ツムラの漢方はなぜ効かないのか?
と悩んでいたら、先日、ツムラの勉強会に行ったばかりの先生と、この話になりました。
なんと、その勉強会の中でもツムラの漢方薬を実際に扱っている病院の先生が、
ツムラの漢方薬は効きが悪い場合があるので3倍量飲ませてくださいと講演されていたとのこと。
病院の先生も感じてたのね。
みんながツムラの漢方薬は効きが悪いと思ってるとわかったところで、
詳しく考えてみましょう。(あくまで僕なりの個人的な見解ですが)
答えは多分・・・
単純に使っている生薬が安物だからだと思います。
漢方薬は、西洋薬のように工場で人工的に作られるものではありません。
生の植物を扱います。
だから、原料の品質は、モロに影響してくるのです。
これは料理と一緒ですね。
例え、同じレシピでも材料が粗悪であれば、どうしようもない。
ツムラの漢方薬のような保険適応ができる漢方薬は、薬価といってお薬の上限の値段があらかじめ決まっています。
勝手に値上げとかしちゃダメなんですね。
ところが、漢方薬は人工的につくるものではなく自然のものなので、仕入れの値段は変わっちゃいます。
漢方は、中国からの仕入れがほとんどなのですが、この値段が今、バンバン上がってます。
そうすると漢方薬のメーカーとしては、定価の値上げはしちゃいけないけど、原料費は上がっていく・・・。
なので、つくればつくるほど、儲からないということになります。
実際、昔は保険適応の漢方薬メーカーさんは何社もありましたが、儲けがないので、ほとんど撤退し、今はツムラさんと何社かしか残ってません。
更に薬価の値段は年々引き下げられています。
なぜ値段を引き下げるかと言うと保険適応の薬は健康保険の税金を使っていて、医療保険は大赤字だからです。
そして毎年、漢方薬メーカーさんは、売り上げが減っちゃうのです。
そこで漢方薬のメーカーはどうすればいいか?
それは、簡・単・で・す!
原料費を下げればいいのです。
つまり、安い生薬で漢方薬をつくればコストが抑えられ、利益がでます。
もちろん、漢方薬の質は落ちますけど。
後、おそらく一時期つぶれかけたツムラを復活させた現社長のやり方にも秘密があると思います。
現社長は第一製薬というバリバリの西洋薬の出身者。
ツムラの社長として就任された頃、正に倒産の危機でした。
患者さんの健康を思って、漢方薬を理論とともに小難しくやっていたのでは、全然売れなかったのですね。
そこで考えたのが、漢方の基礎理論を一切知らなくてもマニュアル的に漢方薬を処方する方法!
これを徹底!
手術後には、大建中湯。認知症には、抑肝散。など、医者が何も考えずなくても簡単にマニュアルで選べるようにしたみたいですね。
これだったら、医者は漢方の理論を勉強しなくても明日から漢方薬を処方できます!
そのかわり、漢方の知識は患者さんとあまり変わりませんけど。
会社の営業にも「専門的に難しく説明するな、簡単に処方できることで売り込め!」みたいな感じもあったみたいです。
(カンブリア宮殿でご自身がそれで、経営を復活させたと言ってました。経営系のテレビ番組だったので、遠慮なく言ってたのでしょうか)
とにかく、こういった活動によって漢方は難しくないと誤摩化して医師にシステマチックに効率よく気軽に漢方薬をすすめるように動きました。
本当に治すための漢方の医学理論なんて知ったこっちゃないって感じに思いました。
他にもこの前、日経新聞で漢方薬原料に混ぜる賦形剤(漢方エキス以外に必要な顆粒)のコスト減に成功し、売り上げを上げたと発表されていたりします。
よーするに患者さんが治るかどうかより、売れるかどうかという方針でがんばっているのだと思います。
まーそーなれば、難しくて敷居の高かった漢方薬に漢方理論を知らない医者が簡単に手が出せるわけです。
経営の立て直しのために来られたので経営者としては当たり前の仕事ですが、残念ながら、漢方薬は買ったら楽しい商品ではなく、治療するためのものなんですね。
漢方薬は、売れればいいってものじゃありません。
先生と患者さんが一緒になって治療していくもの。
せひ、証(漢方的体質を証明)を一から立てて、東洋医学に基づいて処方する方法を指導してもらえたら、漢方界も良くなるのではないでしょうか。ツムラの漢方薬のマニュアルにも「証を考慮して処方すること」ってありますし。
ツムラの漢方薬に限らず、漢方治療を真剣にお考えの方は、その病院やお店の漢方に対する考え方で選んでくださいね。
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