践で使っていたので、迷惑かけちゃった患者さんもいます。ごめんなさい。

理論を掘り下げていくとサプリはもっと漢方薬との違いがあるのですが、それはまたの機会に。

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2013年01月21日

あなたに劇的に効いた漢方薬をそのまま友達にすすめちゃダメ!

ずっとずっと困っていた悩みが漢方薬で解消されたら・・・
それも劇的な効き方で。

こんな経験をして自分と同じような境遇の人にあったら、
思わず漢方薬を勧めたくなりますね。

でも、ちょっと待ってください。

それには、絶対やっちゃいけないこともあります。

うちで以前に乳児の喘息を漢方薬で治してあげたことがあります。

その時にそのお母さんが、他府県のママ友さんで、
同じような悩みをもっている人がいるので、
「うちの子がよくなった漢方薬(具体的な処方名)を勧めますね」とおっしゃられたので、
それはやめてくださいとお話しました。

「病院のお薬よりも※漢方薬がいい時もあるよ」と「※漢方薬」を治療ジャンルの1つとして、
お勧めされるのはいいですが、具体的な処方名を伝えて「それで治ったよ」というのはよくないです。

なぜなら、漢方薬は、ひとりひとりの体質に合わせるものだから。
自分が治った処方。例えば柴胡桂枝湯が他の人にも合うとは限りません。

病院の新薬やサプリは、なんかの成分(ジクロフェナクナトリウムなど)が、どっかの臓器(胃や肝臓)器官(血管や神経)に効いて治しますって理屈です。
だから体質なんか関係なく「人」だったら効きます。理論的には。

でも漢方薬は、なんかの成分が、どっかの臓器や器官に効くわけじゃありません。
(漢方薬も、そんな理屈で効くと思ってる医者もいますが)

漢方は体質を分析して、健康を形作っている要素のバランスの崩れを見つけ出し、そのバランスの崩れを調整して本来の良いバランスに戻します。
そうすると健康になるって寸法です。

喘息という病名のくくりが一緒でも詳しくみれば、ひとりひとり体質は違います。
漢方では体質と合わない漢方薬を飲んだ場合、よくならないのです。

ヘタをすれば、より悪化します。
よかれと思って、すすめてみた漢方薬が実は体質に合っていなくて、よりひどくなる。

本当に仲のいい親友なら、「この前すすめてもらった漢方薬(具体的な処方)を飲んだら、よくなるどころか悪くなったから怖くなってやめたのよ」
って言ってもらえますが、

それほど深い仲でなかったら返事は当たり障りなく、なんとなく誤摩化されて心の仲では「どこがよくなるのよ。余計ひどくなってエライ目にあったわ」ってなります。

漢方薬がひとりひとりの体質に合わせるからといって、常に500種類以上の仲から選ぶわけじゃありません。

喘息を主症状とした体質でよく使う漢方薬の種類があります。

例えばうちでは、喘息の相談で来られたら、
柴胡桂枝湯や半夏厚朴湯をはじめとして五苓散や八味丸など全部で38種類くらいを候補として、そこから選びます。

だから自分自身が何か漢方薬で良くなった場合、正しく勧めるには・・・

「私は柴胡桂枝湯でよくなったけど、後37種類は考えられるから、そのどれか、かもって考えて飲んでみてッ!」って非常に複雑な勧め方になります。

1種類を1ヶ月で飲んでいっても、運が悪けりゃ3年ちょっと飲み続けて、自分にあった漢方薬と出会うかもしれないということですね。

また漢方薬は1ヶ月で効くとは限りません。
1つの漢方薬を飲み続ける期間も体質によります。

さっきの飲み方で2ヶ月ずつ試したら倍の6年ですね。
しかも年月が経つと体質も変わってしまうので、途中で体質に合う漢方薬の条件も変わります。

6年間探し続けて全種類を飲んだから治るとは限りません。

ラッキーに頼るのも1つの手かもしれませんが、
漢方薬を選ぶ際はちゃんと体質を分析しましょう。

友達にすすめる場合は、具体的な処方は、あくまで「自分には合った」と補足しておきましょう。
でないと、いいもの進めても人間関係が静かに壊れていく場合もあります。


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2013年01月15日

病院も誤解している漢方薬の本当の効果

「この漢方薬は、どんな効果がありますか?」
漢方薬をお渡ししたときによく聞かれます。

実は漢方薬に効果というものはありません。

厳密にいうと病院で貰うお薬のような感じの効果はないです。

病院のお薬には効果があります。
胃腸薬なら、胃酸を止める効果があり、その効果で胃酸による胃痛が抑えられます。
蕁麻疹や花粉症ならアレルギー剤にヒスタミンという炎症の元になる物質を止める効果があり、アレルギー反応を抑えて湿疹が出たり、鼻水が出ることを抑えてくれます。

病院のお薬は体質によって効果が、変わることはありません。
人間である限り、効果は一緒です。

病院のお薬には主成分があり、その主成分がどこかの臓器や器官、細胞に効くようにつくられています。
それが効いたら、どんな風に変化するのかもあらかじめ決まっています。
理論上は・・・

病院のお薬で治療していて、なかなかよくならない事を伝えても医者が「この薬で治るはずだけど・・・」的な話しで、そのよくならない同じような治療を続けるのは、こういった机上理論的には治るというのを実践でも、うまくいくはずだと信じきっているからです。

一般的には漢方薬も病院のお薬と同じように考えられることが多いので、
「どんな効果があるのか?」
「どこの部分などに効くのか?」
とよく聞かれます。

しかし、漢方薬は主成分という考え方がないし、ある成分が、どこの部分に効くとか、どんな効果があるといったような病院のお薬的な考えはありません。

中医学では漢方薬の成分を研究していますが、1つの漢方薬に8種類位の生薬が含まれていて、その生薬にさまざなま成分が含まれていますので、何かの成分がどこかの部分に効くと考えるのであれば、1つの処方で膨大なデータになります。

今後、漢方薬を研究するには、そういったことを知るのはよいことだと思いますが、実践では役立ちません。
あくまで実践治療とは関係ない研究レベル。

ちなみにツムラの漢方薬を処方している大半の医者や漢方薬を選ぶための問診(西洋医学と別で)をとらないで漢方薬を処方する先生は、大体、漢方薬の考え方が病院のお薬と同じ感覚です。

何かの成分がどこかに直接的に効くと考えています。

漢方薬は蕁麻疹の人に対して蕁麻疹の元である炎症を直接止めたりしません。
漢方薬が不妊症の人に対してホルモンを直接的に活性化する効果はありません。

漢方薬は体質を整える効果があり、体質が整うことによって、自分の力で治せるようになるのです。

病院のお薬のように研究されて人工的につくられたもののほうが、外部から治してくれそうな気がしますね。
自分の力で治らないから病気になってるのに、自分の力で治せるようになると言われても不安です。

でも、ご存知でしょうか?
病院のお薬も元を辿れば人間の身体の中に元々あるものを人工的につくっているだけなのです。

ステロイドは、腎臓の上の副腎皮質ホルモンから分泌されています。
眠るためのホルモンも脳が自分で分泌します。
痛みやストレスに対処するホルモンも自分でつくっています。
妊娠するためのホルモン剤だって、不妊症の人は、ないわけじゃなく、うまく使えないようになってるだけ。

つまり、遺伝的な難病でない限り、自分の身体は自分で治せるようになってるのです。

漢方薬は、この自前の地球上で最も優秀な、あなただけの治療システムを正常化し、活性化させるのです。
自分の身体は自分が一番よく知ってるのですね。

だから漢方薬は体質にあわせる必要があります。

じゃあ、その体質にあわせるってのは何か?

漢方では、血の巡りが悪くなる状態をお血といいます。
血の巡りが悪くなるのは西洋医学のように動脈硬化で血管が狭くなってるとか、抹消の血管に流れずらいといった原因ではありません。

このお血をよくする漢方薬にはいろいろな種類がありますが、その中の1つに桂枝茯苓丸というものがあります。

この漢方薬の効果はなんですか?
と聞かれたら、肝の気を流し、肝の熱をしずめ、上半身部分の気を身体の下へ降ろし、血の巡りを整えます。

病院のお薬なら血液をサラサラにする効果(厳密には血小板を減らす)で血の巡りをよくしますが、桂枝茯苓丸の場合は、どんな人でも上にあるような効果を発揮するのではなく、
効果で書いたようなのと逆の状態(体質)で血の巡りが悪い人であれば、という条件付きで血の巡りを整えてくれます。

肝の気が流れず、肝が熱をもち、上半身に気が昇って滞っている、血の巡りの悪い人。

漢方が全体の状態を見ないといけないのはこういった理由からです。
だから「血の巡りを整える」といってもいろいろな漢方薬が考えられるのですね。

「血の巡りなら桂枝茯苓丸がサラサラにしてくれる」とか「当帰芍薬散はホルモンを活性化してくれる」といった西洋医学的な発想では、ラッキーでしか漢方薬の効果を引き出せません。

僕が相談で、あなたの体質は、こうこうこうです。と説明しているのは同時にその状態をよくしていく効果でもあるということですね。どこに効くのではなく「全体的に整える」です。


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2013年01月10日

鍼灸って実際どうなの?

鍼灸ってどうなの? 未入稿// seesaa

漢方って西洋医学の治療がスタンダードの医学として馴染んできた日本人にとっては、よくわからない、ちょっと奇妙な医学にうつりますね。

実際、本来の東洋医学理論にのっとって漢方治療をしている病院や薬局は、ほとんどありませんので余計に「よくわからない医学」になってしまっています。
だって、医学の専門家ですら理解できていない人が多いので。

その漢方と同じくらいよくわからない医学に鍼灸があります。

うちは、患者さんから「良い鍼灸のお店があれば教えてもらえませんか?」
とよく聞かれます。特に不妊症の方から。

でも、僕がおすすめできるところは今のところはありません。
おすすめできない理由としては漢方業界が抱えている問題と同じ理由があります。

日本では鍼灸と漢方は業界自体が違うので、僕自身はどこが良くって、どこが悪いのかはわかりません。
なので、いろいろな人から聞いたり自分が体験したことから判断したことをお伝えしたいと思います。

>>どんな人から聞いたかというと・・・
・うちの患者さんで鍼灸院に通っている人、又は通っていた人(複数)
・鍼灸師の知り合い(2人)
・元鍼灸院の受付をやっていたうちの患者さん(複数)
・鍼灸の専門学校に通っているうちの患者さん(2人)
・親が鍼灸院をやっている息子さんや娘さんを僕が漢方で治療した経験から。
・うちの親や嫁さんに店の周りの鍼灸院で実際に治療を受けてもらった経験から。

鍼灸院に通っていた、または通ったことがある人から聞いた話から。

患者さんが鍼灸の先生に漢方薬も不妊治療にいいですか?
ってきいたところ「漢方薬ってどうかな?」みたいな返事が返ってきたらしいです。

これは非常に奇妙な返事だと感じました。
なぜなら、漢方薬と鍼灸は実は一緒の医学だからです。

どちらも、証(体質)を分析し、治療手段として、湯液(漢方薬)にするか、鍼にするか、お灸にするか、といった感じで、最終の治療手段の違いだけで、体質分析するとこまでは漢方薬も鍼灸も全く一緒です。
(厳密には鍼灸の証の出し方は経絡が中心ですが)

だから「漢方薬ってどうかな?」なんて返事が返ってくるはずがありません。

治療の一連の手順を聞いてみても、脈診や腹診をやっていることはやっていますが、どうも証(体質)を分析するためにしているのでなさそう。

どんな風に体質を説明されていました?
って聞いたら、
たいてい「特に体質の事は言われていません。触って硬いとことか、痛いところを聞いて鍼を打つだけです」って答えがかえってきます。

うちの嫁さんと母親にも鍼灸院にいってもらったらことがあるのですが、
「東洋医学と全く関係なかった、マッサージの延長上の治療みたいな感じ」だったらしいです。(嫁さんは漢方というか東洋医学に詳しいです)
店の周りの4つの鍼灸院に関しては、どこも東洋医学を知らないに等しい状態でした。

鍼灸の先生と話してみると、知識的になんとなく東洋医学は知っているが、実践的な東洋医学の理論は理解していない感じです。

学校で習った知識はあるので、説明できるみたいですが東洋医学の実践的知識は断片的で、バラバラ。

治療の一連の手順としては理解できていない感じでした。

これは漢方薬でも同じ問題があります。
病院の先生や薬局の先生のほとんどの人は、断片的にバラバラに漢方のことを知っているのですが、東洋医学の医学理論としては理解していない人が多いです。

なので、説明は漢方っぽくできたりするのですが(病院によってはそれすらできないこともある)治療を考える思考は西洋医学のまんまなのです。

だから、不妊症なら当帰芍薬散とか、体質をみない(みれない?)で病名だけでマニュアル的に漢方薬を処方しているのです。

鍼灸もいろいろと聞いていると「病名鍼」みたいなのがあって、不妊症ならここに打つッみたいなマニュル的な方法でやってるとこが多いみたいです。

でも、それで1つ納得いったことがありました。
僕は鍼灸院をやっている先生の娘さんや息子さんを治療しているのですが、当初、「なんで自分で治療してあげないんだろう?」って思ってましたが、鍼灸の現実を知って納得でした。

ただ、昔に一人だけ僕と一緒の診たての先生がいらっしゃいました。

患者さんは、元鍼灸の受付をしていた女性。
当然、自分が働いていたところの先生は東洋医学の鍼灸は全くダメ。

それで友達の鍼灸の先生に診てもらったらしいです。

僕は、患者さんに漢方的な体質の説明をするのですが、その先生が診たてた証(体質)の説明と僕が診たてた証(体質)の説明が一緒だったらしいのです。

それから1ヶ月後に体調が整い妊娠されました。

だったら、そこを紹介できるじゃないかと思われるかもしれませんが、詳しく聞くと日中は保険適応でサラッと患者さんの数をこなしていて、今回は友達だったから営業時間外にめっちゃ丁寧に詳しくみたから治療が特別だったらしいです。

治療と商売の難しいところですね。

今回は、鍼灸業界とは違う業界の僕が思ったことを書いてるので、間違っている部分もあるかもしれません。

どなたか鍼灸の先生で「素問」「霊枢」「難経」を詳しく勉強されて、治療の際には、ちゃんと証を分析し証の説明(西洋医学的な生理学的説明でない)ができて病名鍼みたいな邪道はやらない先生がいらっしゃったら、うちの患者さんご紹介します。

ご連絡ください。
posted by 華陀 at 19:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月07日

アトピーの根本治療の鍵は自分自身が握っている

新年にアトピーで治療していた患者さんが、湿疹がすごく悪化して、ひどくなってました。

漢方薬自体は年末から変更していないし年末までは、まーまーうまくいっていました。

なんでやろ?
なんでやろと考えていて・・・

「あっ」と思い当たりました。

「ひょっとして餅、食べました?」
もちろん「Yes!」だって正月ですもん。

「あちゃー、言うの忘れとったかな?」と後悔。
そう湿疹の人に餅はあまりよくないのです。

何も餅に毒があるわけではありません。
餅の食性はエネルギーが強く、その影響で湿疹が熱をもって、ドンドン吹き出してくることがあるのですね。

アトピーでは、餅に限らず、甘いものもよくないです。
また、油もの、添加物や刺身などの生もの、牛肉などもよくないです。

こういった食べ物は何が悪いのでしょうか?

アトピーや慢性蕁麻疹などは、体質でみていくと1つの体質であることがわかります。

アレルギー体質というやつですね。

アレルギー体質というのは、何も特別な病気ではなく、誰でもいつでもなりやすいものです。

僕たちの身体の中では、外部から入ってきた余計なものを排除する免疫というシステムがあります。
その免疫が普通の状態より過剰に反応してしまうのです。

それがアレルギー反応。
免疫が過剰に反応しても、すぐに元に戻ってくれればアトピーや蕁麻疹にはならないのですが、
この反応が元に戻らなくなってしまうのです。
元に戻らなくなるのは何度も、頻繁に反応しなくちゃならないというのもあります。

先ほどの甘いものや添加物、刺身や牛肉などは、免疫を過剰に反応させてしまうのです。
特に添加物と生もの。
そして、甘いものと添加物といえば、要するにお菓子ですね。

アトピーや蕁麻疹の治療で漢方薬を飲んでもらっていると、よく「どれくらい続けたら、漢方薬を飲まなくても治りますか?」って質問があります。

お話を聞いていると、どうも漢方薬の何らかの成分がアトピーを治してくれるというイメージがあるみたいです。その成分がどれくらい飲めば治してくれるか?みたいな。
しかし皮膚病は、漢方薬だけでは治りません。

漢方薬は何らかの成分が湿疹を抑えたり、なくしたりするのではなく、湿疹の原因になっている余分な熱を鎮めたり、消化器を強くしたりして、その人に合わせて体質を整えていくのです。

そして漢方薬すら飲まなくてもアトピーや蕁麻疹が再発しない体質になろうと思ったら、最後には自分のアレルギー体質と戦わなければいけないのです。

漢方薬もアレルギー反応を起こりずらくしてくれますが、いくら良くなってきても、今まで通りの食事習慣であれば、漢方薬もずっと飲み続けないといけなくなります。
良くなったり悪くなったりと波を繰り返すんですね。

大元になる原因はアレルギー反応です。

反応なので、要は反応させなければいいのです。
反応させないというのは、先ほどのような物を身体の中にいれない。
食べないということですね。

いかにアレルギーを反応させずにその期間を長く保つか。
これがアトピーや慢性蕁麻疹を根本的に治していくコツです。

うちでは、患者さんと相談しながら、さっきのような物をやめていってもらいます。
中には、いきなり何もかも止めてしまうとストレスになってしまう人もいらっしゃいますので、徐々に徐々に食べなくても平気になるように、すこーしずつ、一緒にがんばっていきます。

ただ、できる人であれば、漢方治療と同時に一切やめたほうがいいです。
結局、何ヶ月か先にはやめることになりますので。

ステロイドも漢方薬も何も飲まないでも湿疹1つ出ない、美肌がいいですからね!

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2012年12月20日

漢方薬はどれくらい続けないといけないのか?

よくある質問です。
これは誰でも気になることですね。

以前にも 漢方薬はどれくらい続ければ効果が出る? を書いたのですが、
今回は人や病気によって続ける期間は変わるのか?その当たりを書いていきます。

病院などでは、「漢方薬は3ヵ月〜半年位で効いてくるやさしい薬」
みたいな説明をしてるみたいですが、この考えがどこから、きたのかが僕にはわかりません。

「漢方薬は3ヵ月〜半年位で効いてくる」なんてことは漢方のどの本にも書いてないのです。だからこれは本当に「デタラメ」です。
また医学理論的にも完全に破綻してます。

ちなみに西洋医学の治療で「どれくらいの間飲めばちゃんと治りますか?」って聞いたら、高血圧や糖尿病なら「一生」、それ以外は「治るまで」ってどうしようもない答えが返ってきます。

漢方の場合、1つの病気や症状にあわせて漢方薬を選びません。
病気や症状を全部ひっくるめて総合的に体質を判断し、1つの漢方薬を選びます。

体質は誰一人として同じ人がいないのです。
漢方薬が500種類以上あるゆえんですね。

みんな体質が違うので、アトピーだったらどれくらい飲めば治りますか?って聞かれても答えられないのです。

ちょっと、ツッコんで考えてみましょう。

皮膚科でアトピーだと診断された人がいます。
アトピーの人は「漢方薬だったら、どれくらい飲み続ければいいのだろうか?」って疑問が湧きます。

そこで、うちなんかに質問。
「アトピーだったらどれくらい飲めば治りますか?」

そして、僕の方の答え。

うちにはいろいろなアトピーの人がいます。
3歳の時から30年間アトピーだった人、半年くらい前からのアトピーの人、アトピー治療で200万円かけたけど、何もよくならなかった人などです。

また、体質からみればアトピーで月経不順の人、アトピーでメニエルの人、アトピーで偏頭痛持ちの人、アトピーで過敏性腸炎の人、などです。細かくみれば症状もっと違ってきます。

そうなんです。
アトピーというのは、あなたが行った皮膚科の病院で診断されただけで、身体全体を見渡したらアトピーだけじゃないんです。(病気だけでなく足の冷えなど症状も含まれる)

病院は、身体をバラバラに見立てて診察するので、皮膚科では、月経のことや下痢のことは見ません。
「婦人科や内科を紹介しましょうか?」ってなります。
もちろん、各「科」で薬も治療もバラバラです。

でも漢方は、全ての病気や症状をお聞きして総合的に判断するので、アトピーだけに処方するわけではないのですね。

そういうことで僕は質問を聞いた時に
「アトピーはどれくらいで治りますか?」って質問されているが、そもそもアトピーといったってどんな体質のアトピーなんだろうか?
湿疹以外には一切、体調の悪さはないのだろうか?
などいろいろ考えるわけです。

アトピーの治療経験はたくさんありますが、今まで、誰一人として一緒の治療がなかったので、体質を詳しく見るまでは、なんとも答えられないのです。

【アトピーという病名 = あなたの体質】  ではありません。

私はA型で男ですが、どんな性格かピッタリあててくださいと言ってるのと同じ。
範囲が広すぎてザックリし過ぎで何もわからないに等しいのです。

うちに来られている患者さんの実際の例から見ても、3ヶ月で治った人もいるし、3年間、通ってくれていて完全になくなるまで治療するといってる方もいます。(アトピー歴33年でパッとみてわかる湿疹自体は8ヶ月でなくなった)

つまり、人それぞれとしか言いようがないのです。

ここから、漢方薬を続ける期間だけでなく【病院でよくやってる病名だけで漢方薬を選ぶ方法】は、いかに漢方を理論的に理解していないかがわかりますね。

治る目安も病名ではなく、体質によって変わります。
選ぶ漢方薬も病名ではなく体質によって決まります。

ただ全く、わからないというわけではありません。
体質と関係のない病名だけで、治る目安を聞かれてもわからないですが、
体質を分析し、1ヶ月ほど漢方薬を飲まれた後の変化を観察することによって、
目安はわかります。

それは、経験に照らし合わせて、このパターンの変化なら、これくらいで湿疹はなくなるぞと推測できるわけです。

アトピー、PMS、過敏性腸炎などの病名だけで、どれくらい漢方薬を続けたら治るのかはわかりません。まー商売的には、3ヶ月でよくなりますよって言ったほうが得なんだと思いますが・・・。(○カ月でよくなります!なんて言うところは要注意!!)

僕は、どんな病気でも、誰でも、なるべく早く漢方薬をやめても再発しないように努力してます。
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2012年12月18日

漢方薬を選ぶことは難しいことではない。

漢方薬は「体質にあわせて選ぶこと」が難しいです。
でも初回に飲む漢方薬を選ぶだけだったら、それほど難しくありません。

病院などでは漢方薬を病名で選びます。
不妊症なら当帰芍薬散か温経湯といった感じ。

病院などが、この2つから1つを選ぶための基準は「前の漢方の勉強会で当帰芍薬散はホルモンを活性化させるって言ってた」からとか「最近は不妊症には温経湯の方がいいらしい」とか、漢方の医学理論とは関係ない曖昧な理由が多いです。

僕は体質を分析するためにたくさんの細かな症状などの様子を詳しく聞いて、そこから体質を分析し、それに合った漢方薬を選びます。

うちでは不妊症の体質が主であれば、漢方薬の候補として当帰芍薬散と温経湯の2種類ではなく不妊症治療の候補薬として大体18種類の中から選びます。

この18種類って「不妊症に効く漢方薬」ではなく「不妊症を主とした体質」によく使われる漢方薬が18種類です。

漢方薬を選ぶのは初回に関しては誰にでもできます。

●病院なら体質を考えないので「不妊症ならこれ!」とマニュアルで選べます。

●うちのように体質を分析して「多分これだろう」と考えて選べます。

●医学知識のない一般の人がネットや本を見ながら自分で「これだろう」と思って選ぶこともできます。

治るか治らないかは別として、誰でも選ぼうと思ったら、どの漢方薬を飲むかは選べます。

漢方薬は西洋医学のような、この病気ならこの漢方薬を使いなさいという決まりはありません。
この病気だったら、この中のグループから選びなさいというものもありません。

自分もしくは漢方医が考えて500種類から選ぶだけなんです。

不妊症の場合、病院は2種類、僕は18種類から選びますが、別にその数に限定しなくても、漢方薬はどんな病気だろうと500種類以上あるものの中から、どれを選んでもいいのです。

選ぶことは簡単にできる。

問題は治るか治らないかは別問題だということ。

漢方は結果論です。
ものすごい漢方の腕をもっている先生だからって事前に選んだ漢方薬で治ることがわかっているわけではなく、1ヶ月なら1ヶ月と一定期間、飲んだ結果、治っていれば選んだ漢方薬が合っていたと初めてわかるのですね。(これは漢方医も一般の方も条件は一緒)

だから初回の選ぶ段階では、誰にも答えはわからない。
だから誰でも選ぶことはできるのです。(ただし専門になるほど治る確率は高くなります)

選ぶことは誰にでもできますが、問題はここから。

初めの1ヶ月が終わって何も変わっていない場合、病院なら2種類のうちの次の漢方薬をためすことになりますね。

当帰芍薬散でダメだったら次は温経湯です。もしくは、いつになるかわからないけど、当帰芍薬散を「よくなるまで飲み続けて」っていうパターン(よくなるまでって、いつなんだよ!って話ですが)

僕は初回に選ぶ際にいろいろな体質のパターンを考え、1種類の漢方薬だけでなく、何種類かを候補として考えています。

1ヶ月後に・・・
●ピッタリと合っていて、いろいろな症状がよくなっているケース。
●何も変わっていないケース。
●ある症状が悪い方に変わったケース。
●ある症状だけが良い方に変わったケース。
●ある症状は良くなったけど、ある症状は悪くなったケース。

これら、様子の変化をお聞きして、次の漢方薬を調整していくのです。
もちろん、初回に選んだものがピッタリと合っていれば、そのまま続けてもらいます。

漢方薬は初回に合っていると思うものを良くなるまでしつこく飲むものではありません。
結果が重要。

1ヶ月や2週間、10日間と一定期間を区切りながら、身体の様子を観察して、微調整を加えていくのですね。

だから漢方薬を選ぶための問診(体質判断)が必要です。
患者さんが気になっている症状が「治ったか?治らないか?」だけを判断基準にすると「飲むのをやめるか」「ダラダラそれを続けるか」になってしまいます。

細かな症状を事前にたくさん聞いておいて、それらを1つずつ観察していくのです。

病院がよくやってる病名だけで選ぶ漢方薬だと「効果がよくわからないのにダラダラ続けないといけない」のはこのためです。

変化を観察し、微調整をしていくことが漢方の真髄ですね。



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2012年12月11日

麻黄湯はインフルエンザに効くわけじゃない

今年は、去年よりも寒さが厳しいですね。
寒さが厳しくなると元気になるのがウィルスちゃん達。

ノロにインフルエンザと感染症が手ぐすねひいて待ってるようで怖い・・・。

先日、ある新聞で病院ではインフルエンザに麻黄湯が効くと書いてあった。
「???」

まーいつもの病院のマニュアル漢方だから、いちいち反応しても・・・
と思ったが、麻黄湯は体質によったらシャレにならない方意も持っていて、
注意しない漢方薬なので詳しく書いてみようと思います。

そもそも、インフルエンザや風邪はウィルスという小さな微生物が身体に侵入して、
あれやこれやと身体を傷つける病気です。

粘膜部分である喉や鼻、気管支にとりついて、ガンガン悪さをするので、
喉痛、咳、鼻水ジュルジュルが出てくるのはこのため。

彼らは、体内に入ってからどんどん増えます。
24時間で100万とか、そんなすんごい数になります。

この場合、病気の原因は風邪・インフルエンザのウィルスなので、
ウィルスがなくなれば、喉痛や咳、鼻水などの症状もなくなるのですが、
今のところ、病院にはウィルスを直接やっつける薬はありません。
(タミフルのみ別、発症48時間未満であればウィルスの増殖を抑える)

当然、漢方薬の中にもウィルスを直接、やっつけるものはありません。
そもそも、風邪に使う葛根湯や麻黄湯が考え出された2000年前は、
風邪の原因がウィルスということすらわかっていません。

では、漢方ではどう治しているかというと「発表」「和解」「補益」という治療方法を使うのです。

「発表」とは発汗などによって汗を出して、それと一緒にウィルスも出しちゃえという方法で「和解」というのは、今風に言えば、免疫を助けて、自分の免疫で始末をつけるといった感じです。「補益」はエネルギーを足して体力をつけて、免疫強化につなげていくといった感じでしょうか。

「発表」「和解」「補益」の方法は、自分が好きなように選ぶわけではありません。
もちろん、ルーレットで選ぶわけでもないですよ。

風邪になってからの期間や主症状、元の体力と今の体力がどれくらいあるか?を症状などを聞いて体質を判断し、それに合わせるのです。

風邪に使う漢方薬はざっとわけると麻黄湯、越婢加朮湯、葛根湯、桂麻各半湯、小青龍湯、桂枝湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、香蘇散、人参湯、麻黄附子細辛湯の11処方から選びます。

細かく言えば、そんなん使わんやろーの大青竜湯や越婢湯。
レアだけども使う事もある参蘇飲。
気管支炎も併発したら麦門冬湯や竹如温胆湯。
喉痛、咳、吐き気が強ければ半夏厚朴湯湯。それからそれからとまだまだあるが、とりあえずよく使うのは上にある11処方。

この11処方、インフルエンザだったら、麻黄湯で、鼻水だったら小青龍湯で。と症状で選ぶのではありません。

漢方では風邪もインフルエンザも同じ病態としてみます。
そして、風邪のお薬をあわせる時のポイントは、ウィルスの勢いと患者さんの体力の程度をみるのがポイント。
どう判断するかはここでは細かく言いませんが、

さっきの麻黄湯から始まって、麻黄附子細辛湯までの順番は、強いお薬から弱いお薬の順番です。(厳密には横並びもある)

漢方では強いお薬はイコール効果が高いという意味ではありません。

「強い変化を与える」です。
だから強い変化のお薬に耐えるだけの体力がいります。

例えていうなら、温めるための弱い変化が「毛布をかけてあげる」なら、
強い変化は「サウナ室にほりこむ!」

つまり麻黄湯は、強く温めてくれて、強い発表作用で発汗、それから解熱の効果がありますが、自分の体力が少なく麻黄湯があっていない場合、強い温めでのぼせ、強い発表作用で脱汗、脱水、体力なくなって、より発熱にもつながります。

ちなみに麻黄湯の中の麻黄という生薬にはエフェドリンという成分が含まれていて、
これは、西洋医学的に麻薬成分でもあります。
医学に詳しくなくても「なんか強くて強烈だな」って感じますね。

なので、インフルエンザに麻黄湯を使うとは限りません。
風邪もインフルエンザも選んでくる11種類の漢方薬は同じ。

選び方は、インフルエンザなら●●ではなく、治療をしようとしている時点の風邪・インフルエンザの勢いや自分の体力や体調にあわせるのがベスト。

麻黄湯は特に子供さんには気をつけてくださいね。
治るどころかとんでもない副作用に見舞われることもあります。
後、高血圧、心臓や脈に問題のある人、胃腸の弱い人も気をつけてください。
また、初めに飲んだ時によくなったとしても長期間飲むものでもありません。

僕たち漢方の専門家の間では、麻黄湯を選ぶ場合は、
かーなーり慎重に選びます。

だから、インフルエンザだったら麻黄湯なんて単純に選べません。
漢方はあくまで体質に合わせる!ですね。


posted by 華陀 at 18:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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