ようこそ漢方相談室にお越しいただきありがとうございます。
漢方薬の働きや病気・症状の原因を徹底解剖!
あなたの悩みにお答えします。

このブログではあらゆる流派の漢方医学を勉強しサプリメントや病院などの業界の裏側を見てきた経験や知識を活かし私の独断と偏見で思ったことを書いています。 漢方マニアの本音としてお読みください。

※専門家に対して漢方の情報提供をしているつもりはありませんので、漢方を処方する側の人(医師や薬剤師などで特に病名や症状だけで漢方薬を処方している人)は不快な気分になる可能性があるので、読まないでください。

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漢方相談室

2017年01月11日

東京漢方相談会のお知らせ

お店の宣伝です。
まごころ漢方は全国からの漢方相談をお受けしていますが、
特に関東の方が多いため、定期的に東京で漢方相談会を行っています。

漢方相談は都内の浜松町で行いますので、
関東方面で漢方相談を受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、ご予約ください。

ご相談当日は漢方薬はお渡しできません。病気などの相談のみです。
他で受けられた漢方相談での疑問や不安。

漢方薬の事だけでなく、
現在の病院の検査や治療、薬などの疑問や不安。
現在、飲まれている健康食品のことなど、

気になることは、なんでもご相談ください。
相談は無料で相談だけでもOKです。
事前の完全予約制です。

僕自身、元々、話好きなので、お気軽にお申し込みいただけたらと思います。

【日時】
・2017年 02/04(土) 11:10〜19:00(最終受付18:00)
・2016年 02/05(日) 09:00〜19:00(最終受付18:00)
・2016年 02/06(月) 14:30〜16:30(最終受付15:30) 
※いずれか、ご希望の「日」をお知らせください。予約可能時間枠をメールいたします。
そちらからお選びください。(相談時間は最長で50分位です)

【場所】
浜松町(詳しい場所は連絡をいただいた方にメールにてご連絡します)

ご希望の方は、こちらからご連絡ください。

(予約はコチラから)

(ネットでのご相談はコチラから)

ぜひ、お待ちしております。
※予約は一杯になり次第締め切ります。連絡を頂いた際には、
すでに予約がとれない状況もありますがご了承ください。
posted by 華陀 at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月16日

不眠症の漢方薬(酸棗仁湯)から再確認したこと

「あー漢方薬って、やっぱりそうなんだな」と思うところがありました。

漢方薬は基本的な治療手順としては、全身の症状、生活環境、過去の病気などから総合的に判断して、現在の「体質」を分析します。

病院で言えば、触診、血液検査、胃カメラなど、いろいろな検査を参考に病気を診断するような感じですね。

病院の漢方は、漢方薬を選ぶための問診をとらないので、西洋医学的に言えば、何もせずに適当に薬を選んでいる状態ですね。

漢方薬は病院の薬のような有効成分の効果で症状を抑えたりするものではありません。
冷えている人には温める漢方薬を選んで体をニュートラルな状態になるように持っていって不快な症状が出ないようにします。

漢方治療の基本は大体がこの方法です。
体の中のバランスを崩しているアンバランスな要素を全て探し出して、そのアンバランスの要素を打ち消す働きの漢方薬を選びます。

この方法は最も重要でスタンダードな方法ですが、漢方治療は自分のアイディアでいろいろと展開できるので、時には病院の治療のように、ある症状だけに絞って、それだけを治療する方法をとることもあります。

ただ、こういった方法は滅多にとりません。
どんな時にとるかというと、あまりにいろいろな病気や症状が混ざってしまっている時や病院の薬を長期間、飲みすぎて体内の働きがいびつになってしまっている時です。

特に病院の薬の長期間の影響で体内の働きがいびつになってしまっている時は、全身の状態から体質を分析し、漢方薬を選んでも、予想した通りに調整されないことがよくあります。

なぜ、こんなことが起こるかというと、おそらく病院の薬は体に強い影響を与え、その強い薬の影響で体内の働きを変えて、症状を抑えたりしますが、その影響が長期間続くことによって、体内の機能が変わってしまうのだと思います。

製薬会社からしたら、そんなものはないというかもしれませんが、実際に製薬会社でも10年単位の長期間の連続服用の影響の臨床データなんてありません。
また、そういった場合の現場では、1つの種類の薬だけでなく、複合的にいろいろな製薬会社の薬を混ぜて長期間飲んでいることになっているので、こんな複雑なデータは存在しないのです。

そもそも、こんな難しく考えなくとも、糖尿病を考えれば、糖尿病は砂糖を長期間、とり続けることによって、膵臓などの働きがいびつになった状態をいいます。
つまり、見方を変えれば、砂糖を長期間とることによって病気になっているのです。
誰でも普通に食べている砂糖ですら、こんなことになりますから、もっと影響のある薬なんかを長期間、飲み続けて病気にならないと考えるほうが、おかしいですよね。

そんなわけで、複数の薬を長期間、飲まれてきた方は今、悩んでいる病気以外に「なんかよくわからない病院につくられた病的体質」になっていて、漢方薬が理論通りに効かない。なんてことがあるのです。

こういう状態だと病院の薬の中毒状態を治すことが最優先になります。

病院の薬の中毒状態を治して、体を更生させて、そこから始めて漢方薬の正当な治療を始められるといった感じ。

もちろん、中毒状態を治していく時も、ただ単に病院の薬を突然やめたら、禁断症状みたいなものが出る可能性があるので、薬を減らしていくことと、漢方薬で体を補助していく折衷案的な治療をしていきます。これはうちではアトピーの方向けにも使います。

実はここまでが、ものすごく長い前置きなのですが、うちの患者さんで不眠症の患者さんがいらっしゃいます。

この方は睡眠導入剤系だけでなく、心療内科系の薬もたくさん、長期間、飲み続けてきました。
今では、病院の薬も気休めレベル。

そして、漢方治療はしても、体がいわば、病院の薬の中毒状態のようなものなので、漢方薬の効果がストレートに効かない感じ。
いろいろと漢方薬を変えても、常に病院の人工化合物である薬に漢方治療が邪魔される感じです。

そこで、一度、3日間だけでいいので、スッパリと病院の薬をやめて、漢方薬のみにしてみようということになりました。

今回は、あえて一時的な治療措置として調整する症状をあえて「眠れない」だけに絞って、病院のマニュアル漢方みたいに漢方薬で睡眠薬とよばれている酸棗仁湯にしました。
しかも効果がシャープな煎じ薬。

しかし、酸棗仁湯の煎じ薬が、すぐになかったので、とりあえず、3日間だけ違う漢方薬を病院の断薬のお供にしました。

その時の漢方薬は、僕が初回の体質分析時に通常通りの方法で選んだもの。
ただし、こちらは粉薬。
なおかつ初回から2ヶ月間であまり効果がなかったもの。

3日間は、これですごしてもらい、結果を聞きました。
すると、こちらは「病院の薬の断薬+酸棗仁湯」の前座みたいなものだったのですが、なんとこれで、何年かぶりに病院の薬を一切飲まないで、3日間、ぐっすりと眠れました。
これ以外にも家の中で一つ実行されたことがあったのですが、これは内緒。誰にでも無料でできることです。

とにかく眠れた。
酸棗仁湯はどうしよう・・・でも、この3日間でお渡しした漢方薬は、初回の2ヶ月間であまり成績が良くなかったもの。
だったら、不眠に絞り、なおかつ効果がシャープな酸棗仁湯の煎じ薬で変えてみようということで変更。

そこから1週間後・・・煎じ薬に変えた途端、全く眠れず不眠症に逆戻り。
しょうがいないので、これの前の粉薬に戻しました。

そうしたら、結局、すぐに眠れるようになりました。

病院の薬の中毒体質だといびつな体質だと考え、「不眠症」だけに絞って、病院の好きな病名だけのマニュアル漢方にしてみましたが、見事に撃沈。

結局、元の全身状態から選んだ漢方薬が一番よかったことになります。
この結果は、普段から病名や症状で合わせる漢方薬はニセモノだと考えている僕にとっては嬉しいことです。

もしかしたら、病院の薬の断薬も同時に行ったので、体が自然な状態になり、漢方薬が素直に効く体になっていたのかもしれません。
posted by 華陀 at 18:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 漢方治療例(症例) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

麻黄湯は取り扱いの難しい漢方薬

そろそろ、インフルエンザが流行ってきている時期ですね。

この時期になると毎年、麻黄湯とインフルエンザについて書いているような気がします。

インフルエンザが流行り始めると、よく聞かれるのが、「先生はインフルエンザワクチンを打っているのですか?」という質問。

僕はワクチンを打っていません。
別に放射脳的にワクチンは危ない!とか考えている派でもなんでもありません。
全種類のインフルエンザを100%防げるのであれば、打ちますが、そんな万能でもないというのが1つの理由。

もう一つは、病院と医者が嫌いなので、わざわざ行くのがめんどくさいし嫌。という本音。

そして、漢方ではインフルエンザという病名は存在せず、ただ強くて進行の早い傷寒(風邪)なだけなので、どうせ、自分の漢方薬で治すからという理由です。

ちなみに皮肉なことにインフルエンザワクチンを打った、お店を始めた初年度に1度インフルエンザにかかり、それ以降は、ワクチンを打ってませんが、インフルエンザには1度もかかっていません。

でも、毎年、インフルエンザになっている人、なっていた人が相談に訪れ、うちのチビも7年間で2回、インフルエンザをもらってきていますが、インフルエンザにはなっていないのは、漢方薬のおかげですね。

ここからが本題ですが、医者の記事やブログでインフルエンザには麻黄湯とか、言ってますが、あれは完全な間違った使い方。

漢方は体質に合わせるもので、そもそも、2000年前にほぼ、治療理論が確立していた漢方の世界にその約1800年後に始まる西洋医学の病名などはなんの関係もないので、漢方の世界に「インフルエンザ」という言葉も診断もないので、インフルエンザに麻黄湯を使うという概念自体が存在しません。

風邪の漢方治療は実は一番、難しいです。
なぜなら、漢方は、体質に合わせるもので、体質は「全身の症状」「生活環境」「過去の既往歴」などから総合的に診断していきますが、インフルエンザや風邪の場合は、熱、頭痛、咳、鼻水、喉の痛み、関節の痛み、食欲不振、胃腸障害くらいしかないのです。

そのくせ、風邪というざっくりした病名だけで、候補になる漢方薬を考え始めると「桂枝湯」「麻黄湯」「桂麻各半湯」「桂枝二麻黄一湯」「香蘇散」「柴胡桂枝湯」「葛根湯」「葛根湯加川芎辛夷」と絞っても8種類が考えられます。

8種類も候補として考えられる漢方薬があるのに、症状は、それほどの違いがない。
だから選択が非常に難しいのです。
なので高度な治療になるのですね。

こんな話「風邪→葛根湯」「インフルエンザ→麻黄湯」というようなマニュアルでしか処方していない病院には何の関係もないでしょうが・・・
僕もこんなド素人でもできそうな、お手軽な漢方処方だったら楽だろうなと時々、魔が指すように考えることがあります。

でも、こんなテキトーな漢方薬の選択方法では、治るかどうかが「ラッキー」に頼るだけという、これまたド素人臭いことになってしまうので、決してやりませんが。

漢方薬は、なぜ、そこまで細かく体質を分析して、体質と合っているものを選んでいけないかというと、副作用が病院の薬のような「ごくたまに少数の人が副作用になる」みたいな、ざっくり曖昧な薬ではないからです。

漢方薬の副作用は、至ってシンプルで、「体質と合っていない漢方薬を飲むと副作用となる」です。
これは、漢方治療の原理原則の物事には裏と表があるという陰陽の考え方からきています。
僕はこの陰陽の考え方がカッケー!なんて思いながら漢方をやってます。

漢方薬には、大きくざっくりと説明すると、ここに温める漢方薬と冷やす漢方薬があります。
冷えている人に温める漢方薬を与えれば、ニュートラルになり、治ります。
逆に余分な熱を持っている人に冷やす漢方薬を与えればニュートラルになり、治ります。

で、これを逆にして、冷えている人に冷やす漢方薬を与えると、余計冷えて、病状は悪化。
これは副作用です。

この例えだと、冷え体質か熱体質かを簡単に言ってますが、実際は、体温が高いから「熱体質」とかではありません。ここでは割愛しますが、もっと複雑に診断しないと分析できません。

肝心の麻黄湯の話ですが、麻黄湯は強く汗を出させる漢方薬です。
無汗(汗が出た後、ひく)になったら中止するものです。
そして、漢方薬にも裏表があります。

麻黄湯は、胃にダメージを与えやすいものです。
そして、漢方では、胃腸は脾の臓といって、体内のエネルギーを得るところとしてものすごく重要視しています。

風邪の時に気をつけなければいけないのは、胃腸のコンディションなのです。

そして、麻黄湯は、胃にダメージを与えやすいという特徴があります。
これは副作用ではないですよ。ややこしいですが、漢方では、良い効果、悪い効果の概念はありません。変化を与えているだけです。
副作用は、合わなかった結果論で考えます。
誰でも麻黄湯で胃にダメージが受けるわけではないです。

そして、漢方薬が体質に合っていたというのは、該当する漢方薬を飲んだ後に目標の症状等が治っていれば「漢方薬と証(体質)が合っていた」となります。

ここに麻黄湯とは対をなす桂枝湯があります。
桂枝湯は麻黄湯と反対の役割で、汗の出すぎを調整します。
こちらは胃の障害ではなく、胃が弱っていたり胃の調整が良くない人の消化器を強めてくれます。

さて、ここでリアルに風邪になる時を考えてみましょう。

風邪、ないしインフルエンザの本当の初期は、なんとなくだるく、鼻水と咳がちょこっとといった感じ。胃腸風邪というものもあるので、この後、胃が悪くなるかもしれないし、まだどう転んでいくのかわかりません。

この時に、頭空っぽでマニュアルだけで麻黄湯を選んだとします。
この後に、胃も悪くなり、下痢も出てくるような体質やパターンだと、風邪、インフルエンザは一気に悪くなります。

この場合、風邪やインフルエンザが悪化したのではなく、麻黄湯の「効果」で悪化させられたのです。
麻黄湯を処方した病院に悪化させられたと言ってもいいかもしれません。

こういった事態が起こるのが漢方薬なので、漢方で証(体質)を分析しないで漢方薬を処方してはいけないと思います。

漢方薬には薬性の強さのランクがあるのですが「強い=強い良い効果」ではなく「強い=強い変化を与えるもの」です。
したがって、体質と合っていなければ、強い副作用ともなります。
漢方薬は常に諸刃の剣です。

こういった風邪やインフルエンザの場面では、薬性の弱い方である桂枝湯から処方するのが体質と合っていなくても副作用が軽くなるので無難なのですが、薬性が穏やかであるということは同時に「速攻で効きづらい」とも言えます。
ちなみに薬性が穏やかな桂枝湯でも体質が合っていれば、速攻で効いてくれます。

なので、結局は、その人にその時の体質にピッタリの漢方薬を選ぶしか治療の道はないので「副作用を出さないように無難な漢方薬で・・・」とやると「副作用はないけど治せない」ということになってしまいます。
これはこれで、漢方医として、くやしい思いをしないといけないのです。

病院がやってる意味不明なマニュアル漢方の麻黄湯は、どうなのかは知りませんが、東洋医学から見たら、麻黄湯は決してインフルエンザ用の薬ではなく、悪化もさせる可能性のある、扱いが非常に難しい漢方薬ということですね。

posted by 華陀 at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気を治す方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月18日

漢方治療は全面的に保険適応になるべき?(後編)

ブログを前編、後編とあまり分けたくなかったのですが、なんかまとめるのも難しくて、前編、後編と分けました。

漢方治療は全面的に保険適応になるべき?(前編)はコチラから

東京で行った相談会でのやりとりです。
相談に来られた方と漢方のことをいろいろと話していて、漢方が、全面的に保険適応になっても良いのではないかと言っていただきました。

しかし、これには僕は賛成できません。
僕自身は、漢方薬が、うちのような店も含めて全面的に保険適応になったとしても「うちは保険適応ではやりません」

何も漢方薬を高く売りつけたいわけじゃありません。
患者さんにとっては漢方薬が安くなってお得だと思いますが、治療者側の僕から見ると「商売的」には患者さんが増えていいことですが「根本的な治療」という観点からみると最悪です。
また患者さんが「根本的治療」を目的とするなら、保険適応の漢方は良いことではないようにも思います。

まず、保険適応の薬には薬価というものがあります。
これは普通の商品でいったら、定価が国によって決められているといったもの。
保険適応というのは医療の大半の料金を税金から、まかなっているわけですから、お店が勝手に決めた定価の7割を負担するとなると、最初の定価を高額するやからも出てきます。

なので、保険適応の薬は定価があらかじめ決まっていて、しかも、その定価は年々下がっています。
ここで病院の薬(化学薬品)と漢方薬の決定的な違いが問題になります。
漢方薬はレシピがあれば、工場で大量生産できる化学薬品とは違い、自然のものなので、高級野菜みたいなものです。

高級野菜みたいなものなので、今、野菜が高騰しているように漢方薬の生薬も値段の変動があります。しかも生薬は中国産が多いので近年の中国の発展で金銭価値が上がり、日本との差が縮んできていますので、簡単にいうと薬の原料である生薬の仕入れ額は高くなり、漢方薬の定価はどんどん下げられているので、漢方薬をつくるメーカーさんとしては、想像するに仕入れの額を下げるしか手がなくなるのです。

漢方薬で仕入れの率を下げるとは、それは幸いなのかどうかわかりませんが、生薬も野菜と同じようなものなので、ものの良さはピンからキリなので、ゴミのような値段の生薬も手に入るということです。
マクドナルドが世界中から最も安い肉を探して仕入れているのと同じですね。
そんな安い生薬が手にはいれば、定価を上げることができなくても、会社としての利益はなんとかなるのです。
保険適応の某メーカーさんは、苦労されていることだと思います。

僕はそんな商売的な方に偏った漢方薬で治療をしたいとは思いません。
野菜でいったら、どこの産地かわからない激安の野菜よりも、産地やしっかりした生産者がつくった北海道のアスパラやじゃがいもを使って料理(治療)をしたいのです。
なので保険適応になったって、僕は保険適応にはしません。

もう一つの問題は、保険適応になると患者さんの負担が大幅に減るので、たくさんの人が相談にくることです。
保険適応になると治療拒否はできません。
そうなると病院のように毎日、たくさんの人がきます。

そうなると、いくら自分の治療の理想スタイルがあっても、今の病院のように3分診療のマニュアル治療でベルトコンベアのように患者さんを捌いていくしかなくなります。

漢方治療の本質は、病気にならない体質を作り上げることで、ただ単に漢方薬を飲み続ければ治るものではありません。
先ほどの問診を書くだけでも時間がかかるのです。
保険適応になれば、問診も書かせないか、かなりコンパクトなものにせざるえません。
先生も患者さんも一手間が必要なのが漢方治療なのです。

だから、保険適応になれば、いろいろな人に漢方治療をしてもらえるかもしれませんが、
広がった分、内容がうすーーーくなってしますので、それは最早、ただの漢方体験だけであって漢方治療ではなくなってしまうと思います。
posted by 華陀 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月15日

漢方治療は全面的に保険適応になるべき?(前編)

先日、東京での漢方相談会でのお話。
漢方相談会での目的は、もちろん、うちの漢方治療を受けていただける方を増やしたいことが目的ですが、それ以外に病気で困っている人に正しく「漢方」を理解してもらいたいという目的もあります。

日本ではこれだけ漢方が普及していて、全く正しく理解されていません。
誰が理解していないかって、漢方薬を処方する当の医者や漢方薬局の先生が表面的にしか漢方を理解していないのが現状です。

それが、なんでこうなったのかわかりませんが、表面的で素人臭い漢方の方が常識になってしまっています。
ここで誤解されると困るのですが、僕の方が漢方を知っているというわけではなく、いろいろな漢方の本を読んだ結果、冷静に漢方の治療思想や漢方の診断方法、養生のアドバイスの仕方などが何ひとつ漢方らしく理解されずに西洋医学ナイズされたアニュアル漢方として常識になっていると感じているという話です。

うちはただ単に漢方薬を漢方らしく扱っているだけですね。

その相談会で、すでに病院で漢方薬を処方されているが、その医者の漢方は、なんかおかしく思うので、僕の相談会に参加して、いろいろと漢方に対する疑問をぶつけたいという方がいらっしゃいました。

その質問の中で一言、シンプルな質問がありました。
「ちゃんとした漢方をやっているかどうかを見分ける方法を1つだけあげるとしたらなんですか?」

1つだけ・・・答えは簡単です。

「東洋医学的な体質を判断する問診表を書いてもらってから診察しているか?」

1つだけあげるならこれです。
うちでいったら、ネットでもあげている150項目以上の全身の症状や現在の生活環境等を問う質問。

病院で最初に書かされる「今までにアレルギーのあった薬はありますか?」とかではないですよ。あれは漢方とは何の関係もありません。

漢方はその人独自の体質を判断しますので、全身いろいろな状態を聞く必要があります。
うちの問診もじっくり考えて書けば、20分はかかります。

これが最初にないのは、偽物漢方と言い切ってもいいくらい。
また、問診をとらずに先生が質問だけで漢方薬を決めようとするのも危険だと思ってもらってもいいです。

漢方薬自体は効果の高い、良いものなので、病名だけや症状だけを占いのようにあてはめて処方しても効くことはありますが、根本的に治そうと思ったら、同じ種類の漢方薬だけを飲み続けていてもなんともなりません。その場合は中途半端に治療は頓挫すると思います。

東洋医学的な体質は全身の症状やその症状の組み合わせから分析しますが、問診票に書いてもらわずに互いに質問だけのやりとりで行うと、処方する先生は自分の好きな処方や治すのが得意だと思っている漢方薬に合わせようと偏って分析し、患者さんの方は自分が最も悩んでいることを躍起になって主張しようとします。

漢方薬は特定の症状だけを抑制や緩和する対症療法のお薬ではなく、全身のバランスを整えながら治療するものなので、目立った症状だけを捉えようとせずに、全身くまなく症状や状態を冷静に捉えていく必要があるのですね。
先生も患者さんも主観は最も危険なものとなります。
それをちゃんと調整してくれるのが、体質を知るための問診票ですね。

その他にも、その方からの質問をいろいろとお聞きしていると、大阪でもそうですが、やはり東京でも漢方は大きく誤解されていると感じました。
しかも、悲しいことに名だたる大学病院での漢方がデタラメに近いような印象です。

いろいろとお話している中で「そんな素晴らしい医学だったら、うちのような店も含めて全面的に漢方を保険適応にするべき!」と言っていただきました。

しかし、これには賛成できません。
仮に、うちのような店も含めて漢方薬が全面的に保険適応になっても「うちは保険適応ではやりません」キッパリと答えました。

続きの 漢方治療は全面的に保険適応になるべき?(後編)はこちらから
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2016年11月02日

漢方治療は単純に効果だけで治すわけではない

こんな記事を見かけました。
「偽薬」とわかっていても、プラシーボ効果が得られることが判明:研究結果

記事の内容は、タイトル通りなのですが、昔から精神的な考えやエネルギーも薬などの物理的な効果があるのではないかと考えていました。

漢方を初めてから、年月が経つほど、その考えは、強くなっていきました。
なんか、こういう話をすると、「病も気から」という言葉を宗教的に捉えているんじゃないの?」と思われそうですが、「信じれば救われる」というような宗教的なそんな漠然としたものではありません。

漢方を勉強し始めの頃は「漢方薬自体がよくわからない」(もちろん知識としてはおぼえているが、体に落ちていない状態)状態で、言わば、本の受け売りな感じでした。
「当帰芍薬散の効果はこんな効果」「葛根湯はこんな効果」
本に書いてあることをそのまんま、効果をただ単純に理解して、その効果を単に知ってるだけといった状態で、漢方の場合は、知識と知ってる状態だけだと、「その漢方薬が効いたか?効かないか?」と言うイチかゼロという極端で意味のない状態でしか扱えませんでした。

漢方薬を選ぶための体質判断の問診をとらない大半の病院は、多分、この状態で止まっているのだと思います。

その後、勉強を進めるうちに漢方薬を「ある症状に対して効いたか?効いていないか?」だけで扱うと、対して治せないし、なによりも根本的に治せないことに気づきます。

その治せない原因が何かを考えた時、漢方薬は、西洋医学の薬のようにある症状や状態を抑制したり、遮断して失くしてしまったりすることではないことに気づきました。

考えてみたら、当たり前ですね。
西洋医学と東洋医学は違うのだから。
当時、漢方の勉強を始めた頃は、東洋医学のことがよくわかっていないので、今の漢方を扱っている医者と同じように病名や症状に当てはめた漢方薬を飲めば、症状がなくなったりして、更にそれを続ければ、いつか自動で治っていく。という非常に都合の良いファンタジーな感じで考えていたのです。

そこから、病院の薬の飲んでる時だけ治す対症療法ってなんだ?根本治療ってなんだ?対症療法と根本治療は何が違うんだ?と深く深く考えていくうちに、漢方治療は少しずつ、少しずつバランスをとっていくことだということに気づきました。

で、その少しずつバランスをとっていくというのは、具体的には表に現れている症状も少しずつ変わっていくということなんだという結論に至りました。
ゆえに漢方薬は病院の薬のように「症状がなくなったか?なくなっていないか?」では、効果を確認できないのです。

これに気づいてから、昔から読んできた漢方の本を読み返してみたら、ちゃんと「少しずつバランスをとっていくんだよ」ってことが書いてあるのです。
漢方って不思議な理論のもので、自分の気づきが増えてから、過去に読んだものをもう一度、読み返してみると以前に分かったつもりだったものが、実は解釈を間違えていたことに気づいたりします。

漢方薬は「どの症状がどれくらい変化したか?」
これを常に観察していく必要があります。

なぜ、漢方は単純に「症状が良くなったかどうか?」だけを見ていくわけではないのか?
それは漢方薬が「その人によって良い薬となった。体質に合っていた」と判断できるのは、ある程度の期間、漢方薬を飲み終わった結果からしかわからないからです。

そして、漢方薬の副作用は体質と漢方薬が合っていない場合に起こりますので、漢方薬は「先生が良いと思って処方しても結果的に体質と合っていない場合もある」ということです。

なので、「どの症状がどれくらい変化したか?」を見ていきます。
漢方薬を飲むことによっていろいろと悪くなることもあり、その場合は、結果的に体質と漢方薬が合っていなかったか、体質の分析自体が間違っていたか、が確認できます。

つまり、漢方薬の治療を進めていくには、常に観察が必要になり、ある症状がなくなったかどうかのオンオフだけでは判断できません。

治療2回目に漢方薬が体質と合っていて、良いものかどうかを見ていく時に非常に微妙な質問や患者さんんからの答えなどのやり取りがないとその漢方薬を飲み続けても良いかどうかすらわからないのです。

漢方は部分的な症状ではなく、常に全身をみていく治療なので「頭痛は感じなくなってきたけど、同時に夜中にまでオシッコに行くようになった」なんて、良い部分と悪い部分が混ざって同時に出てくることなんてザラにあります。

漢方相談は「医者→患者さん」みたいな一方通行のやり取りではなく「漢方医と患者さんが同じ研究チームの同僚として、一緒に問題を検証する」といった感じが理想です。
患者さんがフィールドワークで実際の調査をし、その調査結果(自分が飲んだ結果の症状や変化など)を漢方医が聞かせてもらって、そのデータを元に専門的に次の手(治療方針)を考えていくといった共同作業です。
だから、漢方には、「おかしいなこの漢方薬で良くなるはずなのに・・・」という、ひとりよがりな世界は存在しません。

記事の研究では偽薬とわかっていて効果を感じることができるのは、医師や看護師とのコミュニケーションや何かを飲むという行為が体を治そうと働きはじめる。と書かれています。

西洋医学の偽の薬でも実際に効果があるようですが、漢方では、効果を確かめる際により細やかに患者さんの状態の変化を調査する必要があるので、漢方医とのコミニュケーションがもっと現実的に、治るかどうかに関わってきますので、漢方本来の治療で治したいと思うのであれば、漢方医との相性や治療の説明やアドバイスの受け入れ安さ、先生が疑問にちゃんと答えてくれて、不信感が残っていないかなどを確認したほうがいいですね。
病気が治るかどうかに深く関わってきますよ。


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2016年10月21日

良い漢方医の条件

修行時代に言われた師匠からの金言があります。
「漢方の治療は2回目から始まる」

こういう言葉を教えてもらえるのが「学校」ではなく「修行」のいいところであり、重要な部分ですね。
よく「漢方をどこの学校で学ばれたのですか?」と聞かれますが、漢方に正式な学校はないですが、あっても、多分、漢方薬の名前とか、東洋医学用語だけ、よく知っていたり、西洋医学の病名漢方での臨床データをよく知っていたりと、実践でほとんど役に立たない知識ばっかりで脳みそが一杯になると思います。
学校って、漢方に限らず、そんな教え方しかできないですから。
実際、そういう漢方医?が多いのが、この業界の悲しいところです。

話は飛びましたが、漢方は西洋医学とは、全く違うもので「医学」という言葉が似ているだけで、まさに似て非なるものなので、修行の時に師匠から時々、もらえる言葉が、実践の治療で一番、役に立つ肝だったりします。

その師匠が言っていた「漢方の治療は2回目から始まる」

意味わからないですよね。
当時の僕もなんとなくしか意味はわかりませんでした。

でも、今は「漢方治療って、つまりはそういうことですよね!」とわかります。

漢方は、難しい医学ですが、初回に漢方薬を処方することは、実は誰にでもできます。
だって、よく考えようが、適当に考えようが、漢方を知らなくても、「この漢方薬飲めば」ということは誰にでもできますから。

現在は、西洋医学の病名に合わせて漢方薬が処方できるマニュアルが本でも、ネットでも情報があふれています。
ぶっちゃけ、ほとんどの病院や漢方薬局がこの方法をとっていますが、これって、実はどんな本でも情報でも入る現代においては、誰でもできることなんです。
だから、初回の漢方薬の処方は、字が読める人なら、誰だって処方できます。

「でも、専門家に選んでもらわないと治らないでしょ」

そうです。それは当たり前。
でも、ここが医者も患者さんも誤解しています。

まず、西洋医学が、どれだけ詳しい人に漢方薬を選んでもらっても、治る確率は高くなりません。
なぜなら、西洋医学と東洋医学は全くの別物だから。
野球という「球技」がうまいからといって、サッカーという「球技」がうまいわけではありません。
野球で培った運動神経は役立ちますが、サッカーはサッカーで、いちから学ばないとプロ級の腕は身につきません。西洋「医学」と東洋「医学」は違うものです。

そして医者は医大でほぼ、漢方を学びません。
薬学でも学ぶのは西洋医学的な生薬の成分とか漢方薬の効果のことだけで、実際の体質の診断方法や漢方の治療の哲学などは学べません。

卒業したその後も、学ぶと言っても、西洋医学のお仕事の合間に勉強会に参加するだけ。
その勉強会も残念ながら、正におぼえるだけの勉強です。
不妊症に当帰芍薬散、頭痛に五苓散などのアホでもわかるマニュアル。
漢方には文字上では詳しくなりますが、治療の腕は一切上がりません。

つまり、実は漢方の現実の世界は、一般の素人の方と医者などの間に境目がないのです。
だから、初回は、誰だって漢方薬を選べます。

もう一つ、誤解があります。
それは、良さそうな漢方医(実はちゃんとした漢方医はいないということがわかってもらえたと思いますが)に選んでもらったら、治る確率が高いと思っていること。

これも「良さそうな」という定義が何かです。
先ほどの話から西洋医学で権威があっても漢方では意味をなしません。

それにここが「漢方の治療は2回目から始まる」の意味ですが、漢方は、効果の高そうな漢方薬を選んでもらったら治りやすいわけではありません。

漢方は体質を東洋医学的に分析し、その体質合わせた漢方薬を選びますが、実はこの時点では、どれだけ治療の腕がある漢方医でも、推測なんです。

漢方薬は飲んだ後の体の変化と最初に分析した体質をすり合わせて、合っているかどうかが初めて判断できます。
つまり、初回にいくら漢方の詳しそうな先生が「絶対にこれで治りますよ」って言ったって、それは漢方の法則からしたら「嘘っぱち」なんです。
事前に合っているかどうかわからないのが漢方の治療法則、そのものですから。

漢方薬を飲み終わった後の変化と体質を比べた時に思わしくなければ、「体質と漢方薬が合っていなかったか?」「そもそもの体質の分析が間違っていたか?」を考え直す必要があるのです。

だから、「漢方の治療は2回目から始まる」なんですね。
ついでに2回目に体の変化が思わしくない時に「おかしいな、この漢方薬で良くなるはずなのに・・・」という先生も「偽物」です。

漢方治療とは、答えは患者さんが持っているのです。
答えが出なかったのは、漢方医が間違えていたということ。その間違いを受けとめ、1回目の結果を含めて、次なる治療方針を考えることなんですね。

なので、良さそうな漢方医を探そうと思ったら、名声や権威はアテにできません。
初回は一般素人の方だって本を買うか、ネットを漁れば、簡単に漢方薬を「選ぶ」ことができるから。

良さそうな漢方医は外側から見分けることはできないのです。
ただ必須条件としては、体質を分析する際は「相談→会話」が決め手になるので、親やすく本音が言えそうな雰囲気の先生でなければ、その時点で、すでに良い漢方医ではないですね。
迷いなく検討リストから削除OK!です。

後は、一度、漢方薬を飲んでみるしかありません。
1度、飲んでみて、2回目の先生の反応をつぶさに観察してみてください。
なんだったら、わざとネガティブなことを言えばいいと思います。
その上で、よっしゃ!ここからだ!という態度の人は良い漢方医ではないかと個人的には思います。
とってつけたよう説明になり出したり、漠然と方針ないまま、続けさせようとしたりしたら、それも検討リストから削除OK!です。


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2016年10月08日

東京漢方相談会のお知らせ

お店の宣伝です。
まごころ漢方は全国からの漢方相談をお受けしていますが、
特に関東の方面の方が多いため、定期的に東京で漢方相談会を行っています。

漢方相談は都内の浜松町で行いますので、
関東方面で漢方相談を受けてみたいという方がいらっしゃいましたら、
ぜひご連絡ください。

ご相談当日は漢方薬はお渡しできません。相談のみです。
他で飲まれている漢方相談や漢方薬の疑問や不安。
漢方薬の事だけでなく現在の病院の治療や薬などの疑問や不安。
現在、飲まれている健康食品のことなど、
気になることは、なんでもご相談ください。
相談は無料で相談だけでもOKです。
相談は、事前の完全予約制です。

僕自身、元々、話好きなので、お気軽にお申し込みいただけたらと思います。

【日時】
・2016年 10/22(土) 11:10〜12:00 16:00~17:00
・2016年 10/23(日) 14:00〜19:00(最終受付18:00)
・2016年 10/24(月) 15:00〜16:00(最終受付15:00) 
※いずれか、ご希望の「日」をお知らせください。予約可能時間枠をメールいたします。
そちらからお選びください。
相談時間は最長で50分位です。
【場所】
浜松町(詳しい場所は連絡をいただいた方にメールにてご連絡します)

ご希望の方は、こちらからご連絡ください。

(予約)
http://www.magocoro-kanpou.com/contact/index.html

ネットでのご相談はコチラから。
(ネット漢方相談)
http://www.magocoro-kanpou.com/counsel/index.html

ぜひ、お待ちしております。
※予約は一杯になり次第締め切ります。連絡を頂いた際には、
すでに予約がとれない状況もありますがご了承ください。
posted by 華陀 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

漢方薬が合っているかどうかは処方した先生しかわからない

昔から、うちによくある2つの質問があります。

「今、病院から処方されている漢方薬は自分に合っているでしょうか?」
というものと、
「2つの漢方薬のどちらの効果の方がよく効きますか?」

この2つの質問ですが、本格的な漢方治療をやっている僕には実は答えようがありません。

なぜなら、2つとも漢方治療の法則から外れた質問をされているからです。
なぜ、本来の漢方治療の法則から外れた質問なのか?

漢方は東洋医学という医学理論で成り立っています。
これは現在の西洋医学が古かった頃の理論などではありません。

西洋医学と東洋医学は全くの別物です。
東洋医学は今から約2千年前、西洋医学は2百年前に発祥しています。

西洋医学の昔のルーツを辿っていけば、東洋医学になるのではなく、発祥した年代も場所も全く違います。

西洋医学は体を部品単位で分けて、部品ごとの悪い部分を血液検査などで調べます。
その体の部分的な働きを薬などで強制的に変化させます。
だから、西洋医学は胃腸内科とか、皮膚科といくつもの「科」にわかれています。

東洋医学は、全身の状態である「証」(病的な体質)を見て全身の調整を行い、その結果、部分的な症状も治療します。

つまり、病院はアトピーの人は、皮膚表面のことだけを見て、皮膚表面の炎症やかゆみを抑えるステロイドが治療方法で、ステロイドを使っている間だけではありますが、炎症やかゆみが治ります。その場しのぎの姑息療法と言われるのは、こうった治療方法だからです。

一方、漢方ではアトピーの人をみる場合、皮膚だけをみません。
皮膚の状態も考慮しますが、「胃腸はどうなのか?」「便はどうなのか?」「上半身に余計な熱がこもっていないのか」などなど、アトピーを治すために全身の状態を見ます。
これは、例え、頭痛だけであっても漢方の場合は、全身をみます。

なぜなら、漢方は全身を支える健康バランスのどこかが崩れたから湿疹や頭痛という信号が出てきたと考えるからです。
頭痛なら五苓散ではなく、水の巡りの問題と頭痛が結びついていると見たら五苓散かもしれないというのが漢方の診断です。

冒頭の2つの質問「今、病院から処方されている漢方薬は自分に合っているでしょうか?」
「2つの漢方薬のどちらの効果のほうがよく効きますか?」という質問をされても僕が答えようがないのは、この漢方の治療の性質にあります。

漢方において「証」(病的体質)を分析する場合、全身の症状、状態をお聞きして、現在の証を診断しますが、この証はマニュアル的に「こんな症状があったら、この証」というようなマニュアルで決まっていません。

漢方では「体質と漢方薬が合っていた」というのは、漢方薬を飲まれた後に症状が治って初めて証明されます。だから「証」なのですね。

つまり、飲む前は僕も患者さんも、果たして、その漢方薬が合っているものなのかどうかわからないわけです。
だから、病名だけで「アトピーなら消風散」なんて選び方は、漢方の医学理論から見たら、絶対にありえません。
また、「おかしいな、この漢方薬で治るはずなのに・・・」なんてセリフも漢方ではありえません。

飲まれた後に良くなってきて初めて合っていたと証明できるからです。

先ほどのアトピーなら体質別で考えていくと、よく使う候補の漢方薬だけでも50種類は考えられます。
そりゃそうですよね。アトピーって言ったって、よく見たら、みんな状態が違うわけですから。

そのどれが正解かは、飲んだ後にしかわかりません。
おまけにもっと難儀なのが、治り方の2つの問題です。

ステロイドは、塗れば、かゆみが止まります。
いまいち、かゆみが止まらなければ、効果が強いものを使っていけば止まります。
実に単純で、良くなったかどうかのオン・オフだけ。
だから、医学知識のない患者さんでも効いたか、効いていないかがわかります。

ところが、漢方薬は、かゆみが止まるか止まらないかではなく、「湿疹の出る頻度が徐々に減る場合」、「かゆみがなんとなくひいてくる場合」、「湿疹の状態はあまり変わらないけど、熱感がひいてくる場合」など、人によって様々。
かならずしも、初回の飲み終わった時から「かゆみ」自体が止まってくるかどうかはわかりません。

また、より湿疹がひどくなるということもあります。
これすらも、単純に体質と漢方薬が合っていない場合と、巡りと代謝が良くなって一時期だけ悪くなっている場合があります。
現象は、どちらも、ひどくなっているのですが、「良い」、「悪い」、どちらも可能性があるのです。


そういった複雑な変化をちゃんと判断するために漢方では体質を診断し、同時に治療方針を決めます。治療方針は「漢方薬を飲みおわった時にどうなっていたら、効いていると見るか」ということです。

こういった理由で、どこか他の先生が処方された漢方薬が合っているかどうかを調べるためには、
最初に「体質」をどう診断したか?
飲み終わった時の「治療方針」はどのようなものか?
という情報が必要になるので、自分が体質を分析せず、考えてもない処方は、「この漢方薬が良いのか?悪いのか?」と聞かれても、僕の方法で体質も判断していないし、治療方針も立てていないので「何もわかりません」としか答えようがないです。

「2つの漢方薬のどちらの効果のほうがよく効きますか?」こちらも同じ理由ですね。
漢方は全身の状態から部分的な症状を治していくので「どんな効果」なのかどうかは、極論で言えば、どうでもいいことです。
「体質をどう診断したか」、「どんな治療方針で治療するのか」、これが必要なので、比較するのであれば、2つの体質と治療方針から、どちらがよりベストかを考えるしかありません。

手前味噌ですが、僕は本来の漢方を勉強している自負がありますので、もしかしたら、マニュアルで自信なさげに処方している医者よりも、「漢方に詳しいんじゃないか」と思われて、冒頭のような質問がよくあるのかと思いますが、例え、世界一詳しい先生でも、他人が処方した漢方薬が合っているかどうかなんて、実はわかりません。

いくつかの症状が良くなった。悪くなった。というような単純な判断はできません。
ですから、自分の飲んでいる漢方薬が合っているかどうか気になり、なおかつ、そこで続けたいと考えているのであれば、処方された先生、自分で選んだのであれば自分に聞いてください。

僕に聞かれても僕は何も診断も観察もしていないので、何もわかりませんとしか言いようがありません。漢方治療とは、いわば、一番ベストな漢方薬名を知ることではなく、一番、真実に近い体質を知り、一番ベストな治療方針を知ることです。


posted by 華陀 at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東洋医学について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月14日

予防医学って実際はどうなのだろう

これからは予防医学!というのが次のトレンドのように言われいますね。
具体的にどんなことが予防なのかは、今は予防医学という言葉だけが走っている状態のようにも思います。

病気じゃなくても検査をしておくことや血圧や心拍、血糖などの日々のバイタルサインを見ていくことが予防と考えられていたり、単にサプリメントを飲むことが予防だったりと考えられていたりするようです。他にもいろいろあるかもしれませんが・・・

病気になる前に病気にならないように防いでいく。
漢方を始める前は、僕自身も現在の予防医学の感覚が重要だと考えていました。

しかし、漢方治療を本格的にやればやるほど、1つの意外なことがわかってきました。

漢方では、未病という考え方があります。
未だ病気にならざる時に治してしまう。

正に予防医学じゃないか!と思っていたのですが、治療をやっていくうちに、その解釈も微妙に違うんじゃないかという感じがしてきました。

漢方では、その時点の体質を見ます。
一般的なイメージでは、おそらく、人それぞれの生まれつきの体質があって、その生まれつきの体質を根本的に治してくれる漢方薬があって、それを飲み続けたら根本的に治る・・・みたいなイメージだと思います。

半分は正解かなと考えているのですが、半分は不正解という感じ。

僕が現場で治療している感じでは、誰しも生まれつきの弱点的体質があるというのは、合っていると思うのですが、別に、それだけで病気になっているわけじゃない。

どちらかというと、現時点の環境(仕事、ストレス、食事、睡眠、住まいの環境など)の影響を受けて病的体質になるといったほうが割合が大きいと考えています。

その時に生まれつき、もしくは家系が継いできた体質の傾向の病気に傾いていく。といった感じですね。

生まれつきの素因的病的体質が20%位あって、残りの80%は後天的な環境等によって作られ発病する感じ。

西洋医学では健康か病気かという、ある種、デジタル的な捉え方をしますが、本来の漢方では西洋医学のようなはっきりとした病気の概念がありません。
病院は何を勘違いしているのか、西洋医学の病名で漢方薬を選ぶマニュアル処方をしていますが・・・

西洋医学だと、検査でひっかからなければ、病気でないイメージですが、漢方は全身の働き(例えば血液循環、筋肉の働き、消化器の働き)の調和がとれているかどうかをみていくので、このラインから向こうは病気。という概念がありません。

病院の検査でひっかからず、病気も何も言われていなくても、雨の前日にかならず頭痛になるのは、漢方的には全身の調和が崩れた結果、起こっていると考えるので、それは明確に病気なんですね。

だから、漢方薬も生まれつきの体質に絶対的に合うものなんかはないし、現在の体質も季節の影響を受けて変化したり、仕事で、ものすごいストレスを受けて体調が変われば、それも体質が変わっていくことになります。

つまり、漢方では、よほどでない限り、本当に健康な人は、なかなか存在しません。
特に現在の環境は、健康になろうと頑張っても体に優しい自然な生活ができない時代なので、「本当の意味で長期間、健康な状態」を保つのは至難の技です。

だから、僕も検査数値は悪くないし、病気の診断を受けたこともないですが、毎日、全力、全開で元気か?と問われると何かしら、不調がところが見つかるので、その時の自分の体質を判断して一定期間で種類を変えながら漢方薬を飲んだり、週に1回、バランスをとるために鍼治療も受けています。

いわば、東洋医学的に考える本当の健康とは楽器のチューニングが合っている状態ですね。
楽器をやっている方なら常識ですが、使った途端に少なからず、チューニングは狂っていきます。
また、終わったらチューニングを行い健康な状態にするわけですね。

だから、漢方の未病を治すというのは、何かの病気になる前に治すというよりも、常に病気になる恐れがあるので、それを漢方薬や自分の体質に合った養生で毎日、チューニングしておくことだと思うわけです。

今、騒がれている予防医学も日々、事前に検査をしたり、毎日のバイタルサインを調べておけば、大きな病気は予防できると思いますが、現実から考えると、大きな病気だけをざっくりと防ぐという感じで、それはそれで重要だと思いますが、日々の辛さを防いで病気にならないようにするには、ちょっと遠いですね。

本当の予防は、やたら検査をしたり、体質に合っているかどうかもわからないサプリメントを漠然とした予防で飲むのではなく、現時点の自分の体質を知り、弱点を知り、日々のチューニング(体質にあった生活方法やメンタルセット)を知り、それを実践することが、具体的で実践的な予防ではないかと思います。

なので、予防は、その人の体質や環境で人それぞれ、方法が変わるということですね。


posted by 華陀 at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢方ってなんだろう? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする